当然ですが、この作品は完結まで最低でも数年はかかりますのでお付き合いください。
「あら、これは何ですか?」
「あぁ、さっき校長が生徒から没収したんだと。教育上よろしくない本だから処分しとけってさ。全く……自分でやれって話だ」
「教育上よくない本?」
「なんでそんな物があるんだよ」
今日も平和な秀知院学園生徒会。
「ひ……ひゃああああああっ!!」
しかし、事件とは突然起きるものである。
「乱れ……いや淫れています!この国は乱れています!!」
「国の乱れ?政治家の横領か?仕事しない奴らが増えた事か?」
「ち、違いますぅ~!」
アワアワしながら赤面している藤原に天野が質問しているが上手く答えられずにいた。
(もしかしてヘアヌード!?ヘアヌードがあったのか!?)
なお、
「”初体験はいつだったアンケート””高校生までに”が34%……ですか」
「嘘です!皆そんなにしているハズありません!」
34%! つまりは1/3強!30人のクラスであれば10人は経験済み!
この4人の内、1人は経験済みである可能性が高い!
「こ、こういうのは、こういう本を読んでいる人がアンケートに答えているから高いだけですよね」
「あぁ……サンプルセレクションバイアスってやつだ。実際そんなに多くないはずだぞ」
「ですよね~!」
「そうですか?私は適切な割合だと思いますよ。むしろ少ないんじゃ?」
「まぁそのくらいだろうな」
「「!?」
雑誌のアンケートを否定する白銀と藤原だったが、天野とかぐやは肯定していた。特にかぐやは「少ない」と言っていることからある考えが生まれる。
「あの……まさかと思うのですが、かぐやさんは、その……経験あるんですか?」
「はい、だいぶ前に」
「ええええっ!!」
「へ…へぇ~……青森市の市外局番って017なのかー」
「もしもし、天野ですが……」
経験済みと公言するかぐや。
親友の発言に驚愕する藤原。
好きな人の発言に動揺が隠せない白銀。
どこかへ電話しながら外へ出る天野。
『最初から説明しろ。何を言っている』
「だから、『四宮かぐやが随分前に初体験を終えている』とか言っているんだが、どういうことだ」
『いや、俺とは関係ないだろ』
「そうかもしれないが、四宮家長女の貞操とかそれだけで価値があるだろ。監督責任があるだろ、四宮雲鷹」
天野の電話相手はかぐやの異母兄弟である『四宮雲鷹』であった。母親を亡くしたかぐやの面倒を見ていた雲鷹だが、現在ではその関わりは殆どない。たしかに、かぐやが誰とも知らない男と関係を持ったことは問題である。ただ政略結婚の駒としては十分使える為大きな問題ではないと考えていた。
―――相手の男は消す必要があるが。
『大体、かぐやはお前に惚れていたんだし、お前が相手の男じゃないのか?』
「そんな訳ないだろ。あんたこそ、かぐやを使ってコネクション作りでもしたのか?」
『大兄貴達と一緒にしないでくれ。そこまでの外道になった覚えはない。かぐやの話が正しいなら、かぐやの初体験は中等部か初等部の時だろ?そんなガキを使うなんてありえないだろ』
「それはそうだが、四宮家なら何をしてもありえるだろ」
『……否定できないな』
2人の間では既に相手の男や責任については忘れ去られ、四宮家の異常さについての話し合いが続いていた。
「私は生まれたばかりの甥っ子としましたよ。ビデオで撮られながら」
「狂気!!」
「かぐやの口から相手の男は甥っ子と判明したぞ。しかも生まれたばかりで、撮影しながら」
『やめてくれ……もう処理が追い付かないぞ……』
「『生まれたばかりの甥っ子』『だいぶ前に済ませた』などの発言から、可能性が高いのはあんたの息子か?」
『嘘だろ!?いつの間にヤったんだよ!!俺はどうすれば良いんだよ!!?』
「まさか、四宮は『近親性愛』で『幼児性愛』で『ハメ撮り趣味』なのか?そこに『年齢差性愛』もあるのか?」
『やめろ!妹の異常性癖なんて聞きたくない!!』
「それで、被害者の父親としてはどうするんだ?」
『……』
「言ってみれば逆レイプだろ。悪質性も高いし」
『……ちょっと、話し合ってみるしかないよな』
かぐやの『実兄』から『被害者の父親』にクラスチェンジした雲鷹。生まれたばかりの息子が妹に逆レイプされ、それをビデオで撮られていると聞かされた雲鷹の気持ちなど世界中の誰にも分からないだろう。被害届を出そうにも証拠がなく、かぐやの持っているであろうビデオを確保するしかない。
2人が頭を悩ませる中、最終的に初体験=キスと思い込んでいた事が判明し『四宮かぐや逆レイプ事件』は解決した。
「それで、何の様でしょうか。雲鷹兄様」
夜、四宮別邸に1人の男が訪れていた。かぐやの実兄であり、かぐやの(本人たちは認めないが)後ろ盾となっている四宮雲鷹。ここ数年は別邸に来る事すらなかったため、使用人達にも緊張が走る。
かぐやと雲鷹は同じ四宮家の後継者候補であるため、所謂ライバル関係でもある。しかし、男尊女卑の四宮家においてかぐやは”政略結婚の駒”として価値があるが、後継者となることは兄3人が全員死ぬことでもない限り有り得ない状態である。他にも、かぐやの出生や兄達との年齢差もあり、かぐや本人も四宮家当主になることはありえないと考えていた。だが、天野秀一によって引き起こされた四宮家への攻撃により事情が変わった。
天野によって四宮家の不祥事の告発やグループの株価下落などにより多大な損害を出したのだ。傘下の会社が倒産、社長の逮捕、当時の四宮家総資産の約5%が失われるという結果となった。犯人を突き止めるために動いた四宮家の精鋭部隊は返り討ちにされ、犯人が天野秀一と判明した時には精鋭部隊は壊滅寸前にまで追い込まれるという散々な状態となり当主である四宮雁庵すら頭を抱える破目になった。
―――――なお、今でも毎年1兆円近くの資産が天野に奪われているため問題は解決していない。
この天野の攻撃だったが、かぐやとその派閥の人間には一切のダメージがなかった。寧ろ、兄達の力が落ちたことでかぐやでも後継者候補として注目されるようになった。このことに焦りを覚えた兄達はかぐやと天野を結婚させ、天野家との関係修復とその功績で正式な後継者になろうとした画策したこともあった。なお、その縁談は「四宮のクソ女と可愛い息子が結婚?冗談は顔だけにしろ!!」という天野の父親によって流れ、関係は悪化の一途である。
だからこそ、かぐやと天野の結婚による関係改善、そしてかぐやを後継者候補から外そうと企む者達も多い。その内の1人がかぐやの目の前に現れた。その目的に全員の注目が集まる!
「かぐや、お前に会いに来たのは……お前に『性教育』を行うためだ!」
「セクハラですか」
「違う」
「早坂、今すぐ通報して」
妹(女子高生)に性教育をしようとする兄(妻子持ち)。家族会議後、絶縁されてもおかしくない状況である。
雲鷹とて自身の発言の異常さは知っているつもりだ。しかし、妹の失言により「自分の息子が腹違いの妹に逆レイプされた」などと誤解されたことで振り切れた。兄として、家族として、これ以降ヤバい発言をさせないために恥も外聞も殴り捨てたのである。
「いいか、まずはこの性知識テストを受けろ」
「嫌ですよ!なんだってこんなことをしなければならないのですか!?」
「かぐや、いや妹よ。これはお前のためだ」
嘘である。この男、自身のことしか考えていない。
今日の『四宮かぐや逆レイプ事件』は口外されていないため問題ないが、それを大勢の前で口にしていたら四宮家の名は地に堕ちる。それを防ぐためにも、かぐやの性知識の確認は必須である。
~テスト後~
「結果だが……酷いな。『性行為の初体験の年齢』くらいしか合ってないぞ」
「……ウソでしょ?この私が10点も取れないなんて……」
「急いで性教育をしないとならないな。暫くは他の習い事は止めて性教育だ。最低でも、性知識テストに合格するまでは性教育を重視する」
「……雲鷹様。いくら貴方でも、それは勝手が過ぎるのでは?」
「あぁ?早坂の鼠が……お前はかぐやと同じ教育を受けていたな?」
「?そうですが、それが何か?」
「お前も受けろ」
~テスト後~
「早坂、お前も性教育の補習だ。かぐやよりはマシだが、流石に酷い」
「し、しかし、私には近侍としての仕事が!」
「こっちで手配する。今は2人の再教育が先だ!」
後日、かぐやと早坂は四宮家の用意した最高レベルの性教育を受けることになった。
本日の勝敗 かぐや・早坂の敗北(恥をかいた上に強制的に性教育の授業を受けることになったため)
~翌日の生徒会~
「邪魔するわよ」
「四条か、どうしたんだ?」
「「え、誰?」」
かぐやによる爆弾発言があった翌日、生徒会に新たな相談者が来ていた。
「誰って白銀、それは酷いだろ。普通にクラスメイトだぞ。石上は学年違うから仕方ないが」
「本当ね。この私を知らないなんてとんだ不調法者ね。私は四宮の血を引く者よ!」
「えっ、四宮先輩の親戚!?」
「えぇ、彼女は私の
「遠いな~。響きだけで遠いと分かる」
「ちなみに8親等だから本当に他人だな。日本の法律だと6親等までが親戚だし」
「本当に他人じゃないですか」
なお、韓国の法律だとギリギリ結婚できない関係である。
「そんな四条が何の用だ?」
「ちょっと秀一に相談があってね」
「あぁ、今度何人かと一緒に水族館に行くことになったからな。その確認か?」
「いや、そうじゃなくて……男子の目線で相談を受けて欲しくて……」
「えっと、席外そうか?」
「いや、お前らもいた方が良い。より多くの意見が出た方が良い解決案になりやすいからな」
「そうか。それならいいが……」
四大財閥の分家の長女である四条の相談を受けることになった三人、そんな彼女の悩みとは……
「どんな服を着ていったら喜んでくれるかな?」
服装の相談だった。
「肌色の服でいいのでは?」
「おい、天野!セクハラだぞ!」
「流石にそれは……」
「そうよ。今の時代”肌色”なんて差別とか言われるわよ!?」
「いや、男に喜ばれる服装なら露出の多い服……究極的には裸で抱き着けば100点だろ」
「「「最低!」」」
「割と本気だが……まぁ、真面目な答えなら赤色の服だな」
「まさか、血まみれか?」
「返り血は四宮先輩の特権では?」
「サンタの衣装は時季外れじゃない?」
天野は白銀と石上からの信用を失っていた。
「そうじゃない。女は赤い色の服を着ればとりあえず魅力が上がる」
「「そんな訳ないだろ(でしょ)」」
「そうよ。いい加減なこと言わないで」
「そうだな、まず恋愛において一番重要なことは分かるか?」
「性格とかかしら」
「後は誠実さや人間性とかか?」
「リア充であるか否か」
「石上が近いな。正解は『外見が良いか』だ!」
「「「本当に最低なこと言うな!!」」」
「いやな、海外の実験結果で『異性にモテた人物の性格や能力には相関がない』『異性にモテた人物の外見的能力のみ高い相関関係がある』というデータが出たらしい」
「待ってください……それって結局……世の中”顔”って事ですか!?イケメンには勝てないってことですか!?」
「そうだ。特に恋愛の初期段階では見た目が殆どだ!!」
衝撃の事実を伝えられた3人はショックを受けていた。特に、四宮に告白させようと勉強を頑張っている白銀へのダメージは高い。
「しかし、この外見はある程度なら変えられる。メイクやファッションで人の印象はだいぶ変わるからな。寝起きの状態と出かける前の状態では誰でも外見的魅力は変わるはずだ」
「たしかに、起きた直後と出かけるときの印象が同じ人間なんてまず居ないわね」
「顔洗って、清潔な服着て、まともな恰好すればそこそこ魅力は上がるからな」
「つまり、僕たちもイケメンに勝てるという事ですか??」
「あぁ、遺伝子が良いだけのイケメンになら勝てる。努力に勝る才能は無い」
白銀は急激に自信を取り戻した。自身の行動に間違いなどないと再認識していた。
「外見的な魅力を上げる方法は幾つかある。一番有効なものは『相手の好みに合わせる』だ。しかし、今回は時間がないため使えない。そのため『一般的な魅力が上がる方法』を今回は使う。それが”ロマンティックレッド現象”だ」
「「「ロマンティックレッド現象?」」」
「これは『男→女』という限定的なものだが、手軽に女性の魅力を上げることが出来る手段の1つだ。内容は『女性は赤い服を着ることで魅力が増す』という単純なものだが真似しやすい理論だ。これなら応用が効きやすく、今からでも用意できるはずだ」
「た、たしかに……赤い服と言っても種類は多いし、その中から自分に合う服を選べばいいだけなら簡単ね!」
「むしろ、”赤い服”という縛りによって無駄な選択肢を除外できるから他の事に時間を使える」
「普通に使える理論ですね。やり方も簡単だから難しく考える必要ないですし……」
そう、この理論の最大の利点は「簡単で分かりやすい」という点にある。難しい条件が無いのため、大体のシチュエーションで使える。赤い服を着るだけで魅力が上がるなら、ここぞという場面で使う気になる女性も多いだろう。
「今回の異性は俺と翼の2人だけだ。理論を知った上で実行すると聞いている俺に効果はないし、逆に翼には効果があるはずだからな」
「そうね。試してみるわ!それじゃ、また週末にね」
そう言って四条が生徒会室を出てから、天野から衝撃的な発言が出る。
「まぁ、最近じゃ『この理論は間違い』『実験によって結果が変わる』とか言われているから過信しないように」
「「ええ!!?」」
「あくまで統計的な話の為、派手な色が嫌いな人物からは逆にマイナスの印象を受けると思うからな」
「何言ってんですか!?」
「どうすんだよ!これで四条が振られたら!?」
「まぁ、『これで私の魅力は過去最高ね!』とか自信に満ち溢れている状態になれば魅力的になるだろ。例え虚勢でも自分に自信がある人間は魅力がある訳だし」
「そ、それはそうだが……」
「大体、翼は四条に惚れてるから必要ないんだよ。四条が緊張で変なことしないようにすれば成功する訳だし」
こうして『秀知院のキューピット』の策略により四条の奇抜な恰好……制服やドレス姿で水族館にやってくるという未来は阻止された。
本日の勝敗 四条の勝利(告白の勇気を手に入れたため)
天野と雲鷹は「四宮家本家」という共通の敵がいるため多少仲が良いです。
それと、今後アンケート機能を利用する時のために、アンケートの練習をしたいと思いますのでご協力の程お願いします。
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