【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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 「またいつ会えるのか、わからないけど。その...気をつけてね!」 

 

 カカカカカカ...

 

 捕食者は先に地上へ戻るそうなので、ゼノス達と混じってティオナも

 見送ろうとしていた。

 捕食者は頷いてから姿を消し、隠れ里から去って行った。

 ティオナはまだ戻るのも早いという事で、しばらくの間は隠れ里に

 居座らせてもらう事にしたそうだ。

 しばらくして、ティオナは柄の中央から真っ二つに切断された大双刀を

 何とかくっ付けようとゼノス達手製の紐で括り付けるが、ポロリと

 落ちてしまう。

 ガックリと肩を落しながらため息をついていると、リドが隣に腰を

 下ろして座った。

 

 「まぁ、壊れちまったもんは仕方ねぇって。

  俺っち達も人間の武器が壊れたら天然の武器を使うしかないからな」

 「あたしにとってはすごく深刻な問題だからさー。

  ネフテュス様が支払ってくれる事になったけど...

  やっぱり愛着は少なからずあるんだし、試してみたいんだ」

 

 そう答えながらティオナはもう一度、紐で括り付けてみようとするが、

 やはり失敗に終わった。

 その時、少し離れた所でバグベアーやゴブリンなどのゼノス達が

 ラーニェとフォーと争い始めた様に見えた。

 ティオナは慌ててリドに止めなくていいの、と指を指して問いかけるが

 リドは首を振って大丈夫だ、と言う。

  

 「あれは人間で言う特訓みたいなもんだ。

  少しでも戦えるようになってないと、殺されちまうからな」

 

 ティオナはその言葉を聞いて、ふと疑問を抱いた。

 それは数時間前に戦ったゴールデンラビットとゴールデンライノスでの

 戦闘でリド達の身のこなしは普通ではなかったという事にだ。

 

 「ねぇ、リド達ってどうしてあんなに強いの?

  強化種にしても、ちょっと違和感があるって言うか...」

 「俺っち達はこれを食って強くなれるんだ」

 

 リドは掌に乗せた魔石を見せてから口へと放り込む。

 バリボリと人間では到底噛み砕けはしない魔石を咀嚼して飲み込むのを

 見て、ティオナは若干顔を引き攣らせる。

 

 「強化種ってだけじゃ、それ以上強くならないからな」

 「私達はモンスターでありますガ、ゼノスではない同族に襲われ命を狙われル。

  なのデ、生きるために強くならなければならないのでス」

 「そっか、皆も大変なんだね...」

 

 人間からも、モンスターからも襲われるという危機的状況の中で

 ダンジョンに潜むしかないゼノス達に同情するティオナは目を伏せて

 自分ではどうにか出来ないと悔しむ。

 モンスターと人間は太古の昔から争い続けてきた。

 悪意を持たずとしても、地上に蔓延んだ結果多くの命が犠牲となり、

 現在でも地上で進化を続けたモンスターによる被害が起きているのが

 現状である。

 そのためオラリオ外で活動しているファミリアが討伐を実行し、

 被害を何とか食い止めているのだ。

 

 「まぁ、戦い方は教わって身に付けたんだけどな」

 「教わったって...?」

 

 人間からではないとすればゼノスである同じモンスターであると

 思われるが、それが誰なのかティオナには見当がつかなかった。

 すると、グロスが近寄ってきて教えてくれた。

 

 「我々、ゼノスノ中デ最モ古イ存在カラダ。

  コノダンジョンガ出来タバカリノ頃ニ生マレタ...

  最強ノゼノスト言ワレテイル」

 「最強のゼノス...ここの誰かがそうなの?」

 「いエ、あの方はもっともっと下の階層に居まス。

  ダンジョンを移動する事が出来ないですかラ...」

 「え?何で?」

 「成長シ過ギテシマッタカラダ。

  出会ッタ当初ハマダ動ケテイタガ、今デハ...

  人間デ言ウ100Mヲ超エル程ニ巨大トナッテイル」 

 「ひゃ、100M!?

  そ、そんなデッカいモンスターなんて見た事ないんだけど...」

 

 ティオナの脳裏には今まで見た、巨体を持つモンスターの横に

 謎の巨大な黒い物体を並ばせて大きさを比較する。

 以前アーディを元気付けるために探索した際、遭遇した

 マンモス・フールでも6Mだった。

 階層主であっても階層に適応して大きさは限定されるため、それほどに

 成長するのは異常だとティオナは感じた。

 

 「けど、デカいだけじゃなくて戦い方を誰よりも理解してるからな。

  俺っちがこの剣を使ってるのも、あの方の教えのおかげだ」

 「俺ハ武器ヲ使ワナイガ、俺モ同様ニ教エラレタ。

  人間デ言ウ...何ダ?ド忘レシタ」

 「門下生、でしょうカ?」

 

 それだ、とグロスが指を指して頷き、レイはよかった、と微笑んだ。

 一方でティオナは何かを考え始めており、リドがどうかしたのかと

 声を掛けようとする前にティオナの方から話しかけた。 

 

 「...そのゼノスと会って、私も戦い方を教えてもらう事は出来ないかな?」

 「い、いやぁ、あの方、優しいっちゃ優しいけど...

  怒らせるとやばいからさ...」

 

 リドは頬部分を爪で掻きながら、言葉を選んで遠回しにやめておけ、と

 ティオナに言い聞かせようとした。

 レイも同様に止めようとするが、ティオナは真っ直ぐに見据えて

 自分の意思を伝える。

 

 「あたし、捕食者と同じくらい...ううん。

  捕食者よりも強くならないといけないの。

  またいつか戦うとしても、今のままじゃ勝てないから...もっともっと強くなりたいの!

  それから勝って...想いを伝えたいから...

  リド、レイ、グロス。どうにかお願い出来ない?」

 

 リドとレイは顔を見合わせて戸惑った。

 そして少し話させてほしいと申し出て、相談し始める。

 

 「...どう思う?レイ」

 「ティオナさんの意思は尊重したいですガ...」

 「やっぱ危ないよな...」

 

 会わせたとして、もし下手をすればティオナの命が危うい事は

 両者ともわかっていた。

 なので、やはり危険だと判断しリドは断ろうとしたが、グロスが

 前に出てティオナに問いかけた。

 

 「本気ナノカ?モンスターデアッテモカ?」

 「お、おい、グロス?」

 「うん、本気だよ!強くなりたいから!」

 「...ナラ、リド、レイ。オ前ラモ付イテ来イ。

  俺達ガ一緒ナラ、話クライハ聞イテクレルダロ」

 「ホ、ホントに会いに行くのか!?グロス、お前何考えて...」

 

 リドは慌ててグロスの真意を聞こうとする。

 いつもと違う様子に困惑しているのもあるが、ティオナへの心配が

 勝っているようだった。

 

 「コイツガ本気デアルナラ、寛大ナアノ方モ理解シテクレル筈ダ。

  俺モ強クナルタメニ頼ミ込ンダ事ガアルカラナ。

  少シハ気持チモワカッテヤッテルツモリダゾ」

 「グロス...わかったよ。ティオナっちのためなら、俺っちも行くぜ」

 「私もでス。ティオナさン、もしも危ないと感じた際は...

  すぐに離れましょうネ」  

 「わかった。気をつけるよ」

 

 そうして、隠れ里を実力的に強いラーニェに任せてリド達はティオナを

 連れて下の階層へと向かった。

 

 

 黄昏の館にある食堂でティオネは幾度目かのため息をついていた。

 それはティオナを心配してなのだと周囲の団員達は察している。

 加えてティオネと向かい合って座っているレフィーヤも同様に

 アイズを心配してため息をついていた。

 

 「ティオネ、レフィーヤ。

  そんなに気にしていたら食事も喉を通らなくなるよ」

 「団長...ごめんなさい。言い出しっぺの私が迷惑をかけて...」

 「わ、私もすみませんでした。気にし過ぎ、ですよね...」

 

 レフィーヤは俯き気味に弱々しく答えた。

 すると、フィンは肩に手を乗せて微笑みながら優しく答える。

 

 「いや、誰だって誤って選択をしてしまう事はあるさ。

  だけど、アイズもティオナも自分で決めた事なのだから...

  2人の事を信じて期待に応えてくれる事を、楽しみに待ってみよう」

 「...はい」

 「はい。アイズさんを信じます...!」

 「それでいい。...ところで、ティオネ?

  アイズはともかく、ティオナはどうしてああ言ったのか...

  見当は付くかな?」

 

 そう問いかけられ、ティオネは口元に手を添える。

 あの時感じたティオナの意思は微かにだが、わかった様に思えたが

 それは他人が言い当てられるものではないとティオネは感じた。

  

 「...わかりません。

  勘違いだといけませんから、憶測では答えられないです」

 「それなら仕方ないな。ありがとう、考えてくれて」

 「いえ...(...まさか、ね...)」

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