【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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 「ティオナっちなら頑張ってるぜ。あのキツ~~イ特訓に何とか付いて行ってるからな。

  しばらくは戻って来ないと思う」

 

 リドというゼノスから話を聞き、僕はどんな事をしているのか

 気になった。

 なので、フィルヴィスという少女に特訓をしている彼女を見たいと

 伝えてもらいレイというゼノスが案内してくれる事となった。

 向かった先で騒がしくしないためにもフィルヴィスという少女には僕が

 73階層へ向かう事は黙っているようにと身振りで伝える。

 

 「わかった。特にローヴェルには気をつけよう」

 

 その通りだと思いながら、承諾してもらえたので誰にも気付かれない

 内にレイというゼノスと同時にクローキング機能を起動させ73階層に

 続く通路へ入って行く。

 

 「んへへ~。フィルヴィス~?ひっく...楽しんでる~?」

 「...あ、ああ...お前も随分ご機嫌だな」

 「私はんぅ、いつだってご機嫌よ~!

  今は特にね~。良い気分だわ~んふふふ~...」

 「(...絶対に黙っていなければならないな)」

  

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 レイと捕食者は73階層を目指して未開拓領域を進みながら、

 話していた。

 話すと言ってもレイが問いかけ、それに捕食者が頷いて答えると

 いったような、とても静かな会話である。 

 

 「ティオナさんが特訓を終えテ、再挑戦を挑んで来ましたラ...

  捕食者さんは応じますカ?」

 

 カカカカカカ...

 

 「そうですカ、それならティオナさんもきっと喜ぶでしょうネ。

  強くなって貴方とまた勝負をしたいと言っていましたから」

 

 それを聞いた捕食者はレイの顔をジッと見つめ、何か思い当たった様に

 見えたが顔を前に戻した。

 レイは気になって問いかけようとしたが、巨大な盆谷が見え始めたので

 捕食者を問いかけるのは止め、運ぶ事に専念した。 

 この盆谷、実は73階層よりも更に下の階層への近道となるのだが、

 非常に危険なため絶対に入ってはならないのだそうだ。

 曰わく、降りている際に光が見えてその光に飲み込まれると急に体が

 引っ張られる様な感覚となる。

 それから下の階層に出ると、天と地がひっくり返ったかの様にそのまま

 地面に叩き付けられそうになった事があるらしい。

 その近道となる盆谷を越え、レイと捕食者は次なる下の階層へ降りて

 行った。

 肺が凍るとティオナが言っていた極寒の氷で形成された洞窟を捕食者は

 寒がりもせずにいるので、レイが寒くないのか問いかける。

 捕食者は網状の衣服を示して、親指を立てて寒くないと答えた。

 左右が溶岩の壁となっている通路を渡る際も、暑くないと答える。

 しかし、唐突にその通路が存在する72階層に出たいと伝えてきたのに

 レイは慌てて止めさせようとする。

 

 「き、危険でス!ここの階層のモンスターにリドやグロスでさえ殺されそうになった事があるんですかラ...」

 

 レイは鮮明に蘇ってきた記憶。

 それは無惨にも傷付けられ気息奄奄となっているリドとグロスの

 姿だった。

 まだキングコングも各階層を行き来出来ていた頃だったので、

 モンスターを倒す事は出来たが二度と自分達で歯が立たないと思われる

 モンスターが居る階層には出ないと決めたのだ。

 それを教えたが、捕食者は頑なに72階層へ出ると伝えてくる。

 レイは困りに困った挙げ句、少しだけという条件で72階層へ通じる

 脇道の穴から出た。

 マグマが流れているので想像通り、そこは活火山の内部と思うかの様な

 溶岩で覆い尽くされている空間となっている。

 先程通過した氷の洞窟は肺が凍ると言われていたが、その空間では

 肺が火傷すると言えるだろう。

 捕食者は周囲を見渡し、どの様な環境となっているのか隈無く見ている

 ようで足元に転がっている石を拾ったりしていた。

 

 「あ、あノ、あまり長居はしない方がいいですかラ、そろそろ...」

 

 ギュ ァ オ ォ オ オーーーッ!

 

 「っ!上ですっ!」  

 

 捕食者は頭上から降ってきた羽毛の生えていない鳥形のモンスターを

 視界に捉える。

 それと同時に左肩に装備している武器の砲口も上に向け、照準を

 合わせて青白い光弾を発射した。

 

 ドゴォ オ オ オ ン ッ!

 

 青白い光弾は命中し、モンスターの胸部を魔石諸共破裂させ一撃で

 仕留めた。

 捕食者はレイの傍に近寄って、また襲って来ないかを警戒しながら

 右腕の武器を装備する。

 

 ギュ ォ ァ ァ ア ア アーーーッ!

 

 けたたましい鳴き声が空間に響き渡る。

 上を見上げれば同種のモンスターが飛び交い、狙いを定めて

 向かって来ようとしているのがわかった。

 捕食者は円盤状の武器を持ち、迎え撃とうとしたがレイに腕を

 引っ張られる。

 

 「早く出ましょウ!あの数では本当に殺されてしまいまス!」

 

 ...グルルルルッ!

 

 「あっ...!」

 

 ヴオ゙ォ゙ォ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ッ!!

 

 捕食者はレイの腕を振り解くと、前に躍り出て咆哮を上げた。

 羽毛の生えていない鳥形のモンスター達はその咆哮に気付くや否や

 一斉に急降下してくる。

 捕食者は円盤を投げてから急降下してくるモンスターを惹き付けようと

 空間の中央へ走った。

 円盤は直進しながらモンスターの頭部を斬り落とし、弧を描く様に

 落下していく。

  

 フォシュン! フォシュン! フォシュン!

 

 ドパァアンッ! ドパァアアアンッ! ドパァンッ!

 

 捕食者は左肩の武器で次々とモンスター達を撃ち落としていき、

 落下してきた円盤を掴み取って、着地してから隙を突いて飛び掛かった

 モンスターの首を斬り裂いた。

 急降下して向かって来る1体を確認すると、砲撃せず鋭い爪で捕まる

 寸前の所で跳び上がって回避し、盛り上がった背中の棘にしがみ付く。

 

 ギュ ァ ォ オ オーーッ!

 

 ザシュッ!

 

 羽毛の生えていない鳥形のモンスターはそれに驚き、翼を羽ばたかせて

 上昇していくが捕食者は手を離さず、モンスター達が追いかけて来て

 いるのを確認するとモンスターの首を斬り落とす。

 首を失ったモンスターの体は落下していき、捕食者も落ちていきながら

 照準を合わせて左肩の武器の砲口を、自身に向かって来るモンスターの

 大群目掛け、集中砲火を浴びせた。

 

 ド ガ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ンッ!!

 

 モンスターの大群は青白い光弾の集中砲火により半数が消滅し、更に

 捕食者が投げ捨てた物体が大爆発を起こし、残る半数のモンスターも

 大打撃を受けた。

 捕食者は着地して再び円盤を手にするが、生き残っていた羽毛の生えて

 いない鳥形のモンスターは散り散りとなって逃げ去っていくのが見えて

 円盤を専用のケースに収める。

 

 「...すごイ...」

 

 レイは捕食者の圧倒的な強さに、ただ呆然とするしかなかった。

 地面に落ちていた幾つかの魔石やドロップアイテムを拾い終えた

 捕食者はレイの所へ戻って来る。

 ハッと我に返ったレイは、未開拓領域に入る穴へ戻るように伝え、

 73階層へ再び向かうのだった。

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