舞い戻った理不尽ウマ娘は、元教え子達への対応に頭を悩ませる?   作:レイ1020

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結構シリアスです。



情報処理

 

 

 

 

「あ、あなたは・・・・・・」

 

 

 

「ん?いや、名乗るほどの者でも無いよ。ただの平凡なウマ娘さ」

 

 

 

ケラケラと笑いながらそう言葉を発するシービーちゃんだが、いくら何でもそれを言うには無理があると思う・・・・・・。

 

 

 

「ミスターシービーさん、ですよね?」

 

 

 

「あれ?アタシの事知ってるの?」

 

 

 

「むしろ知らない人の方が少ないと思いますよ?何せ、伝説の3冠バなんですから」

 

 

 

「そうかな?知名度なんてどうでも良かったし、気にしてなかったから全然知らなかったよ」

 

 

 

昔と変わらず、呑気そうに喋るシービーちゃんに何処となく懐かしさを覚えた私は、不意に口角が釣り上がる。この子もまた、私の死後に無事に3冠を達成した優れたウマ娘だったのだが、今現在は”海外に渡航している”と言う話を聞いたことがある。実際、彼女の足元には大きなキャリーケースが置いてあるのも確認済みだ・・・・・・だと言うのに、なぜ彼女はこの場に?

 

 

 

「聞いた話だと、あなたは現在は海外にいるはずですが・・・・・・何故、トレセン学園に?」

 

 

 

「アタシ、今は世界中を旅しててね?ちょうど区切りがついたから一旦日本に戻って来たんだ。少ししたらまた海外に出るつもりだけど、その間はこのトレセン学園にいるから学園内であったら声かけてねー!」

 

 

 

その言葉を最後に、シービーちゃんはその場を後にして行った。残された私は、思わぬ教え子との再会で嬉しくなった心を落ち着けるべく、さらにランニングをしてから寮へと戻ることにしたのだが、しばらく落ち着く事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

 

 

視点 三人称

 

 

 

「邪魔するよー?」

 

 

 

「やあ。こうして会うのは久しぶりだね?」

 

 

 

日が昇り、すっかり周りも明るくなった午前6時半。すでに身支度を整え、出勤できる格好で私室で寛いでいたルドルフは、ノックの後に入ってきた”古き友人”に笑みを浮かべつつそう口にする。

 

 

 

「久しぶり、ルドルフ。相変わらず几帳面そうな顔してるね?」

 

 

 

「キミが自由過ぎるだけだろう?大人になったのだから、もう少し行動というものを考えたらどうなんだ?」

 

 

 

「それは却下。アタシ、何かに縛られたりするのは大嫌いなものなんで」

 

 

 

「やれやれ、全く・・・・・・言葉を返すが、キミこそまるで変わっていないな、シービー」

 

 

 

部屋に入って来たのは、先ほどグラウンドでベールと話をしていたミスターシービーだった。彼女はあの後に、理事長に軽く挨拶をしに行き、そのままの足でこの場に顔を出していたのだ。勿論、ルドルフには事前に連絡を入れておいて。

 

 

 

「そこはお互い様って事で、はいお土産っ!」

 

 

 

「・・・・・・?へぇ、キミがお土産とは、随分と珍しいこともあるものだ」

 

 

 

「アタシだってそれくらいは気を効かせるよ?せっかく久しぶりにみんなに会える訳なんだし、何か持って行きたくなるって物だから」

 

 

 

「そうか。ありがたく頂戴しよう」

 

 

 

シービーから差し出された紙袋をルドルフは手に取る。紙袋の中には、マロンクリームやマカロン、可愛らしい化粧品や・・・・・・何やら妙な仮面を被った小さな木彫り像が入っていた。最後のはともかくとして、これらの土産を見てふとやんわりと笑みを浮かべたルドルフは感傷に浸るのも程々に、紙袋を机へと置いた。

 

 

 

「うん、喜んでもらえた様でよかったよ。・・・・・・・・・・・・さあて、ルドルフ?そろそろ()()に入ろうか」

 

 

 

「元よりそのつもりだ。キミが得た情報を全て話してくれ」

 

 

 

シービーのその一言により、一瞬にしてその場の空気が冷たく、重くなり・・・・・・二人の顔からも先程までの優しい笑顔は消え去り、いつも以上に真剣な面持ちへと変貌を遂げていた。

 

 

 

「キミの見解通り、あの事件は”意図して起こされた”と見て間違いないと思う。実際、海外に逃亡した実行者の男と、現場に残された指紋や髪の毛が解析の結果で一致したことが明らかになっている。その情報は、日本警察内にも届いているはず。現在、その男はアタシが取り押さえて、フランスの拘置所で拘束して貰っているが・・・・・・いずれ釈放される危険性も・・・・・・」

 

 

 

「そうだな。・・・・・・だが、不思議なのは、そんな重要な証拠があると言うのに、日本の警察はそれを”事故死”という形で処理したという点だ。その証拠を軸に捜査を進めれば事件の真相に辿り着けることはそう難しいことでは無い。だと言うのに、警察はそれを棚に上げ、半ば強引に事故死に決定づけるのはあまりにも不自然・・・・・・これから導き出される答えは・・・・・・」

 

 

 

「真相に辿り着くと、自分達にとって不都合な何かがあるのか・・・・・・それとも、買収されてるかのどちらかになるね・・・・・・」

 

 

 

顎に手を当て、しばし何かを考えるように俯くルドルフ。実は、シービーは建前上は自由なるままに世界を旅をしている事としているが、実際の所、彼女はある組織に加入していて、その組織の目的の遂行のために海外へと渡航し、動いていたのだ。何かに縛られたりすることが苦手な彼女にしては、何処かに所属すると言ったことは珍しくも感じるかも知れないが、それには当然ちゃんとした理由がある。

 

 

 

「そうなる。警察を買収となると、相当大きな企業か、財閥か・・・・・・?そういえば、アタシが取り押さえた男が・・・・・・どうにも意味深な事をぼやいていたな」

 

 

 

「意味深?」

 

 

 

「そう。『仕方なかったんだっ!”お偉いさん”が、協力してくれたら()から頂いた賞金の”1%”を報酬としてくれてやろうって言われて、それに目が眩んだだけなんだっ!!』・・・・・・みたいな感じで」

 

 

 

「賞金・・・・・・?もしかしてそれは・・・・・・」

 

 

 

「恐らく、()()の物のことだろう・・・・・・」

 

 

 

先生・・・・・・つまり、デスペルフォースの為に動いていたシービーは、苦い顔を浮かべながら軽くため息をつく。

 

 

 

「シービー・・・・・・確か、スペルさんが現役時代に稼いだ賞金総額は・・・・・・」

 

 

 

「総額で”75億6000万円”。それの1%って考えると、その男には報酬として約”7500万円”と言う大金が支払われたと言うことになる。何の目的であの事件を引き起こしたか分からなかったけど、確かにそれが目的だとわかっていたのだとすれば、犯行に及んでしまうのもわからなくも無いけど・・・・・・」

 

 

 

「いや、待て。仮にそうだったとして、そんなに簡単に他人の賞金を横領できたりする物なのか?普通であるなら、残った賞金はトレセン学園に寄付するか、持ち主の両親や親戚に贈られたりするのが常だと思っていたが?」

 

 

 

「そうだが、横領するのはそう難しくはない。・・・・・・考えても見てくれ、ルドルフ。先生の稼いだ賞金は()()()()()()()()?」

 

 

 

「・・・・・・は?子供であるウマ娘の大金を管理するのは大人である・・・・・・・・・・・・っ!!?ま、まさか・・・・・・」

 

 

 

ウマ娘の稼いだ賞金の横領・・・・・・これは立派な犯罪であり、許され難い行為だ。だが、これが出来る人物はかなり少ない。よっぽどの権力を持つ人物か、もしくは・・・・・・それまでに彼女の賞金を管理していた人物・・・・・・ぐらいだろう。ルドルフもシービーも、それに該当する人物に既に勘づいた様子で、顔を曇らせていた。

 

 

 

「アタシも信じたくは無いけど、そうじゃ無いかって思ってる。実際、ここ数年”姿を消して”連絡だってつかない状態にあるんだし・・・・・・」

 

 

 

「だが!あの人はスペルさんに対してあんなにも親身で優しく・・・・・・」

 

 

 

「だとしても、実際は何を考えてるかはわからなかったでしょ?本心では先生を”使い潰そう”と考えてたかも知れないじゃん?ヒトって言うのは、自分の欲望のために平気でアタシ達ウマ娘をレースに駆り出そうとしてくる者ばかりだし。そして、用済みとあらばさっさと見切りをつけて突き放し、新たなるウマ娘に目をつける・・・・・・。これまでにアタシは、そんなヒトを大勢見てきた・・・・・・だからアタシは、そんなニンゲンが嫌いなんだ・・・・・・」

 

 

 

軽く怒気の篭った声を出しながら、拳を握るシービー。

 

 

 

「とにかく、アタシはその人の居場所を探り、見つけ次第にとっちめようと思ってる。・・・・・・その時はルドルフも来る?」

 

 

 

「当然だ。奴から真相を聞かねば私も納得など出来はしない」

 

 

 

「決定だね。また何か分かり次第伝えにくるよ・・・・・・っと、もうこんな時間か。そろそろアタシはお暇するよ。キミだってもう出勤するでしょ?」

 

 

 

「話し込むと時間というのは短く感じるな。・・・・・・わかった。今後とも、よろしく頼むよ?」

 

 

 

ルドルフの言葉に一つ頷いたシービーは、部屋を後にしていった。残されたルドルフは乱れた服を整え鞄を持つと、シービー同様に部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

その刹那・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「もし、シービーの言ったことが事実であるとするなら・・・・・・私はあなたを、絶対に許さないっ・・・・・・!」

 

 

 

 

 

 

彼女の顔が黒く歪んだ事については、彼女を置いて誰も知る由がなかった・・・・・・。




スペルの事件について迫っている二人ですが、実際のところまだまだ情報不足です。スペルを狙った理由が賞金目的だというのも疑わしいですし、真犯人が誰かもまだわかっていませんので。この問題についてはゆっくりと書いていきたいと思いますので、長い目で見てもらえると嬉しいです。後、シービーのキャラを若干変えてしまって申し訳ありません・・・・・・。



※一つ、アンケートを実施します。『デスペルフォースの過去編は書くべきか?』これが題です。この話をする上で、スペルの過去を掘り下げるのは避けて通れないと思っていますので、この際アンケートで集計してみる事にしました。掘り下げる場合、彼女の功績や偉業、評判や事件に至る経緯等も細かく掘り下げる予定でいます。

是非、投票をお願いします!

デスペルフォースの過去編は書くべきか?

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