【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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>∟ ⊦''>'<、⊦,、 ̄、⊦ Sewkmewto

 「そっりゃぁああああああああああああああああっ!!

 

 ド ガ ァ ア ア ア ア アッ!!

 

 71階層。岩山が広がる大地に地響きが鳴り響いた。

 ティオナに投げ飛ばされたワーバットは突起していられる岩と衝突し、

 首の骨が折れて更には突起していた岩の先端が落石となり、頭上から

 落下してきた事で頭部が潰される。

 ピクリとも動かなくなったワーバットの上に着地するティオナ。

 その格好は以前と比べて様変わりしていた。

 下半身を隠すパレオや腰布はそのままではあるが、胸当て布は

 使い物にならなくなったので代用として笹の葉を長細い竹の皮紐で

 固定するように、胸元に巻き付けている。

 どちらもキングコングの指導の下、自作したものだそうだ。

 笹の葉は約1Mあり、十分に隠せるはずなのだが違っていた。

 というのも、あれ以来ミルーツを食べ続けた事で似ても似つかない程

 ティオナは成長を遂げているのだ。

 笹の葉で隠れていない部分から谷間を覗かせる胸元は動く度に

 上下左右へと揺れ、既にティオネよりも勝っている。

 背丈も同等だった時より10cmも伸びており、魅力的な女性の体つきに

 変わっていた。

 髪の毛も後ろ髪がティオネ並みに長くなっており、竹の皮紐で束ねて

 いる。

 

 ギャ ギャ ギャ ギャ ギャ ギャ ギャァアッ!!

 

 呼吸を整えるティオナの背後から、3体ものワーバットが体の側面から

 生えている巨大な皮膜を翼の様に羽ばたかせながら迫ってきた。

 ティオナはワーバットの死骸の上から降りると、尻尾の先端を掴み

 両足で踏ん張りつつ乗っている岩を崩して引き抜いた。

 

 「でぇええいっ!!」

 

 ド ゴ ォ オ オ オ オ オ オ オ ンッ!!

 

 踏ん張ったままワーバットの死骸を振り回し、向かってきた1体に 

 勢いよくぶつけた。

 激突したワーバットはすぐ真横の尖っている岩山に突き刺さり、

 絶命する。

 他の2体は危険を感じ取り、その場から離れようとしているが

 ティオナは逃さまいと丘の斜面を走り出した。

 走る、というよりも飛び跳ねてワーバットを追いかけていると目の前に

 あった巨大な岩の頂上まで登る。

 

 「待てぇぇぇええええ~~~っ!」

 

 岩の頂上からワーバットの背中に飛び乗るティオナ。 

 それに気付いたワーバットは振り払おうと、回転しながら滑空して

 激しく暴れ始めるがティオナはゴツゴツとした硬い皮膚にしがみつき、

 皮膜の根元まで這いずる。

 何とか辿り着くと、ティオナは皮膜を動かすための骨を両手で掴み、

 本来曲がらない方へ曲げ始める。

 

 ギャ ギャ ギャ ギャ ギャァッ!!

 

 「ふんぐぐぐぐぐぐぐっ!!」

  

 メキ メキ メキッ! バキッ! ベキョッ!

 

 「っおりゃあああ!!」

 

 骨が関節部から外れた事で、皮膜を動かせなくなったワーバットは

 飛行制御が不可能となる。

 それにより重力にしたがって岩山へ落下し、先程の個体と同じ様な

 死に様となった。

 空中で離れていたティオナは最初に足を着いてから、前転をする要領で

 受け身を取りつつ着地に成功した。

 

 「ふぅー...よし!今日は3体だよ!」

 

 ヴォホッ ヴォホッ...

 

 丘の上から隠れていたキングコングが顔を出し、親指を立てティオナを

 褒める様に鳴くとティオナもそれに応えてサムズアップをした。

 それからワーバットの体内から取り出した魔石をキングコングに 

 渡し、休息を摂るのだった。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 オラリオの外にある森で、また1人断末魔を上げる事なく死んだ。

 否、殺意を持って殺された。心臓を2枚の刃に貫かれて。

 この森はセクメト・ファミリアが住処としており、謂わばホームと

 言える。

 そのため、治安維持を目的とするファミリアや賞金稼ぎなどが

 踏み入れたら、優勢となるのはセクメト・ファミリアで即座に殺させる

 のは明白だった。

 しかし、既に20人も殺害されている事に団員の1人が困惑し、焦りを

 感じていた。

 正体不明の何かに殺されている、その光景を目に焼き付けてしまい

 その場にへたり込んで必死に息を殺して存在を消すようにしていたが、

 目の前にあった地面の石が不自然に動くのに気付いた。

 視線を上げた瞬間、頭部に鈍痛を感じるか感じないかの狭間で意識を

 刈り取られる。

 

 カカカカカカ...

 

 その低い顫動音はその場から離れつつ、葉擦れによって掻き消された。

 やがて葉擦れが鳴り止むと同時に森で襲撃者を迎え撃とうとしていた

 セクメト・ファミリアの団員達は鎮圧されたのだった。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 洞窟を宮殿の様な造りにした場所でセクメトは居座っていた。

 すぐ傍には残った眷族の中でも実力者である5人がセクメトの

 警護についている。

 5人はカースが施されている武器を手にしていた。

 以前レナを苦しませた、セクメトの知識により最初期のヒエログリフが

 刻み込まれている物で間違いない。

 一撃で倒せなくとも体のどこかを傷付ければ出血は止らず、更に刃に

 塗り付けてある毒が傷口に入ればジワジワと死へ至らしめるという

 凶悪な武器だ。

 それらの武器を構え、いつでも来いというように団員達は待ち続けた。

 

 「...あーあ」

 「セクメト、様?どうかしましたか?」

 「こっちの負けみたいだナ♪全員、武器を地面に置け」

 

 何故自分達が負けていると言っているのか、団員達は意味がわからず

 セクメトの指示に訝る。

 そして、2人が顔を見合わせた途端に息を呑んだ。

 額に3点の赤い光点が照射されており、他の仲間も同様に狙われている

 とわかった

 

 「ほら、早くしろ。殺されるよ?」

 

 急かされる団員達は指示通り、武器を地面に落す。

 それでも尚、額には赤い光点が照射され続けられており、油断を

 見せない姿勢であると考えられた。

 団員達が降参するという意思を示すために、両手を軽く上に挙げて

 いると、黄色い2つの光が見えた。

 それが眼であるとわかり、襲撃者だと団員達は認識する。

 

 「...ようこそ♪ここまで来るなんて、一体何者かな?」

 『私の眷族よ。セクメト』

 

 その声を聞いた聞いた瞬間に口元に浮かべていた笑みが消えて、

 セクメトは肘をつくのを止めながら立ち上がった。

 団員達は相手の正体が何なのかわからず困惑していると、前方に

 ファルコナーが出現して更に立体映像のネフテュスが映し出される。

 

 『相変わらず、おいたが過ぎるんだから...

  もうお終いにしましょうね?』

 「...何でアンタがここにいるんだ?

  あたしがやる事に文句をつける理由なんてないはず」

 『イシュタルと協力関係にあるの。...それでわかってほしいわね』

 

 報復しに来た。そう理解したセクメトは深くため息をつきながら、

 仰向けに倒れ無気力となる。

 やらかした、とただ後悔しているとネフテュスに呼び掛けられて

 体を横たえる様な姿勢でネフテュスを見た。

 

 『イヴィルスに加担している事も踏まえてオラリオに来てちょうだい。

  それと...イシュタルの子供達を襲った1番過激な子供達は貰っていくわね』

 「...お好きにどーぞ」

 『ありがとう。忠告しておくけど、逃げようとしても無駄だから。

  ...あぁ、そういえば、クロエ・ロロっていう子はどこかしら?』

 「さぁ?ここを抜けて、どっかに行ったよ

  どこかで裏稼業やってるか、もうくたばってるかもナ♪」

 『そう...じゃあ、9日後にまた会いましょう』

 

 そう言い残してネフテュスの姿が消え、ファルコナーも見えなくなる。

 眼を黄色く光らせていた襲撃者もいつの間にか、その場から

 居なくなっているようだった。

 

 「...セ、セクメト様。一体、今のは...?」

 「...怖い怖い女神様だよ」

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 セクメトの了解を得て、気絶させた眷族を拘束し貨物室へ運び終えたと

 ネフテュスは聞き、次の目的地へワープドライブする。

 

 成人の儀を執り行う聖地が存在する、カイオス砂漠へ。

 内部を調査している際、奇跡的に機能する端末の記録から入手した

 情報によると、その聖地は今から5000年前の古代に建造された

 物である事がわかった。 

 当時、まだ国として成り立つ前の地でダーク・ブレード・クランと

 ヤング・ブラッドの一族と氏族が原住民に建築技術を指導して、聖地を

 建設させたとされる。

 

 「(その原住民達は後に授かった技術によりシャルザード王国を建国したのね...)」

 

 改めて記録を読み直していると、ドロップ・シップが揺れて着陸した

 事に気付き、ネフテュスは後部ハッチから降りていく。

 砂漠に足を着き、数歩進んだ先にある巨大な穴の前に立った。

 マザー・シップからのレーザーキャノンにより掘られた穴で、砂が

 高熱量で黒焦げになっており硬質化して崩れないようになっている。

 ネフテュスは捕食者達を引き連れ、その穴の中に入って降りて行き、

 最奥部に到達すると、聖地が目に入った。

 

 「ふぅーん...人間が造ったにしては見事なものね。

  これならそう簡単に壊れそうにないわ」

 

 そう称賛し、聖地へと足を運ぶ。数名の捕食者は万が一を考え、

 出入口付近で待機させた。

 通路を進んでいる際、足元に接地されている起動装置を踏まないよう

 注意して進んで行き、聖地の中央となる場所へ到着する。 

 そこは生贄を捧げる間だ。

 台座には白骨化した遺体が放置されており、恐らくかつて生贄として

 選ばれた人間達であるとネフテュスは察した。

 

 「ありがとう...貴方達の来世に祝福がありますように...」

 

 遺体の手に自身の手を添えて労ると、ネフテュスは室内の壁際へ

 移動して鍵穴を見つける。

 

 ジャキン

 ギャリッ ギャリッ

 

 それにリスト・ブレイドを差し込み、時計回りに捩る事で

 コントロールをリンクさせ、扉を開かせる。

 捕食者達にそこで待つよう指示して、その中へ入ると昇降機のような

 機構であるようで降下していく。

 位置としては聖地の遥か奥深くの地下となる場所まで降りた。

 光が全く届かないため、ヘルメットからの視界を頼りにネフテュスは

 奥へと足を進めると階段の前で止まった。

 

 ガゴン...

  

 ギ ギ ギ ギ ギ ギッ...!

 

 ガントレットを操作し、階段の最上段となる祭壇の上面が開いていき、

 吊されている鋭利な鎖が引き上げられていき、それが姿を現わす。

 ヘルメットのバイタルチェックを実行し、正常に冬眠状態であると

 わかりネフテュスは安堵して頷く。

 

 「...当日は沢山、産むのよ」

 

 ネフテュスは慈悲を与える様な笑みを浮かべて、そう言い残すと

 ガントレットを操作して先程と同じ状態にするため、下ろしてから

 祭壇の上面を塞ぐのだった。 

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