神を喰らいし者と影   作:無為の極

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初投稿になります。
若干、色んな部分がご都合主義的になるかもしれませんが、お付き合いください。


第 壱 部
第1話 邂逅


《緊急警報発令。ここから5キロ先の地点で第2部隊が交戦中。第一部隊及び出動準備中、並びに待機中の部隊は直ちに出撃してください》

 

 

 

 緊急アナウンスが警報と共にアナグラ中に広がっていた。

 

 今まで平穏とも取れるほどにゆったりと流れていた空気が一瞬にして緊張感が張りつめた様な空気へと変わり、待機中のゴッドイーター達が続々と出撃して行く光景へと変わり出していた。

 

 

 

 

 

 

「このままだとマズイな。現地の状況はどうなっている?」

 

「現在は大型種2体、中型種5体、小型種20体と現在交戦中ですが、一部人員に負傷者があり救援信号が出ています。現在は何とか現場で対応していますが、数の差で押しきられる可能性があります」

 

「こっちは現地まで後10分はかかる。出来る限り急ぐからナビゲート頼む」

 

「了解しました」

 

 

 緊急アナウンスがアナグラて鳴り響く一方で、肝心の戦闘区域では死闘とも取れる戦いが繰り広げられ、今後の展開一つでこの戦場の流れがどちらか一方に天秤が傾くかの様な空気が漂っていたのか、既に戦術すら何もなく、その場で出来る限りの戦いだけが今出来る唯一の方法とばかりに、ただ目の前のアラガミと対峙していた。

 

 

「畜生。どうしてこんなに集まってくるんだ!偵察班は何やってんだよ!」

 

「しゃべる暇があるなら目の前のアラガミに集中しろ!」

 

 当初の任務予定はコンゴウ1体、オウガテイル2体が支部の付近まで接近している為に襲撃される前に討伐すると言った内容の任務予定のはずが、戦闘音に誘われたのか今では複数のアラガミに囲まれている。

 決して油断した訳では無いが、このままでは最悪の未来が戦闘中にも関わらずそれぞれの頭の片隅をよぎり出していた。

 待っているのは最悪の展開でもある『全滅』の二文字だった。

 

 既に囲まれている状況からすれば、今は一体一体を選んで戦う余裕は無く、目の前にいるアラガミを片っ端から斬りつける事しか出来ない。徐々に戦線は崩壊し始めているのか、部隊の人間の悲鳴が少しづつ多くなり始め、焦りだけが先行しはじめていた。

 

「このままじゃヤバいぞ」

 

「しゃべる暇があるならサッサと動け!」

 

 このまま多勢に無勢なのは理解しているも、部隊の人命を救う為には確実に目の前のアラガミを葬る以外に手は無く、助けたい気持ちはあっても目の前にいる負傷した隊員まではまるで無限とも言える様な距離を感じていた。

 

 焦る気持ちが生んだ結果なのか、このままでは見殺しになる可能性が高いとばかりに負傷している隊員に目を向けると、弱った獲物を襲おうとしているシユウの滑空に半ば諦観が混じりだす。距離にすれば僅かにも係わらず精神的な距離が遠いまま、これ以上はもうダメだと目を逸らした瞬間だった。

 

 襲いかかったはずのシユウの活動がその場で停止したかと思いきや、今度は断末魔とも言える叫びが響くと同時に漆黒の刃が背中から胸へと突き刺さり、その場でシユウは絶命していた。

 

 

 

「ここは相変わらず何も変わらないな。何とか間に合ったようだが、このままだと数で押し切られるぞ。一旦落ち着いて陣形を立て直せ」

 

「あ、ああ。分かった。全員!焦らずに落ち着いて立て直すんだ!」

 

 

 負傷した隊員を救い、そこに立っていたのは今までに一度も見た事もないゴッドイーターだった。まるで当たり前の様に血塗られた神機を振って血を落とす手には、先ほど一撃で突き刺し絶命させた漆黒の神機とカバンを手に持っている。

 

 

「少しこちらで請け負う。背中は任せろ」

 

「え?」

 

 そう言ったかと思った瞬間に、近づいてくるオウガテイル3体の首はいとも簡単にはね飛ぶ事で絶命している。

 

 鮮やかに飛ばされた首から吹き出す血は、周囲一面があっと言う間にアラガミの血の花を咲かせていた。斬り落とされたオウガテイルの中には斬られた事すら分からないのか、首から下だけがジタバタともがき蠢く個体すらあり、その場に居たゴッドイーターはあまりの光景に絶句していた。

 

 オウガテイルの陰からコンゴウが襲い掛かってくるも、すれ違いざまに幾重にも腕に沿う様に斬撃が重ねられ事で、丸太の様な腕が細切れとなり、オウガテイルの首の様に瞬時に胴体から離れたのか、瞬く間に斬り刻まれている。

 鮮やかに斬られたコンゴウを見た他のアラガミが、仇を討つとばかりに一斉に襲い掛かるも、一陣の疾風の様に漆黒の刃が振られた後にはアラガミの死体の山だけが築かれていた。

 

 あまりの戦闘力の高さに、この時点でこの戦場に居た交戦中のゴッドイーターは驚きを隠せなかった。いくら刃とは言え、神機の大きさからすれば、僅かながらでも鮮やかな切り口になる事は無く、若干ながらも切り口は潰れたような切り口となる。

 しかし、正体不明のゴッドイーターはそれが当たり前かの如き鮮やかな切り口だった。気が付けば残りのアラガミはあと僅か。もはや死地での戦線維持ではなく、殲滅戦の様相となりつつあった。

 

 

「すまん遅くなった。被害状況と戦局はどうだ?」

 

 リンドウ率いる第1部隊が到着する頃には既にアラガミは殲滅され、その場には生存している個体は最早何も残っていなかったのか、コアを抜き取られ霧散していく場面しか残されていなかった。

 

 現地で確認をすれば、そこには防衛班の面々と先ほどの所属不明と思われるゴッドイーターが話をしていた。

 

 

 

「リンドウか。こちらは方が付いたから、もうお前の出番は無いぞ。」

 

 所属不明のゴッドイーターに助けられたとは言え、この時点で今回の指揮官だったタツミはまだ警戒を解くことが出来なかった。援護に入ってくれたゴッドイーターには感謝こそしているものの、明らかにここの支部の人間ではない。

 

 見た目は確かにゴッドイーターではあるが、その存在感はある意味異質の塊とも言える物でもあり、ゴッドイーターの身分証明とも言える腕輪『P53アームドインプラント』が通常と異なっている。色こそ赤だが大きさは従来の物よりも二回り程小さく、神機に関しても近接型ではあるが、その形状は異質とも言うべき物であり、本来ならば盾が装備されているはずの部分には、それすらも見ることが出来なかった。

 

 当初は所属不明の為に警戒しながらタツミは話してはいたが、援軍として来ていたリンドウとは旧知の間がらなのか随分と気さくに話をしていた。

 

 

「久しぶりだな無明(むみょう)。いつ、こっちに帰ってきたんだ。来たなら連絡の一つ位入れろよ」

 

「すまんなリンドウ。近くに来た時に緊急警報が発令されていたから、現場に急行しただけだ。今日は榊博士に用があるからこのまま行くぞ」

 

「あいかわらずだな。こっちもやる事は無いから、このまま一緒に行くか?」

 

 

 

 警報が漸く解かれたアナグラでは、先ほどの作業と事後処理の為にざわついている影響もあり、誰かが来た位では気が付く事は無かった。周囲の事など一切気にせず、無明はリンドウとタツミの3人で榊博士の所に出向いた。

 

 

「榊博士、依頼があった件ですが、ここに来て漸く軌道に乗せる事が出来そうです。量産化にはもう少し時間がかかるかと思いますが、想定よりは早くなる予定です」

 

「ありがとう無明(むみょう)君。これで懸念していた事が多少でも解消できそうだよ」

 

「あの~榊博士。話の腰を折る様で申し訳ありませんが、この方はどなたですか?」

 

「あれ、まだ紹介してなかったかな。彼は無明君と言って今は第6部隊長をしているんだ。普段は中々会う事は無いから知らないのも無理ないかな」

 

 

 

 ここアナグラでは討伐班である第1部隊、防衛班である、第2、第3部隊、遊撃班でもある第4部隊、偵察班の第5部隊から編制されている。部隊長でもあるタツミも、その中身は立場上知ってはいるが、第6部隊がある事は何も知らされていなかった。

 

 

「第6部隊は簡単に言えば、色んな部隊を兼任しているけど、基本は技術に関する事がメインの何でも部隊だよ。ただし、この事は極一部の人間しか知らないから他言無用だよ」

 

 

 いつもの食えない雰囲気ではなく、事の真理とも言える様な言い方で榊博士にそこまで言われるとタツミはそれ以上の追及は何もできず、仮に知ったところで何も出来ないのもある意味事実だった。

 

 実際に今回の襲撃事件の戦闘を同じ立ち位置で見ていると、その実力は第1部隊にも劣らない程に吐出した戦闘能力と判断力。にも関わらず、何でも部隊と称される内容とは思えなかった。

 

 この時点で分かったのは名前以外には何も無い。

 今のタツミには疑問しか出てこないが、悩んだ所で答えが出る訳ではない。

 そんな事を考えながらもタツミは榊たちとの会話に参加していた。

 

 

「無明、今回の用事ってなんだったんだ?ここまで来るのは珍しいけど、今は何してんだ?」

 

 

 

「一度にいくつも聞くな。今回の用件は今の食糧事情の解消だ。お前も知ってのとおりだが、現在は基本的にはフェンリルからの配給と地下の工場で何とか賄っているが、それも限界だからと榊博士に依頼されていたんだ。ここに来て漸く目処が立ったから報告がてらだ」

 

 

 この時代、アラガミが発生してからの地球の環境は一変していた。

 生物の環境は大きく激変し、アラガミの捕喰によって自然環境までもが大きく変わっていた。その為に、今では配給に頼って生活してるのが現状となっている。

 一時期に比べれば多少はマシにはなっている物の、それでも満足の行くものではなく、ここ極東支部以外の一部の地域では頻繁に待遇改善デモが起きていた。

 

 

「って事はあのジャイアントトウモロコシみたいな食い物や、レーション以外にも何か増えるのか?」

 

 

 食糧事情はお世辞にも良いとは言いがたく、実際に支給されるものと言えば、元々何から合成されたのか分からないような肉類や野菜類。ジャイアントトウモロコシの様な遺伝子制御された味よりも、量を優先とした食糧が並ぶのが昨今の食糧事情でもあった。そうなると天然物の食糧を見る事が一般人には無く、それを見る事が出来るのは一部の高官のみだった。

 

 

「今回は試作だが、旧態依然の野菜や果物を幾つか持ってきたからそのチェックだ。流通に乗せるにはまだ少し時間がかかるだろう」

 

 

 手持ちのカバンから出されたのは、旧態依然なら簡単に手に入っていた果物や野菜。それでも今のご時世ではかなりの値打ちがあった。それを見て、リンドウだけではなくタツミも関心が大きくあった。体が資本でもあるゴッドイーターならば、関心の大きさは一般人のそれ以上だった。

 

 

「今回はこれの成分チェックが完了したら、もう少し持ってきてやる。その時は試食だな。楽しみにしておけ」

 

 

 全てのデータを提出しながら一つ一つを確認している。確認が終わった食材の入ったカバンを下して何事も無かったかの様に去って行った。

 

 

 

 

 

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