【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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 ̄、⊦ ̄、⊦ R’eqet

 「まさかこうも早く回収する事が出来るとは思わなかった。

  本当に感謝する」

 

 モンスターの卵だと思っている捕食者達から渡された宝玉を受け取り

 フェルズは視線を捕食者へ向ける。

 姿は見えないが、眼を光らせてくれているので立っているのは

 わかっていた。

 

 「30階層でも同じ様な物が存在すると把握していたが、24階層、それもイヴィルスの残党まで居たとは予想外だった。

  その残党は、君達の手によって亡き者にされたと聞いたが...?」

 

 カカカカカカ...

 

 捕食者の1人が鳴き声を発し、眼の光を強めた。

 恐らく、肯定としての返答だとフェルズは思い頷く。

 

 「そうか。神ネフテュスの要望で、24階層の事は君達が行ったものではないという事にするそうだ。

  ウラノスもそれを承諾している。

  なので、君達の悪い噂として広まりはしないはずだ」

 

 それ聞き、捕食者の1人はまた同じように鳴き声を発した。

 今度は理解したという意味合いだと、フェルズは解釈する。

 

 「...では、これで失礼...と、言おうと思ったのだが...

  1つ、よろしいだろうか?」

 

 フェルズが問いかけると、捕食者は眼の光を強める。

 何だ?と言いたげに感じた。

 

 「先程話した通り30階層のパントリーにもこれと同じ物が存在する。

  もしクエストを託せるなら、それの回収をお願いしたいのだが...

  どうだろう?」

  

 目の前にいる人物が依頼をしてきて、僕はどうすべきか考える。

 我が主神と親交が深いと聞かされた男神の私兵とされる、この人物に

 協力していいのかを。

 あちらのメリットはあの卵を手に入れる事で、僕らのメリットは

 恐らくヴァリスや何かしらの利益になるものだと思う。

 それなら断るに越したことはない。僕らが求めるのは戦利品だ。 

 そう結論付け、僕は答えようとした。

 だが、その人物が言った言葉で思い留まる。

 

 「30階層でも同様の事が起きている様だ。

  同志達が対処しているが、かなり苦戦しているらしい。

  ...本音としては、彼らへの被害を抑えるために頼んでいる。

  どうか君達の力を貸してほしい」

 

 ...つまり、また獲物を狩る事が出来る。

 それなら協力する事に対して、不満はない。

 僕は紙を取り出し返答を書き記す。

 書き終えてその人物の足元に置いた。書いた内容はこうだ。

 

 [僕らだけで狩る。その同志は引き返すよう伝えるように。

  今から向かう]

 

 その内容を読み終えたようで、人物は頷いていた。

 

 「恩に着る。今すぐ向かってくれるのなら、とても助かる。

  君達の事を表立たせない事を考慮して...

  回収した物は18階層のリヴィラの街にある物資置き場に隠してほしい」

 

 あの街か。何度か見た事はあるが、時折人が居なくなるので

 その時は宿を貸してもらい寝させてもらう事がある。

 当然、代金は置いていっている。

 

 「理由は別の冒険者に取りに行かせるためだ。

  目印は...バツ印でいいだろう。18階層のサイクルでの夜に回収とする。

  では...健闘を祈ろう」 

 

 カカカカカカ...

 

 眉に拳を当ててから、僕らはその場から離れダンジョンへ向かおうと

 した。

 しかし、巨大な花の戦利品を落としてはいけないと思い、2人に

 それを渡して我が主神へお伝えする事も兼ね、マザー・シップへ

 戻る事とした。

 ケルティックとチョッパーに渡した。2人なら戻った後、すぐにでも

 追いつけると思ったからだ。

 2人でなくても、僕らならすぐに追いつけるが今回はそうした。

 そうして僕らは獲物を求め、ダンジョンへ向かった。

    

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 「フィルヴィス?まだ起きていたのか?」

 「ディオニュソス様...」

 

 ディオニュソス・ファミリアのホームの渡り廊下で佇んでいた

 フィルヴィスにディオニュソスは話しかけた。

 その赤い瞳から零れる涙が、月の光に照らされ小さな宝石が輝いて

 いる様に見えた。

 フィルヴィスは咄嗟に涙を拭い、顔をディオニュから背ける。

 ディオニュは何も言わずに近寄ると、少しだけ離れた距離で

 話し始める。

 

 「...彼らの事は、本当に残念に思っている。一体誰の仕業なのか...

  私は絶対に許せない...お前も、そう思っているんだろう?」

 「...無論、その通りです。彼らとは長い付き合いでした...

  仇は取ってやる、と思っています」

 「...それなら、明日に備えてゆっくり寝る事だ。

  ほら、部屋まで送って行こう」

 「なっ。け、結構です!...ではっ」

 

 頬を赤く染めるフィルヴィスは、そそくさと逃げるように自室へと

 戻って行った。

 その様子を見て、ディオニュスは微笑みを浮かべている。

 だが、夜空からオラリオを照らしている月が雲に隠れると

 ディオニュスの顔が黒く塗り潰された。

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