【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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 ティオナという少女と戦った、その翌日。

 僕らはリドというゼノス達と25階層にある洞窟へ赴いていた。

 マリィというゼノスがそこを住処としているので、送り届ける

 ためだ。

 人魚のモンスターであるため1日程度なら問題ないが、数日間を陸地で

 過ごすとなると危険だと思われるので、ここで過ごしてもらうしかない

 とレイというゼノスは言っていた。

 マリィというゼノスは最初こそ同胞達と離れたくない、と駄々をこねて

 リドというゼノス達は困り果てていたが、ティオナという少女が

 また会いにくる、と約束をしてそれを聞き入れたマリィというゼノスは

 大人しく住処である水辺へと帰ってくれた。

 それから来た道へ戻る最中、モンスターの大群に出会わした。

 ...僕が一番嫌っている兎のモンスターと。

 

 「え?何?あの兎のモンスター...

  めちゃくちゃ金ピカなんだけど?」 

 「稀ニ現レル奴ラダ。俺ヨリ硬クハナイガ、ソコソコ手強イゾ」

 「ティオナっち。手貸してくれるか?捕食者も」

 

 カカカカカカ...

 

 「うん、いいよ!体が鈍っちゃうといけないから、丁度いいかも!」

 

 彼女が先陣を切ったので僕も後に続く。同時に金の兎も向かってきた。

 文字通り金で形成されている角を突き出してきたので、そこを掴むと

 地面に叩き付ける。

 

 ビシッ! パキパキ...

 ガラガラ...

 

 全身に罅が入って金の兎が暴れると石と角だけが残り、自壊した。 

 金で形成された角を観察していると別の個体が突進してきたので、

 鋭い先端が顎へ刺さる様に突き上げる。

 絶命した金の兎を足元に捨てた後、胴体を踏み付け粉砕した。

 

 「どりゃぁあっ!

 

 バキャァアアッ!!

 

 粉々に砕ける音がした方を見ると、ティオナという少女が金の兎の

 群れを鋭い足蹴りで薙ぎ払っていた。

 

 「グロス!右だ!」

 「左カラモダロウ!」

 

 ザシュッ! バキィッ!

 

 その背後ではリドというゼノスが長い直刀と曲刀で、グロスという

 ゼノスは自身の硬質な爪を利用して金の兎を斬り裂いていた。

 レイというゼノスは降下しながら鳥が獲物を捕える様に、金の兎を

 鳥の足で掴むと空中で宙返りをし、投げ落とす事で金の兎を粉砕した。

 ...彼らの強さを知らなかったが、強いんだな...

 

 ...ズズン...!

 

 僕が瞠目していると、地響きの様な足音をヒアリングデバイスが

 拾った。

 聴覚が鋭いゼノス達は気付いており、ティオナという少女はまだ

 金の兎を狩るのに夢中になっていた。

 やがて、その足音の正体が姿を現わす。

 

 ブ グ ォ ォ オ オ オ オ オッ !

 

 兎の次は犀か。数は2匹で...同じ金色の体色をしている。

 金の犀はその巨体からは信じ難い程の走力で、ティオナという少女に

 目掛け突進していった。

 向かってきているのに彼女もようやく気付き、慌てながらも回避した。

 もう一体も僕に向かってきたので足を開き、目の前まで来るのを

 待ち構える。

 ...来いっ

 

 ブ グ ォ ォ オ オ オ オ オッ !

 

 ド ゴ ォ オ オ オ ンッ !!

 

 突き出された角を掴み、僕は肩を押しつけながら足を踏み締めて

 突進の勢いを殺しつつアッパーカットで顎を殴打する。

 頭部を突き上げられた金の犀は仰け反り、後退すると怯んで僕を

 睨み付けてきた。

 頭の良い奴だ、僕の出方を窺っている。

 図体がデカく屈強、更に利口なモンスターか...

 なら、この獲物は戦利品にする価値があるな...!

 エネルギー・ボアを手に取り、エネルギーで形成された鎖ロープを

 伸した。

 

 「おぉ!?な、何だ?あの光ってるロープみたいなの?」

 

 僕は鎖ロープを頭上で振り回し、向かって来るのを待った。

 そして雄叫びを上げ再び突進して来たのを見計らい、鎖ロープの

 先端となる輪を投げ飛ばすと首に絡ませた。

 金の犀は首に巻き付かれた鎖ロープを解こうとするが、あの太い指では

 当然解ける訳もない。

 僕は命一杯引っ張り、強引に金の犀を前のめりに転ばせる。

 起き上がる前に僕は接近し、巨体に飛び乗って刀を引き抜くと

 横一文字に斬首した。

 兎同様に硬化ではあるが、僕らの武器では枯れ木も同然に切断する事が

 出来た。

 ヘルメットのゴーグルで体内の中央にある石の位置を特定して、

 皮膚に刀を突き刺し、裂け目を作るとそこに手を突っ込んで石を

 引っこ抜く。

 胴体のみが消滅し、戦利品は残った。 

 持ち上げて良い獲物を手に入れたと思っている最中、悲鳴が横から

 聞こえてきて咄嗟に振り向くと、ティオナという少女が飛んで来るのに

 驚くが僕は何とか受け止める事が出来た。

 

 「っててて...あ、ありがとう...」

 

 カカカカカカ...

 

 油断したのか知らないが、どうやら突き飛ばされて来たんだろう。

 しかし、彼女が相手にしていた金の犀は角が折れ、傷だらけになって

 いるので負けっぱなしではなかったはずだ。

 

 「ティオナっち、大丈夫か?」

 「うん。でも、グロスの言う通り硬ったいね...

  食人花より硬いかも...」

 「フン。武器ガ無イオ前デハ、厳シイヨウダナ?」

 「むっ...」

 

 ティオナという少女はグロスの煽りに顔を顰めた。

 彼女の実力不足な訳では決してない、と僕は思っている。

 武器を失ったのは僕のせいなので、ここは詫びるとして武器を貸すと

 しよう。

 彼女に適応するのだとすれば...これだ。 

 僕は指を落さないように刃を持ちながら刀を差し出す。

 

 「え?...使って、いいの?」

 

 カカカカカカ...

 

 「...わかった。使わせてもらうね!」

 

 ティオナという少女は刀を受け取り、軽く振って感触と馴染み具合を

 確かめていた。

 確認をし終えると、全速力で向かってきた金の犀に立ち向かっていく。

 

 ブ グ ォ ォ オオ オ オ オッ !

 

 「やぁああーーーッ!」

 

 ティオナという少女は片手に刀を握り、もう片方の手を拳に変えて

 金の犀が振るう拳に対抗する。

 拳同士がぶつかり合い、僕らが今立っている空間に鳴り響いた。

 両者共に怯んでしまっていたが、先に復帰したティオナという少女が

 踏み止まって至近距離まで接近すると膝蹴りを腹部に叩き込んだ。

 が、やはり硬いのもあってダメージは与えたようだが、彼女も膝を

 擦って痛がっている。

 金の犀は頭を下げ、死角から角を突き上げてきた。

 

 「っと...!そりゃぁあッ!」

 

 ダ ンッ !

 

 ティオナという少女は上半身を仰け反らせて角を避け、刀で

 根元から切断する。

 金の犀はそれに驚き、後退するがその好機を逃さず彼女は

 跳び上がって降下しながら、刀の石突部分で頭部を強打した。

 脳を揺さぶられ、金の犀は呆然とその場に立ち尽くす。

 

 「これでっ...!どうだぁあッ!!」

 

 ド ス ンッ!!

 

 力一杯の刺突により金の犀の胸部に刀が突き刺さる。

 体内の石を傷付けるのに成功したようで、金の犀は石と角を残し

 消滅する。

 ティオナという少女は倒したとわかると、息を荒げて呼吸を

 整え始めた。

 使い慣れていない武器なため、余計な力を込めていたんだろう。

 僕は彼女に近寄り、手を差し伸べる。

 それに気付いた彼女は笑みを浮かべて僕の手を握り、立ち上がった。

 

 「すごい武器だね、これ...簡単に斬れちゃうんだから」

  

 そう答えながら刀をマジマジと見るティオナという少女。

 使い慣れていないにしろ、一撃を与えればモンスターを倒せるという

 点は彼女が強いという事もあるんだろう。

 刀を返してもらい、地面に落ちている石や角を拾い上げて回収し、

 ゼノス達の隠れ里へと向かった。




100話到達しました。
ご感想や評価の程、ありがとうございます。いつも糧にしていただいております。

ダンメモに出てくる金色の犀の名前は忘れたので後々修正します。合ってたらそのままにしますので。
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