【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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 『さあて...肩慣らしの相手になってもらえるかな?』

 

 ギャ オ ォ ォ オ オ オ オ オ オ オ オ ンッ!!

 

 ヒュ バ バ バ バ バッ!

 

 ルノアを視界に捉えるや否や4本の足を交互に動かし、ペルーダは

 細長い体を正面に向け、頭部を下ろすと毒針を数本発射してきた。

 その場から即座に離れた事で背後のスパルトイは数体粉々になる。

 狙いを外したとわかり、ペルーダは再び毒針を発射しようとしていると

 ルノアは察知してプラズマ・キャスターを展開し、照準をペルーダの

 背中に合わせた。 

 

 フォシュンッ!

 

 ド ゴ ォ ォ オ オ オ ンッ!!

 

 砲口から放たれたプラズマバレットが背中に命中し、ペルーダの

 背中が燃え上がった。

 悲鳴に似た咆哮を上げるペルーダ。

 ルノアはプラズマ・キャスターを収納し、左腕のガントレットの

 タッチパネルを順番に押して操作すると、アーム・クラッティングが

 右腕のガントレットとも連動する事で両腕の前腕に装着される。

 オリハルコンを上回る硬質な装甲には打撃の際に衝撃波を発生させ、

 手の負傷を防ぐための衝撃吸収を行なうなど、様々な機能が搭載されて

 いるのだ。

 拳をつくりギシギシと握り締めると、プラズマが全体を覆っていき

 稲妻が飛び散る。

 

 「ふぅーっ...!」

 

 ダンッ...!

 

 ブーツから発生させた衝撃波により、ルノアは地面を蹴ると勢いよく

 跳び上がった。

 ペルーダは接近してくる敵に対し、大きく息を吸い込むと灼熱の炎を

 吐き出してくる。

 迫り来る炎を前にルノアは不敵に笑みを浮かべながら左腕を引き、

 アーム・クラッティングに包まれた左拳を突き出す。

 

 ボ ボ ボボ ボ ボ...!

 

 アーム・クラッティングから発生される衝撃波で灼熱の炎を掻き分け

 ながらルノアは突き進んでいき、顔面まで近付くタイミングを

 見計らって右拳を突き出す。

 

 「フンヌァァァアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

 ド ッ !!

 ゴ ォ ォ オ オ オ オ ンッ!!

 

 ルノアの拳が下顎を砕きながら上顎、頭蓋骨までも貫き、ペルーダの

 長細い体が宙を舞った。

 殴り飛ばされた先に居た複数のスパルトイはその長細い体によって

 潰され、全滅する。

 着地したルノアはすぐに身構え、襲い掛かって来るのを待つが一向に

 向かって来ないので近付いていった。

 グシャグシャになった頭部は目玉が飛び出て、口からは舌が伸びており

 悲惨な状態でペルーダは絶命していた。

 

 『...はぁー。やっぱりこの程度か~...』

 

 ルノアはため息をつき、相手にならなかった事を残念がりながら

 首の根元へ移動すると、アーム・クラッティングを解除して脹脛に

 巻いているベルトから収納しているカプセルを取り出す。

 青い溶解液が中に入っている物だ。

 

 ジュウウゥゥゥ...

 

 カプセルから垂らした溶解液が掛かった箇所から皮膚が溶けていき、

 体内の魔石が転がり落ちる。

 それを拾い上げポーチに入れていると、背後から近付いてくる足音に

 気付いて振り返った。

 

 「やっぱり終わってたか... 

  カサンドラを避難させなくてもよかったね」

 『まぁ...万が一って事もあり得ただろうし、無駄ではなかっ...!

  ダフネ!』

 

 ヒュバッ!

 

 ザシュッ! ザシュッ!

 

 ルノアが叫んだ時には遅かった。

 背後から飛んで来たのは鋭く尖った毒針。そう、ペルーダのモノだ。

 いつの間にか2体出現しており、2人が話している隙を突いて奇襲を

 仕掛けてきたようだ。

 飛ばされてきた毒針はダフネの前腕に2本突き刺さっており、目に

 刺さる寸前の所まで貫通していたが止っていた。

 ダフネは腕を曲げた状態で突き出し、反射的に防いでいたのだった。

 

 『ちょっと、大丈夫?』

 「うん」

 

 と、短く返事をして突き刺さっている2本の毒針を引っこ抜く。

 すると、毒針が刺さっていた穴から鮮血が噴き出てくるが、その色は

 赤くはなく蛍光を発する緑色をしていた。

 しかも、傷口は塞がっていってる。

 ダフネは傷が塞がり、正常に動くかを確認すると自身を攻撃してきた

 ペルーダを睨み付ける。

 

 「アイツはウチが狩る...いい?」

 『どうぞ。ご自由に』

 

 ルノアは手で獲物は譲るという仕草を見せ、少し離れた。 

 下ろしていた腕から垂れてきた緑色の血が指先に伝ってくると、それを

 舌先で舐め取る。

 舌を動かすと、体内を巡っていた毒液が毛細血管を経由して唾液腺に

 蓄積し、口内で緑色の血と混ざり合う。

 それを地面に吐き出した瞬間、白目の部分を血走らせ、黄色い瞳は

 赤黒く変色した。

 彼女の理性と神経が鋭利なまでに研ぎ澄まされたのだ。

 

 「ヴオォオアアアアアアアアッ!!

 

 人間とは思えない雄叫びを上げ、その場から跳躍しただけでペルーダが

 居る10Mもの距離まで一気に詰め寄り、喉を両手で鷲掴みにしながら

 飛び掛かった勢いで仰向けにペルーダを押し倒した。

 

 ミシミシミシミシッ...!

 

 バギィッ!

 

 細長い体とはいえ、首の太さは大木程あるのだがそれを物ともせず

 両手の握力のみで締め付けていき、ものの数秒で頸椎をへし折った。

 残ったもう1体は同種の死に怒ったかのように咆哮を上げながら

 数え切れない程の毒針を発射してくる。

 

 「フンヌァァァアアアアアアアッ!!」

 

 ブ オォオ ンッ!

 

 ダフネは首から降り、そのまま首を掴むと勢いを付けて両足で

 踏ん張りつつペルーダの死骸を振り回した。

 遠心力の遠離る向きへの力によって、死骸はもう1体のペルーダの

 方へ投げ飛ばされ、毒針を受け止める役割となりながら衝突する。

 

 ド ゴ ォ オ オ オ オ ンッ!!

 

 ギャ オ ォ ォ オ オ オ オッ!!

 

 下敷きとなったペルーダにダフネはフェンサー・ローリイットを

 引き抜きながら近付いていき、首を擡げて口を開こうとする前に鞘で

 下顎から口内を貫く。 

 鞘が上顎に突き刺さった事で、口を塞がれたペルーダは咆哮を

 上げようにも、くぐもった呻き声しか出せなかった。

 

 「...S'hyto hapnes」

 

 ザブッ...!

 

 そう呟くとダフネはフェンサー・ローリイットをペルーダの喉元に

 突き刺し、てこの原理で頸椎の骨が連なっている箇所を剥がす。

 生物であるため当然、鮮血が噴き出してダフネの顔から上半身までを

 真っ赤に染め上げる。

 それを気にせず、フェンサー・ローリイットを少し引き抜いてから

 喉の筋に沿って縦状に切り込みを入れ、首周りにも切り込みを入れると

 頸椎を掴み、首から頭部ごと引っこ抜いた。

 

 「...カカカカカカ...」

 

 人間が出せるとは思えない低い顫動音を鳴らし、ダフネはその戦利品に

 少なからず満足しているようだった。

 頸椎を紐の様にして肩に担ぎ、血で濡れた顔を拭いながらルノアの元へ

 近寄って行く。

 ヘルメットで顔こそ見えないが、近寄ってくる血塗れのダフネに

 心なしか呆れている様に見える。

 

 『お見事。...だ、け、どっ!汚いでしょうが!

  服に染み込んだら落とせなくなるっていい加減覚えなさいよ』

 「下層で多少は洗い落とせるし、大丈夫だって」

 『だっ、アンタね...まったくもう。

  ほら、お姫様が待ってるんだから行ってあげなさいよ』

 「うん。じゃあ...良き狩りを」

 

 はいはい、とルノアは背を向けながらヒラヒラと手を振って、再び

 壁から出現してくるモンスターへと向かって行った。 

 ダフネは出入り口で待たせていたカサンドラに声を掛ける。

 

 「ダ、ダフネちゃんっ。だ、大丈夫...だった?」

 「見ての通り。さ、セーフティポイントまで戻るよ」

 「あ、う、うん...その頭、いつもの所に飾るの...?」

 「当然。私に傷を負わせたから、価値のある獲物として認めた証拠にしないとね」

 「...そ、そっか...」

 

 内心では怖いので止めてほしいという気持ちは大いにある。

 しかし、ダフネが大事にしているというのは認知しているため言葉を

 飲み込むしかなかった。

 そうしている間に通路を先に進んでいたダフネに呼ばれ、カサンドラは

 後を追いかけて行くのだった。

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