舞い戻った理不尽ウマ娘は、元教え子達への対応に頭を悩ませる?   作:レイ1020

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不甲斐ない結果

 

 

 

 

そして翌日、予定通り模擬レースが開催された。この場はいわば、数多くのウマ娘達がトレーナー達に自分の実力を示すことの出来る絶好の機会だ。当然、レースが行われるレース場には大勢のトレーナーが(私も含めて)見学に来ており、ウマ娘達のモチベーションもかなり高まっていた。無論、オルフもだが。

 

 

「このレース、どう見る?」

 

 

「やはり、入学試験でも堂々たる走りで一着を勝ち取っていたオルフェーブルが固いんじゃないですかね?俺、このレースが終わった後で早速勧誘をしてみようかなと・・・・・・」

 

 

「そうか、実は俺もだ。あんな素晴らしい走りをしたウマ娘を見逃す手はないからな」

 

 

 

近くにいたトレーナー達の話を盗み聞きした所、やはり有力視されているのはオルフだった。確かに、オルフのあのスピードやパワーを一度でも見た人であるならそう思いたくなるのも分かる。おそらくだが、この場にいる大半のトレーナーはそう思ってることだろう。だが、今回は入学試験の時に走った距離よりも遥かに長い距離だ。オルフとは言え、勝つのは容易では無いはずだろう。

 

 

 

「やあ、キミも来ていたんだね、ベール」

 

 

 

「ん?あぁ、ルドルフさん。そうですね、私もトレーナーですし、彼女達がどんな走りをするかも見てみたかったので」

 

 

 

そんな私に声を掛けてきたのは、教育係でもあるルドルフだった。彼女もまたトレーナーであるので、この場にいることは納得だが、無理して声を掛けに来なくても良かったと思っていた。彼女も色々と忙しいはずだし。

 

 

 

「それだけじゃ無いだろう?大方、ルームメイトのオルフェーヴルの応援にでも来たんじゃないか?キミ、彼女とは随分仲が良かったみたいだし」

 

 

 

「はい、それもあります。オルフには頑張ってもらいたいですし・・・・・・ただ・・・・・・」

 

 

 

「・・・・・・?ただ?」

 

 

 

「オルフがこのレースに勝つのは、正直言って難しい気がするんです」

 

 

 

「・・・・・・ほう?それはどうしてだい?オルフェーヴルは入学前で行われた実技試験では、首位の成績を収めていたと記憶しているが?」

 

 

 

私の意味深な発言に興味をそそられたのか、ルドルフは訝しげな表情をしつつ私を見つめてくる。

 

 

 

「それは関係ないんです。オルフには素晴らしいまでのスピードとパワーが備わっています。それに関しては申し分ないんですけど、オルフには今回のレース(中距離)を走り切れるようなスタミナが無いんですよ。・・・・・・本人は無自覚ですけど。いくらそれがあったところで、スタミナが無くなって仕舞えばそれも意味を無くしてしまいます」

 

 

 

「随分と彼女のことを知り尽くしているね?キミは彼女のトレーナーではないだろう?何故そこまで・・・・・・」

 

 

 

「この一週間、オルフとは毎日一緒に走ったりトレーニングをしていたので、その際に気づいてしまったんですよ。彼女の弱点に・・・・・・。ですので、今回のレースも彼女にはあまり出ることをおすすめはしませんでした。ですが、彼女はそれに納得する事なく出場を決めまして・・・・・・」

 

 

 

「そうか。私はオルフェーヴルの事は噂程度にしか知らないが、キミがその様に言うのであれば、私も少し目を肥やして観察させてもらおう。キミの言っていることが事実かどうかを確かめるために・・・・・・ね?」

 

 

 

不敵な笑みを見せながらルドルフは視線をレースへと移していた。私たちが話している最中に既にレースは始まっていた様で、今は中盤へと差し掛かっていた。肝心のオルフはと言うと、今の所ではあるがぶっちぎりで一位をキープしていた。やはり”逃げ”を選考しているだけあってか、こうなる事は分かっていたが、二位の娘とは既に”10バ身以上”の差がついている現状に私も内心でかなり驚いていた。

 

 

 

「(やっぱりすごいスピードだ・・・・・・。走り方も綺麗だし、同世代で彼女のスピードについて行ける娘は居ないかもしれないね・・・・・・)」

 

 

 

スピードで言えば、このレースで彼女に敵うウマ娘はいない・・・・・・そう確信した私は、さらにレースへと集中をする。

 

 

 

「(第3コーナーを回った・・・・・・っ!スピードが急激にっ・・・・・・・・・・・・まぁ、無理もないか、あんだけ飛ばしたんだし・・・・・・)」

 

 

 

レースも終盤に近づいてきた所で、オルフのスピードが急激に減速していく・・・・・・。やはりというか、分かっていた事だけど、今の彼女に中距離を走るのは無理があったな・・・・・・。当然、後ろから迫りつつあった後続のウマ娘達も、好機とばかりに一気にスパートをかけ始める。さっきまでは10バ身以上あった差も、7バ身・・・・・・5バ身・・・・・・3バ身・・・・・・1バ身・・・・・・と、どんどん無くなっていき、最終的には・・・・・・。

 

 

 

「(抜かれた・・・・・・か)」

 

 

 

徐々に抜かれ始めるオルフは必死に食らいついていこうとして居たが、スタミナを使い切ってしまった様子のオルフは、何もすることが出来ず、最終直線に入っても、スパートをかけることが出来るはずも無く、結局は”8着”と言う何とも悔しい順位でそのレースを終えることとなってしまった・・・・・・。

 

 

 

「(やっぱりこうなったか。半ば分かって居たことだけど、ルームメイトがこうやって負けてしまうのは、なんか自分の事のように悔しく感じるな・・・・・・)」

 

 

 

「ふむ、どうやら、キミの言っていることは正しかったようだね?」

 

 

 

オルフの敗北に悲しさを覚えていると、隣で観戦して居たルドルフにそう声を掛けられた為、それとなく受け答えをしておくことにした。

 

 

 

「そうですね」

 

 

 

「序盤から中盤に至るまでのレースの運び方は良かったが、それ以降はスタミナの不足のせいか、どこか焦りを感じているようにも見えた。その焦りが自分のペースを乱し、スタミナの減少を加速させてしまったのが最大の敗因だろう。・・・・・・とてもじゃないが、何故彼女が今回の模擬レースに出場しようとしたのかが私には読めない。・・・・・・キミは、何か知っているかい?」

 

 

 

「・・・・・・オルフは・・・・・・」

 

 

 

ルドルフには、オルフがどうしてこのトレセン学園に来たのか、そして、何故この中距離のレースに出ようとしたのか・・・・・・そのことについての理由を細かく伝えた。・・・・・・当然、それを聞いたルドルフは腕組みをしつつ難しい顔をし始めた。

 

 

 

「私やスペルさんを超える記録を出す・・・・・・か。だからこそ、中距離のレースに出てレースの感覚を養いたいと・・・・・・何とも無鉄砲な・・・・・・。まぁ、それは置いとくとして、随分大きく出た夢だな。私の記録なら兎も角として、スペルさんの記録を越すなんて・・・・・・だが、彼女のポテンシャルは私から見れば他に比べれば抜きに出ている。もしかすれば、鍛え方次第では、本当にその夢を実現できる日も来るのかもしれない。・・・・・・キミも、そう思ってるんじゃないのかい?」

 

 

 

「あ、あはは・・・・・・ルドルフさんには敵いませんね。はい、その通りです」

 

 

 

私とほぼ同じ意見を持って居た様子のルドルフ。やっぱり、考えている事は同じなのだろう。・・・・・・あ、そうだ。

 

 

 

「ルドルフさん、もし良ければ何ですけど、あなたのチーム『リギル』にオルフを加えてあげてはくれませんか?あなたの元であるなら、オルフもきっともっともっと成長できると思いますし、きっと今のオルフにとって最も最善な手だと思いますので・・・・・・」

 

 

 

この際だし、ルドルフにオルフの面倒を見てもらおうと思った私は、それとなくそう持ちかけてみた。知名度も実績も無く、未熟な私とは違い、知名度もあって実績もあるルドルフに任せるのが一番だろうし、何よりオルフの為にもなるしね?・・・・・・だが。

 

 

 

「・・・・・・検討はしておくが、彼女がどうするのかは彼女次第だ。いくら有望な娘とは言え、無理矢理にチームに加入はさせたくは無い」

 

 

 

検討はする・・・・・・とは言ってくれたものの、首を縦には振ってはくれなかったルドルフ。・・・・・・確かに、どこのチームに所属し、どのトレーナーと契約をするのかはオルフが決める事であり、外野である私が決めていい事では断じてない。・・・・・・それは分かって居たはずだが、どうにもオルフを見ていると・・・・・・何故か()()()の事を思い出してしまい、放って置けなかったんだ。

 

 

 

 

「・・・・・・私、ちょっとオルフの所へ行ってきます。少し話したいことがあるので・・・・・・」

 

 

 

「ああ、行ってくるといい」

 

 

 

レースを終えた様子のオルフに話しをしに行くことにした私は、ルドルフに一言声を掛けた後、オルフの元へと駆け出していくのだった・・・・・・。




今のオルフェーヴルでは、何回やっても中距離以上のレースで勝つ事は無理です。彼女が今後、どのようにして自分を改善していくかによっては、それも変わってきます。



【デスペルフォース 豆知識⑥】

意外と少食であり、1日をゼリー飲料などで済ませてしまう時期もあったらしい。
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