【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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 『いいわね?手出しは無用よ』

 『...わかりました』

 

 ネフテュスからの通信でその指示に従い、レックス達は観戦室から

 出ない事にした。

 最初こそすぐに向かおうとしていたが、主神は元い捕食者の意思を

 無下には出来ないためだ。

 

 『スカー、レックス。本音ではどう思う?』

 『...本来の儀式を達成出来たのだから、苦戦はするでしょうけど...

  勝つって信じるしかないわね』

 

 カカカカカカ...

 

 レックスが答えるとスカーも顫動音を鳴らし、同感だ、といったように

 頷いた。

 ルノアとショーティは顔を見合わせてそれなら、と闘技場が見える窓際に

 ある柱に凭れ掛かる。

 

 『ま、行った所でアイツなら腕を折ってでも手を出さないようにするだろうしな』

 『あー、そうかも』

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 ギ シ ャ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア...!

 

 高熱ボルト、シュリケン・ダーツを使い果たした。

 次にネットランチャーをクイーンの手へと狙いを定め、ネットを発射し

 手に巻き付いた事で開閉を出来なくさせる。

 既に1発使っているので、これで残るは1発のみだ。

 壁をよじ登ってきていたクイーンは片手が使えなくなった事により、

 その場から動けなくなった。

 僕は高く跳び上がり、武器が置かれている場所へ着地しようとする。

 

 ド ガ ァ ァ ァ ア ア アッ!!

 

 『ガ、グゥッ...!?』

 

 だが、突然真横から飛んで来た物体に突き飛ばされてしまう。

 恐らくクイーンの尻尾だ。それ以外に考えられない。

 僕は壁際まで飛ばされ、地面に叩き付けられた。

 流石に予想外だったので、背中から打ち付けられた際の衝撃が全身を

 駆け巡り、一瞬硬直してしまう。

 

 ズズンッ! ドガッ ドガッ ドガッ...!

 

 クイーンが壁から降りてきたのか、こっちへ向かって来る足音が

 聞こえてきた。

 僕は鈍痛を堪え、急いで起き上がると壁を這い上っていく。

 どうにか建造物の上まで登りきり、武器を見つけた。 

 

 ヒュオッ...!

 

 『っ!』

 

 ド ゴ ォ ォ オ オンッ!!

 

 そこへ向かおうとするが、建造物の下に居るクイーンが尻尾を鞭の様に

 振るい、狙ってきた。

 紙一重で腕か足が切断されなかったのは運が良かったとしか言えない。

 また尻尾を振るってきたので僕は前方へ回避した。

 そのまま走ろうとするも、まるで見ているかのように下にいる

 クイーンは的確に僕に叩き付けてこようとしてくる。

 ここまで的確なのはおかしいと思ったが、ふとレックスから教えられた

 虫に関する生態の1つを思い出す。頭部が眼なら全身が鼻である、と。

 30M範囲まで嗅ぎ分けられると想定されているので、見えないはずの

 僕を狙う事が可能なんだ。

 ここで背を向けたら最後、串刺しになる...!

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 「イレギュラーなのに何で協力しないの!?

  どう見ても...1人じゃ手に負えないよね!?」

 「そうね。だからこそ...

  あの子は1人で相手をすると決めたのよ」

 「...強くなるためなら、無謀でも挑むのに厭わないっていうの...?」

 

 そう問いかけたティオナに、ネフテュスはクスリと微笑みを浮かべると

 静かに頷く。 

 

 「ティオナも2週間、無謀な特訓をしていたんでしょう?

  それなら、あの子のやっている事なんて...ね?」

 「で、でも...」

 「いい?間違っても助けに行こうだなんて...考えない事よ」

 

 ティオナはその赤黒く変色した瞳に息を呑む。

 神々特有の神威とは異なる、純粋な気迫で押し黙らされているのだ。

 尤も神の力を使えば強制送還されてしまうので、今その場に本人が

 居るという事は神威ではないというのは事実である。

 固唾を飲み、ここで逆らえば危険だと感じ取ったティオナは素直に

 頷くしかなかった。

 それにネフテュスはスッと目を瞑り、瞳の色を変色し始めて微笑みを

 浮かべる。

 

 「大丈夫。あの子が負けるはずないもの」

 「...どうして、そこまで信じられるの?」

 

 主神が眷族に対して信頼を持つ事は当然である。

 そうれなければダンジョンへ冒険に行かせたりはしないからだ。

 しかし、ネフテュスの信頼度はどこかズレているようにティオナは

 感じた。

 強いからという理由だけではなく捕食者の何かを知り得ているからこそ

 信頼してそう言ったように思えた。

 

 「...あの子が、特別な存在だからよ。神々も驚愕するような...

  未来永劫、二度と現われる事のない人類の可能性を秘めた存在」

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