【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか 作:れいが
クイーンが接近して来るのを知らせるように側頭部にゾワゾワと
疼くのを感じる。
更には移動経路を正確に予測するようにクイーンの透明な影が見え、
横へ移動すると察知し、僕はコンビスティックを構えた。
もう武器も残っていないクイーンに恐れなんてない。
身体能力の向上によって勢いよく跳び上がり、予測通り横へ移動する
クイーンの前に着地し、胸部にコンビスティックを突き刺した。
ギ シ ャ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア アッ!!
クイーンが上半身を上げて暴れる前に引き抜くと穴が開いた箇所から
体液が噴き出して足元の床を溶かし始める。
直後に右腕が振るわれてきたのを察知し、同じ右腕を突き出して
受け止めてみせた。
ギチ ギチ ギチッ...!
無意識の内にしていたが血管が浮かび上がる程に全身の筋肉繊維を
肥大化させ、ぶつかる衝撃を緩和する事が出来たんだ。
僕は腕を振り払い、追撃しようとその場で跳び上がる。
降下していきながら身を屈めて右手にコンビスティックを握り締めつつ
クイーンに背を向けるようにして全身のバネを利用した刺突で頭部に
突き刺す。
スカーがやっていたから真似てみた攻撃だ。
ギ シ ャ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア アッ!!
頭部に突き刺さったコンビスティックの激痛にクイーンは暴れ回り、
両腕を振るい上げて折ろうとしている。
僕はバトルアックスを手に取り、付近に落ちていたエネルギー・ボラを
掴むと先端を刃に変更して振るい回すとクイーンの右腕に巻き付けた。
それに気付いたクイーンは腕を引くが、エネルギー・ボラを掴む右腕や
両脚の筋肉組織をまた肥大化させて対抗する。
数分に渡って力比べは続き、視界の左端に浮かぶカウントダウンが
0になると同時に僕の方から引っ張るのを緩めた。
その拍子にクイーンは前方へ蹌踉めく。
それと同時にエネルギー・ボラも解き、バトルアックスを振るい上げ
ながら接近すると右腕の上腕部を斬り裂いた。
ダ ァ ア ア ア ア ア ンッ!!
勢いの余り床にアックスブレードがめり込んでしまった。
それでも強引に引き抜き、見上げてみるとクイーンの上腕部から
その下までが傍に落ちてきたのを見た。
これで仕返しはしてやった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
収納したエネルギー・ボラを腰に固定し、頭部に突き刺さったままの
コンビスティックを電磁誘導で引き抜いて手元に戻すと、僕はそのまま
目の前の左脚に狙いを付ける。
バ ギ ィ イッ!
メギョッ! グシャッ...!
左脚を軸に利き足の前蹴りで足首をへし折ってやった。
それにより自重を支えきれなくなったクイーンは床の表面を粉砕
しながら崩れ落ちる。
残った片方ずつの手足では立ち上がる事も出来ないはずだ。
ギ シ ャ ァ ァ ァ ア ア...ッ!!
それでも足掻こうとするクイーン。
...これで終わりにしてやる...
アックスブレードを腰に固定し、セレモニアル・ダガーへ持ち替える。
ガントレットを操作するとセレモニアル・ダガーのチャージタンクへ
プラズマが収束されていき、それに伴って刃が青白く発光し始めた。
ギュオン ギュオン ギュオン...
その発光するに流れるエネルギー流も目視で見えるようになっていた。
ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピッ!
チャージが完了したのを告げるアラームがヘルメット内に鳴り響く。
僕はグリップを握り締め、一撃で仕留めるためにどこを狙うべきか
見定める。
思考が巡り、コンマ1秒で答えが出てきて即座に決行した。
僕は跳び上がり、セレモニアル・ダガーを振るい上げて降下しながら
狙いを定める。
狙うは...その首だっ!
ギ シ ャ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア アッ!!
『Thei-de...!』
――――――――――――――――――――――――――――――――
...ズ ダ ンッ!!
クイーンの体表を十分に溶解させる熱量を纏った刃を着地寸前に
振り下した。
その手応えを感じつつ前を見る。
ブツッ... ブチブチブチッ!
ズ ズ ン...!
クイーンの首が落ちた。
これで狩る事は出来たが、まだやるべき行いがある。
ガントレットを操作してから僕はその首と胴体を掴むと、胴体は肩に
担いで首を手で掴んだまま持ち、その場を離れた。
...ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴッ...!
すると、地響きと共に揺れを感じ取り、後ろへ振り返る。
建造物の中央から二等分するように分断していき、巨大な正方形の
穴が出現した。
揺れが更に激しさを増していくと、その穴の奥底から登って来る
物体を見る。
それはクイーンを拘束していた祭壇だ。
祭壇が穴を覆い隠すようにして完全に設置されると、揺れが収まる。
僕はクイーンの首と胴体を持ち運びながら階段を登っていく。
登っている最中、祭壇に続く階段の縁に古代のヤウージャ達の
3Dホログラムが投影されて跪く姿が見えた。
階段を登り切って祭壇に足を踏み入れると、そこで振り返る。
観戦室に居る皆が僕を見ている。
ドダンッ!
ゴゴッ ゴッ ゴゴゴ...!
僕はクイーンの胴体を階段へ投げ飛ばした。
段差に引っ掛かる事もなく胴体は最下段まで転がり落ちていき、最後は
床に平伏す。
そしてセレモニアル・ダガーに戦利品となった首を突き刺し、高々と
掲げながら吠える。
ヴオ゙ォ゙ォ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ッ!!
これが成人の儀を成し遂げた事を告げるための行いだ。
右腕で左胸の装甲を叩きながら咆哮を上げる僕に皆が答えてくれている。
あのエルダー様とロスト・クランも...
これ程の賛辞はスカー達でも与えられた事はないと思う。
僕は咆哮を止めなかった。
母に、アルフィアさんへ確かに聞こえるように祈りを込めて。
エイリアン・クイーン kill
サブタイのKantraとはプレ様語で"祈り"という意味です。
そして、いよいよ次回彼の正体が...!(今更)