【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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 僕らは逃げたモンスターの足跡を追跡し、北地帯へ辿り着いた。

 そこにはモンスターの食糧が染み出すとされる、僕らにとっては

 狩り場が存在する。

 しかし...その狩り場へ続く巨大な穴の出入口となる通路が緑色の壁で

 塞がれていた。

 ヘルメットのゴーグルを通しガントレットの情報分析装置で、これが

 植物と似た体組織である事が判明した。

 それがわかったからといって、何故狩り場への通路を塞いでいるのか

 理由がわからない。

 すると、生物の生態や行動などに詳しいヴァルキリーが、先程の

 モンスターの群れはこの先へ通れなかったがために、別の場所へ移動を

 していたのではないかと推測した。

 ウルフが装備しているファルコナーを起動し、ガントレットで

 この階層の地形を立体映像で映し出す。

 クローキング機能によって、見えなくなったファルコナーを

 操縦して上空から、周囲の状況を確認した。

 ...他の狩り場へ続く通路が同じように塞がれている。

 どうやらヴァルキリーの推測が確かなのは間違いなかった。

 つまり、この植物の壁は奥へ進ませないという意思を感じ取れる。

 

 カカカカカカ...

 

 その時、スカーが何かを見つける。見てみると、穴があると思われる

 箇所が窄んでいた。

 自然になのか人工的なのかわからないが、入る事は可能だというのは

 わかった。

 この植物の壁の奥がどうなっているのか、それを突き止めたいと思い

 僕らは進む事を決断した。

 爆破して入ろうと思ったが、無駄にプロミキシティ・マインを使うのは

 勿体ないので別の物を使う事にした。

 それも価値が高い獲物の血を解析し、開発した溶解液だ。

 

 ビシャァ...

 

 無機物、有機物関係なくあらゆるものを溶かす酸性の血とは違い、その

 液体は有機物の、水分のみを蒸発させる事が出来る。

 植物も有機物なので...

 

 ジュウウゥゥゥ...

 

 この通り、溶解液を掛けた箇所から融解していく。

 液体は対象である有機物の全ての水分を蒸発させるので、徐々にだが

 大穴を塞いでいた植物の壁が消えていく。

 融解され開いた穴から奥を覗き込むと、この植物の壁は狩り場まで

 続く通路まで覆っているようだった。

 ...用心のため、僕はウルフのファルコナーをもう一度起動するよう

 指示を出し、植物の壁が融解されている最中だが通路へ侵入させた。

 ガントレットでファルコナーから送られてくる映像を見ながら、奥へと

 飛行させていく。

 途中、分かれ道があり本来、狩り場まで続く通路には無いとわかると

 ファルコナーのカメラから見える映像にX線スキャナーを掛けた。

 それにより通路が透過され、先に右の通路を進んで行く。

 しかし、途中で行き止まりだとわかると引き返して、今度は左の通路を

 進んだ。

 今度は行き止まりにはなっていなかったが、ある物を見つけた。

 地面に積もっている灰の山、モンスターの死骸だった物だ。

 植物の壁を通り抜けたか、狩り場から出られなくなったモンスターが

 殺されたのだと思われる。

 既に大穴を塞いでいた植物の壁は消え、次は通路を覆っている肉壁を

 融解していっている。

 灰の山に近付く直前にセンサーが動く物体を感知した。

 天井にカメラを向けると、昨日僕が狩ったあの巨大な花が数匹氷柱の

 ように垂れ下がっていた。

 ファルコナーの存在には気付いておらず、眠っているようで蕾の状態に

 なっている。

 ...なるほど、あの巨大な花が狩り場で大繁殖した結果、植物の壁が

 大穴を塞ぎモンスターの侵入を拒んでいたのか。

 僕はそう考えながらも、確かな事ではないので狩り場まで進ませた。

  

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 「どういう事だ!?何故...何故塞いでいた壁が消えた!?」

 「ちっ...早過ぎるとは言え、モンスターがダンジョンに溢れている事を考慮しなかった結果がこれだ...!

  既に気付かれてしまっているではないか!」

 「落ち着け...私が確認してくる。それまでここを死守しろ」

 

 緑色の植物に呑み込まれたパントリーで、オリヴァスは予想外の事態に

 驚愕していた。

 最初は壁に対して小さな穴程度だった箇所が次第に壁そのものを溶かし

 通路を覆っている肉壁まで溶かされていっているからだ。

 それに白装束の男は熱り立ち、レヴィスを睨む。

 レヴィスはそれに臆する事なく、冷静に答えた。しかし、その表情には

 凄みを感じられる。

 

 「レヴィスの言う通りだ。仕事の準備にかかれ、イヴィルスの残党共。

  彼女を守る礎となるためにな」

 「言われなくとも...」

 

 白装束の男は崖の縁に立ち、右手に短剣を握ったまま両腕を掲げた。

 崖の下には、同じように白装束を纏っている者達がいる。

 

 「同志よ!我らが悲願のため刃を抜き放て!愚者に死を!」

  

 「死を!!」 「死を!!」 「死を!!」 「死を!!」

 

 応じるように短剣を掲げ、その言葉を連呼する。

 オリヴァスはそれを見て鼻で笑い、どこかへ去っていった。

 叫び声が響き渡る中、姿の見えない物体はその光景を観察していた。

  

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 ...こいつらは知っている。7年前、オラリオを滅ぼそうとしていた

 奴らの生き残りか...

 こいつらが何かしらの目的で、植物の壁を作りだしていたんだ。

 全て理解した。そしてこいつらは生かしてはおけない。

 聞くに堪えない事を言っている...虫唾が走る...反吐が出る。

 7年前、あれだけ仲間の生皮を剥ぎ、吊したというのに懲りも

 しないとは...

 見たところ、子供の姿はない。女は居るが...武器は持っている。

 それなら...殺す

 殺し尽くす...!

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