【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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 「...あ」

 「?。どうかしたの?」

 

 捜索開始から6日目が経って、フィン達はアイズとリヴェリアを

 深層の37階層に残して地上へ戻っていた。

 何かしらの理由でアイズが残りたいと言い、その我が儘を聞き入れて

 もらうためにリヴェリアも残る事となったそうだ。

 アイズならきっと大丈夫、とティオナは思いながら18階層まで

 上ってきた時、手紙の事を思い出した。 

 持っていかなかったにしろ確認だけはしておこうと思い、ティオナに

 伝える。

 

 「ちょっと...あの...」

 「はぁ~...さっさと済ませてきなさい」

 「ごめん!すぐ戻るから!」

 

 内股気味に足を擦り用を足したいという演技でその場から離れる。

 森の中を走り続け、木々が開けたあの畔に辿り着く。

 どの木に手紙を刺したのかを見つけるために、畔へ近付くと

 少し屈んで見渡してみる。

 

 「...あれ?」

 

 しかし、あの時光って見えていた捕食者の武器らしき物が見えない事に

 違和感を覚える。

 立ち上がって、恐らくこれだと思った木に近付いてみると、その木の

 下付近に、あの武器が落ちているのを見つける。

 更に、木の表面に2本の爪痕も残っていた。

 その爪痕を指でなぞるとティオナの脳裏に、捕食者の姿が浮かび

 上がってきた。

   

 「...受け取ってくれたんだね。よかった...」

 

 安堵しているティオナだったが、ふとアイズが残った理由を考え

 始める。

 フィン達から赤い髪をしたイヴィルスの女性に敗北したと、アイズに

 聞こえないよう伝えられた時は、驚きを隠せなかった。 

 敗北したせいか、或いは別の事で思い悩んでいるのか、わからないが

 食事も録に摂らず、リヴェリアの問いかけにも答えようとしなかった。

 そして、今回に至っては1人だけ深層に残ろうとしていた事も踏まえ、

 ティオナはアイズの気持ちを少なからず察した。

 強くなりたい、と自分も捕食者に認められる様に強くなろうとして

 いるので、気持ちは共感出来る。

 強くなるにはやはりランクアップするしかないのだと思った。

 

 「...っ」

 

 ティオナは武器を拾うと、急いで森を駆け抜けて行った。

 リヴィラの街で待っていたフィン達の元へ戻るなり、こう言った。

 

 「もう少しダンジョンに残らせて!お願い!

  食料とか水は自分で何とかするから!」

 「ちょっと、急に何言い出して」

 「あたしも!...あたしも、負けてられないんだ。

  生半可に頑張るのは嫌なの。だから...」

 

 俯いたまま拳を握り締めるティオナにティオネは、直感的に

 何かを察した。

 アマゾネスの習性。それによって変わった自分自身。

 それらによって導き出される答えに、ティオネはため息をつきながら

 フィンと向かう合う。

 

 「団長。どうせ言っても聞かない馬鹿は放って置いて、地上へ戻りましょう?

  私は残りませんけど」

 「ティ、ティオネさん...?」

 「...さっき、リヴェリアには子を見守る親みたいな気持ちじゃ動けない、と言ったんだ。

  だけど、君達は血の繋がった姉妹だ。みたい、ではなくちゃんとしたね。

  団長である僕より本当の家族であるティオネ、君が決めるといい。

  ...本当にたった1人の妹を置いていくのかい?」

 「はい。こうなったら意地でも聞かないんですから...」

 

 即答するティオネにフィンは吹き出して、笑いながら頷いた。

 

 「それなら、ティオナ。絶対に深層までは行かない事を条件として、残る事を許可するよ」

 「!。う、うん!わかった!」

 

 フィンが許可を出してくれた事にティオナが明るい笑みを浮かべて

 いると、ティオネがズイッと顔を近付けてくる。

 

 「団長が許してくれたから今回は私も許すけど...

  もしも情け無い結果を残したら、二度と助け船は出さないわよ。

  いいわね?」

 「...うん。期待しててよ」

 「...もう」

 

 困った妹だと思いつつ、ティオネはポンポンと頭を軽く叩く。

 ティオナは少し恥ずかしそうにしていたが、目を細めて心地良さそうに

 していた。

  

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 日付変更線を越える時間帯となったので近道となる通路を採掘して

 もらい、ゼノス達と共にダンジョン20階層へ潜っていた。

 以前はフェルズという人物に案内をしてもらうために、1つ上の

 階層までだったが今回は直接20-D5へ向かう事になった。

 万が一を考え全員には布を被せてもらっている。

 やがて、以前20-D5に通じる入口の前へと辿り着く。

 バーナーによって破壊したはずの水晶は元通りとなっており、入口を

 塞いでいた。

 僕はゼノス達に下がるよう手振りで伝え、下がらせるとバーナーと

 ハンドプラズマキャノンを同時に撃つ。

 

 バキャァァアッ!!

 

 水晶が砕け散り、奥の通路へ進む事が出来るようになった。

 僕は先にゼノス達を通路へと進ませ、誰も見ていないか周囲を確認して

 後に続いた。

 すると、足元に注意しろ、と言われ僕は立ち止まり下を見る。

 そこにはポッカリと空いた穴があり、僕の体格では引っ掛かって

 大丈夫そうだが、小柄な人物だと落ちてしまえば危険があると思った。

 大穴を離れて、薄暗い通路を進み続けてからしばらくすると前方で

 灯りが見える。20-D5だ。

 するとゼノス達は一斉に走り出し、僕も早足で追いかける。

 20-D5へ入るや否や、大歓声が響き渡っているのに気付き、

 捕えられていたゼノス達は同胞達と抱きしめ合い、笑い合っていた。

 最後に豪邸から連れ出した女体を持つ蜘蛛のゼノスはラーニェという

 ゼノスと再会を喜んでいる。

 ...これで僕の目的は果たした。

 そう思って地上へ戻ろうとした際にいつの間にか居た、フェルズという

 人物に呼び止められる。

 

 「捕食者。もし良ければだが...

  どうやってここまで早く助け出したのか、教えてもらえないだろうか?」

 

 ...我が主神にもだが、この人物も協力関係であるので報告は

 すべきだと思い、話す事にした。

 ゼノス達は宴の準備を始めており、少し離れた場所でフェルズという

 人物と話し始める。

 話すと言ってもヘルメットに記録している映像を見てもらいつつ、

 質問された所で紙に解答するといった筆談による会話だ。

 

 「何だこれは何だこれは?...空飛ぶ船?

  明らかに魔石程度では動かすのは不可能だ。動力源は一体...?

  ...イオンエンジンによってプラズマ状イオンを噴射する?

  プラズマの説明は君の主神から教えられたが、まさかそこまで万能な物質という概念だとは思ってもみなかった...

  是非ともどうやって創り出すのか知りたいものだよ」 

 

 と、フェルズという人物は新たに知り得た概念に好奇心を抑えられ

 なくなっているように見えた。 

 ...アスフィという女性にもこのやり取りはしたので、どう答えたら

 いいのか大体はわかる。

 数時間が経って最後まで見終わると同時に、レイというゼノスが

 近寄ってきて宴の準備が出来た事を伝えてくれた。

 僕は地上へ戻りたいので、宴に参加するのは丁重のお断りしようと

 したのだが...

 

 ...ぁぁぁ...

 

 ヒアリングデバイスが声を拾った。 

 僕は振り返ると、レイというゼノスは首を傾げたがすぐに異変に

 気付いたようだ。

 数匹の聴覚に優れていると思われる他のゼノス達も気付き、周囲を

 警戒し始める。

 フェルズという人物は何が起きているのか、と問いかけてくるが

 それに答えるよりも先に声の主が現われる。

 

 ...あぁぁああ~~~!!

 

 ドスンッ!

 

 「あいだっ!こ、腰、がふっ!?...きゅう...」

 

 ゼノス達は冒険者を見て慌てふためき、混乱状態となりつつあったが

 フェルズという人物やリドとレイというゼノスの2体が宥めた事で

 すぐに静まり返った。

 僕はその冒険者に近付く。

 穴から飛び出してきた冒険者は尻餅を着いて着地した後に、その穴から

 続けて転がってきた岩が後頭部に直撃し、気絶してしまったようだ。

 ...ただ、見間違えであってほしかった。

 ティオナという少女である事を...

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