【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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>∟ ⊦'' ̄、⊦>'、< Kainde amedha-Dogu

 先端が鋭利な尻尾を振るってきて、僕は顔を仰け反らせ回避する。

 尻尾の先端にぶつかった柱の一部が粉々に砕け、粉塵が舞った。

 虫は再び尻尾を振るおうとするが、僕は先制して、リスト・ブレイドを

 突き出し、動きを止めさせた。

 今度は僕が前へ出て、頭部を蹴り付けようとするが虫は素早く動き、

 僕の背後へ回り込んで来る。

 背中から尻尾を突き刺そうとしている。

 この攻撃でチョッパーがやられかけたんだ...!

 そう判断し、バーナーのオートエイムによる追尾機能で虫に合わせると

 プラズマバレットを発射する。

 

 フォシュンッ!

 

 しかし、先程の個体のように不意討ちは通用せず、動きも速いため

 命中はしなかった。

 宿主の性質を受け継ぐ生態なので、恐らく生贄に捧げられた宿主は

 それなりに強かったのだろう。

 僕が振り返る時には、口を開いて吠えながら尻尾を左右に揺らし、

 僕を惑わせようとしていた。

 そんな間抜けな手に引っ掛かるつもりはない。

 そう思いながら、リスト・ブレイドを振り翳して攻撃を仕掛ける。

 

 ヒュンッ! ビュンッ!

 

 パシィッ!

 

 ところが、遠心力により頭上から一気に下へ振り下ろされた尻尾が

 僕の足に引っ掛かり、仰向けに転倒してしまった。

 それを狙っていたかのように虫は飛び掛かってくる。

 虫が僕の上に乗って押さえ付けてくると同時に、尻尾の先端が僕の顔に

 突き刺さりそうになるが、咄嗟に体を捻らせて躱す。

 

 ド ス ンッ!

 

 尻尾の先端は床に深々と突き刺さり、抜けなくなったのか虫は僕の

 上で暴れているだけだった。

 僕はリスト・ブレイドの向きを変えて、先端を斬り落とそうとする。

 ...いや、ダメだ。ケルティックがこの手段で厄介な事になったと

 言っていた。

 なので、その教訓として押し退けた方が最善だと言われたのを

 思い出す。

 

 ド ガ ァ アッ!!

  

 僕は教訓通り、虫を押し退けてその場からすぐに離脱する。

 

 ギ シャ ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア アッ!!

 

 虫は未だに尻尾が抜けないのか動けずにいて、僕を威嚇しながら

 近付いて来ないようにしているとわかった。

 ...近付く必要もない。こうしてやる。

 

 フォシュンッ!

 

 ド パ ァ ァ ァ ア ア ア ンッ!!

 

 バーナーで頭部を狙い撃ち、死骸となった虫はその場で横倒れとなる。

 肩の装甲に砲身を収納し、リスト・ブレイドも収縮する。

 ここで2体を狩る事に成功した。僕は最初に殺した虫に近付く。

 

 シュウゥゥゥ...

 

 死骸がスッポリと入る程の穴が周囲には出来ていて、白煙が立ちこめて

 いる。

 床を溶かした強酸性の体液は虫が死ぬ事で中和され、数分もすれば

 溶解しなくなる。

 最も、水中若しくは雨が降る中では強酸は著しく弱まり、溶解の効果は

 無くなるという実態をウルフが発見した。

 水中で虫と出会した際、漂う体液に触れても融解しなかったからだ

 そうだ。

 その事から強酸性の体液には細菌が存在し、水温か水分そのものに

 耐性がないため、細菌は死滅し強酸性でなくなると考えられている。

 なので、装備には耐酸加工として空気中の水分を付着させているという

 機能が全てに搭載されている。

 僕は虫の死骸の種類を確認した。

 どちらも、同種のゼノモーフ・バトルだ。

 ウォーリアーを元に品種改良されており、フェイスハガーによって

 宿主に寄生したチェストバスターの脱皮をするまでの成長過程が短く、

 鉤爪の生えた指は5本から4本、呼吸器官となる背中の突起物は5本で

 両足は蹠行性となっている。

 この種類は大抵、ヒューマノイドタイプの生命体から生まれるので

 宿主は生贄に捧げた人間であると思った。

 

 カカカカカカ...

 

 僕は残る獲物を狩るため、通路の先へと進んで行った。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 「...エイリアンってモンスターじゃないの?」

 

 捕食者とゼノモーフの戦いを夢中になって見ていたティオナは、

 そう問いかける。

 明らかにモンスターとは異質で、この世の生き物とは思えない異形の

 姿をしているからだ。

 ネフテュスは頷き、ティオナにゼノモーフについて話し始める。

 

 「ええ。地球には本来生息しない生物だもの」

 

 ガントレットを操作し、最も最古の原種とされるエイリアンの全身を

 立体映像で映し出した。

 ディーコン、別名プレエイリアン。

 先程、捕食者と戦闘を繰り広げたゼノモーフより小柄で後頭部が

 尖っており、呼吸器官の突起は背中に生えておらず灰色の体色で、

 歯茎を覗かせている口が特徴的である。

 

 「これが始祖となる個体でディーコンと呼称されているの。

  いつ何処で、どの様な進化を得てこの個体があれになったのか...

  それはわからないけど、ディーコンが原種であるのは間違いないわ」

 「...確かに、似てるね...」

 

 ティオナはディーコンの姿を脳裏に思い浮かべているゼノモーフと 

 比べてみて、若干異なるにしろ似ていると思った。

 

 「...捕食者が強すぎるのかもしれないけど...

  エイリアンも、間違いなく強いよね?」

 「ええ。もっと言えば...

  貴女が狩り続けていた程の大型は厳しいけれど、少し大きいくらいのなら1匹でも数百匹は殺せるわね。

  クイーンは卵を永久に卵を産み続けるから100匹となると...」

 「そ、そんなヤバイ生き物なの...!?」

 

 自分達でもその数を倒す事は確実に不可能だと固唾を飲む。

 以前に遭遇した腐食液を吐き出す新種のモンスターからも逃げる事しか

 できなかったように、ロキ・ファミリアでも危険行為は回避する事を決めて

 いるのだ。

 尚、キングコングとの特訓でティオナが倒したモンスターの数は

 50匹以上とされている。

 2週間で凄まじい強さを誇るモンスターを半数まで倒しているのは

 異常と言える圧倒的な撃破率だが、それに伴ってゼノモーフの脅威さも

 計り知れないとティオナは思った。

 超大型を除く前提として1体だけで数百匹という信じられない数を

 倒すと言われるゼノモーフが、もしも地上に出てしまったら...

 そう考えたティオナは問いかける。 

 

 「もしも...この聖地から逃げ出したりでもしたら」

 「大丈夫よ。成人となるために狩るのは7匹でクイーンがそれ以上産ませないようにして、何より次にクイーンとなる個体は産ませない対策もしてあるわ。

  それに生贄も7人しかいないから、どちらにせよ増えないし今回の儀式が終わり次第、聖地諸共消滅させるわ」

 

 それを聞いてティオナは安堵すると同時に、生贄という言葉が耳に

 入ってハッとネフテュスに詰め寄る。

 

 「生贄って、まさか...人を利用しているの...?」

 「そうよ。人間だけじゃなくて、モンスターも...

  あぁ。ゼノスじゃないから安心して?

  人間も命を奪い続けてきた暗殺者だから...構わないでしょう?」

 

 道徳的に考えれば、それは正当な理由での死刑ではなくて傀儡として

 他人に殺害される事と言える。

 しかし、イヴィルスの件もあってかティオナはネフテュスの言い分に

 何も言い返せなかった。

 命を奪い続けてきたという犯罪歴があるのなら、イヴィルスの使者と

 同様に死刑か終身刑となる可能性もある。

 善良的な行為ではないが、快楽を求めるために殺めた訳でもない。

 そう考え始めると、益々どう答えればいいのかわからなくなり、

 思わずネフテュスに背を向けてしまった。

 

 「...彼らが何故、内臓を抜き取って生皮を剥ぐのか...知りたい?」

 「...!...うん。お願い」

 「それじゃあ...」 

 

 ネフテュスは再びガントレットを操作し、ヤウージャの歴史について

 話し始めた。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ...

 

 僕はある1室へ入り、別の通路へと通じる出入口に入ろうとした

 瞬間、出入口の床が上り始めた。

 更には他の出入口も塞がれていき、その部屋に僕は閉じ込められて

 しまったようだ。

 僕は周囲を見渡して部屋から出る方法はないかを探していると、鍵穴を

 見つける。

 リスト・ブレイドを差し込んで捻れば開くはずだ。

 

 ピロン ピロン ピロン ピロン

 

 そう思って近付こうとした矢先、虫が背後から迫って来るのを察知して

 振り返った。

 

 ギ シャ ァ ァ ァ ア ア ア アッ!!

 

 武器を使うのは間に合わない。そう判断した僕は敢えて虫に突進した。

 虫は思いの外、重量がなかったのでそのまま壁に激突する。

 粉々になった壁の破片が飛び散り、虫も地面に横たわるがすぐに

 起き上がって僕から距離を取った。

 背中の呼吸器官である突起が無く、指の本数が6本で足は趾行性と

 なっており茶色い体色をしている。

 ...こいつは犬のモンスターの性質を持っているんだ。

 数十分前に戦ったゼノモーフよりも素早いため、動きを止めて仕留める

 対処法をヴァルキリーが教えてくれた事があるので、それを実行しようと

 決めた。

 犬の虫は尻尾を振り回し、飛び掛かる隙を狙っている。

 

 ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ

 

 僕はエネルギー・ボアを手に取り、エネルギーで形成されている鎖を

 伸ばして輪を頭上ではなく体の横で回す。

 こうすれば反対側の方から攻めてくるはずだ。

 すると、犬の虫は予測通り、エネルギー・ボアを回転させてない側の

 方へ移動し、すぐに飛び掛かってきた。

 僕は横っ飛びになりながら、頭部を通過させるために広がるよう

 調整して輪を投げ飛ばす。

 見事に輪が虫の頭部を通過し、ボタンを押して輪を縮めてキツく

 締め上げた。

 

 ギ シャ ァ ァ ァ ァ ア ア アッ!!

 

 犬の虫は首に巻き付いている鎖を解こうとするのを見て、強力な

 電流を鎖に流す。

 稲妻が走り、犬の虫の全身を包み込むと痙攣を起こし始める。 

 しばらくして暴れていた犬の虫が動かなくなり、腕や足の関節から

 白い煙が噴き出していた。

 ...今だっ...!

 

 ズル ズ ズ ズ...

 

 ドシュッ...!

 

 電流を止め、エネルギー・ボアを引っ張りそのまま足元まで引き寄せて

 エルダーソードを引き抜くと、トドメに頭部へ一突きする。

 ピクピクと手足を動かしていた犬の虫は完全に沈黙し、絶命した。

 エルダーソードを引き抜くと、体液が付着していたので振り払ってから

 収める。

 そして、僕は鍵穴に近付くとリスト・ブレイドを差し込んで捻る。

 

 ゴ ゴ ゴ ゴッ...

 

 すると出入口の床が下がっていき、通路へ向かう事が出来るように

 なった。

 僕はリスト・ブレイドを収縮し、通路へ向かう。




VSゼノモーフ・バトル 2kill
VSゼノモーフ・ドッグ kill

ここで映画シリーズのエイリアンは終わりで、次からのエイリアンはとんでもないです。
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