【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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>∟ ⊦'' ̄、⊦>'<、⊦ Snwewku|Batto

 通路を進んで行くと、壁や天井が広がっていくのがわかった。

 壁の窪みには白骨化した人間のミイラがいくつもある。

 偶然ここへ迷い込んで息絶えてしまったのか、或いは見せしめなのかは

 分からないが、そこに収まるように入っていた。

 しばらく進み続け、突き当りに差し掛かろうとした時だった。

 

 ピロン ピロン

 

 背後から...違う、上だ...!

 見上げると同時に飛び降りてくる影が見え、僕は前転をする要領で

 前方へ回避する。 

 すぐさま振り返り、その正体が目に入った。

  

 シャ ア ァ ァ ァ ァ ア アッ!

 

 

【挿絵表示】

 

 

 今まで殺した個体よりも大きく、何より形体が異なっている虫だ。

 口の左右に巨大な牙が生え、手足が無く、全身は正しく蛇のそれで

 頭部の下が楕円形の皮膜で鎌首に見えており外側の縁には12本もの

 鉤爪が上から順に動いていた。

 ゼノモーフ・スネーク。

 蛇の性質を受け継いだ事で、異色の姿になっているんだ。

 以前に見た記録では蛇の性質が15%だと上半身は虫のままで、

 下半身が蛇の尻尾となるような姿をしていた。

 こいつはその反転した感じだ。

 蛇の虫は口内から第二の口顎となるインナーマウスを伸ばし、尻尾を

 前後左右に勢いよく揺らしながら威嚇をしてくる。

 

 フォシュンッ! フォシュンッ!

 

 僕は手始めにプラズマバレットを撃ち放つ。

 蛇の虫は上半身を捻らせて2発とも回避し、仕返しとばかりに口から

 強酸性の体液を放射状に吐き出してくる。

 鎧には耐酸加工を施してあるが、僕自身に触れたら危険なため後方へ

 下がりながら、スマートディスクを手に取ると起動させて投げ飛ばす。

 そちらも耐酸加工は施してあるため、浴びても溶解される事なく 

 蛇の虫へ接近していく。

 

 シャ ア ァ ァ ァ ァ ア アッ!

 

 だが、体を屈ませて回避すると、蛇行しながら僕へ向かって来た。

 スマートディスクを戻すのも間に合わない上、バーナーの照準を

 合わせるのにも遅れが出ると判断して、自分自身で狙い撃とうと右手に

 スピアガン、左手にハンドプラズマキャノンを取った。

 

 バシュンッ! バシュンッ!

 

 1発でも命中すれば致命傷となるので、弾数を数えながら撃ち続けた。

 当たらなければ...あの手段でいこう。

 蛇の虫は床だけでなく壁や天井を這い、縦横無尽に動き回っていくと

 徐々に僕の目の前まで迫ってきた。

 口を大きく開き、再び体液を吐き出そうとしている。

 弾数は残り1...やるしかないか。

 僕は蛇の虫の足元に最後の1発を撃ち、動きが止まった所で接近すると 

 スピアガンを突き出し下顎に銃口を押し当てたまま、引き金を引く。

 

 ドシュッ!

 

 スピアが下顎から上顎の裏側まで突き刺さって強制的に口の開口は

 不可能となり、これで体液を吐き散らす事はなくなった。

 蛇の虫は焦り、困惑しているのかその場で暴れ始める。

 僕はプラズマバレットを撃とうと、バーナーの砲口を蛇の虫に向けたが

 突如として蛇の虫は、凄まじい速さで僕に向かって来た。

 どうやら激情して暴走状態となったらしい。

 鎌首にある鉤爪を全て広げて、口の左右にある牙を大きく開けながら

 噛み付こうとしてくる。

 僕は咄嗟にスピアガンを横向きに突き出し、その牙に噛ませると右側の

 壁へ跳ねた。

  

 ミシミシミシィッ...!

 

 バキィィンッ!

  

 強靭な顎の圧力によりスピアガンは破壊されてしまった。

 バラバラになった破片と弾丸となるスピアが混ざり合いながら、床に

 散らばる。

 僕は足元に転がってきたスピアを拾い、蛇の虫の背後へ回ると尻尾を

 掴み上げて、全体重を掛けながら引っ張る。

 

 ドガァッ! ドガァアッ! ドガァアアッ!

 

 その場で振り回し、左右の壁に頭部をぶつけてから通路の先へ蛇の虫を

 投げ飛ばした。

 蛇の虫は体勢を崩したまま地面に転がり、横たわって隙を見せる。

 僕は近付こうとはせず、蛇の虫が鎌首を擡げるのを待った。

 

 ヒュ ロ ロ ロロロ ロ ロッ...!

 

 そして、ゆっくりと蛇の虫がそうしたタイミングを見計らって

 レイザーディスクの戻って来る飛行速度を速めた。 

 蛇の虫は風切り音に気付き、振り返るが既に遅く左側の鎌首を縦に

 斬り裂く。

 

 ドパァッ...!

 

 ジュウウゥゥゥゥ...!

 

 斬り裂かれた断面から体液が大量に噴き出し、壁や床を融解する。

 僕は戻ってきたスマートディスクを掴み取ると、次にシュリケンを

 投げ飛ばして反対側の鎌首も斬り裂いた。

 鎌首を失った蛇の虫はその場で激痛に悶えているようで、動かない。

 シュリケンを回収してからガントレットを操作し、そのガントレットの

 一部がせり出して発射口が出現する。

 今回、新たに武器として装備したプラズマボルトだ。

 左腕を突き出して操作をリンクさせたヘルメットにより、発射口から

 高熱ボルトを蛇の虫に射出した。

 

 ギュ オ ィィ ンッ!

 

 高熱ボルトは頭部を貫き、蛇の虫はインナーマウスを伸しながら

 絶命する。

 左腕を下ろしながらせり出した部分を収納し、僕は息をついて蛇の虫の

 死骸を通り過ぎ、突き当りがある方へ向かった。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 通路を抜けると広い空間に出た。

 周囲を見渡し、我が主神や皆が観戦している闘技場ではなく別の所だと

 わかった。

 残るは3体。最後の1体は必ず闘技場で戦うと説明されているので、

 2体は道中で倒す事になる。

 だとすればここで遭遇してもおかしくはないと思い、僕は周囲を

 警戒する。

 

 ピロン ピロン ピロンピロンピロンピロンピロン...

 

 反応が急速に近付いて来る...!

 振り返るが姿は見えない。どうなって...また上か...!?

 

 キ ィ ィ ィ ィ ィ イ イ イ イッ!

 

 そう思った時には何かに両肩の装甲を掴まれ、そのまま宙に浮く

 感覚となる。

 視界が上下左右に揺さぶられ、状況判断がつかない。

 掴んでいる足らしきそれを強引に引き剥がし、僕は約20Mの高さから

 落下していく。

 地面に足が接地する寸前にブーツの衝撃吸収機能によって、難なく

 着地するとすぐに獲物の姿を捉えようとする。

 

 バサァッ! バサァッ!

 

 キ ィ ィ ィ ィ ィ イ イ イ イッ!

 

 

【挿絵表示】

 

 

 見えた。あれは...蝙蝠か。

 体色は赤紫色で長い頭部の両側面に沿って窪みがあり、中央は

 青みがかっている。

 両腕は蝙蝠の翼となって、猛禽類などに見られる三前趾足の指には

 鋭い爪が備わっている。

 翼を折り畳んで急降下し、再び捕まえようとしてきた。

 それを察して僕はその場から退避する。が...

 

 ザブッ!

 

 『グゥッ...!』

 

 通り過ぎる間際に振るってきた尻尾の先が僕の腕を斬り付けた。

 床に血が飛び散り、生暖かい感触が腕を垂れているのがわかる。

 ...腕は動く。大した事はないな。

 そう自分に言い聞かせているが、実際の所かなり深い。

 ここで一度撤退し、治療を行なおうかと思ったが...

 最後の1体以外の6体は単なる腕慣らしでの相手に過ぎない。

 それなら、この傷ぐらいで退けはしない。

 蝙蝠の虫は頭上を旋回しながら様子を伺っているようだ。

 飛行するなら...地面に引き摺り下ろせばいい。

 僕はガントレットに装備しているネットランチャーを用意し、飛び交う

 蝙蝠の虫が向かって来るのを待った。

 向かって来る際、撃ち落とせるようにバーナーも照準を合わせておく。

 

キ ィ ィ ィ ィ ィ イ イ イ イッ!

  

 来た...まずはバーナーからだ。

 ネットランチャーはガントレットに装備してある3発、個別の武器で

 5発を発射出来る。 

 

 フォシュンッ! フォシュンッ! フォシュンッ!

 

 プラズマバレットを連射するも、蝙蝠の虫は全て回避する。

 標的から外れたプラズマバレットは壁に被弾し、破片を飛び散らすと

 床に落下してきた。

 空間内を響き渡る炸裂音は蝙蝠の虫の羽ばたく音に掻き消される。

 蝙蝠の性質を持っているなら、エコーロケーションで回避しているに

 違いない。

 そもそも虫の目は頭部そのものなので、全方位を常に見ている。

 どこから撃たれようがプラズマバレットを回避するのも、この虫に

 とっては余裕なんだろう。

 それなら...これは避けられるか...!?

 

 シュピンッ! シュピンッ! シュピンッ! シュピンッ!

 

 シュリケン・ダーツ。これも今回のために追加した装備だ。

 増設された機構から小型のシュリケンが複数射出され、蝙蝠の虫へ

 向かっていくと背中に突き刺さる。

 流石に小さい物体であれば回避は難しいようだ。

 蝙蝠の虫は背中から体液を垂らしながら飛び続けているが、先程よりは

 飛行速度が鈍くなっている。

 次に来た時を狙えば...

 そう思っている最中、蝙蝠の虫は僕の方へ向かって来た。

 

 ...パシュンッ!

 

 僕はギリギリまで近付かせ、数Mまで来た所で左腕のガントレットを

 突き出すと同時にネットランチャーを発射した。

 ネットランチャーが蝙蝠の虫の全身を包み込んで、動きを封じ込める

 事に成功し、僕は体を翻して落下してくる虫を回避する。

 蝙蝠の虫はネットの中から抜け出そうと藻掻いているが、ワイヤーは

 頑丈で尻尾の先、鉤爪、インナーマウスでも破けはしない。

 刀を引き抜きながら近付くと、ネット越しに蝙蝠の虫の頭部を鷲掴みに

 して持ち上げた。

 

キ ィ ィ ィ ィ ィ イ イ イ イッ!

 

 ...黙れ

 

 ザシュッ!...ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!

 

 刀を突き刺して引き抜き、また突き刺しては引き抜く。

 ワイヤーが切れた箇所から体液が噴き出し、足元に飛び散るが

 気にせず突き刺し続けた。

 やがて動かなくなったので手を止め、蝙蝠の虫を見る。

 ...死んだ。

 そう思いながら死骸を地面に投げ捨てて刀に付着した体液を振り払い、

 収納する。

 傷の具合を確認すると、まだ出血はしているがこれくらいなら

 問題ないと判断して、別の出入口へ向かった。




ゼノモーフ・スネーク kill
ゼノモーフ・バット  kill

自分の画力ではこれが限界なのでご勘弁を。

どちらのゼノモーフもこの小説オリジナルではなく、既存の種類です。
ゼノモーフ・スネークはスペース・マリーンのコミックにて初登場し、1993年に発売されたAVPのゲームやネカという会社からもフィギュアとして発売された事があります。
バットも1995年に発売されたゲームの中ボスで登場しました。
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