舞い戻った理不尽ウマ娘は、元教え子達への対応に頭を悩ませる?   作:レイ1020

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やっと少しストーリーが進められます。

なんとか頑張りたい!


ルームメイトの欠点

 

 

 

 

ルドルフとの邂逅を果たしてから、一週間が経った。この一週間は特段大きなイベントは無く、私もトレーナーの仕事と言った仕事は主に軽い雑務(書類の整理や荷物運び)しかこなしておらず、その他の時間は他のウマ娘達と同様の授業を受けていた。トレーナーも、ウマ娘達と契約し、専属トレーナーとなる前はこう言った雑務をする事が多く、前世でもこう言ったことはよく行っていた。なので、やる分には問題ないのだけど・・・・・・どうしても物足りなさが出てしまうのは致し方無い事なのかもしれない。早くトレーナーらしい事したいんだけどなぁ・・・・・・。

 

 

 

「はぁ・・・・・・なんか、つまんない・・・・・・」

 

 

 

「あ?・・・・・・オレと走ってるのがつまんないってのか?」

 

 

 

そんなことをボヤボヤと考えてる中、隣で()()()()オルフが思わず溢れでた私の独り言に反応し、こちらを睨んできた。・・・・・・あ、そう言えば今って、”明日に迫った模擬レース”の特訓で、オルフと一緒に学園のグラウンドを走ってたんだった。

 

 

 

「ごめん。いや、そうじゃなくってさ?・・・・・・私、トレーナーなのにまだトレーナーらしい事何一つやってないって思ってて・・・・・・。せっかく秋田からここまで来たって言うのに、何にも出来ないんじゃ、来た意味だってないし・・・・・・つまらないなぁ〜・・・・・・って」

 

 

 

「まだ契約出来たウマ娘もいないんだろ?・・・・・・ってか、模擬レースだってまだやってないのに契約なんてできるはず無いだろ?ましてや、実績も何も無い中一のトレーナーなんて・・・・・・正直相手にされないかも知れないぜ?」

 

 

 

「うん、そこなんだよね・・・・・・問題は」

 

 

 

オルフの口から出た正論に素直に頷いた私。前世でそれなりに結果を残した私と言えど、今の私は唯のウマ娘であり、新人トレーナーでもある。当然、トレーナーの経験も無ければ、実績も無い。そんなトレーナーと契約を結びたいと思うウマ娘など、たかが知れてるだろう。

 

 

 

「サブトレーナーとして、チームに所属するって言う選択肢もあるけど・・・・・・どうにもなぁ〜・・・・・・いっその事、オルフの専属トレーナーにでもなっちゃおうかな?」

 

 

 

「・・・・・・は?」

 

 

 

またしても、ついポロッと出てしまった私の独り言に、オルフは先程よりもさらに驚いたらしく、少し走るペースが乱れてしまっていた。・・・・・・流石に、さっきの発言はオルフに失礼だったね。

 

 

 

「おいおい・・・・・・随分と軽く言ってくれるじゃねーか?お前みたいな新人トレーナーに、オレの面倒なんて見れんのかよ?オレは、生半可な覚悟を持ったトレーナーなんかと組む気はないぜ?オレが目指すのは・・・・・・頂点・・・・・・『デスペルフォースさんやシンボリルドルフさんを超えるウマ娘になる』それだけだからな」

 

 

 

「ごめんごめん、そんなふうに言ったつもりは・・・・・・って、頂点?ふ〜ん、頂点ね〜?・・・・・・ちなみに聞くけど、入学試験でも模擬レースがあったはずだけど、何着でゴール出来た?」

 

 

 

「一位だ。最初から最後までぶっちぎってやったのよ!見てた教員達やトレーナー達からも物凄く褒められたぜ?」

 

 

 

「(最初から最後までって事はオルフは”逃げ”か・・・・・・。一着は確かに凄い・・・・・・だけど・・・・・・)」

 

 

 

自信満々にそう叫ぶオルフだったが、私はそれに応える事はせずに暫し思考にふけた。そもそも、入学試験でのレースは”1000m”と言う、かなり短い距離だ。とは言え、ここは名門である中央トレセン学園。小学生とは言え、全国から選りすぐりのウマ娘達が入学を希望して受験をしにくるので、そんな中で一位を取ったオルフは確かに、実力的に言えば強い部類に入るのかも知れない。・・・・・・だが。

 

 

 

「おい?どうした?何とか言えよ?」

 

 

 

「一位。それは凄いね。オルフが強い娘だって事はよくわかった。・・・・・・だけど、私の予想だと、次の模擬レース・・・・・・()()()()()()()

 

 

 

「・・・・・・おい。テメェ、今なんつった?」

 

 

 

流石に、この発言には我慢いかなかったのか、オルフは走ってる脚を止め、怒りの形相で私の胸ぐらを掴んできた。

 

 

 

「負けるって言ったの。明日の模擬レース・・・・・・距離は2000m。いわば『中距離』レースってとこだね。今のオルフにそれを走り切れるスタミナがあるとは思えないんだよ。入学試験で走ったような『短距離』のレースや『マイル』のレースだったら勝ちは充分に狙えるだろうけど、それ以外のレースで勝つのは正直言って厳しいと思う。まぁ、レースで何が起こるかは分かんないけどさ?」

 

 

 

「んなわけねーだろうがっ!オレにスタミナがねーだとっ!?どこにそんな証拠があるってんだよっ!」

 

 

 

「・・・・・・?証拠なら今あるでしょ?・・・・・・ほら?もうそんなに”息が上がってる”」

 

 

 

「っ!?・・・・・・ちっ」

 

 

 

図星をつかれたのか、胸ぐらを掴む手を離したオルフはゆっくりと私から距離を取った。今回は明日に向けて気合が入ったのか、いつもよりもかなり早いペースで走っていた私達だったが、10分も経たないうちにオルフは息を切らしていた。

 

 

別に、オルフが”スプリンター”としてやって行きたいと思っているのであれば、私は何も言わなかった。スプリンターであればスタミナが少なくとも、それを補えるほどのスピードやパワーがあればレースに勝利すると言う事は決して難しくはないからだ。幸い、オルフには十分すぎるほどのスピードやパワーが備わっているので、スプリンターとしては申し分なく活躍していけるだろう。

 

 

だが、オルフがデスペルフォース()やルドルフを越えると言う目標を持ってる以上、皐月賞や菊花賞、日本ダービーや有馬記念と言った中長距離のレースにも出なくてはならないことを意味している。だが、今の彼女にはそれらのレースに出れるだけのスタミナが不足しているんだ。スピードやパワーはかなりの物であるとわかるのだけど、それらもスタミナが無くなれば出せなくなってしまう。言うなれば、それが彼女の欠点だ・・・・・・だが、裏を返せばその欠点を無くせば、彼女は驚く程化ける・・・・・・私はそう睨んでいた。

 

 

 

「オルフの今後の課題は、スタミナを上げることだと思う。キミの真骨頂はそのスピードとパワーな訳だし、それが充分に発揮出来るだけのスタミナが今のキミには必要なんだと思う。仮に、オルフがレースに出走できるくらいのスタミナを身につけることが出来れば、明日のレースにだって勝てるかも知れないけど、現段階でのスタミナで勝つのは正直言って厳しいと思うけど?」

 

 

 

「・・・・・・テメェは結局何が言いてーんだよ?オレが負けるから辞退でもしろって言いたいのか?」

 

 

 

「そんなことは言うつもりは無いよ。言ったでしょ?レースは何が起こるか分からないって。キミの反応からして、私の言っている事は嘘だとでも思ってるだろうし、自分の方が正しいとも思ってるよね?・・・・・・だったらそれを証明して見せてよ?明日の模擬レースで。もし、明日の模擬レースでオルフが一着でも取ったらオルフの言う事なんでも聞いてあげるよ」

 

 

 

 

 

「・・・・・・言ったな?だったら、オレが勝ったらトレーナーをやめろ。そんで持って、その後でオレとタイマンでレースで勝負しろ。いいな?」

 

 

 

「わかった。ただ、これだけは覚えておいて?さっきも言ったように、スタミナを上げればオルフはもっともっと高みに行ける。・・・・・・それは本気で思ってる事だから」

 

 

 

「・・・・・・そうかよ」

 

 

 

それ以降、私たちの間に会話は無く、軽くジョギングをした後で部屋へと戻り、オルフは明日に備えると言ってすぐにベッドに入ってしまった。明日の模擬レース・・・・・・何が起こるかは正直言って分からないが、ルームメイトとしてオルフのことは応援している。ただ、やはり彼女のスタミナがネックなので一着を取ると言うのはもしかすれば厳しいかも知れない。

 

 

 

ただ、オルフであるなら・・・・・・私の予想を大きく覆してくれるようなレースをしてくれる・・・・・・そんな予感がしてならないのだった。




オルフが激怒するのもわかります。いくらスタミナがないとは言え、いきなりどストレートに”自分が負ける”なんて言われて仕舞えば・・・・・・。ですが、短距離と中距離では距離もそうですが、場面場面での駆け引きやスパートの掛け方なども変わってきますので、ベールが言ってることもわかるところもあります。ちなみに、オルフの現状の中距離の適性は”G”と言ったところになってます。


次回で、どちらが正しかったのかがわかります。お楽しみに!


【デスペルフォース豆知識 ⑥】

運動神経は抜群に良かったが、勉学は平凡だった」
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