【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

105 / 156
>∟ ⊦''>'、,< K'yngu Kongu

 「...ホントに72階層なんだよね?...そっか。ちょっと...

  ビックリしちゃった...」

 

 何とか落ち着きを取り戻したティオナは、改めて自分が73階層まで

 潜ろうとしている事を確認する。

 唐突な展開となった事に少なからず焦り、緊張している様に見えたが、

 どこか胸を高鳴らしている様にも見えた。

 

 「イイカ?マズ、俺達デ話ヲ聞イテクレルカ訪ネテクル。

  許可ヲ得ル事ガ出来タラ、呼ビニ来ルト覚エテオイテクレ」

 「うん、わかった。

  ...許可してもらえなかったら?」

 「その時は...全速力で逃げるしかないなぁ。

  言っとくけど、怒らせたらマジで手が付けられないから気をつけるんだぞ?」

 

 普段の陽気なリドが真面目な口調で伝えてきたのに対し、ティオナは

 冷や汗を流しながら頷く。

 リド達は説明した通り、先に73階層に続く入口へ消えていった。

 1人だけとなったティオナは片足を軸にハイキックを繰り出して

 暇潰しに体を動かす事にしたようだ。

 対峙している相手のイメージはもちろん捕食者である。

 鋭い蹴りで関節や顔面を狙うも、イメージ上での捕食者は回避せず

 手で払い退けたり、足首を掴んできたりなどティオナの動きを

 止めさせる様な対処法を熟している。

 

 「ん~...?...これはどうかな?いや、これもダメか...」

 

 ティオナはどうすればその対処法を打ち破れるかそれを考察しながら

 再度、ハイキックを繰り出し別の動きで足蹴りを試みた。

 しかし、それでも防御されてしまうと即決する。

 しばらく何度も何度も試行錯誤を繰り返したが、結局対処法を破る

 攻撃手段が思い浮かばず、ティオナはその場に座り込んだ。

 

 「はぁ~...どうすればいいんだろ...」

 「おーい、ティオナっちー!許可もらえたぞー!」

 「あっ、ホント!?今行くー!」 

  

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 73階層。

 58階層から、未だ現オラリオ二大派閥も辿り着いていない正しく

 前人未踏の階層である。

 

 「...すっごく広いなぁ...」

 

 特徴を挙げるとすれば間違いなくオラリオの総面積を遥かに越えて

 いるぐらい広大な事だ。

 崖の上から見渡す限り、海の様な水面が広がっており、その中央には 

 島らしき巨大な陸地が存在していた。

 リド達が言っていた最強のゼノスの体長を考えると、この階層の

 広々とした空間であれば確かに住処には出来そうだとティオナは

 思った。

 リドによれば島で待っているそうなので、レイに運んでもらう事に

 した。

 73階層に来るまでの間にもそうしてレイに運んでもらっているので

 すっかり慣れたようである。

 

 「でハ、ティオナさん。行きますヨ」

 「うん!お願いね、レイ」

 「んじゃ、グロスも頼むぜ」

 「全ク、仕方ナイ奴ダ...」

 

 そう愚痴を吐きながらもグロスはリドの両腕を掴んで、レイと同時に

 崖から飛び降り、飛行し始める。

 

 「(...この島の形、何ていうか...?)」

 

 ティオナは先程立っていた崖から空中で見下ろすと、その島の形状が

 どことなく、頭蓋骨に見えると思った。

 徐々に降下していき、ティオナ達は島の中央である野原に着地する。

 

 「あれ?ここに居るんじゃないの?」

 「そうなんだけど...あり?どこ行ったんだ?」

 

 ...クルルルルッ...!

 

 「ッ!奴らです!」

 「アァ、クソッ!」

 「え?な」

 

 に、と言い終わる前にどこからともなく、何かがティオナに向かって

 飛び掛かってきた。

 いち早く反応したリドが咄嗟に長直刀でそれを斬り付ける。

 斬り付けられたそれは、黄緑色の液体を撒き散らしながら鞭の様に

 不規則な軌道を描きながら森へと消えていった。

 ティオナは訳がわからず、問いかけようとするも、森の中から

 黒い影が飛び出してきて頭上から落下してくるとわかり、ティオナ達は

 散開する。

 

 ズ ズゥ ンッ!

 

 ギャ ロ ォ オ オ オ オッ !!

 

 「き、気持ち悪...!」

 

 ティオナは今までに見た事もない複数の不気味なモンスターを見て、

 思わず顔を歪ませた。

 頭部が髑髏の様に見える爬虫類系のモンスターで、後ろ足がなく

 前足2本だけで周囲を動き回りながら、いつでも襲い掛かろうと

 している。

 

 「こいつらいつの間に出てきたんだ!?」

 「知ルカ!ソンナ事ヨリモ、一刻モ早クココカラ逃ゲルゾ!」

 「え!?で、でも」

 

 最強のゼノスは大丈夫なのかと心配するティオナを余所に、レイは

 ティオナの両腕を足で掴んで飛翔しようとする。

 グロスは先にリドを掴んで上昇し、その後に続いてレイも飛翔して

 いくがその時、下へ引っ張られる衝撃に襲われた。

 

 「痛ったたたたたたたっ!痛い痛い痛い!

  あ、足がもげるぅう~~~っ!」

 「ッ!?ティオナさんっ!」

 

 ゲ ル ル ル ル ルッ...!

 

 見ると、髑髏の様な頭部をしたモンスターが大きく広げた口から

 細長い舌を伸ばし、ティオナの足首に巻き付けて引っ張り落そうとして

 いた。

 先程、森から飛び掛かってきた鞭の様なものも舌だったという事だ。

 レイは痛がるティオナを見てこれ以上は本当に危険だと判断し、

 少しだけ降下したその高さで羽ばたきながら滞空すると、ティオナに

 外せそうにないか問いかける。

 ティオナは必死に舌が巻き付いていない方の足で舌を蹴り付けたり、

 足の指で剥がそうとするも外せなかった。

 そんな時、レイの足にも別の個体が伸ばしてきた舌が巻き付いてきた。

 慌てたレイは更にまた別の個体の舌が向かって来るのに気付き、体勢を

 崩してしまって急降下していく。

 それを目撃したリドは急いで助けに行くようグロスに言って、

 ティオナ達の元へ向かおうとするが、複数居るモンスターがリド達も

 狙って舌を伸ばしてくるため近付こうにも近付けない。

 

 「ったたた...あっ...!レイ!大丈夫!?」

 「わ、私は大丈夫でス...!それよりもっ...!」

 

 落下中、咄嗟に片方の翼のみを腕に変える事でティオナを抱きしめ、

 もう片方の翼で着地する勢いを緩和したため致命傷には至っていない

 ようであった。

 しかし、髑髏の様な頭部をしたモンスター達がティオナ達の周囲を

 囲うように群がってきている。

 逃げ場はないと覚悟を決め、ティオナは身構えた。

 レイも腕を再び翼に戻し、臨戦態勢となる。

 モンスター達は唸り声を上げながら、飛び掛かろうとする。

 

 ...ズッ ド ォ オ オ オ オ オ ンッ !!

 

 「うわぁっ!?こ、今度は何さ!?」

 「あっ...!」

 

 頭上から落下してきた巨大な黒い塊が、落下地点に居たモンスターを

 潰した。

 その巨大な黒い塊がのそりと動き、まるで人の様に起き上がった。

 付近に居るティオナが見上げても、その全貌をはっきりと目視で

 確認が出来ない程の巨大さを誇り、髑髏のような頭部をした

 モンスターとは比較にならない程である。

 ただ仁王立ちしているだけで滲み出る威圧感は勇ましさと凶暴さを

 感じさせた。

 それを感じたティオナは固唾を飲んで硬直し、モンスター達は慄きつつ

 威嚇をしている。

 

 「ティオナさン。あの方こそが最強のゼノスと称される...」

 

 レイは一息つき、その名を告げた。

 

 「キングコング様です」

 

 ヴ オ ォ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オッ!! 

 

 ドゴォンッ! ドゴッ! ドゴッ! ドゴッ! ドゴンッ!  

 

 雄叫びを上げ、キングコングは威嚇をしてくる髑髏のような頭部をした

 モンスターに対して分厚い胸板を力強く叩き、ドラミングをして

 威嚇を返す。

 勇ましさと凶暴さをより一掃、誇示させた。




モンスターバースから髑髏島の巨神が登場
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。