【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

131 / 156
>∟ ⊦'' ̄、⊦>∟ ⊦ b'asto

 自室に戻る前に武器と装備の修理をビッグママに頼もうと鍛冶場に

 赴いた所、タイミング良くビッグママが通り掛かった。

 スカウト・シップの修理に向かおうとしていたそうで、僕は修理をして

 もらう事を伝え、授けてくれた銀の槍について話した。

 あの銀の槍はパラレルバースにある内の1つ、パラレル191112の

 世界に存在する金属で作られた武器であるとわかった。

 マンダロリアンという民族が装着するアーマーを構築するために

 使用されるベスカーという金属で、あの槍は非合法に製造したのだと

 推測されている。

 その銀河系で最も頑強にして、最も伝説的な金属の1つであるため

 本来の持つべきマンダロリアンに返還したと伝えると、ビッグママは

 それならよかった、と話しを理解してくれて納得した。

 そのマンダロリアンは僕と同じ名前であったので、恐らくその時空に

 存在する僕の同一人物だったのだと思う。

 マンダロリアンだけでなく、他にも様々な別時空の僕と出会った。

 弟子と詩人と共に旅をしていた、指輪の魔法使いと呼ばれる僕。

 巨大な自足兼搭乗型兵器に乗るパイロットと呼ばれる僕。

 赤、白、黄色など様々な形態に変形する鎧を纏う僕。

 何かしらの事故により、森で遭難していたマスターと呼ばれる僕。 

 ポケモンというモンスターを引き連れていた僕。

 そして、英雄に憧れ、呆れるくらい愚かで純粋な心を持っていた僕など

 それぞれ僕とは似ても似つかない性格の違いがあり、混乱する事も

 あったが滞在中はその世界での案内人として協力してくれたりしたのは

 忘れる事はない。

 ビッグママに翌日の事について応援してもらい、僕は別れた。

 自室に戻り、ベッドに腰掛けると深く息を吸い込みながら心身を

 落ち着かせる。

 この世界での地球上は9日間程度の時間しか経っていないが、様々な

 パラレルバースを行き来していた僕にとっては体感で1ヶ月分の時間を

 過したような感覚となっている。

 地球上と宇宙空間での時差はほぼ皆無だが、ワープドライブ時の

 超光速移動によって地球上での時間よりも速く動くために大幅な時差が

 生じる。

 なので、1ヶ月という時間を僕は9日間の内に過しているという

 解釈になる

 ...その間にティオナという少女も強くなったのか気になった。

 しかし、明日は僕の尊厳を確立するための儀式が始ると考えるのは

 止め、そのまま横になる。

 座ったままの姿勢で眠る事が多かったため、すぐに眠気が強まって

 僕は眠りに就いた。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 「ダフネちゃん...どこかに行くの?もう夜なのに...」

 『大事な用事があるからさ。明後日まで戻らないと思ってて』

 「う、うん...」

 

 アポロン・ファミリアのホームから抜け出し、ダフネは夜の街を

 駆け抜けて森林の中へと入って行く。 

 クローキング機能で見えなくなっているドロップ・シップを見つけて

 乗り込むと、開いていた後部ハッチが閉じていきエンジンが始動した。

 上昇していくため揺れが生じ、貨物室に様々な生物の鳴き声と檻を

 蹴りつけ、噛み付く音が響き渡る。

 

 『ゴルルルルルルルルッ...』

 

 ダフネが上げた唸り声で、瞬時に押し黙らされる。

 静かになるとダフネはコックピットへ向かおうとしたが、ある物が

 目に入って足を止めた。

 それは複数個のコールドスリープ装置だった。

 中には既に人が入っていて、装置の機能により睡眠状態となっている。

 

 「(...どういう事?)」

 

 ダフネはそれを確認し、疑問に思いながら貨物室を通り抜けて

 コックピットに着くと操縦席の後ろに立ってルノアに話しかける。

 このドロップ・シップは旧式の船体とは違い、全て3Dコンソールの

 操縦によって行なわれているのだ。

 

 『人間を使う予定はなかったんじゃ?私以外に』

 『ケルティックの伴侶候補を襲って来た奴らの生き残りだから、粛清も含めて利用するの。

  まぁ、あの子も多い方がやる気は上がるんじゃない?』

 

 自分にはわからないという意味を込め、ダフネは鼻息を溢した。

 

 『そういえば、あの子にも伴侶候補が居るってスカーが言ってたっけ。

  ロキ・ファミリアのティオナ・ヒリュテがそうみたい』

 『フーン。いいんじゃない?惚れ込んだ人なら、それでも』

 

 他愛もない話をしている内にドロップ・シップはオラリオから数K離れた

 南東上空を飛行し、間もなくカイオス砂漠に着陸する。

 後部ハッチから2人は降り、ゴーグルで以前に開けた大穴を隠している

 ハイドシートを見つけると、端を掴んで引っ張り剥がした。

 大穴の状態を確認し、下っていけると判断したので貨物室から檻を

 ホバーシステムを使用しながら下ろしていく。

 

 『これで最後。後は任せていい?』

 『うん。お疲れ様』

 『...死なないとは思うけど、気をつけなさいよ』

 『わかってる』

 

 拳を眉間に当て、お互いに承認の仕草を見せるとそれぞれ反対方向へ

 歩いていく。

 ルノアはドロップ・シップへ乗り込み、ダフネは大穴を通って檻を

 運んでいくのだった。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 その頃、ティオナは何度目かになるゼノス達との宴を楽しみ終え、

 出入口で見送られていた。

 背中に大量のお土産を包んでいる竹籠を背負って。

 

 「じゃあ、またね皆!レイ。ミネストローネ、すごく美味しかったよ」

 「はイ。ありがとうございまス」

 「捕食者との再戦、楽しみに待ってるからな!」

 「うん!」

 

 力強く頷いてティオナは出入口へと入って行く。

 すぐに20階層の通路に出ると、レイから手渡されたシフターを

 手順通りに起動させる。

 ティオナが戻って来る前にアレックスから預かっていたものらしい。

 姿を消したティオナは急いで地上を目指して駆け上がっていった。

 

 「(すごい...走るのが前より速くなってる...!

   ベートより速いかも!?)」

 

 そう思いながらあっという間に18階層まで上がって来られた。

 深夜にも関わらず賑わっているリヴィラの街を姿は見えないのだが、

 誰にも見つからないよう通り抜ける。

 やがて円筒状の空間に合わせて作られた螺旋階段を登り、1階層の

 出入口まで走るとすぐに外へ出た。

 

 「...はぁ~~~...すぅ~~~~~っ...ふぅ~~~...」

 

 新鮮な地上の空気を吸い込んでティオナは自然と安堵する。

 広いとはいえ、長らく閉鎖的空間に居た影響があるのだろう。

 そして、黄昏の館ではなくアストレア・ファミリアのホームへと

 向かった。

 宿に泊まってしまっては大騒ぎになるのは確実なので、アストレアに

 頼んだ所、快諾してくれたので星屑の庭で宿泊させてもらう事になって

 いるそうだ。

 ティオナは道を使わずに屋根を伝って星屑の庭まで飛び跳ねて、すぐに

 到着した。

 

 「(えっと...3回ノックして2秒空けて、また3回、と)」

 

 コンコンコンッ...コンコンコンッ

 

 ティオナであるとわかるように伝えられた合図だ。

 すると、アリーゼがドアを開けて出てくると周囲を見渡す芝居をする。

 首を傾げる仕草が入る指示であり、ティオナはそそくさとアリーゼの

 横をすり抜けて入ろうとするが、竹籠が引っ掛かってしまう。

 慌てて強引に引っ張ると、ドアが動いた反動でスポッと抜けてしまい

 後方へ仰向けに倒れてしまった。

 

 ...ヴゥウン...

 

 「...はぁ~~」

 「ティオナ、お疲れぇえええええええええええええええええ!?

 「うわぁ!?」

 「ア、アリーゼ!?どうしましたぁあああああああああああ!?

 「うるせぇなぁああああああああああああああああああああ!?

 「...」

 

 シフターを落したと同時に、姿が見えるようになると、ティオナの

 成長した姿にアリーゼは叫ぶ。

 全く同じ声量の叫び声をリューとライラも上げて目が飛び出そうな程、

 驚愕した。 

 そうなるも当然、というよりもならない方がおかしいと言える。

 輝夜は自身の性格上、素面で絶句しているに違いないが。

 

 「...ティ、ティオナだよ、ね?」

 「そ、そうだよ。ビックリするとは思ってたけど...

  そこまで大声出さなくても」

 「いやいやいや、何がどうなってそんなデカくなれるんだ?

  変なもんでも食ったんじゃないよな?」

 

 食べた物について問いかけられたティオナは竹籠を背中から下ろすと、

 ゴソゴソと中身を探り、ミルーツを見せながら答える。

 レイが教えてくれた説明をそのまま答え終えたと同時に、アリーゼ達は

 一斉に自身の胸を触って、だからかぁ!と言った。

 それぞれの胸をよく見ると、一回り育っていたように見える。

 

 「サイズが合わなくなったと思ったら、それを食べたからなのね!」

 「何かの病かと心配していましたが、原因がわかって安心しました。  

  動く度に重みを感じるので困惑していたものですから...」

 「少し寂しかった胸が育って大喜びしていた貧乳エルフがよく言う」

 「ああ、部屋の鏡の前でずっとモミモミ揉んでたエロ・リオンがな」

 

 輝夜とライラの発言に忽ちリューは全身を真っ赤にさせて、羞恥心の

 あまりその場から逃げ出した。どうやら図星だったようだ。

 そんなリューの行動にティオナは痛い程、気持ちを理解出来た。

 

 「(気持ちはわかるよ、リオン。あたしもやってたから...)」

 「でも、それを食べ続けてたらホントにそうなったの?」

 「あ、う、うん。そうそう。

  育ったってわかったのは胸当て布が破れて、レイに言われてから気付いたよ」

 「ほほ~...。...ん~、アストレア様程だと動きにくくなるかな...?

  ティオナ、そこのとこどう?」

 「あたしはこの格好だから動けるけど、多分キツイと思うよ」

 「やっぱそっかー。じゃあ、やめとこ」

 

 真面目な返答にアリーゼは潔く諦めた。

 ライラと輝夜はアリーゼに呆れて、ため息をつく。

 デカければいいというものではない、と言いたかったのだろう。

 そうして件のアストレアが近寄って来て、ティオナに話しかける。

 

 「ティオナ、よく頑張ったそうね。

  今日はゆっくり体を休ませるといいわ」

 「うん、ありがとう。アストレア様」

 「ええ。...ところで、皆?

  さっきリューがすごい勢いで自室に駆け込んでいたけど...」

 「「「気にしなくていいですよ」」」

 「そ、そう...?」

 

 異口同音の返答にアストレアは頷くしかなかったのだった。

 尚、リューはベッドの上で毛布を被ったまま自身の行動を思い返して、

 再び恥ずかしさが込み上げて悶えてしまっていた。




今まで書いてきた短編(メジロアイズは除く)は伏線だったのでした。
尚、FGO時空のベル君は別シリーズで書きます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。