【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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 「あちちっ...はぐっ」

 

 こんがりと焼き上がったミルーツを口内で冷ましながら、ティオナは

 その美味たる風味に自然と笑みが零れた。

 果実とは思えない程、正しく焼いた高級な肉の風味は一度食べれば

 頬張るのを止められずあっという間に焼き上げた1個分を完食する。

 既に焼いていた2個目の焼き具合を見て、もう食べられると確認すると

 息を吹きかけて冷ましつつ噛み千切った。

 一方でレイはゆっくりと食べており、幸せそうな表情であるティオナの

 食べっぷりを見て嬉しそうにしていた。

 以前までは誰かに取ってもらってか物を翼の小翼羽に挟み込んでもらう

 という方法で掴んでいたが、今は自分自身で竹串を持ち、焼いた

 ミルーツを食べる事が出来ている。

 それがレイにとって密かな喜びでもあった。

 

 「ん~~!美味しいね、レイ!」

 「はイ。リドとグロスにもやっぱり食べてもらいたいですネ。 

  ...そういえば、ティオナさん?」

 「ん?なに?」

 「あれから一度も地上へ戻っていませんガ...

  冒険者の仲間の方々が心配しているのではありませんカ?」

 

 レイの言う通り、ティオネとアーディがティオナの捜索をした日から

 更に2日過ぎて1週間と1日も地上に戻っていないのだ。

 遠征であれば、その日程の間はダンジョンに居たとしても不思議では

 ないが単独でとなればギルドに捜索願いが出され、緊急クエストを

 発令するはずである。

 しかし、ティオナは咀嚼を終えて飲み込み、首を横に振る。

 

 「大丈夫だよ。だって、ネフテュス様がロキや皆に伝えておいてくれるって言ってたんだよね?

  あたしが生きてるってわかれば皆も心配はしてないよ」

 

 73階層へ来る数時間前に、ネフテュスからの通信でそう教えられた

 のでレイはここへ来ていた。

 ティオナはどういった方法で伝えるのか不明だが、きっと何か手段が

 あると思い、地上へ戻らずキングコングとの特訓を続行しているのだ。  

 

 「それに...捕食者も特訓を始めたって言ってたんだし...

  強くなって戻るって約束したから、まだ戻っちゃダメなんだよ。

  捕食者にも負けないくらい強くならなくっちゃね!」

 「そうですカ...

  でハ、頑張らないといけませんネ。私やゼノスの皆も応援していますヨ」

 「ありがとう、レイ」

 

 応援してくれるというレイにティオナは笑みを浮かべ、また一口

 ミルーツを囓った。

 

 ...ビリッ

 

 「んぅ?...何?今の音...?」

 「...あ、あの、ティオナさん?」

 「え?」

 「...み、見えています...胸が...」

 

 そう指摘され、ティオナは視線を下に向けるとレイの言う通り、胸元が

 露出していた。

 顔を赤らめ、慌ててティオナは片手で隠しながら地面に落ちていた

 胸当て布を拾い上げて巻こうとする。

 しかし、1本の布でしかなくなったため巻く事は出来ず、困った事に 

 なってしまった。

 しかし、ふと何故破れたのか疑問を抱いてティオナは胸を隠している

 手を離すと胸元を見て硬直する。

 

 「...あ、あたし、いつの間にこんな大きくなってたっけ?」

 

 困惑するティオナだが、目の錯覚でも幻覚でもなく胸が少し豊満に

 なっているのは事実であった。

 寄せなければ谷間が出来ない程の貧乳だったはずなのだが、手で

 持てるくらいには育っている。

 しかし、それだけではなかった。

 

 「(あ、あれ?こんなに目線高くて、腰も...

  こんなにくびれてたっけ!?)」

 

 ティオナは一度立ち上がって、自身の体を隈無く見てみると以前より

 背が伸び、腰回りが大きくなってくびれが出来ていると気付いた。

 成長という言葉だけで片付けられる事なのか将又、何か体に異常が

 起きているのかとティオナは心配になり始める。

 

 「どうかしましたカ?ティオナさん」

 「え、えっと...体が変というか、何でこんな成長してるんだろうなぁって...」

 「あァ...やっぱり、ですカ...」

 「や、やっぱりって...どういう事!?」

  

 何かを知ってそうなレイにティオナは詰め寄って問い掛ける。

 レイは落ち着かせて、話し始める。

 

 「このミルーツを食べた事で私モ、む、胸や体が大きくなりましテ...

  まさか人間のティオナさんにも効果があるとは知らなかったものですかラ...」

 「そ、そうだったの...」

 「も、申し訳ございませン!」

 

 謝罪するレイにティオナは苦笑いを浮かべながら顔を上げるよう

 言った。

 ティオナにとってはコンプレックスを抱いていた体が成長した事に

 喜ぶ事なのだが、今はどちらかと言えば原因が判明して安堵して

 いるようだった。

 

 「じゃあ、これを食べ続けたら...

  捕食者と同じくらいに背が伸びるかな?」

 「そうだと思います。見ての通り、こうなりましたから」

 「...じゃあ、一杯食べないと!」

 「ま、待ってください!先に胸を隠してから...!」

 

 ミルーツに齧り付くティオナにレイは周囲に胸当て布の代わりと

 なりそうな物が無いか探し始めるのだった。

  

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 「でハ、ティオナさん。頑張ってくださいね」

 「うん!ありがとう!気をつけて戻ってね?」

 「はイ」

 

 レイを見送り終え、ティオナはキングコングと対峙する。

 

 「じゃあ、特訓を再開しよう!次は何をするの!?」

 

 キングコングは付いて来いと手招きをし、ティオナは後を

 ついていった。

 着いた場所はミルーツを収穫していた所のすぐ横にあった

 巨大な河川であった。

 そこで何をするのかと思っていると、キングコングが足元に落ちていた

 岩を小石のように拾い上げる。実際はティオナよりも巨大な岩だ。

 それを河川に向かって投げ飛ばし、岩は水飛沫を上げて沈んでいった。

 

 ザ ッ パ ァ ァ ァ ァ ア ア アッ!

 

 「んぇ!?」

 

 その途端、何十本ものウネウネと動く巨大な頭足類の足が水面から

 伸びてきた。

 リバー・デビルだ。

 ティオナはリバー・デビルを見て、あれを相手にするのかと

 キングコングを見る。

 どうやらその通りで、人差し指で指している。

 

 ゴフッ... 

 

 「...はーい。行ってきま~す」

 

 と、河川に飛び込んで5M進んだ所で、潜水し始める。

 発展アビリティによる潜水で水の抵抗、圧力に強くなり水中での

 攻撃手段の威力が向上するなどの効果を持つため、一気にティオナは

 リバー・デビルへ接近していくとそのままの勢いで殴りつけた。

 

 ドッ パ ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア アッ!!

 

 水中からリバー・デビルは水面から飛び出し、宙を舞うのだった。

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