舞い戻った理不尽ウマ娘は、元教え子達への対応に頭を悩ませる? 作:レイ1020
視点 オルフェーヴル
「・・・・・・くそっ!」
レースが終わり、各々が息を整えている中、オレは悔しさのあまり、地面を蹴っていた。
「(途中までは完璧だった。・・・・・・オレのスピードで他の奴らをちぎり、焦らせ、ペースを少し崩すことは出来ていた。・・・・・・そのままで行けばオレは普通に一着だったんだ・・・・・・。だが・・・・・・)
オレの独走は、最初こそ継続は出来たものの、中盤を過ぎた辺りから徐々にペースが落ち始め、足も重くなり、息切れもひどくなっていった事もあり、最終的には第4コーナー辺りで後続の奴らに抜かされていった。・・・・・・今まで、そんな経験をしてこなかったオレからすればそれは初めて経験する事であり、抜かれる度にひどく焦りを覚え出していた。
「(マイルまで走ったことがあったオレは、多少距離の伸びる中距離でも大丈夫だろうと出走を決めたが・・・・・・まさか、マイルと中距離でこんなに違うだなんて・・・・・・まるっきりスタミナが持ちやしなかった・・・・・・)」
スタミナが不足している事は、オレだって分かっていた。だが、もしかすれば無くてもオレのスピードでさっさとレースを終わらせれば問題ないのでは無いか・・・・・・なんて思っていたが、お門違いも良いとこだな。はは・・・・・・まだまだ青いな、オレも。
「(
「オルフー!」
そんな、不甲斐ない結果に終わったオレの元に、ベールが駆け寄ってくる。・・・・・・ったく、笑いにでも来たってのかよ。別に、それでも構わないがな?あんだけ大口叩いておいて、このザマなんだからな・・・・・・。
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視点 サイレントベール
「オルフ、お疲れ様。はい、タオル」
「・・・・・・おう、サンキュ」
かなり疲れた様子で、私の差し出したタオルを受け取ったオルフは、タオルを頭に掛けると、そのまま俯いてしまう。・・・・・・相当ショックを受けてるんだろう。
「・・・・・・オレを笑いにでも来たか?お前にあんだけ大口叩いておいて、こんな無様なレースをしたこのオレを」
「笑いに来たんでもないし、オルフは無様なんかじゃなかったよ?ちゃんとオルフの良さは出てたし、最後まで諦めずに走り切ってたじゃん。それだけでもすごいと思うよ?」
「・・・・・・そうかよ。だが、負けたことは変わらねぇ。お前の言ったように、オレにはこのレースは無理だった。最後までスピードを維持できるスタミナがまるでありゃしねぇ・・・・・・ちっ」
落ち込んでいながら、少しばかり怒りも見せているオルフ。今回レースで負けたことは、かなりショックだったのかも知れない。だが、今回のことで自分の今後の課題を自分自身で知ることが出来たのは、大きな収穫だったといえるだろう。今回の経験が、彼女をより強く、大きくしてくれることを祈りたいものだ。
「課題がわかったんなら、進歩したよ。オルフは伸び代あるし、今後もっともっと速くて強いウマ娘になると思うよ?」
「また根拠もねぇことを・・・・・・」
私の言っていることに、どこか苦い顔をしたオルフだったが、最後は薄く笑みを浮かべながら、そう呟いていた。
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「それにしても、オルフが負けちゃったのは残念だったけど、その反面私がトレーナーを辞めなくて良くなったからどこかホッとしてるんだよね?」
寮への帰り道、隣を歩くオルフに唐突にそうぼやく私。
「何言ってやがる。大方、オレの負ける事なんて大体想像がついてたんだろ?だから、オレのあの無茶な要求にも余裕で応じた。・・・・・・そうだろ?」
「う〜ん、確かにそうは思ってたけど、確実性はなかったし、ホッとしたのは事実だよ?」
「どうだか。・・・・・・はぁ、それはともかくとして、お前とも一戦やって見たかったな〜。本気のお前を知るチャンスだったんだし」
「あ〜・・・・・・そういえば、そんな約束もしてたっけ?」
オルフがレース前に要求したのは二つ。一つは先ほど言ったように、オルフが勝ったら私がトレーナーを辞めること。もう一つはオルフが勝ったら、彼女と私でレース対決をする事だった。当然、今回のレースでオルフは負けてしまったので、この二つの要求は無しである。・・・・・・それにしても、レース対決を求めた理由が私の本気を知るためって・・・・・・。
「そんな理由で私にレースを申し込んだの?」
「だって、日頃の走りだってあれはお前の全力じゃ無いだろ?あくまでもトレーニングで走ってるだけであって、レースみたいに本気のダッシュをしているわけじゃなさそうだったからな。・・・・・・だから、今回の機会を使ってお前の力を確かめて見たいって思ってたんだよ。・・・・・・出来ずじまいで終わっちまったが」
「うーん・・・・・・」
簡単に考えると、主に好奇心で私と本気で走り合ってみたいと言ったところなんだろう。・・・・・・確かに、トレーニングで私が本気で走った事は滅多に無い。・・・・・・レースに出る気が無かった以上、走る理由も無かったし。今も、別に特段走りたい・・・・・・と言う気持ちにはなっていないものの、何というかこのオルフの顔を見てしまうと、どうにも放っておけなくなってしまう私がいた・・・・・・。なんか、ルドルフにレース対決を申し込まれた時と似てるな・・・・・・。
「オルフは、そんなに私と対決して見たいの?」
「・・・・・・まぁ、出来るならしてみたいな」
「そっか。・・・・・・わかった、じゃあやろうか」
「・・・・・・は?」
思わぬ返答が私から返ってきた事もあってか、オルフはかなり驚きを見せていた。・・・・・・ハトが豆鉄砲を食らったみたいに。
「今日の夜、さっきのグラウンドを使って勝負しよう。距離は1200m、オルフの得意分野でね?」
「・・・・・・良いのかよ?オレはレースで負けたんだぜ?」
「良いよ。私だって、オルフとは一度、本気で対決してみたいって思ってたからさ?私に見せてよ?入学試験の首席様、オルフェーヴルの実力を・・・・・・」
「おう。見せてやるぜ?お前も、腑抜けた走りしたら承知しねぇからな?」
そんな訳で、今夜に私とオルフは初めてのレース勝負をすることとなった。私自身、レースをするなど前世以来だが、感覚等は何と無く覚えているのでおそらく問題ないだろう。
久しぶりに本気で走る機会・・・・・・私も少し気合を入れるとしよう。
謎に包まれているサイレントベール(デスペルフォース)の真なる実力が次回で明らかになります。何故に、彼女が最強と語られたのか・・・・・・それを明らかにしていく予定です。