翌日である。
昨日の大雨は嘘のように晴れ、上着一枚あればポカポカと暖かく過ごせるような散歩日和となった。ほとんどの者が春眠暁を覚えずという言葉の通り起きることなく昼過ぎまで二度寝を決め込むような陽気の中、橘はせっせと荷造りをしていた。
時計にある二つの針は一つに重なり、7と8の間を指している。朝食を食べ終え、先日も背負っていたリュックサックにカメラと三脚を入れたところでチャイムが鳴らされた。今行きまーすとドアの向こうにいる人物に声をかけ、誰がいるかを確認せずに開けた。
「おはようございます。橘さん」
「うげ」
バタンとドアを閉じた。いや、閉じようとした。完全に閉じ切る前に脚が差し込まれてしまったのだ。文字通りのフットインザドアである。なおフィジカルと反射神経によるごり押しであり、特殊なテクニックではない。
閉じようと何度も何度も力を入れるが閉じる気配はなく、足を差し込んだ女性が痛がるそぶりも見せない。涼しい顔のまま、笑顔のまま女性は圧をかける。
「橘さん? 人の顔を見て『
「いや、そんなこと言ってないです。空耳じゃないですか?」
「そう言われるとそうかもしれませんね。まさか、朝から目の前に嫌な人がいるせいで変な声が出た、なんてことはありませんでしょうし」
「アハハー、ソンナワケナイジャナイデスカ」
「にしては随分と棒読みですね。それに、ドアを閉めようとする力が入っているように思えますけど?」
「気のせいです気のせいです。ほら、すぐに開きますよ」
諦めて手を緩めると、ドアはゆっくりと開いてしまう。橘の黒星がまたひとつ増えた。
ドアの前にいたのは、緑色の帽子とスーツがトレードマークの
そんな彼女は橘の苦手な人物にあたる。偶然見かけるだけなら何とも思わないが、名指しで、しかも部屋まで来て、チャイムを押して会いに来る場合は橘の苦手な人物になる。
「それで、今日はどんな用事ですか」
「はい、本日は選抜レースがあります。以前もお知らせしましたのでご存じですよね?」
「もちろん、今準備してましたよ。サボったら減給って話ならしなくても大丈夫です。ウマ娘の活躍を見ないトレーナーなんていないんですから」
「それは当然です。ですが去年は一名だけ来ませんでしたから、念のためにと連絡をしているのです」
「へー、そんな人がいるんですか。トレーナーの風上にも置けませんね。そいつの顔が見てみたいですよ」
「鏡ならここに」
「ごめんなさい今年はサボりませんのでどうか減給は、お願いします」
たづなが手鏡を取り出そうとした瞬間に橘が見事な土下座をした。必死である。
「それは今回次第です。まずはその連絡と、それからもう一つ」
「え、まだあるんですか」
その言葉にたづなは頷いた。
土下座をやめて立ち上がった橘に封筒が手渡される。差出人の名前はない。だが、こんなことをする人たちに心当たりがあるのが二人だけであり、書かれた宛名が達筆であること。この二つを合わせると確実だった。認めたくない事実ではあるが、認めざるを得なかった。
「絶対五郎さんからですよね。面倒なことが書かれてそう」
「安心してください、中身は許可を得て私や理事長が拝見しています。雑用を押し付けられる等の面倒ごとではありませんよ。むしろいいことが書いてあります」
「嘘だぁ……あとで見ます」
「今見てください。受け取ったとき、そうするようにと伝えられています」
嫌な顔をしながら中身を確認すると、そこには数文字だけがボールペンで書かれていた。
『サブ卒業』
「……うわぁ」
「おめでとうございます」
たづなは笑顔だった。橘はひどく嫌な顔をした。
サブトレーナーからトレーナーへの昇進。見習いトレーナーから正式なトレーナーへとなるだけであるが、橘にとっては嫌なことである。理由は様々あるが、その一つがやらなければいけないことが増えるという怠惰な理由だ。
サブトレーナーの主な仕事はトレーナーの補助。トレーナーの仕事であるウマ娘の育成にアドバイスをすることがあっても、直接手を出すことは基本的にない。サブトレーナーでいる期間はトレーナーの仕事を学び、十分な経験を積んだ後にトレーナーになり、ウマ娘の育成に尽力する。それがトレセン学園のトレーナー育成方針である。
正式なトレーナーに昇進し、仕事が増えて大変になることはよくあることだ。だが、増えた仕事量は決して一人で消化できない量ではない。それに、誰かの担当となって二人三脚でトゥインクルシリーズを駆け抜ける喜びの方が大きく、仕事が増えることなど些細なことだと気にしない人がほとんどである。
悲しいことに、その数少ない方に橘は属している。先日ライスシャワーとあったときに
だが、サブトレーナー卒業を言い渡されてしまった。これからサブトレーナーと名乗ることはできない。仕事は増えてしまう。橘にとっては最悪の宣言だった。
「えーっと、返品ってできます?」
「できません」
「ならクーリングオフ」
「不可能です」
「やだぁ……」
「橘さんは本日から正式なトレーナーとして活動をお願いします。差し当たっては」
「今月中に担当になる娘を最低一人探してってことですよね。つまりは選抜レースに行かないとダメと」
「去年はまだサブトレーナーだったので、減給で済みました。今年はどうなるか、お分かりですね?」
「は、はい! 全力を尽くします!」
にっこりと笑顔をみせるたづなだが、その眼は一切笑っていなかった。むしろ今度さぼったら絶対に許さないからな、という強迫的な意味がにじみ出ていた。橘は泣きそうだった。
「で、今年はちゃんと来たってわけか」
「ちゃんと、って、私は元々来る予定だったの。それなのに私は行かないやつだって勝手に思われちゃってね」
「そりゃ選抜レースの見学をサボるやつなんてお前ぐらいだったからな。目をつけられても仕方ないと思う。んで、今お前が準備してるのは?」
「レース録画用のカメラ。ほら、どんなレースしてたか、今録画してたら後で見返せるでしょ?」
「確かにそうだが……お前、今年も逃げようとしてないか?」
「してないしてない。私のいうこと信じられない?」
「正直信じられないぞ」
「ひどーい」
カメラが落ちないように三脚を立て、コース全体が写るように画角を調整する橘。何もおかしいことないよねとでも言いたげな様子に、隣で双眼鏡を持つ男性はため息を吐いた。
この男は
「ところで
「おっちゃん言うな。いるっちゃいるけどよく知らないんだよな」
「いるのに知らないとはこれいかに。下調べとかしてないの?」
「あんまりしてねえよ。でもゴルゴルちゃんに紙渡されてよ、おっちゃんにはコイツが合うと思うぜ! って言ってどこかに行っちまった」
「ゴルシちゃんだったらゴルゴル星に帰ってそうだけど。で、内容は?」
爲山は橘に紙を渡した。そこには鉛筆のみで描かれた精巧な似顔絵が書かれていた。名前はなかった。だが機械的な耳飾りという特徴ははっきりと描かれていた。
「ふむ、ボ級の娘ね。クラシックは三冠路線かな」
「それ言うなよ。近くに誰もいないし大丈夫だけど」
「ごめんごめん。ちなみに名前は?」
「それを含めて楽しめよ! って言われたからまだわかってない」
「話してからのお楽しみってことね。さすがゴルシちゃん、気が利いてる」
「何も利いてねえよ」
「お、名前も聞いてないってこととかけてる?」
「うまく言った風にするな。二代目ドスベリ皇帝のあだ名を贈呈するぞ」
「えー! さすがにそれは横暴ですー!」
隣でぶーぶー文句を言い続ける橘を無視して爲山は双眼鏡を覗き続ける。視線はコースへと向けられており、橘の方向へは全く向けられていない。
「あー、暇だなー」
「カメラの準備はどうしたよ」
「まあまあ。あ、双眼鏡借りていい? その間おっちゃんがカメラ準備して」
「……あのな、双眼鏡貸すのはいいけどカメラ準備しろってわがまますぎだろ。遠慮って言葉知らないのか?」
「それなら今朝トイレに流してきた。なくて困るもんじゃないでしょ?」
「困るわ。お前は困らなくてもお前以外の人が困る」
「まあまあ、んじゃお願い」
「……ったく」
カメラの準備を爲山に任せ、奪った双眼鏡でコースを見る。
現在、コース上には何十人というウマ娘たちがコースを走ったり、準備運動をしたりとレースに向けて体を調整していた。全員がこの後に始まる選抜レースの出走者である。友人としゃべりながら、ライバルと喧嘩をしながら、一人で集中しながら、バクシンと大声をあげながらレースに備え、集中している。していると思われる。
「見た感じいないっぽい?」
「んなわけないだろ。選抜レースだぞ? 来ないウマ娘がいるわけないんだから」
「来ないトレーナーもいないもんね」
「それは突っ込んでいいやつか?」
「さあ、何のことでしょう」
何度見てもコース内のウマ娘たちの中に探している人物の姿は見つからない。今度は観客席に目を向けた。
観客席はコースを取り囲むように設置されている。当然だがそこに橘たち以外のトレーナーやウマ娘の姿がある。トレーナーたちは、この中から新しく自分の担当になる娘を探すため、レースが始まっていない段階から血眼になって観察している。観客席のウマ娘たちは、そんなトレーナーと言葉を交わしたり、コースの中にいる友人や後輩に声をかけたりと様々に過ごしている。
その中に探している娘がいた。きょろきょろと誰かを探している様子だ。だがお目当ての人物はおらず、近くにいた職員の人といくつか言葉をやり取りした後にコースへと入っていった。
「んー……」
「よし、調整完璧。で、いたか?」
「いたけど誰か探してたっぽい。探してそうな人に心当たりある?」
「あるわけないだろ。そもそもここ一週間勉強漬けにさせてたおかげで出不精気味だわ」
「あー、タボちゃんか。どうなの、あの子今度こそ赤点回避できそう?」
「……聞かないでくれ。ネイチャも手伝ってくれてるんだけど、勉強となるとな。俺も賢いわけじゃないし、全く進まねえんだ」
「へえー……」
数秒の沈黙。爲山は双眼鏡で例のウマ娘を観察していた。やはり心配そうにきょろきょろと周囲を見ている。心配性だったり寂しがりな性格なのか、と考えている横で橘が「
「あのネイちゃんが、素直に手伝ってくれてるの?」
「おう」
「おっちゃんを?」
「んー、まあ」
「この前槍降った?」
「昨日雨降っただろ。なんだ、あれか? 俺が嘘言ってると思ってんのか?」
「思ってる」
「バカ野郎」
おでこを指ではじかれた。いわゆるデコピンというやつだ。いい音は鳴らなかったが、痛みはあった様子。橘はカメラを倒さないように気を付けながらその場にうずくまった。
「痛っ! 野郎じゃないのにデコピンされたんだけど!」
「バカはいいのかよ。ったく……んでネイチャだけど、俺の言うことは聞きたくないけど、友達のターボの危機を見て見ぬ振りできないってよ」
「なるほど……ジンジンする。本気でやることないじゃん」
「あー……悪い、手加減したつもりだったんだが」
「だよね、道理で痛くないわけだ」
「はっ倒すぞお前」
けろっとした様子で立ち上がり、視線をコースに向ける橘。その目じりにはうっすら涙がにじんでおり、額には赤い痕が残っていた。
爲山は今度の昼食をおごることを心に決めた。
「ま、ネイちゃんがいるなら時間に関しては大丈夫そうね。今度家に返すの遅くなって、またたづなさんに怒られないようにしなよ?」
「もちろん。俺もターボも長々と文章を書かされるのは遠慮したいからな」
そんなどうでもいい話が一区切りついたころ、コース内にアナウンスが流れる。
『只今より、選抜レースを行います。出走するウマ娘の皆さんは係の人の誘導に従って行動してください』
「うし、始まるぞ。目を離したりするな。
これからを決める大切な選抜レースが今始まる。
だが、レース開始のアナウンスが終わると同時の出来事だった。
「ようし。ちょっと長めにトイレ行ってくるね」
爲山の視線がコースに移った瞬間、橘がその真逆の方向へと、文字通りに踵を返してスタートを決めた。それはもう完璧だった。彼女がウマ娘であれば確実にハナをとれたであろう100点満点のスタートダッシュだった。
だがここはターフの上ではない。さらに言えば、他者の妨害を阻止するためのゲートもない。だから逃げようとする彼女の腕を、誰かが掴むのも起こりうることだった。
「ちっ、おい逃げようとしてんじゃねえバカ野郎!」
「野郎じゃありませんー、女ですー」
「そういう意味で言ってんじゃねえ!」
二歩目を踏み出そうとしていた橘だったが、勘づいた爲山がそれを阻止した。振りほどこうと腕に力を込めるが全く動かない。男女の力の差はそれだけあるということだ。日ごろから鍛えていなければ覆らないような差だった。
「お前、たづなさんから絶対参加するようにって言われてんだろ! 担当の娘決めないとやべぇんだろ!」
「でもトイレ行きたくなったんだもん! しょうがないじゃん!」
「そう言って逃げるんだろ! 去年もおんなじことしたよなぁ! 忘れてねえぞ!」
「大丈夫大丈夫! スッキリしたら帰ってくるから! ちょっとだけ! ほんのちょっとだけだから!」
「ちょっとだけ出すってなんだよ! 出すなら全部出してこい!」
「じゃあ出しに行っていいってことだよね!」
「違うわぁ!!」
突然始まった言い争いに、あるトレーナーは頭を抱え、あるトレーナーは痴話喧嘩かと無視を決め込み、ほぼ大半のトレーナーとウマ娘たちは唯々困惑していた。レースよりもレース場で喧嘩を始める二人に気を取られ、ゲートに入ろうとしない娘まで出てきた。
「頼むからここにいてくれ! たづなさんに怒られるだろ!」
「大丈夫! 絶対大丈夫だから!」
「何を根拠に言ってんだよ!」
「だっておっちゃん怒られなれてるでしょ! 二回や三回怒られたって大丈夫!」
「余計ダメだわ! 毎回またあなたですかって目で見られてんだぞ!? もうめちゃくちゃマークされてるよ! 次怒られるときは理事長同伴で説教まであり得るやつだって!」
「へえ、そっか」
「そっか、じゃねえよ! 他人事みたいに言いやがって、お前もおんなじ状況だからな!」
二人の言い争いは冷めることなく、爲山の声はどんどん大きくなる。同時に注目もさらに集まる。声の届かない場所、コースの反対側にいるトレーナーたちも異変に気付き始めた。ウマ娘たちの視線は二人にしか向いていない。彼女らのスカウトを受けるのをやめようかと話しあっている娘もちらほらと増え始めた。
進行のアナウンスをした人はどこかに一言電話をしてから頭を抱えた。
「何なら俺より酷いんだぞお前! またレースを見ないってことは──」
「っ!」
まだ続くのかと周囲が思い始めた直後、唐突に二人が沈黙した。自由になっている手で口を隠すようにして何かをこらえるような表情の橘と、その原因に気づいた爲山はすぐに手を離し、一歩離れる。
離された手首は青あざができていた。爲山が力を込めた形がそのまま残っており、袖を伸ばせば隠れる位置ではあるが彼が強く握ってしまった証拠として刻まれている。
逃げられないようにする枷は外されたが、橘は逃げようとはしなかった。心を落ち着かせるように、両手を胸に重ねて深呼吸をしていた。
爲山は誤魔化すように頭を掻き、あーだとかんーだとか言葉を漏らしながら何を言うべきか考える。これ以上傷つけないようにするには何を言うべきか、どう謝るべきか。
その一方、突然黙ったかと思えばどこか居心地が悪そうな二人に対して周囲は微妙な気分になっていた。具体的には『お互いに両片思いの幼馴染二人がしょうもないことから喧嘩してしまうもののお互い熱くなりすぎたことを自覚し同時に黙り気まずい空気になっている放課後の下駄箱に来てしまった』という気分だ。
「……すまん、ちょっと熱くなっちまった」
「ううん、大丈夫。それよりレース見なくていいの? もう走ってるよ」
「え、マジ?」
申し訳なさから少しうつむいていた立山だったが、大慌てで双眼鏡をのぞき込み、コースへと目を向ける。目に映ったのは困惑しているウマ娘たちだけ。誰一人走ろうとせずにいた。その一部は微妙な笑顔で手を振り返したりしている。
橘に騙されたと爲山は思った。とはいえレースが始まってしまったわけではないので一安心。
「なんだ走ってねえじゃねえか。驚かせやがって」
「……」
「まあ時間的には始まっててもおかしくないし、言い争いしてて気づきそうになかったけど、そんな嘘を言う必要はないだろ。な?」
まだ顔は見れない。けれども仲直りはしておきたくて、お互いに抱えておくのはなしにしておきたくて。
「強く握ったせいであざができたのも、言い争いで言っちゃだめなことまで言いそうになったことも謝るよ」
「……」
「どうせここからも長い付き合いになるんだ、こういう喧嘩した時はお互い謝ってなかったことにしておいた方が楽だろ」
「……」
「黙ってないで何か言えよ。じゃないと独り言しゃべってるやばいやつになっちまうだろ。な?」
「……」
「橘。あのな──」
双眼鏡から目を離し、すぐ隣へと視線を移す。そこにいるはずの人物の姿はない。残されたのは『カメラよろしくね』というメモが一枚と、大きな声で独り言をしゃべり続けていた恥ずかしい人が一人。
「あいつ! ……ったく」
震えるほど固く握りこぶしを作っていたが、怒りをぶつける相手がいないのですぐに力を抜いてカメラを覗く。コース全体が映り、スタートからゴールまでの様子が問題なく記録されるだろう。レースを走っている最中の必死な顔はさすがに映らないが、駆け引きや仕掛けどころの判断を確認するには十分だ。
「映りはよし。とりあえず全レースの結果だけメモしておくか」
「なんのためですか?」
「そりゃもちろん橘のためだ。どうせあいつは結果はメモしてないのーって言うだろうしな。逃げたくせに何をわがままなって思うけど」
「へー、そうですか。逃げたんですね」
「まあなあいつは──」
自慢話かそれとも貶しか。声の主にその言葉を伝えようとして振り向き、硬直した。
「あー……あー、えっとそのー」
「逃がさないようにと、お伝えしましたよね? 必ず選抜レースを観戦させ、担当を決めさせるようにと、メールで連絡しましたよね?」
この場に最もいて欲しくない人物がそこにいた。とても笑顔で、ただし双眸からの威圧は隠すことなく。
「……その、説教は選抜レースの後でどうです? 橘も帰ってくると思いますんで。このカメラ橘のですし、だから」
「ええ、待ちますよ。必要ならスカウトの後でも構いません」
「え、いいんですか?」
「はい。その後にトレーナーさんには仕事がありませんからね。お話の時間は十二分に確保できるはずです」
「あはは……そうですね」
為山は笑顔を見せることしか出来なかった。