【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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 ロキ・ファミリアの遠征が決行される事を聞き入れ、ウラノスは

 ロイマンを下がらせる。

 ウラノスだけとなった空間。そこに亡霊の様に現われたフェルズが

 姿を現わした。

 

 「やはり仕掛けるようだな。

  彼らも一連の騒動に関わっていたのだから、必然と言えるか...」

 「ああ。我々が手に入れている情報以外の事を知るのに期待しておこう」

 

 これまでネフテュス・ファミリアの情報提供によりこれまで起きた

 様々な事態の根源を突き止めていた。

 エレボスの後釜としてイヴィルスを率いたのがタナトスであり、エニュオという

 謎の人物が支援しているという事だ。

 資金提供をしていたイケロス・ファミリアは捕食者達により壊滅し、

 イシュタル・ファミリアは抜けた事で恐らく資金調達の手立てが

 なくなり衰え始めるに違いないと伝えられた。

 報復、口封じとして雇われたセクメト・ファミリアもネフテュスが

 直接対面し、大人しくさせたので脅威ではなくなったとも言われた。

 

 「エニュオ...神々の言葉で意味するのは都市の破壊者。

  だが、その名を称する神は存在しない」

 「では、偽りの神だというのか?」

 

 フェルズの問いかけにウラノスは曖昧ながら否定した。

 確信が無い以上、判断するのは困難だからだと言う。

 

 「しかし、その名の通りであればイヴィルスと結託した目的は...

  オリヴァス・アクトが発した彼女なる存在の願いため、オラリオを破壊する事だろう」

 「彼女という存在が深層深部に潜んでいるのなら、目的は古代のモンスターと同じ地上への進出か...

  何にせよ、イヴィルスの企みは阻止しなければならない」   

 「ロキ・ファミリアが目指す深層59階層に必ずあるはずだ。

  一連の事件に繋がっていた、その鍵が...」

 

 フェルズが頷いている際、ヒタヒタと僅かな足音が聞こえてきて

 誰が来たのかすぐに察してフェルズはウラノスの前から少し離れた。

 

 「ネフテュス。何か新たな情報を得たのか?」

 「ええ。エニュオの正体を突き止めたわ」

 

 知れて当然のような口振りでそう言い放つネフテュスにフェルズは

 絶句する。

 またしても科学による未知の力で正体を明かしたのか、と思ったの

 だろう。

 

 「...何者だ?神を偽る人間か?」

 「いいえ、神で間違いはないわね。ただ名前を偽っているだけ...

  自分の神性を認めてもらうために、頑張っていた健気な神よ」

 「...奴か」

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 『それじゃあ、エイナ。これからもよろしくね』

 「...はい。ありがとうございました」

 

 姿の見えないレックスが窓から外へ出ていくと、エイナは窓を

 閉めた。

 鍵を掛け、先程まで座っていた椅子に座り直すとレックスから

 聞いた話を改めて整理し始める。

 

 「信じられないけど、事実みたいなのよね... 

  ...アーディさんに伝えた方がいいかな...?」

 

 内密にとは言われていないが、初耳となれば信憑性を持つのは難しいと

 考え、アーディに話すのは止めておく事にした。

 もうじきデナトゥスが行なわれ、ネフテュスも出席するらしく、

 話し合いの際、彼らについて話すと考えたのもあるのだろう。

 

 「...今度会えたら、何か楽しく話してみようかな...」

 

 そう呟きつつ、エイナは立ち上がると部屋を後にした。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 特訓開始から2週間と1日が過ぎた。

 ティオナは一度、地上へ戻るとキングコングに伝えた。

 レイから聞かされた話しによれば、遠征へ出発して当日になっても

 ティオナが戻って来なかった場合、ダンジョン内で合流するという事を

 視野に入れているらしい。

 それなら合流する方針にしようと思っていたティオナだが、ふと大量の

 お土産を持ち合わせているため、やはり地上へ戻ってホームにそれらを

 置いてから後を追うという事にした。

 しかし、ネフテュスが見せたいものがあるという誘いを受けた。

 遠征に行かなければならないが、捕食者に関わる事らしくどうしても

 気になったティオナは承諾して見に行く事にしたそうだ。

 ほぼ第一級冒険者でも油断すれば瞬殺されるようなモンスターを

 倒し続けてきたティオナ。

 実力からすればレベル6を既に越えており、捕食者に対抗出来る程だと

 思われ、キングコングはある場所へ案内してくれると伝えてきたので、

 ティオナはレイを連れてキングコングと共に下の階層へと降りていって

 いた。

 正確には70階層にある盆谷から垂直に落下している。

 

 「うわぁあああああああ~~~~~~~~~!?」

 「っ...!」

 

 落下している途中、渦を巻く光が見え始めてキングコングはティオナと

 レイが肩から落ちないように手で覆うと渦へ飛び込む。

 ティオナは意識が遠退いていると思う程、無音の真っ暗な空間をまるで

 自身が流星の様な速さになって進んでいるのがわかった。

 更にしていき加速していき、目の前を青や紫など様々な色をした火花が

 飛び散っているように見えて思わず目を瞑る。

 やがて、より一掃眩い光が閉じている瞼越しでも見え始めたとわかり、

 ティオナは目を開けてみると先程と同じ光の渦に迫ってきていた。

 渦へ飛び込み、抜け出すと洞窟に出てそのまま落下していくと、突如

 体が浮遊する様な感覚となって落下していく方向が真逆となり、上に

 落ちていく。

 

 「どわぁぁああああああ~~~~~~~~~!?」

 

 キングコングは地面に手を突っ込みアンカーにして落下速度を

 減速させていく。

 地面を抉りながらの減速は衝撃が激しく、振り落とされそうに思えた。 

 

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴォッ!

 

 ド ゴ オ ォ ォ オ オ オ オ オ オ オ オ ンッ!!

 

 減速していった事でキングコングは何とか突起していた岩を掴み、

 急停止する事が出来た。

 ティオナとレイは衝撃が収まったのに気付き、安堵して肩から

 降りようとするとキングコングが身を屈めてくれたおかげで、

 上手く着地した。

 

 「ここが目的地の階層なの?」

 「はい。ここは100階層ですヨ」

 「...100階層かぁ...」

 

 最早、人類が到達するのは不可能と思われる領域の階層である。

 地形は草木などの植物は一切生えておらず、青く光る黒い地面が一面に

 広がっていた。

 その黒い地面の正体はオリハルコンだ。100階層全域を覆っていると

 考えられる。

 周囲を見渡したティオナはあるものを見つけて、開いた口が塞がらなく

 なっていた。

 同じように青い光を発光させる無数のオリハルコンの塊が、雲のように

 浮遊していた。

 まるで今立っている地上と天井の岩山が上下に向き合う境目を表わして

 いるように見える。

 その幻想的な景色にティオナはため息を溢す。

 

 ゴフッ...

 

 「あ、付いて来てくださイ。ティオナさん」

 「う、うん」

 

 キングコングの後に続いて、ティオナとレイは坂道を登り始める。

 登っていくにつれて浮遊している無数のオリハルコンの塊に近づいて

 行き、頂上の崖にまで辿り着くと、キングコングが足を止める。

 

 「あれ?行き止まりだよ...?」

 

 フーッ...

 

 徐ろにキングコングはすぐ目の前にあったオリハルコンの塊を指先で

 突つく。

 

 コツーン...

 

 その塊は前方の岩とぶつかりながら天井へ飛んで行った。

 それを見て、ティオナはキングコングが何を伝えたいのか理解して

 無言で頷く。

 キングコングの隣に並んで崖の縁に立ち、タイミングを合わせて

 その場から飛び跳ねた。

 すると、オリハルコンの塊を越えた途端に体が天井へ引き寄せられて

 いき、岩山を削って作られた右手の形状をしている岩山にティオナは

 手を伸ばし、それに触れながら天井側の地面に足を着いた。

 

 「(これ、右手の形をしてる...)」

 「これはキングコング様が自ら作った目印でス。

  ここからでなければ、あそこへ戻る事は出来ないそうなのデ」

 

 自力で飛行して隣に着地してきた、レイがその岩山が何なのか教えて

 くれた。

 

 「そうなんだ。...というか、何であの岩みたいな塊が浮いてるの?」

 「さぁ...それは私にも...

  多分ですガ、あそこが浮くか浮かないかの境目になっていて、塊が浮いているようになっているのではないでしょうカ」

 「なるほど...それで、ここからどこに向かうの?」

 

 そう問いかけると、キングコングが手招きをして歩き始める。

 1歩1歩の歩幅が大きいため、ティオナはレイに運ばれていった。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 同じ色合いになっている天井側の地上を進んで行く途中、ゴロゴロと

 キングコングの足音とも違う轟音が聞こえ始めて、ティオナは前方を

 見据える。

 

 「...何、あれ...」

 

 視線の先に見え始めたのは、連なっている鋭く頂上が尖った岩山群。

 中央の一際目立つ最も巨大な岩山の上方には雷鳴を轟かし激しく稲光を

 走らせる雲が漂っており、巨大な岩山を照らしているようだった。

 近付いていくにつれて雷鳴が耳を劈き、軽い耳鳴りがしそうになる。

 巨大な岩山の山裾まで来ると、キングコングが足を止めたのでレイは

 ティオナを降ろす。

 キングコングは指を指して、ティオナに前方を見るように示した。

 

 「(...あれって、扉...?)」

 

 ティオナが見つけた通り、そこには扉が存在した。

 キングコングの身長よりも遥かに大きく、右側の表面には赤い手形が

 押されてあり、誰のものなのか一目でわかった。

 キングコングは扉に近付いていき、その手形に自身の手を重ねると

 重厚な扉が開かれる。

 

 ゴ ゴ ォォ オ ン...

 

 キングコングが中へと入っていきティオナとレイも後に続いていく。

 青い光がそこかしこに見え、上方の稲光と溶岩の赤い光でその中は

 照らされていた。

 周囲の壁は丸みのある三角形の彫刻が施され、11本の柱に囲まれた

 中央の柱の根元には玉座のようなものが見受けられる。まるでそこは宮殿のように思えた。

 

 「あそこにキングコングが座るの?」

 「はイ。時折ここへ弔いに来た際に、勝ち取った証として...」

 「弔う、って誰を?死んじゃったゼノス?」

 「はい...命を賭けた一騎打ちで...」

 

 最強と称されるキングコングと一騎打ちをしたというのなら、

 そのゼノスもまたとてつもない強さを誇っていたのだろうとティオナは

 固唾を飲んで思った。




この世界戦では映画よりも更に老化していたので敗北したという設定です。
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