空に憧れた少年とバンド少女達   作:凌介

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兄弟、姉妹それぞれの視点があってそれぞれの空がある



第32話過ごした時間と見える空模様

休日、俺は曲のヒントを探しながら街を歩いていた。

俺は何気ないこの時間が好きだったりする。

目的があってもその目的は必ず見つかるものではないからこその時間があると思う

そうして歩いているとあこちゃんと巴に会った。

「暁人兄ぃ!久しぶり!」

「どうも、お久しぶりです!」

「久しぶり、2人とも今日は姉妹一緒なんだね」

「まぁ、たまには息抜きも兼ねてあこと出掛けるのも悪くないなって」

「あこもね!たまにこうしてお姉ちゃんと出掛けるの好きなんだ!」

「そうなんだ、俺の方は相変わらず宛もなくって感じ」

「先輩らしいっすね!」

「まぁ、これが俺だからね」

そう話している中で気になる事が出来たので聞いてみる

「2人は姉妹だけど、もちろん見えてるもの感じてるものは違う訳じゃん、2人はどんな時に空を見上げたくなる?」

2人は顔を見合わせてから少し考え答えてくれた。

「アタシは、やっぱりAfterglowでいる時ですね、アイツらとは何度も一緒に夕焼け見てきたので1番印象に残ってます」

「あこはね上手く言えないけどむしゃくしゃした時とかこうわぁーって叫びたくなるような時かな」

なるほどと思った。仲間と見る空、気持ちの整理を付けたい時に見上げる空どちらも印象深いものだろう

「ありがとう、参考になったよ」

2人にお礼の意味を込めて写真を渡し別れた後再び街を歩いていると公園に行き着いた。

公園では小学校くらいの男の子とその子よりも少し小さな女の子が遊んでいた。

その様子を近くで見守るポニーテールの子が俺に気付き声を掛けてきた。

「暁人先輩!お久しぶりです!」

「久しぶり沙綾、今日お店は?」

「午前中はお母さんがお店に出てくれてます。私は弟達を遊びに連れてきたところで」

「そうなんだ」

「暁人先輩はいつものですか?」

「まぁね、いつものようにあらゆる視点から空を見てるとこ、ちなみに今はどんな時に空を見る?」

「そうですね…私はあえて無心になりたい時とかですかね、何も考えないでただゆっくりしたい時とか」

そう言って弟達がいる方に目を向ける

「あの子達はもしかしたら遊び疲れてバタッと寝そべった時とかに空見上げるかもしれないですよ」

「小さい子達は遊んで疲れてが仕事みたいなもんだからね

まぁ、参考になったよありがとう!」

俺は澄み切った青空の写真を渡して公園を後にした。

「やっぱり見え方はそれぞれだもんな〜」

そう呟きながら俺は何気なくショッピングモールがある方に足を向けた。

俺はショッピングモールの一角にあるパズル専門店に立ち寄った。

たまにこの店には俺にとっては掘り出し物と言えるかなりいい感じの風景画のパズルがあるのだ

俺は店内を見て回ってると1つのパズルに目が止まる

「これ良いな〜」

俺はそのパズルを購入し店を出るとちょうど買い物に来たのだろう紗夜と日菜に会った

「紗夜、それに日菜!珍しいね2人で出掛けてるなんて」

「でしょ〜!」

「たまたまです。ちょっと本を買いに行こうと思った時に日菜が着いてきたいと言うのでそれならと…」

「そっかそっか、俺の方は目的も無くって感じだったからね」

「あなたの場合空を描くというのが外に出る目的なのでは?」

「それはある!でも、それ以外にもあるよ!ほら!」

俺は手に持ったビニール袋を掲げる

「何買ったの?」

「ジグソーパズル、3000ピースくらいあるやつ」

「そういえば黒崎君はパズルも好きなんでしたね」

「風景画のパズルだけね」

「アキくんはそういうのも好きなんだね!」

「まぁね、ちなみに2人はどんな時に空を見上げたくなる?」

「前にも聞かれましたね、前と違う答えが欲しいんですか?」

「別に前と同じでも構わないよ」

「あたしはやっぱりみんなでいる時に何気なく見上げたくなるな~その時虹が出てたなら最高にるんってする!」

「私は考え事をしている時でしょうか?考え事をしていて息詰まるとふと空を見上げていたりしますねその時澄み渡るような青空だったら自然と笑顔になれるかと」

「なるほどね!じゃあこれがピッタリかも!」

2人にそれぞれ写真を渡す

「まさに快晴ですね」

「こっちの写真は海の写真だよ!虹が海に反射してて綺麗」

「気に入ってもらえてよかったよ!じゃあまたね!」

俺は2人と別れ家路に着く

俺の家は学校に向かって行く方が早いので学校を目指して歩きながら周りの景色を楽しむ

そして学校に着くと部活中の声が聞こえる

俺は空を見上げて呟く

「みんな空の下…なんてね」

「あら、その通りじゃない?」

俺の呟きを拾ったのは1つ上の先輩でポピパのりみちゃんのお姉さんでもあるゆりさんだった

「こんにちはゆりさん、部活帰りですか?」

「いいえ、生徒会の手伝いを少しね」

「そうですか、俺は宛もない旅の帰りです」

「そのようね、そんな感じがしたわ、今日もいい写真が撮れたのかしら?」

「今日はそんなに」

「本当に宛もない旅だったの?」

「強いて言うなら夏の終わりの空の下で何に出会えるかの旅でした」

「何かみつかった?」

「まぁ、それなりに、ちなみになんですがゆりさんはどんな時に空を見上げたくなります?」

「そうね~全力を尽くした瞬間かしら?」

「と言うと?」

「どんな事でも良いのよ、何かをやりきった~って思った時に空を見上げると心が穏やかになるの」

「気持ちを切り替えるとかそういう感じですかね?」

「それが近いかもしれないわ」

「それならこの写真がいいかもしれませんまさに昼と夕方の間って感じですから」

「素敵ね、貰ってもいいのかしら?」

「ええ、どうぞ」

「ありがとう」

「こちらこそ貴重な意見をありがとうございました」

校門前出ゆりさんと別れた俺は少し早足で家に帰った

帰宅するとさっそく動画投稿をするための撮影準備をして

カメラに向かい話し出す

「このチャンネルをご覧の皆さんこんばんは投稿者の暁です。今日も歌ってみた動画です。今回はあの頃の自分というテーマでこの曲を演奏します。聴いてください、灰と青」

俺はギターを弾きながら歌っていく

昔を懐かしむような曲でありながら変わらない何かをずっとか探すような曲で歌い手の気持ちが現れやすい曲だと感じる

そうして演奏を終えた俺は最後をこう締め括った

「皆さんにとって変わらないものは何かを考えながら''あの頃''と今を思い返してみてください」

俺は動画の終わりをそう締め括った。

 

ゆり・りみ視点

 

部屋で何気なく楽器を触っていた時りみのスマホが鳴った

「りみ、スマホ鳴ってるわよ」

「え?あっホントだ!黒崎先輩の動画チャンネルの通知みたい」

「そういえば彼は時々歌ってみたなんかの動画やオリジナルソングを動画投稿してるって言ってたわね」

「うん!今日は歌ってみただって!お姉ちゃん一緒に演奏聞こう!」

「たまにはいいかもしれないわね」

りみの隣りに座ったのをりみが確認し動画を再生する

動画を再生すると彼、黒崎暁人君の声が聞こえてきた。

 

『このチャンネルをご覧の皆さんこんばんは投稿者の暁です。今日も歌ってみた動画です。今回はあの頃の自分というテーマでこの曲を演奏します。聴いてください、灰と青』

黒崎君がギターを演奏し歌っていく

 

『袖丈が覚束ない夏の終わり

明け方の電車に揺られて思い出した懐かしいあの風景

たくさんの遠回りを繰り返して

同じような街並みが通り過ぎた窓に僕が映ってる

 

君は今もあの頃みたいにいるのだろうか

ひしゃげて曲がったあの自転車で走り回った

馬鹿ばかしい綱渡り膝に滲んだ血

今はなんだかひどく虚しい

 

どれだけ背丈が変わろうとも

変わらない何かがありますように

くだらない面影に励まされ

今も歌う今も歌う今も歌う

 

 

忙しなく街を走るタクシーに

ぼんやりと背負われたままくしゃみをした窓の外を眺める

心から震えたあの瞬間に

もう一度出会えたらいいと強く思う

忘れることは無いんだ

 

君は今もあの頃みたいにいるのだろうか

靴を片方茂みに落として探し回った

「何があろうと僕らはきっと上手くいく」と

無邪気に笑えた日々を覚えている

 

どれだけ無様に傷つこうとも

終わらない毎日に花束を

くだらない面影を追いかけて

今も歌う今も歌う今も歌う

 

 

朝日が昇る前の欠けた月を

君もどこかで見ているかな

何故か訳もないのに胸が痛くて

滲む顔 霞む色

 

今更悲しいと叫ぶにはあまりに全てが遅すぎたかな

もう一度初めから歩けるなら

すれ違うように君に会いたい

 

どれだけ背丈が変わろうとも

変わらない何かがありますように

くだらない面影に励まされ

今も歌う今も歌う今も歌う

 

朝日が昇る前の欠けた月を

君もどこかで見ているかな

何も無いと笑える朝日がきて

始まりは青い色』

 

「なんか短い映画を見ているようだったわ」

「懐かしいのにちょっと切なくてなにかにすがりたいのにそれが出来ないもどかしさとか色々な気持ちを感じるね」

私達それぞれの視点で物語に引き込まれるように曲に聞き入った。

その瞬間確かに私達は夏の終わり明け方の電車に揺られながら朝日が昇る前の欠けた月を眺めていた。

 




というわけで32話目です!何がというわけでなのか分からないですけどね笑
今回は兄弟姉妹だからこその感受性の違いとお互いに気が合うなと思う瞬間を描いたつもりです。
ほとんど曲頼りな感じがしてるんですがそこはご勘弁を
次回は荒れた空模様を主人公1人の視点で描いて見ようと思っていますのでお楽しみに
次回「雨空と荒れた空模様」

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