【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか 作:れいが
『あっという間に5体目...アイツ、傷は治療せず続ける気か?』
『さぁ?もしかしたら、最後の1体を狩る前で治すんじゃないの?』
そう予想しつつルノアは答え、立体映像に映っている通路を進んでいく
様子を見ていた。
バトル、ドッグ、スネーク、そしてゼノモーフ・バットを狩る事に
成功し、このペースは自分よりも尋常ではない程、早いとその実力に
感心する。
その反面、これまでの成長過程を考えて明らかに人間離れしていると
理解不能な身体能力に呆れも含まれていた。
レックスも呆れてはいないが、驚きを隠せずにいた。
『あの子...また強くなってるわね...』
『まぁ、他のパラレルバースで獲物を求めに行ってたって話しだし。
あれくらいなら妥当でしょ』
『...そうなのかしらね...』
どこか不安げに答えるレックス。スカーは何故、彼女が不安がって
いるのか首を傾げた。
すると、レックスはある事をふと思い出して話を持ちかける。
『そういえば、別の自分と出会ったってビッグママから聞いたんだけど...
別人のあの子ってどんな感じだったのかしらね?』
『別のアイツか?ん~...
こう、特殊部隊として身体能力、遺伝子学的、技術的に優れた装甲宇宙服着て異星人連合と戦ってたそうだな』
オリーブグリーンの一着あたり小型宇宙艇一隻と同等のコストとなる
動力源が小型の核融合炉を内蔵しているスーツを身に纏い、敵から
奪った、柄の部分から伸びる磁力線により成形される超過熱された
プラズマのブレードとアサルトライフルを両手に構える姿が
イメージされた。
『私は緑の勇者の服を着て同じ色の帽子を被って、選ばれし者しか抜けない剣と青い盾を持ってるエルフだから耳が尖ってるのを想像した。
あと、変な被り物した魔物の少女がサポートパートナーなのも』
白い髪から覗くエルフ特有の長い耳に緑のとんがり帽子とチュニックを
着た、群青色の翼を模したような柄の青白く光る剣身となっている
退魔の剣に、黄金の聖三角は装飾された青い盾を構える姿が
イメージされる。
『ウチは種類は問わないけど地球外生命体とのトラブルを解決する目的で創立された組織に所属してそうなのは居ると思う。
その地球外生命体を見たら隠匿のためにピカッて光る記憶でっち上げ装置で記憶を改竄するようなね。
相方は...年いってるおっさんかな』
黒いサングラス、黒い背広、黒いネクタイ、黒い靴下、黒い革靴と
背広の下が白いシャツのみで他は全て黒尽くめの容姿をしており、
銀色の銃を構えている姿がイメージされる。
『案外、皆って想像力豊かなのね...
私は...。...未知なる力を持った蜘蛛に噛まれて、その力を授かったから大いなる責任のために赤と青のスーツを着て、オラリオを守ってる...
みたいな感じがいいわね』
『『『お前(レックス)(アンタ)も大概想像力すごい(な)(じゃないの)...』』』
と、それぞれが別次元に居るとしたらという想定での捕食者を
言い合っていると、ケルティックが立体映像に注目するよう促した。
どうやら、次のゼノモーフと戦うようだ。
『見た目からして雄牛...ミノタウロスから産まれたのね』
『正解』
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ギ シャ ァ ァ ァ ア アッ!
雄牛の虫は不規則に曲がっている角を突き出し、勢いよく突進して
きた。
犬の虫と同様に後ろ脚が趾行性の4足歩行で移動するようで、
今までの虫よりも真っ直ぐ進む速度が速い。
僕は1Mまで接近させ、蝙蝠の虫を捕縛した時と同じ対処法で
回避する。
雄牛の虫はそのまま通り過ぎて行き、4足でブレーキを掛けるように
止まろうとした。
しかし、止る気配はなく壁に激突して止まった。
...どうやら頭は良くないみたいだな。
そう思いながら僕はバーナーの照準を雄牛の虫に合わせ、即座に
仕留めようとプラズマバレットを撃ち放つ。
ド グ ォォオ ンッ...!
...何だ?プラズマバレットの直撃を耐えた...?
僕は再度、バーナーの照準を合わせると今度は5発を撃ち、全て
雄牛の虫に命中する。
しかし...
ギ シャ ァ ァ ァ ア アッ!
やはり耐久力が凄まじいようだ。
雄牛の性質によって見た目に加え、外殻が通常の個体よりも強靱な
変異体となっているのか不明だが、どうやらバーナーは役に立たない
と思われる。
それなら...これはどうだ...!
ヒュ ロ ロ ロロロ ロ ロッ...!
ガキィンッ...!
『...C'jit』
投げ飛ばしたスマートディスクを雄牛の虫は尻尾で弾き返し、壁に
突き刺した。
...前言撤回する。こいつは利口のようだ
そう思っていると、雄牛の虫は再び僕目掛けて突進してくる。
ガントレットのネットランチャーを用意し、5M手前で発射したが、
右へ逸れて躱されてしまい、突進は阻止出来ないと判断した僕は突進を
受け止める姿勢を取った。
ド ゴ ォ ォ オッ!
右肩の装甲で角を押さえ付けたまま、口を開かせないよう両手で
前頭部と下顎を塞ぐ。
右手で下顎を掴んでいるのでリスト・ブレイドを突き刺そうとするも、
外殻が思ったよりも硬く、突き刺せない。
踏ん張って止めさせようとしたその直後、脳天に鈍い衝撃が襲う。
見上げると、振るってきた尻尾の先で叩いてきたんだとわかった。
手も塞がっている以上、バーナーで弾くしかない...!
フォシュンッ! フォシュンッ!
バヂィッ! バチィッ...!
オートエイムに切り替え振るってくる尻尾を弾きつつ、攻撃を凌いで
いると、段々と勢いが弱まってきた。
あれだけ硬いなら...これを使おう。
手は使えないため、アイトラッキングデバイスでガントレットを
操作すると、アーム・クラッティングのパーツが出現し、左腕を
包み込むように装着される。
そうして漸く止まり、僕は下顎を掴んでいる手で力一杯押し返す。
雄牛の虫は仰け反りながら後退した所を見計らい、僕は前蹴りを腹部に
叩き込んで更に退らせた。
ブーツからの衝撃波で勢いよく雄牛の虫へ接近し、一気に間合いを詰めると
アーム・クラッティングを装着した左拳を突き出す。
ド グ ォ ォ ォ オ オ オ ンッ!!
ギ シャ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア アッ!
アーム・クラッティングから発生する衝撃波によって、雄牛の虫は
突き飛ばされながら硬い外殻に罅が入り、そこから体液が噴き出た。
それに伴って悲鳴を上げ、激痛に悶えているように見える。
僕は追撃しようと尻尾の動きを見極め、接近しようとした。
しかし、雄牛の虫は体を回転させる事で尻尾を死角から振るい、
先端の少し曲がっている針が腕に突き刺さる。
ベリベリベリッ! ブチィッ...!
『グゥウウッ...!?』
刺さった箇所から不規則な形に皮膚を剥がされた。
僕は咄嗟に横へ跳び、接近を中断せざるを得なかった。
蝙蝠の虫によって負った傷よりも出血が酷い。
何よりこれ程の痛みを感じたのはいつ振りだろう...?
そう思っている暇もすぐに消え失せ、雄牛の虫が突進してきた。
僕は再びネットランチャーを発射し、動きを止めようとするも、
雄牛の虫は同じように回避する。
それを予測していたのでもう1発を発射した。
パシュンッ!
ギリギリギリギリギリッ...!
今度は回避出来ず、ネットが雄牛の虫の全身を包み込む。
すぐに息の根を止めようとしたが雄牛の虫は角を使い、両手で地面に
ネットを押さえ付けながら強引に引き千切ろうとしていた。
ギチギチと音を立て、ネットが保つのは精々3分程度か...
罅が入った箇所を狙い、同じ攻撃手段の一撃を入れようと考えたが、
恐らく同じ手は通用しないと思われるので別の手を考える。
...上手くいくか...?やってみない事にはわからないが...
ブチィッ! バツバツッ...!
雄牛の虫はついにネットを破り捨てた。
やるしかないか...!
まず、ベアトラップを背後に仕掛けた。
底面から杭が伸びる事で床に固定され、3つの刃が展開すると
横向きに地面と接地し、クローキング機能によって見えなくなる。
それを確認した後、咆哮を上げて闘争心を煽り、突進させようと
する。
ヴオ゙ォ゙ォ゙ォ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ッ!
ギ シャ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア アッ!
掛かった、突進してくる...!
1Mまで迫ってきた所で僕はベアトラップを設置した地点よりも
後ろへ後退した。
雄牛の虫が接近してきたのを感知し、ベアトラップが起動すると
横向きになっていた3つの刃が縦状になり、収納されていた部分が
伸びる。
それを踏み付けると同時に3つの刃が稼働して雄牛の虫の脚に
食い込んだ。
脚を掴まれた事でその場から動けなくなる。
僕は刀を構えると罅の入っている箇所へ接近していき、辿り着くが
やはり尻尾を振るって離れさせようとしてきた。
インナーマウスの射程範囲には届かないので、そうしてくるのは
わかっていた。
ガキィンッ! ギャリィッ...!
刀で弾いていたが、雄牛の虫は尻尾の先端の針を引っ掛けて刀に
絡めると強制的に手放させた。
雄牛の虫は嘲笑うかのように奇声を上げ、尻尾の先端で僕を
突き刺そうとしている。
...ここまで想定通りになったのは、運が良かった...!
ザブッ!
僕は手に隠し持っていたスピアを持ち直し、罅の入っている箇所に
突き刺す。
すると、罅の範囲が広がって体液が対象に噴き出した。
雄牛の虫は悲鳴を上げ、尻尾による攻撃はせず怯んでいたのでその隙を
逃さず、僕はアーム・クラッティングを装着している左拳をスピアが
より深く刺さるよう叩き込む。
ド グ ォ ォ ォ オ オ オ ンッ!!
バキャァアッ...!
ベアトラップに掛かっていた脚が捥ぎれ、突き飛ばされる雄牛の虫の
腹部には穴が開き、内蔵が零れていた。
床を転がり、立ち上がろうとする雄牛の虫を見て油断しないよう
リスト・ブレイドを伸ばし、いつでもやれるよう警戒する。
ギ シャ ァ ァ ア ッ...!
雄牛の虫は1歩踏み出した所で奇声を上げながら、ドシャッとその場に
崩れ落ちる。
...勝った...手強かったな...
だが、これよりも最後の虫は強いと思うと...興奮が収まらない...!
次でそいつと戦り合えるんだ。...ただ、その前に治療しないとな...
そう思いながら、僕は最終地点へ向かうべく出入口へ入っていった。
ゼノモーフ・ブル kill
エイリアン3に出て来たドッグの没案です。
通常版ではなく完全版で牛から生まれてきたシーンがあるのでこっちを使うはずだったのですが、何かしらの理由でドッグになったとか。
尚、スネークと同じくネカ社でフィギュア化されてます。
やっぱ因縁の相手は牛でないと。
ちなみに4人が駄弁ってるシーンで予想してた別同一個体はまだ確認されていないパラレルバースに存在します。