【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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>∟ ⊦''>∟ ⊦>'、< Lunoire Faust

 「はぁ~...しばらく会えなくなるって実感すると、やっぱり寂しくなりますね」

 「ええ...でも、ティオナは再戦を望んでいるから...

  それに応えるためにも彼はこの惑星を離れて、別の惑星に居る強い生物を狩りに行ったわ」

 「惑星、って国の名称の事ですか?」

 「いいえ。惑星はこのオラリオがある国とその国がある大地、そして大地を覆う海が球体となっている太陽の周りを回る天体の1つよ」

 「...はぁ...」

 

 アリーゼはネフテュスの説明の途中から理解が追い付かなくなり、

 ポカンとした様子で生返事をする。

 それにライラや輝夜は呆れたり馬鹿にしたりはしなかった。

 何故なら2人もわからなかったからだ。

 アストレアはそれを察して、少し苦笑い気味となっていた。

 恐らく、この場にリューが居れば何かしらの注意はしていただろう。

 惑星の意味を理解せず放棄するかのようにアリーゼは別の話へ移ろう

 としていた。

 

 「私達の他にネフテュス様や捕食者君達を事を知ってるのは、ロキ・ファミリアとイシュタル・ファミリアとミアハ・ファミリア、それからフィルヴィスに...

  他にどこのファミリアが知ってるんですか?」

 「ん~...あと3人知っている子が...

  というより、私の眷族だから知っていて当然よね」

 「あの...アイツら、とは違う普通の人間...の眷族なんだよな?」

 

 ライラがいち早く発言に対して反応した。

 昨日、捕食者が鍛練のためにしばらく会えなくなると伝えに

 訪れた際、別の捕食者が同行していた。

 アリーゼは落ち込むほど寂しがり、リューも少しばかり寂しさを

 覚えていた。

 しばらく話し合っていると、その捕食者もヘルメットは脱がないの

 かと輝夜が問いかけネフテュスが着脱の許可を出した。

 それを聞くや否やアリーゼがアストレア・ファミリアの団員を

 招集して皆で見ようという事になり...

 捕食者がヘルメットを脱いでその顔を晒した途端に悲鳴、絶叫が

 星屑の庭を揺るがす程、響き渡った。 

 何とかその場を落ち着かせる事は出来たのだが、恐れ知らずの

 アリーゼが捕食者の体中や牙や後ろ髪から生えている管などを

 隅々まで触り続け、最終的にリューとライラと輝夜が

 引き剥がして止めたのは言うまでもない。 

 それを察してかネフテュスはクスリと微笑みつつ頷いた。

 

 「ええ。見た目は同じ人間だから安心してちょうだい。

  鍛練に出たあの子と同じくらい強く育て上げて、今はそれぞれ別のファミリアでお世話になってもらっているわよ」

 「へぇ~、捕食者君と同じくらいかぁ...

  その人達も名前は教えられないんですか?」

 

 その問いかけにネフテュスは少し考えてから答えた。

 

 「1人は教えてあげられるわ。もう2人はダメだけど」

 「じゃあ、教えてください!」

 「いや、ちょっと待てよ団長。

  ...何で1人は良くて、2人はダメなんだよ?」

 

 ライラの言う通り、何の差分がありそう言ったのかと輝夜も

 訝る。

 ネフテュスは紅茶を一啜りして、一息ついた。 

 

 「その2人は問題神の眷族になってもらっていて...

  私の眷族だってバレたら面倒だし、皆を信用していない様な物言いで申し訳ないのだけど教えてあげられないのよ」

 「つまり密偵させていると...それなら仕方ありませんなぁ」

 「...どこのファミリアなのか聞くだけ野暮だろうな。

  で?教えてくれる奴は何て奴なんだ?」

 

 ガントレットを操作すると、立体映像で女性の顔が浮かび上がった。

 アリーゼ達はその顔をマジマジと見て、少しの間首を傾げる。

 少し違和感があるがどこかで見た事のある、と思った途端に廊下を

 歩いて近付いて来る足音に全員が気付く。

 正体はリューだった。

 

 「あら、リュー?どうかしたの?」

 「いえ、忘れ物をしてしまいまして...

  ...ん?...あの、何故ルノアの顔が映し出されて」

 「「「【黒拳】がぁあ~~~!?」」」

  

 アリーゼ達は驚愕しながらルノアの二つ名を叫ぶ。

 余りの大声に長い耳を抑えて、耳鳴りに悶えるリューをアストレアは

 心配そうに気遣った。

 ネフテュスはと言うと、3人の反応に面白おかしく笑っている。

 改めて話を戻すが、最初にルノアだと気づけなかったのは現在より

 長くしている後ろの髪を数十本ずつに纏めドレッドヘアーにして

 いたからだ。

 捕食者の後ろ髪の管に見立てているのだと思われる。

  

 「話した事あんまりないけどそうだったんだ!」

 「まぁ、暗黒期にイヴィルスの奴らを薙ぎ倒しまくったって噂があるくらいだし...

  納得は出来るな」

 「今はデメテル・ファミリアに所属しているでしたかねぇ」

 「い、一体、何の話をしているのですか...?」

  

 話の概要が見えていないリューは戸惑いながら問いかけ、ネフテュスが

 それに答えた。  

 一時的に思考が停止するリューだったが、驚きよりも寧ろ冷静に

 ルノアの素性を受け入れていた。

 3年間もの間、先輩として色々と教えてくれていた事やルノアの

 人柄のおかげであると思われる。

 

 「ですが、何時頃からコンバージョンを?

  私が3年前に豊饒の女主人で働く事になった時には、既にデメテル・ファミリア所属となっていたそうですが...」

 「というより、ネフテュス様の眷族になったのは何時なんですか?」

 「えっと...14年前。ルノアが8歳の頃よ」

 

 ガントレットから表示された記録表のようなものを映し出して、

 ネフテュスは応える。

 コイネーではなく独特な文字体系のため、その場に居る全員には

 書かれている内容が一切わからなかった。

 

 「丁度その年、私はウラノスにちょっとした用事でここへ来てミアハとデメテルに協力をしてもらう事にしたの。

  暇潰しに遊覧飛行をしていると、根無し草の旅をしているあの子を見かけて...

  気になって話しかけたら、私が神だとわかった途端に眷族にして、と言ってきてその流れて眷族になったわ」 

 「り、理由も無しにですか?」

 「まぁ、理由と言えば...

  生きていくのにファルナが必要だから、って感じだったかしらね」

 「至極単純でわかりやすい理由だな...」

 

 ライラの言葉に嫌味は含まれていなかった。

 神からファルナを授かり、人間や亜人も力を得る事でモンスターや

 武器を持った冒険者とも対抗出来る。

 最初こそは似た様な思想であったので、ライラもそう答えたのだろう。

 

 「だから、眷族としてはいつも貴女達と会ってる子の先輩になのよね。

  その子以外の子達の面倒もよく見ていたし、まるで姉みたいだったわ」

 「確かに...私も接客など色々な作業について教えてもらいましたね。 

  世話焼きとまでは言いませんが、ルノアには本当に助けていただいています」

 「ふふっ。そうなのね...

  まぁ、遠からず近からずの妹みたいな存在がいたから、そうなったのでしょうけど」

 「遠からず、近からず...?...血の繋がりの無い、って意味ですか?」

 「血は繋がっているわよ。でも、単純に妹とも言えないから、そう表現する他ないのよね」

 

 ネフテュス自身わかりやすく説明しているようだが、アリーゼー達の

 脳内は?で埋め尽くされていた。

 しかし、アストレアが異母姉妹と言うのでは、と発言した事により

 全員が納得する事が出来た。

 しかし、ふとリューがある事に気付いてネフテュスに問いかける。

 

 「あの、ネフテュス様?既に貴女と面識して日が経っていますが...

  ルノアはその事を把握して、私と何食わぬ顔で話していたのですか?」

 「ええ、そうよ。

  私の眷族だって誰かにバレたら面倒だから、今の今まで黙っててくれていたのよ。

  でも、こうして話したのだからリューにはそうする必要は無くなったわね」

 「では...これからも、いつも通りに接していこうと思います。

  畏まる必要もないでしょうから」

 「それがいいわね。あの子も気が楽でしょうし」

 

 リューは頷いて、アリーゼに忘れ物をして戻ってきた事を言われ、

 思い出すと慌てて自室へ向かう。

 しばらくして、急いで豊饒の女主人へ戻って行った。

 輝夜はリューの発言を思い返しながら、アリーゼとライラに

 問いかける。

 

 「...いつも通りと言っても、あのポンコツがそう器用な事出来ますでしょうかねぇ?」

 「無理だな。100ヴァリス賭ける」

 「ん~...じゃあ、1000ヴァリスで!」

 「アリーゼ?ライラ?お金は大事...よね?」

 「「もちろんです!」」

 

 金色の角を売却し、3か月分の手取りが入ったので浮かれている

 2人にアストレアはため息をつきながら注意するのだった。

 一方でネフテュスはガントレットを操作しており、何かをしていた。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 「ただいま戻りましたっ」

 「遅いよ、リュー!さっさと窓拭きを終わらせな!」

 「は、はい!」

 

 リューは水を貯めたバケツを手に取り、雑巾を絞って窓際に

 近付いた。

 埃を一切残さないよう、清潔にしなければミアの拳骨が飛んでくるので

 硝子や溝など隅々まで拭き始める。

 その時、何も言わずに手伝いに来たルノアにリューはあっ、と声を

 出しそうになるが咄嗟に口を紡ぐ。

 

 「...いつも通りに接するって言ってたくせに、早速動揺してるじゃないの」

 「め、面目ないです...」

 「...っぷふ、あはは。ま、そういう所がらしいと思うから、こっちは安心したよ。

  でも、なるべく気を付けてよね?

  フォローするのはこうするだけで十分なんだから」

 「は、はい。気を付けます。

  ...あ、ところでネ」

 

 名前を言い始める所でルノアが濡れた手から水滴を弾き、リューは

 強制的に黙らせられるのだった。

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