【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか 作:れいが
その場で踏ん張り、今度は僕が投げ飛ばそうとするフリで頭部に
巻き付いているプローブマウスを引っ張る。
それを察した白い虫も同様に踏ん張りを利かせ、対抗してきた。
お互いに引っ張る力は強いが、そう簡単には引き千切れはしない
ようだ。
これなら...!
ギチギチッ...! ギリリッ...!
僕はプローブマウスを掴んだまま左腕の外側から肘に引っ掛け、
3回繰り返すとキツく締めて解けなくさせた。
それからロープを引っ張るようにプローブマウスを辿って、白い虫へ
近付いていく。
ガ ギ ィ ィッ!
白い虫はそれを察知し、僕を投げ飛ばそうとするがリスト・ブレイドを
アンカーとして地面に突き刺しているのでそうはさせない。
強引に僕を投げ飛ばそうとする力が弱まると同時にまた引っ張り始め、
やがて張りが強まったのを感じ、そこで止まる。
かなり伸ばしているなら、ここで斬り落としてやる...!
最初から斬らなかったのは、今の視界が見えない状況でだと
斬った際の断面が噴き出した体液や分泌液が僕の脚や腕に当たって
しまう可能性があり、危険だと判断していたからだ。
ザシュッ!
僕はリスト・ブレイドの向きを変えた状態にし、振り上げる勢いを
利用して掴んでいる箇所より手前でプローブマウスを斬り裂く。
斬り裂いた手応えを感じ、その場からすぐに離れると頭部から外して
投げ捨てた。
断面からはやはり体液と混じって分泌液が溢れており、当たれば
危険だったと思われる。
ギ シャ ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア アッ!!
見ると、白い虫はプローブマウスを斬り落とされた激痛に悶えていた。
口からはみ出ている残った部分の断面からは体液と混じった分泌液が
噴き出ていた。
錯乱していて、僕への意識は向けていないようだ。
...終わりにしてやる...
リスト・ブレイドを伸ばしてから勢いよく跳び上がると、白い虫の頭上を
通り過ぎ、背後に着地すると尻尾を掴み取った。
ギュオッ! ギュオッ! ギュオッ!
ドッ ダ ァ ァ ア ア ア ンッ!!
遠心力で体液を周囲に飛ばしながら白い虫を振り回し、タイミングを
見計らい地面に叩き付けた。
そして尻尾の根元を切断し、白い虫の胸部を踏み付け動きを封じる。
白い虫は悪足掻きをしている。
僕は左手で顔を押さえ付けた、リスト・ブレイドを喉元に宛がった。
『...Nain-desintye-de』
ザブッ!
そう宣言した僕はリスト・ブレイドを横に引き、白い虫の首を
斬首する。
最後に抵抗しようと上げていた手がパタリと地面に落ち、絶命した。
...これで7匹を狩った...儀式は成し遂げた。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「勝った...」
「ええ。これで...あの子は立派な男になったわ。
そして...名誉ある狩り人の称号を得たのよ」
ティオナの胸の内から熱く火照る感情が込み上げそうになっていた。
それは儀式を成し遂げた捕食者への喜びか、或いは悔しさから伴う
強さを軽々しく自負していた自分への怒りか。
このままじゃいけない、とティオナは思いネフテュスに問いかける。
「ネフテュス様。この後はどうするの?」
「あそこへ皆も降りて、最後に狩った獲物の血で自身の額とヘルメットに刻印を刻むのよ。
その後に...」
ビビィーッ! ビビィーッ! ビビィーッ!
突如として鳴り響くアラームにティオナは驚く。
対照的にネフテュスは訝りつつも冷静にガントレットを操作し、何が
起きたのか調べ始める。
聖地の出入口付近には警備体制を敷いており外部からの侵入者が
入る事はないと思われるので、最初に聖地内部で何か起きたのかと
判断し、聖地全域の立体映像を映し出す。
「な、何が起きてるの...?」
「少し待って。すぐに何の警告なのか...
...ん...?」
何かを見つけた様子のネフテュスにティオナは気付き、近寄って
立体映像を見た。
複雑な通路が張り巡らしている地下を白い発光点が登っていくのが
わかり、原因はそれだと予測する。
「これ...あそこに向かって行ってるよね...!?」
「...そうね」
ガントレットから立体映像を消してネフテュスは窓へ近付き、正体を
目視で見ようとする。
それにティオナも続いて見ようと前に出た。
――――――――――――――――――――――――――――――――
ピロン ピロン ピロン ピロン
...おかしいな。何故、反応が出てるんだ?
目の前には最後の1匹である白い虫の死骸があるのに...
僕はガントレットから立体映像を映し出そうとした。その瞬間。
ド ガ ァ ァ ァ ア アッ!!
僕は足元からの衝撃により、これで幾度目かの宙を浮く感覚となる。
ただ今回は今までよりも高くまで直上している。
なので、体勢を持ち直しながら衝撃の原因をすぐに理解する事が
出来た。
宙に浮く前に立っていた場所から砂埃と破片と共に、巨大な影が
のそりと動いていた。
ギ シ ャ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア...!
間違いない...クイーンだ。
まさか、自力で拘束具を外したのか...?
そう予測している間に僕は落下していき、壁の1番上となる上段へ
着地する。
そこからクイーンを観察する事にした。迂闊に近付けば危険だからだ。
白い虫の死骸へ近付き、クイーンはその手で撫でながら小さく唸る。
...知能が高いのは知っていたが、我が子が死んだ悲しみを覚える
感情まであるのは知らなかった。
クイーンは白い虫の死骸から背を向け、僕を見つけるや否や咆哮を
上げてきた。
どうやら僕が殺したのだと理解しているようだ。
ピピッ ピピッ ピピッ
『...どうしましょうか?』
我が主神からの問いかけの意味を僕はすぐに理解した。
クイーンを狩るか、時間稼ぎをして閉じ込めた後に聖地諸共クイーンを
消滅させるか、というものだ。
これまでクイーンを狩った事があるのはエルダー様やロスト・クランを
含めてスカーとレックスがタッグを組んで死闘の末、狩ったとされて
いる。
...あの日、エルダー様の強さに憧れて、皆と同じように強くなろうと
これまで僕は命を懸けてきた。
それなら...
『...やるのね、わかったわ。
手出しは無用という事で...』
『え?ネ、ネフテュスさ』
誰かが何か言いかけた所で通信が途切れる。
...最後に聞こえてきた、あの声は...
ギ シ ャ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア!!
該当人物を考えているとクイーンが近付いて来ているのに気付き、
僕はガントレットを操作する。
ガントレットの一部がせり出してプラズマボルトの発射口から、
高熱ボルトを射出した。
ギュ オ ィィ ンッ!
牽制としては心許ないが、遠距離攻撃として使えるのはこれの他に
シュリケン・ダーツ、ネットランチャー、最終手段として
リスト・ブレイドを射出するしかない。
プラズマボルトも次の1発で最後だ。
何とかしてあそこに置いてきた武器を回収しないと...!
ゼノモーフ・アルビノ kill
成人の儀 達成
VSエイリアン・クイーン
イレギュラーボス戦開始
尚、装備ほぼ皆無でスカーよりもヤバイ状態です。