【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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 ガギィィッ!

 ド ゴォ オ オ オ ンッ!

 

 隙を突いて後退しようにもクイーンの猛攻は凄まじく、今まで相手に

 してきた虫が比較にならない程だ。

 縦横無尽に振るってくる尻尾の動きも見極めようにも不規則な

 軌道を描くため目を逸らす事も許されない。

 それに加えリーチも長いので、回避した筈がすぐに先端の刺突が

 襲い掛かってくる。

 

 ヒュオッ! ドガァッ!

 

 但しその刺突は時折、的外れな方に向かったりする。

 鋭い嗅覚を頼りにしているとはいえ、正確ではないみたいだ。

 ...危険な賭けだが、あれをやってみるか。

 僕はアイトラッキングデバイスでガントレットを操作すると、ブーツに

 エネルギーを収束させる。

 

 ギュロロロロォ...!

 

 エネルギーが充填されると、ゴーグルの3Dディスプレイに100%の

 パーセンテージが表示される。

 確認していると真横から振るわれてきた尻尾を回避し、その場に

 留まって刺突してくるのを待ち構えた。

 動かなければ狙ってくるはずだ。

 その予想通り、尻尾の先端が意思を持っている別の生き物かのように

 僕の方を向く。

 来い...来てみろっ...!

 

 ギュ イ ィ ンッ!

 

 『...っ!』

 

 ド ガ ァ ァ ァ ァ ア ア アッ!!

 

 身を翻してから尻尾を蹴ると、ブーツの靴底から放出される衝撃波に

 よって尻尾は5M離れるくらいまで弾かれる。

 以前にティオナとの勝負で実践した攻撃手段だ。役に立つ日が来るとは

 思わなかった。

 今なら行けるっ...!

 そう判断して僕はすぐさま武器の回収へ向かおうと走行していく。

 跳び上がってしまえば、あの時の二の舞になるのは目に見えていた

 からだ。

 弾き飛ばされた尻尾はすぐに振るわれていたが、既にそこに僕は

 居ないため空振りとなっていた。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 クイーンが登って来るのも時間の問題だ。

 攻撃力が高い武器を重視して装備する事にした。

 

 ガチャンッ

 キュインッ キュインッ...

 

 当然ながら最初に主力としてバーナーを左肩の装甲に固定し、次に

 ハンドプラズマキャノン、シュリケンを装備する。

 使い慣れているのはスマートディスクだが、雄牛の虫との戦闘で

 不調となっている事を想定して、こっちの方を選択した。

 一撃で仕留める算段としてプロミキシティ・マインと溶解液の入った

 カプセルも拾い上げた。

 次に近接攻撃を行うとしてコンビスティックとバトルアックス、

 それとセレモニアル・ダガーを腰のベルトに装備する。

 特別な武器であるので、縁起担ぎのために手放す訳にはいかない。

 これでいい。今からここは狩場だ...絶対に狩ってやる...!

 

 ヴオ゙ォ゙ォ゙ォ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ッ!!

 

 僕は咆哮を上げ、自身を奮い立たせる。

 ここで死んでも悔いがないようにしたいからだ。

 そうしていると、クイーンが這い上がって来るのが見えた。

 どうやら片方の手を包んでいたネットは引き剥がされたようだ。

 

 ギ シ ャ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア!!

 

 クイーンも奇声を上げ、僕を威嚇してきた。

 我が子を殺した僕への憎しみを込めた復讐をしたいんだろう。

 ...知った事じゃない。名誉のための致し方無い死だったのだから。

 クイーンはその巨体に似つかわしくない走力で近付いてきた。

 まず照準をクイーンの頭部に合わせてプラズマバレットを発射する。

 

 フォシュンッ! フォシュンッ! フォシュンッ! フォシュンッ!

 

 動きを止めるために、止め処なく砲撃を継続する。

 クイーンは悲鳴に似た奇声を上げると怯み始め、その場で足を止めた。

 

 シュ ル ル ル ル ル ル ルッ!

 

 ザシュッ! ...ザシュッ!

 

 透かさずシュリケンの刃を展開し、投げ飛ばして最初に喉部分、次に

 ガイディングシステムによって弧を描きながら戻って来る際には、

 頭部の端にある短い角を斬り裂いた。

 シュリケンを掴み取り、僕はコンビスティックを構えてクイーンに

 接近して行く。

 

 ヒュオッ!ヒュインッ...!

 ド ゴ ォ ォ オ オ オ オ オ ンッ!!

 

 自身を傷付けられた事に憤慨しているクイーンは尻尾を振るい、

 頭上から叩き潰そうとしてくる。

 それを両手で握り締めているコンビスティックを横向きにして防ぐが、

 余りの打撃に姿勢を崩しそうになった。

 それでもバーナーでクイーンの胴体にプラズマバレットを撃ち込み、

 怯んだ隙に再び接近していく。

 目の前まで迫った所でクイーンが両腕を振るってくるのを見抜き、

 僕は身を屈めてスライディングをしながら巨体の下へ潜り込んだ。

 

 ザシュッ! ドシュッ!

 

 ギ シ ャ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア!!

 

 体液の噴き出る範囲を考慮しつつ、両脚の第二関節を狙って

 コンビスティックを突き刺し、斬り付けた。

 獲物を狩る基礎基本は弱らせる事だ。

 以前にも巨大な花を狩る際にそれを思い返した事がある。

 初めての狩りで強引に攻め込んだ結果、返り討ちに遭った屈辱は

 忘れた事はない。

 なので、的確に傷口を抉るように攻撃し、尻尾の動きに用心しながら

 その場を離脱する。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 振り返ってクイーンを見ると、足取りが重くなっているようで動きが

 鈍くなっていた。

 どうやら両脚への攻撃の効き目があったようで、このまま攻め込みたい

 所だが尻尾の攻撃を不可能にするために斬り落とす必要がある。

 通常時のプラズマバレットでは怯む程度なので、エネルギーを

 最高出力で収束させたプラズマシェルを決定打にしないと...

 プラズマシェルと同等の威力を持つハンドプラズマキャノンには

 エネルギーをフルチャージする機能が搭載されていないためバーナーで

 なければならない。

 僕はコンビスティックを収縮させて腰に固定し、バトルアックスを

 手にして持ち替える。

 狙うのは尻尾の付け根だ。

 

 シュ ル ル ル ル ル ル ルッ! 

 

 最初と同じようにシュリケンを投げ付けた。

 しかし、今度は直接攻撃するのではなく引き付けるための誘導に

 使うためだ。

 クイーンが顔を逸らし、シュリケンを追っているが頭部自体が眼で

 あるので恐らく僕の事も見えている。

 僕はクローキング機能で姿を消し、プロミキシティ・マインに

 プラズマを充填させ、背後に回り込む際にクイーン目掛け投げ飛ばす。

 それに察知したクイーンが尻尾を振り被る。

 

 ド ガ ァ ァ ァ ア ア ア ンッ!!

 

 尻尾が直撃する寸前に起爆させ、爆炎によって僕を見失わせるのと

 同時に硝煙の臭いで位置も特定出来なくさせた。

 続けて2つ、3つと周囲を囲うようにプロミキシティ・マインを

 起爆させて徹底的に気を逸らせようとする。

 そして、背後に回るとクイーンは前方を向いたままで僕を完全に

 見失っているようだった。

 僕はガントレットを操作し、プラズマをアックスブレードに収束させて

 背中へ飛び乗る瞬間を狙う。

 

 ギュイィ ィ ィ ンッ...!

 

 今だっ...!

 僕は勢いよく飛び上がり、放物運動によって降下しつつ距離を

 図りながら、振り翳したバトルアックスを振るい下ろす。

 アックスブレードは蓄積されたプラズマによって青白く発光しており、

 その温度は50万度に達している。

 これならどれだけ分厚い対象物であっても...!

 

 ド バァ ンッ...!

 

 手応えを感じながら、着地すると同時に跳び上がって後退する。

 斬り落とされた尻尾はピクピクと痙攣しつつ、根元から地面に転がって

 いた。 

 クイーンは何が起きたのか理解出来ず、ただ激痛に悶えて奇声を

 上げた。

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