【第一部完】ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうか   作:れいが

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 「...その、ごめんね?本気出す前に気を遣わせちゃって...」

 

 彼女の謝罪に首を振って、僕にとっては楽しめた事を身振りで伝えた。

 自分を指し、次に彼女を。

 それから両手を組ませて拳を握ったまま親指を立てる。 

 伝えたい事をティオナという少女は理解してくれたようで、頷いて

 くれた。

 

 「...それなら、よかったって思うけど...

  今度は絶対に負けないからね!」

 

 僕は頷いてその約束を聞き入れた。

 もうじき、僕も成人の儀を執り行うため彼女が強くなるなら、僕も

 負ける訳にはいかない。

 価値ある獲物はこのダンジョンに棲み着くモンスターと比較しても

 桁違いの強さだと知っている。

 モンスターは所詮、地球上の陰でしか生きられない生物だ。

 弱すぎるモンスターは戦利品にもならない。  

 

 「ねぇ。君は...英雄譚って、しってる?」

 

 ...知っている。と、僕は頷いた。

 

 「何が好き?あたしはね、アルゴノゥトって物語が好きなの!

  あたしが初めて読んだ英雄譚で...」

 

 ...よりによって、それか...

 

 「あの語りが好きだなぁ。さあ、喜劇を始めましょう、って言うの!

  始る前からワクワクしちゃうもん!」

 

 ...そうだった。僕も、小さい頃は...

 彼女の様に楽しそうに、嬉しそうに見ていたに違いない...

 

 「君の好きな英雄譚って何?あたしが知ってるのかな?」

 

 ...僕は知っているだけという事にしようと、首を横に振り

 紙にその事を伝える。

 

 「あ...そっか...でも、読んでみるといいよ?

  すっごく面白いんだから!」

 

 ...どう答えるべきだろう...

 そう思っている中、ふと彼女の武器を破壊した事を思い出し、

 問いかける。

 

 「大双刀はまた作ってもらうから大丈夫だよ。

  しかも、ネフテュス様が払い終えてない分まで支払ってもらえるから、すごく助かっちゃったなぁ」

 

 あの武器の価値はかなりあるだろうから、払い終えていないというのは

 納得する。

 だから、我が主神が代わって支払う事に不満はない。

 そもそも破壊したのは僕であって、本来は僕が支払うべきなのだが、

 我が主神の意思を尊重しよう。

 

 「...君は、人間...だよね?あたしより背が大きいけど、年上かな?

  あたしは17歳だけど...どうなの?」

 

 それも答えるのに迷うが...肉体的に考え、年上という事にしよう。

 

 「あ、年上なんだ。やっぱりそっか...

  ネフテュス様から大体の話は聞いたけど、それって脱げないんだよね?

  大人になってからじゃないと、いけないんだっけ」

 

 そうだ。成人の儀を成し遂げる事で僕は誓いを果たした事になり、

 ヘルメットを脱ぐ事が出来るんだ。

 

 「大変だね。ずっと被ったままって...

  でも...信念を貫いてるって感じで、カッコいいと思うよ。

  あたしなら、すぐにでも脱いじゃうだろうし」

 

 ...失礼かもしれないが、確かにそんな気はする。

 僕は皆と同じ様になりたいと願って、その誓いを立てた。

 簡単に脱いだりしては、我が主神の教えと同等の信念を捨てる事と

 同じと思ったからだ。

 そう思い出していると、不意にティオナという少女が立ちあがって

 僕の顔を覗き込む様に見てきた。

 ...その明るい笑みは、彼女の純粋さを表しているように思える。

 

 「あたしはあっちに行ってるね?少しお腹すいちゃったから。

  君もよかったら一緒に行こう?」

 

 ...僕は頷いて、とりあえず付いて行く事にした。

 ティオナという少女が手を差し伸べてくるので、僕は手を掴み

 立ち上がると、彼女と一緒にゼノス達の元へ向かっていった。

   

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 「ティオナっち、これも食ってくれよ!美味いぜ?」

 「ありがとう、リド。...ん~~ん!美味しい!」

 「お酒をお注ぎしましょうカ?」

 「うん。ありがとう、レイ...っととと」

 

 ティオナを囲う様にゼノス達は思い思いに持て成している最中、

 ネフテュスと捕食者は何か話し合っているようだった。

 当然、アイシャ達がセクメト・ファミリアの暗殺者達から襲撃を

 受けたという内容だ。

 

 『...それなら、私も手伝ってあげるしかないわね。

  特別な処置として解呪の方法を教える事にするわ』

 

 捕食者が眉に拳を当てて返事をすると、ネフテュスは姿を消した。

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