舞い戻った理不尽ウマ娘は、元教え子達への対応に頭を悩ませる?   作:レイ1020

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ルドルフとの会話が殆どです。


そろそろストーリーを進展させたい所です。


互いの夢

 

 

 

 

「おぉ・・・・・・」

 

 

ルドルフに案内され、着いた場所はこの学園の食堂・・・・・・カフェテリアだった。大きさで言えば大型ショッピングモールのフードコートぐらいはあり、内装も綺麗、尚且つメニューも豊富と言うこの学園自慢のカフェテリアであり、私も昔はよくこのカフェテリアで食事をしていたものだった。

 

 

 

「ふっ、大きくて綺麗でびっくりしただろう?私も初めてこのカフェテリアを見た時はキミみたいな反応をしたものさ」

 

 

 

「そうですね。噂には聞いていましたが、ここまで立派なものだとは・・・・・・ここでご飯を食べるのが待ち遠しいです!」

 

 

 

とは言え、今日は入学式ということもあってカフェテリアの営業はしていない。それ故か、カフェテリアには人っ子一人いなかったので、実質的に私とルドルフでカフェテリアを貸し切っていると同義だった。

 

 

 

「さて、じゃあここで少し話でもしようか。さ、座ってくれ」

 

 

 

「はい」

 

 

 

近くの席に座るよう指示された為、私は荷物を隣の座席に置いた後、ゆっくりと椅子に腰掛けた。ルドルフは、私の向かい側に腰掛けた。

 

 

 

「さっき、私はキミに聞いてみたい事があるって話しただろう?」

 

 

 

「はい。それで、私に聞いてみたい事ととは?」

 

 

 

「・・・・・・理事長から聞いた話なんだが。キミは、本当に秋田からここまで走って来たと言うのかい?しかもたった10時間で・・・・・・。いや、理事長がいってることを疑ってる訳じゃ無いんだが、にわかには信じられなくてね?・・・・・・どうなんだい?」

 

 

 

不思議そうな表情をしながら、私を問い詰めてくるルドルフ。・・・・・・うん、確かにそんな顔になるのもわかる。理事長だって、話した当初は似た様な顔になってたし。とりあえず、正直に話しておこう。

 

 

 

「はい、事実です。最初は交通機関を使って来ようと思っていたんですけど、この学園の学費が思ったよりも高かったので、これ以上無駄な出費を避けたかった私は、家からここまでランニングして来たんですよ。・・・・・・ご理解いただけました?」

 

 

 

「う、うん・・・・・・なんとなくは分かったが、秋田からここまでは600kmは軽く超える距離はあるぞ?しかも、キミはトレーナー志望という事もあって、普通のウマ娘達に比べてだが、体力はない様にも思えるのだが・・・・・・」

 

 

 

「私とて、ウマ娘です。・・・・・・走りたいと思う事もしばしばありましたし、空き時間にはよく趣味でトレーニングをしていたので、体力には自信があるんですよ」

 

 

 

「トレーニングって・・・・・・趣味程度のトレーニングで、600を超える距離を10時間で走れる様になるのか?私とて、現役だった頃であるならともかくとして、今では走れるかどうかも・・・・・・」

 

 

 

いまだに信じられない様子のルドルフは、腕組みをしつつ私を見つめてくる。

 

 

 

「まぁ、毎日ランニングを3時間やったり、山道ダッシュを何百本とやってましたし・・・・・・知らぬうちに体力がついてしまったのかと思いますね」

 

 

 

「なっ・・・・・・(今どき、そんなスパルタみたいなトレーニングをやってるのか?そんな無茶なトレーニングをやってるのであれば体力が付くのはわかるが、まだ小学生の小さな体でそれをするのは体を壊す危険性がある。・・・・・・だが、みた限りではどこも怪我をした様子は見受けられない。一体どうなってるんだ?)」

 

 

 

先ほどよりもさらに顔を険しくしたルドルフは、今度はどこか私を疑うような目つきで私のことを見つめてきた。

 

 

 

「あ、別に信じられないのであれば信じてもらわずともいいですよ?私だって、これを口にしてまともに信じて来れた人なんて理事長やたづなさんを除いてこれまでにだっていなかったですから。そもそも、信じて貰えたからなんだって話ですしね?別に、私のトレーニングがどう思われようが、私が好きでやってることですので、他人にとやかく言われたくは無いですから」

 

 

 

「・・・・・・そうか。聞くが、キミは今後レースに出る気はないと言う事でいいのかな?もしそれが事実であるなら、レースでも最高峰に近い成績を残すことも可能だと思うが・・・・・・?」

 

 

 

「無いです。私は、レーサーで頂点を目指しているのではなく、トレーナーとしてウマ娘達を導きたいと言う夢を持っていますので。『ウマ娘が目指せる道は、レーサーとしての道だけでは無い』・・・・・・同じトレーナーであるルドルフさんであるなら、私のこの夢のことも少しはご理解いただけるのでは無いですか?」

 

 

 

「っ?・・・・・・そうだな。夢・・・・・・か」

 

 

 

つい熱くなり、先輩であるルドルフに普通に意見してしまった私だったが、こうでも言わないと、ルドルフはきっと納得してくれないと分かっている為、渋々こんな感じで発言させてもらった。案の定、ある程度は納得してくれたルドルフだったが、どこか腑に落ちない様子になっているのに気がついた私は、さりげなく聞いてみる事にした。

 

 

 

「・・・・・・?どうかしました?」

 

 

 

「いや、少し懐かしいと思ってね?私もキミくらいの歳には、大きな夢と目標を持ち、それに向けて自分自身の能力向上に励んでいたんだ。あの頃はきつくもあったが、それでも楽しかったんだ」

 

 

 

「そうなんですね。もしかして、その夢って・・・・・・あのデスペルフォースさんが達成した『無敗で9冠』だったりしますか?」

 

 

 

ルドルフの夢と言うのならば、それしか私には思いつかなかった。実際、前世で彼女の口から”私のように9冠を獲得したい”と出ていたし。

 

 

 

 

・・・・・・だが。それにルドルフは静かに首を横にふる。

 

 

 

 

「いや、近いが・・・・・・残念ながら違う。私の夢は・・・・・・一度でもいいから・・・・・・

 

 

 

 

 

 

スペルさん・・・・・・”デスペルフォースさんに勝ちたい”。それだけだったんだ」

 

 

 

 

「・・・・・・え?」

 

 

 

夢の三冠バになりたいでもなく、9冠を目指すでもなく・・・・・・彼女の口から出たのはただ一つ・・・・・・私・・・・・・『前世の私であるデスペルフォースに勝つ』それだけだった・・・・・・。その事実に、私は少なからず驚き、動揺が走る。

 

 

 

「ふっ・・・・・・。おかしいだろう?笑いたければ笑ってもいい。だが、それでも当時は本当に私はそれだけを夢見て頑張っていたんだ。・・・・・・結局は、果たせずじまいで終わってしまったがな?」

 

 

 

「っ・・・・・・何で、それを夢見る様になったんですか?」

 

 

 

「・・・・・・さて、なんだったかな?流石に、もう細かな点は覚えてはいないが・・・・・・強いて言うなら、恩返し・・・・・・かな?」

 

 

 

「恩返し?」

 

 

 

「スペルさんには、レースのノウハウやダンス、トレーニング、食事管理や怪我のケア・・・・・・時には勉強なども全て教わっていてな?・・・・・・今の私がいるのも、あの人の存在があったからこそと思っているんだ。だからこそ、私はその受けた恩を公式のレースに勝ち、尚且つスペルさんにもレースで勝つことで恩返しをしようと思ったんだ。いつしか、それが夢へとなっていたのかもしれないな。・・・・・・まぁ、レースで勝って恩返しすることは出来たんだが、結局最後までスペルさんに勝つことは出来なかったが・・・・・・」

 

 

 

「そうですか・・・・・・」

 

 

 

確かに、ルドルフとはトレーナーになってからも良く模擬レースで勝負をしていたが、負けたことは一度も無かった。その当時は、ルドルフがただ自身のレベルを上げるために私と走っているのとばかり思っていたけど、まさか・・・・・・こんな理由で勝負を挑んできていたなんて・・・・・・。

 

 

 

「そもそもの話、あの当時のスペルさんに私が勝つ事など不可能だったんだ。・・・・・・いや、私が全盛期の時であったとしても勝てはしなかっただろう」

 

 

 

「『皇帝』とも呼ばれていた貴方がですか?」

 

 

 

「それで言うなら、あの人は『超越者』『理不尽ウマ娘』だって言われていたぞ?まぁ、『最高速度が100km/hを超す』と言う偉業を成し遂げたのだから、そう呼ばれるのもわかると言うものだが。つまる所、それぐらいの人でも無い限りは、現役無敗で9冠を獲得すると言う異次元な記録を残すなど不可能だ。正直言ってしまうと、当時あの人と一緒に走る事となった他のウマ娘達には同情しかなかったよ。でも、だからこそ、私は勝ちたかったんだ。最強を誇っていたあの人に・・・・・・」

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

私って、世間からそんな風に言われてたんだ?・・・・・・いや、確かに大概のレースは大差で勝ってたし、原作キャラも殆どいなかった当時はライバルとも言えるウマ娘は多く無かったけど・・・・・・。理不尽って・・・・・・。

 

 

 

「おっと、話が逸れてしまったね。それで、キミは今後レースには一切出ないと言う事なのだけど・・・・・・自分のその夢を追いかけると言う事に後悔はないか?正直言うと、トレーナーはかなり大変で厳しく、生半可な覚悟でできる様な仕事ではない。・・・・・・キミは、それでも自分の信念を曲げる気はないかい?」

 

 

 

「無いですね。それも全て分かった上でこの道を進もうと決めましたので。・・・・・・確かに、トレーナー業が大変だと言うことは熟知しているつもりですが、私にはいいお手本となり、目標となる人が二人もいる。・・・・・・そのうちの一人が、あなたです」

 

 

 

「ふっ・・・・・・そうか。もしや、そのもう一人のお手本と言うのは、スペルさんだったりするか?」

 

 

 

お手本でもあり、目標とされていると知り、内心少し嬉しかったのか朗らかな笑みを浮かべたルドルフ。続け様に、私が目標としてるのはスペルか?・・・・・・と言う風に聞いてくるが、自分のことを目標にするって・・・・・・なんか複雑な気持ちになるなぁ・・・・・・。

 

 

 

「勿論そうです。私は、いずれはお二人を超えるトレーナーになるつもりですので、覚悟していてくださいね?・・・・・・これからお世話になる教育係に言うのもなんかおこがましいんですが・・・・・・」

 

 

 

「構わないよ。私とて、簡単に抜かせるつもりは無いからな。じゃあ、改めてサイレントベール。・・・・・・これからは、同じ同志(トレーナー)としてレーサーたるウマ娘達を導いて行こう。今後とも、よろしく頼むよ?」

 

 

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

 

 

こうして、私のトレーナーとしてのスタートはルドルフと共に切られる事となるのだった。前の教え子と一緒にトレーナー業に勤しめるという夢のような展開に私は内心で舞い上がっていたが、それに浮かれる事のなく、私は今後もトレーナーとして頑張って行こうと決意をあらわにし、ルドルフとはその場で別れたのだった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ウマ娘が目指せる道は、レーサーとしての道だけでは無い』・・・・・・か。スペルさんと同じ様な事を言う娘だな・・・・・・」




次回から、ようやくトレーナー業がスタートします。彼女が誰のトレーナーになるかは・・・・・・まだわかりません。でも、割と身近にいたり・・・・・・なんて?


ちなみに、彼女の隠し方が上手かったのか、ルドルフには正体は悟られていません。・・・・・・少し、最後の方は少し怪しいとも感じていますが、問題は無いかと。今後の彼女とルドルフの絡みにも注目してご覧になってください!




【デスペルフォース 豆知識⑤】

レースでは最強を誇り、恐れられていたが、それ以外の場面ではポンコツな部分が多かった為、よく揶揄われていた。
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