舞い戻った理不尽ウマ娘は、元教え子達への対応に頭を悩ませる?   作:レイ1020

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ベールがルドルフにどう弁明するのか・・・・・・?


ベールの正体

 

 

視点 サイレントベール

 

 

 

「キミは一体・・・・・・何者だ?」

 

 

 

神妙な顔付きとなったルドルフから面と向かってそう問い詰められる私は、内心でかなりの焦りを見せ、どの様にして返すべきか非常に悩んでいた。ルドルフの言動から察するに、私の正体のことを疑っているのは明確だ。

 

 

 

「何者・・・・・・って言われましても、私はサイレントベール・・・・・・ですが?」

 

 

 

「そうっすよ?あんたが何が言いたいのかは分かんないが、こいつはただのベールだ。さっきの走りにはちっと驚かされたが」

 

 

 

オルフ、ナイス!と心の中でオルフを讃えた。その通りだ!私はサイレントベールと言うただの一般的なウマ娘。それ以上でもそれ以外でも無いのだ!さぁ、ルドルフは・・・・・・。

 

 

 

「そんな事は分かっている。そうでは無く、キミの内に秘めている・・・・・・()()()()()()()()の事を聞いているんだ。・・・・・・いや、正確には、そのサイレントベールの身体と魂に憑依している誰か・・・・・・と言うべきかな?」

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

さ、流石ルドルフ・・・・・・。聡明さは相変わらずだ・・・・・・。ルドルフはおそらく、既に私の正体がデスペルフォースだと言うことに気付きつつあるのだろう。だが、あえて自分から言い出さないのは私の口から言ってくれるのを待っていると見える。・・・・・・だがな〜・・・・・・正体を隠すと決めた以上、やっぱり自分から言うのはどうしても抵抗がある・・・・・・うん、はぐらかそう。

 

 

 

「ほ、他の誰でもありませんし、別の誰かって誰のことです?・・・・・・あ、もしかしてさっきのレースを見てそう思ってるんでしたらお門違いですよ?」

 

 

 

「ほう?では、先ほどのレース・・・・・・デスペルフォースと瓜二つのレース運びをして見せた件についてはどう説明するつもりだ?」

 

 

 

「実家に、デスペルフォースさんが走った昔のレースの映像DVDがありまして、小さい頃からそれを見て研究をして見よう見まねでやってたらいつの間にか出来る様になってたんですよ。伝説のウマ娘の走りという事もあって、最初は習得するのに相当苦労しましたけど・・・・・・あはは」

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

「マジか、お前!?つまり、さっきのお前の走りはあのデスペルフォースさんのそれだったって事かよ!?・・・・・・ってか、デスペルフォースさんの走りをマスターするなんて・・・・・・どんな特訓を積んだんだよ・・・・・・」

 

 

 

 

苦し紛れにしては、思ったよりもまともな説明ができたと・・・・・・思う。オルフはどうやらこれで納得してくれた様だし・・・・・・。とはいえ、肝心のルドルフはと言うと、未だに難しい顔をしたまま私を小さく睨んでいた・・・・・・と思ったら、彼女は小さく笑みを浮かべ、私にスッと歩み寄ってくる。

 

 

 

 

「そうか。キミはキミなりに努力を積んでいたのだな。・・・・・・変な事を言ってしまって申し訳なかった。先程のキミのレース・・・・・・感服させられた。勿論、オルフェーヴル・・・・・・キミもだ」

 

 

 

「そう言ってもらえて嬉しいです」

 

 

 

「っ!あ、ありがとうございます!」

 

 

 

ルドルフの納得の意が聞けてホッとした私と、憧れのルドルフに褒められたことが嬉しかったオルフは、揃ってお礼を言った。・・・・・・ふぅ、何とかバレずに済んだか。

 

 

 

「さて、ではそろそろ戻ろう。・・・・・・すまないが、オルフェーヴルは先に帰っててくれ。ベールに、次のトレーナーの仕事で相談したい事があるんだ」

 

 

 

「っ?分かったっす。じゃあベール、先に行ってるな?」

 

 

 

「うん、後でねー」

 

 

 

先に帰る様、促されたオルフは、軽快な足取りでグラウンドを後にしていった。この場に残されたのは私とルドルフ。・・・・・・トレーナーの仕事の相談って聞いたけど、それは一体・・・・・・?

 

 

 

「ルドルフさん。仕事関連でのお話しだったら一旦、戻りませんか?そっちでの方が落ち着くと思い・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「いつまでそうやって正体を隠す・・・・・・いえ、いつまでそうやってシラを切るつもりですか・・・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()

 

 

 

 

 

ルドルフが発するその声は・・・・・・怒り・悲しみ・嬉しさ・苦しみ・・・・・・その全部が混ざり合ったような、とてもか細い声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ルドルフさん?何で・・・・・・」

 

 

 

「あんな説明で私を説得できるとでも思っていましたか?私はもう・・・・・・貴方の知る子供のシンボリルドルフでは無いんです。貴方が嘘をついているのかそうで無いのかなど視線や仕草を見れば直ぐに勘づけます・・・・・・私を無礼(なめ)すぎですよ、スペルさん?」

 

 

 

「な、何を言って・・・・・・私は嘘なんて微塵も・・・・・・」

 

 

 

「ほら、そうやってすぐに()()()()()。貴方は昔からそうでしたね?嘘をつくたびにそうやって目を泳がせる・・・・・・。正直言って、あの頃と何も変わってなくてホッとしてますが・・・・・・」

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

ルドルフは・・・・・・曇りのない、その綺麗な瞳を見開きながら、私に半ば怒りつつ問い詰めていた。・・・・・・確かに、ルドルフの言うとおりだ。私は、今のルドルフをよく知らないし、知っているのはまだあどけなさが残っていた子供の頃のルドルフだ。それに・・・・・・私は心のどこかで、ルドルフの言うように彼女の事を無礼(なめ)ていたのかもしれない・・・・・・。彼女であるなら、こちらが上手いこと言えば簡単に納得してくれる・・・・・・と。

 

 

 

・・・・・・教え子になんてことしてるんだろう・・・・・・私は。過去の彼女と、今の彼女が違うことは分かりきっている事じゃないか・・・・・・だと言うのに、私は過去に囚われ、それに目を伏せて、今を見ずにこれまでは生活してきた・・・・・・『彼女がここまで立派に育つという成長過程が見れなかったという後悔』を・・・・・・常に心の隅に置きながら・・・・・・。

 

 

 

 

だが、それが原因で彼女の心を傷つけてしまった・・・・・・。だとするなら、私が出来る事は・・・・・・・・・・・・一つしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・・・・・・・・・・やっぱり、キミには敵わないね?・・・・・・久しぶり。大きくなったね、()()()()・・・・・・いや、()()って呼ぶべきかな?」

 

 

 

「っ!!」

 

 

 

 

彼女の知る昔の私・・・・・・デスペルフォースの話し方に戻す決意を固めた私は、それを早速実践するとそれを聞いたルドルフは今まで以上に目を見開き、驚きを見せていた。

 

 

 

「ふふ。キミの驚いた顔なんて久しぶりに見たよ。・・・・・・キミの言う通り、私はデスペルフォースだ。今世ではサイレントベールと言う名を名乗っているけど」

 

 

 

「・・・・・・ようやく、貴方の口から聞けましたね。本当に、お久しぶりです・・・・・・スペルさん」

 

 

 

「うん。さっきはごめんね?キミを変に傷つけちゃって・・・・・・」

 

 

 

「貴方にも事情があってのことでしょうし、気にしてませんよ。またこうして話せるだけでも、私にとっては何より嬉しいことですので」

 

 

 

 

先程の苦い顔からは一転して満面の笑みを見せながら口を開くルドルフは、非常に可愛らしく、愛でたい気持ちでいっぱいになってしまう。・・・・・・とりあえず、立っているのも何だと言うことで、近くのベンチへと腰掛けた私たちは互いに会話に花を咲かせていた。ルドルフには、私がデスペルフォースからサイレントベールに転生した事、今世は前世での経験を生かしてトレーナーとしての生を全うする事を決めた事、前世での正体は隠す事、については詳しく話させてもらった。転生の件についてはルドルフも頭を悩ませていたが、この場に私がいる事以上、納得せざるを得なかった為か、最後には納得してくれた。

 

 

 

「ルドルフは、どのタイミングで私だってことに気が付いたの?」

 

 

 

「確信が持てたのは、貴方が先程のレースで『領域(ゾーン)』に入った時です。貴方の『領域(ゾーン)』はかなり特異ですし、誰も真似なんて出来ないでしょうから、直ぐに貴方だって分かりましたよ」

 

 

 

「あぁ・・・・・・やっぱりそうか。つい調子に乗って入っちゃったけど、それが原因でバレちゃうとは・・・・・・まぁ、それでわかるルドルフもルドルフだけど」

 

 

 

「何度貴方と対決してきたと思ってるんですか?何回もあんな”怖い体験”すれば嫌でも頭に残りますよ。今となってはいい思い出ですけど」

 

 

 

「そう言うものかな?・・・・・・あ、そう言えば、みんなは元気?特に、マルゼンちゃんは元気?」

 

 

 

話題を変えようと、私が次に質問をしたのはルドルフ以外の教え子たちの現在だ。キセキちゃんは知ってるからわかるけど、他のみんなは何も知らなかったので、この際聞いてみることにしたのだ。特に、マルゼンちゃん・・・・・・マルゼンスキーに至っては、どこと無く心配している事もあって・・・・・・。

 

 

 

()()元気です。みんなそれぞれ違う道を歩み、自分の夢を追い求めて努力してますよ。・・・・・・ですが、当時は・・・・・・貴方が亡くなった12年前は・・・・・・それはもう、悲惨でした・・・・・・マルゼンスキーは特に」

 

 

 

「・・・・・・うん、ごめんね?みんなを勝手に置いていって・・・・・・」

 

 

 

この話題になった途端に、深く悲しい顔をしだすルドルフだったが、それは私も同じ事だった。当時、私のチーム『リブラ』はノリに乗っていた真っ只中だったのだ。そんな中で、私一人が死んでチームを放ったらかしにしてしまったのだから、悲しくなるのと同時に、罪悪感が芽生えるのは至極当たり前のことだ。

 

 

 

「良いんですよ。今は何とか立ち直れていますし・・・・・・」

 

 

 

「そうか。・・・・・・それにしても、みんなは優しいね?私の死にそこまで()()()()()()()だなんて・・・・・・」

 

 

 

「っ!そんなの悲しむに決まってる!何を当たり前の事を・・・・・・」

 

 

 

 

「・・・・・・だから優しいって言ったんだ。あんな私を・・・・・・『悪役で悪者』でウマ娘だけでなく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・ヒトからも()()()()()()を慕ってくれて・・・・・・」

 

 

 

 

「っ!・・・・・・」

 

 

 

私からのその一言には、ルドルフも沈黙する他なかった。

 




結局正体はバレました。・・・・・・レースを見て仕舞えば、ルドルフであるなら分かって当然でしょうが、これに関してはベールの落ち度ですね。


それにしても、ベールが・・・・・・デスペルフォースが嫌われ者・・・・・・?


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