神を喰らいし者と影   作:無為の極

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第117話 試練

 ナオヤとの槍術での一戦が何か大きなヒントを与えたのか、その後の運用面に関しては大きく進歩していた。リッカが撮っていた映像を元に訓練カリキュラムが更新され、ここで漸くエリナも前に進みだした。

 それと同時に極東支部にも正式な実戦投入が決定される事で、始めてエリナは訓練用ではなく、実戦用のチャージスピアへと換装される事となっていた。

 

 

 

 

 

「そう言えば、エリナはそろそろ実戦配備されるんだよね?」

 

「ああ。その件は悪かったな。本当なら俺がやらないとダメんなんだけど、アサルトだけだと近接の間合いが分からないんで、困ってたんだよ」

 

「それは仕方ないよ」

 

 コウタは珍しく感謝の言葉をエイジにかけていた。事実、今回の件でエリナの教導はこれまで停滞していたのが嘘の様に一気に進行していた。実戦用に換装された当初に何かと苦労する部分があったのは、ナオヤとリッカを見ていれば容易に想像が出来ている。

 

 当初は確実に苦労する事は間違い無いと誰もがそう考えていた。しかし、あの時の動きをアレンジしたのか、元々一定レベルでは運用出来ていた事も影響しているのか、エリナが慣れるまでにはさほど時間がかかっていなかった。

 これに関してはリッカやナオヤだけではなく他の教導担当も驚いていたが、一旦身体が覚えれば後は無意識でも身体が勝手に反応する。

 訓練シミュレーションでは納得の出来る数字が出ていた。

 

 

「そうですよ。神機が違えば仕方ないです。私だって同じ事やれと言われれば多分無理です。エイジに下地があったから、あのレベルだったんじゃないですか?」

 

「いやいや。俺もあの映像見たけど、あれは無理だって。何であんな動きが出来るのか理解出来ないんだぞ。エイジとタメ張れるナオヤの方が凄いんだって」

 

「個人的にはあまり見てほしくないんだけど」

 

「そうか?あれだと教導プログラムの題材になると思うんだけどな。エイジ、ご飯おかわり」

 

 未だ料理人が決まらないラウンジでは、アリサとコウタが食事をしながらも何かと訓練の話をしている。既にこのメンツがここで話をしながら食事をしている光景は当たり前となっており、最近配属された新人はエイジを退役したゴッドイーターだと思う人間もいるのではないかと思われる程に居た。

 

 

「コウタ。食べ過ぎじゃないのか?そろそろいい加減止めなよ」

 

「エイジのごはんのせいだな。箸が止まらないのも、きっとそうだよ」

 

「コウタも少しは自重したらどうですか?これで何杯目だと思ってるんですか?」

 

「そう言うなって。でも、これだけ食べてるのに体重が中々増えないのはある意味凄いよな」

 

 既に数えるのも飽きたと言わんばかりに何かと食べている。昼はミッションの関係上取って無かったからなのか、いつも以上に箸が進む。既にアリサは食事を終えたのか、手元にはお茶が置かれ、エイジは皿を洗っていた。

 

 

「体調管理は当然だよ?基本は野菜を中心に脂質と糖質はやや少なめにしてあるから、太りにくいんだよ。丸々したいならそれ仕様に変えるけど?」

 

「それは遠慮するよ。ごちそうさん。今日はこの後書類作成があるから面倒なんだよな。特にここ最近は何かと緊急出動が多いから、事務仕事が滞りやすいんだよ」

 

 赤い雨が降り始めてから、ここ極東でのアラガミの種類が徐々に変化し始めていた。原因はそれが影響しているからなのか、ここ数日は新種のアラガミの出現率が高くなっていた。幾ら教導をクリアしていたとしても新人に毛が生えた程度では命に危険が生じやすい。

 その結果としてベテラン勢やクレイドルのメンバーがアサインされる事が多くなっていた。

 

 そんな中でも一番の問題が感応種と呼ばれる接触禁忌種。ネモス・ディアナでの一件から時折出現する事があり、現状は対応できる人間が何とかやっているレベルだった。無明の指摘した通り、今はソーマとリンドウが中心となって討伐任務に当たっている事が多く、今はまだ出動中の為にこの場には居なかった。

 

 

「コウタがさぼった結果じゃないんですか?エイジなんて終了後直ぐに提出してますよ」

 

「それはそうだけどさ…ってなんでアリサがそんなに詳しいんだよ?」

 

 何気に放ったコウタの一言にアリサは言葉に詰まっていた。今のアリサ達の生活環境を知っている人間は意外に少なく、またお互いのIDで入退出が出来る事を知っているのはヒバリしかいない。

 しかも一緒に住んでる事は誰にも言ってなかった事もあってか、アリサとしても言葉を濁す事しか出来なかった。

 

 

「コウタ、それが当たり前。帰投の移動中にまとめておけば後は簡単じゃないの?」

 

「そうですよ。コウタは帰投中に何してるか知りませんけど、少しはそうした方が後々役立つんじゃないですか」

 

 自然と助け舟が出た事と、会話の中で疑問に思う事が無いも無かった事が影響したのか、コウタがその後アリサに突っ込む事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コウタ先輩。今日は宜しくお願いします」

 

「今日から実戦なんだ。って事は後の人間は誰なんだ?」

 

 訓練から漸く実戦での許可が出た事もあり、エリナは緊張しながらもコウタを見つけた事で落ち着きを見せていた。既にミッションの内容は把握していたが、他には誰がアサインされているのか分からず、その為に全員が一旦揃ってから出動する事になっていた。

 

 

「今日は僕も同行する事になった。新参者故に足手まといにならないように努力するつもりだ」

 

「今日は、宜しくお願いしますね」

 

 確認するまでもなく、この声と口調はエミールだった。当初の訓練時にはコウタも確認する事はあったが、最近では訓練でもそれなりに数字が出た事もあり、その結果として今回のミッションでの初陣を飾る事になっていた。

 

 

「って事は今日はカノンさんと俺が後衛で、エリナとエミールが前衛だな。援護は任せておいてくれ。でも、背後には気をつけろよ」

 

 コウタの言葉に何か引っかかりは感じるが、今は初陣だけあってエリナは緊張感で押しつぶされそうな感覚になってくる。戦場での停滞は死に直結する可能性が高く、またその結果として初陣で命を散らす者はいくら訓練をしてもゼロでは無かった。

 

 

「今回はオウガテイルの討伐だから、そんなに緊張しなくても大丈夫。万が一の際には、こっちでフォローするから、まずは好きな様に動いてくれ」

 

 今回のミッションリーダーでもあるコウタが全体の指揮を取り、討伐内容に応じた結果が今後の配属の要因となっている。新人の二人には知らされていないが、これは榊から直接聞いていた事もあり、今は二人の行動を確認すべく、ミッションが開始されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回の討伐対象はオウガテイル3体。見た感じだとそれぞれ散ってるみたいだけど、こちらのフォローの関係上、各個討伐は無し。まずは2人でやってみて」

 

 現場を高台から確認すれば、都合よくオウガテイルが固まる事無く散っていた。戦闘が長引けば音に引き寄せられる可能性はあるが、対象が対象なだけにそこまで緊張する必要は無いとコウタは判断していた。

 

 

「では…行きます!」

 

 気合と共にエリナが捕喰中のオウガテイルの背後へと駆け寄る。プレデターフォームから繰り出される大きな咢がオウガテイルの尻尾へと喰らいついていた。捕喰口から感じる手ごたえが神機を介してエリナへと伝わって行く。その瞬間、エリナの全身にはこれまでに感じた事がない反応を示していた。

 全ての行動に力が漲っていく。当初の予定通りバーストモードになってからの戦端はこちらが優位のまま開かれた。

 

 動きが単純ながらも、気を抜けばオウガテイルはこちらへと襲い掛かる。忍び寄っている時点でも緊張感は高まっていたが、やはり直接対峙すればアナグラでのシミュレーションとは比べ物にならない程の濃密な空気がそこにはあった。

 噛み砕くかの様な攻撃をバックステップで躱しながら、チャージスピアの間合いを最大限に活かした突きは一方的にダメージだけを与え続ける。

 時折尻尾から針が飛ばされるも、それも上手く回避する事でダメージを受ける様なミスは無く堅調な滑り出しだった。

 

 

「ここです!」

 

 渾身の突きがオウガテイルの口へと吸い込まれる。螺旋を描く突きは教導の証。このまま直撃すればオウガテイルは絶命すると思われた瞬間だった。

 突如としてエリナの背後から想定外の衝撃が襲いかかると同時に、その場から吹き飛ばされていた。

 

 

「射線上に入るなって私言わなかったっけ?」

 

「あ、あのカノンさん。今回はエリナ達の実戦なんですが…」

 

「このまま肉片にしてあげるよ」

 

 突如として吹き飛ばされたエリナは何が起こったのかすら判断出来なかった。周囲にアラガミは小型種しか居ない。エリナを吹き飛ばす程の攻撃を仕掛けたアラガミとなれば、それは確実に脅威でしかなかった。慌てて背後を見れば、そこにはカノンの銃口がこちらを向いていた。

 

 

「ダメだ…エリナ!背後からの射撃を躱しながら攻撃するんだ!」

 

「そんな事、突然言われても!」

 

 ほんの少し前までは予想以上の動きをみせて攻撃していたはずが、突如として背後からの攻撃を避けながらの討伐へと難易度が一気に跳ね上がる。これが既に何度か合同で行っている人間ならば問題ないが、新兵にそれを求めるのは些か無理があった。

 既にカノンは戦闘態勢に入り込んだのか、コウタの制止は聞こえていない。これがコウタが言っていた背後に気をつけろの意味である事が漸く理解出来た。

 

 

 

 

 

「本当にすみません。どうも私、戦闘態勢に入ると記憶が定かじゃなくなるみたいで…」

 

 最初の1体の討伐が何とか終了すると同時にコアを引き抜いたからなのか、横たわるアラガミは霧散していく。ここで漸くカノンが意識を取り戻したのか、先程の事でひたすら頭を下げていた。

 コウタからも事前に話は聞いてはいたが、まさかここまでとは想像もしていなかった。それと同時に、自分に比べれば遥か上の先輩からこうまで謝られるとエリナとしても心中複雑なものがあった。

 

 

「エリナよ。カノン先輩がここまで頭を下げている以上、もう良いのではないか?」

 

「私は別に謝られても…」

 

「カノン先輩。ならば僕がエリナの代わりに赦そうじゃないか!親しき中にも礼儀ありとここ極東でも言う様に、今回の件はこれで終了としようじゃないか!」

 

「ちょっと、なんでエミールが勝手に判断してるのよ。私は別に謝罪してほしいなんて思ってもないんだから、勝手な事は言わないで!」

 

「また…始まった。あの、カノンさん。エリナもああ言ってるんで、もう大丈夫だと思いますよ」

 

「でも、新人さんですし、ここはやはりご迷惑をおかけした以上…」

 

 今が本当にミッション中なのかと、知らない人間が見れば頭を抱えたくなる様な空気がそこにはあった。未だオウガテイルはまだ2体居る。ここでこんな空気だとすれば、今後はどうすれば良いのだろうか?コウタは心の中で頭を抱えて悩みたい衝動に駆られていた。

 

 

 

 

 

「コウタさん。今はどんな状況ですか?そちらに向かって想定外の大型種が迫ってます!到着まで想定10分です」

 

 突如としてコウタの無線にヒバリからの緊急連絡が入る。今の話が聞こえていたのか、既にエリナは状況を確認せんとコウタを見ている。カノンとエミールも既に警戒態勢に入っているのか、周囲を見渡すかの如く警戒していた。

 

 

「了解。大型種は何が来てるの?」

 

「こちらで確認出来るのはヴァジュラと……感応種です。緊急時なので、ソーマさんを今すぐ……分かりました」

 

「あの、コウタ先輩。どうしたんですか?」

 

 ヒバリからの通信を聞いた瞬間にコウタの表情が青ざめる。ヴァジュラならばまだしも、この戦場で感応種となれば内容は最悪に近い。これがまだベテランであれば問題無かったが、ここに居るのは近接攻撃出来るのはエリナとエミールしかいない。

 このメンバーでは即時撤退は確実だった。

 

 

「ヒバリちゃん。ソーマが来るのか?」

 

「いえ、ソーマさんは他のミッションに手間取っている関係で、そちらへの移動は不可能です。今はエイジさんがそちらに向かっているとの事です」

 

 エリナの質問に答える暇もなく、コウタはアナグラからの通信を逐一確認する。今の所、こちらにはまだ来ていない事がせめてもの救いではあるが、現場に乱入されるのは時間の問題だった。

 

 

「感応種がこっちに来てるらしい。今の所は問題無いんだけど……それと同時にヴァジュラも来てる以上、ここからは即時撤退だ。エイジがこっちに向かってるけど、それも何とも時間が読めない」

 

「え…感応種ですか?でも、ここから撤退と言っても…」

 

 エリナが驚くのは無理も無かった。ここから回収ポイントまでは距離があるだけでではなく、討伐対象のオウガテイルはまだ周囲を闊歩している。時間の経過と共にリスクだけが増大する。今は一刻の猶予もないままの厳しい撤退戦が要求される事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません。思った以上に進度が早いです。現地に合流するまであと1分です!」

 

 周囲を索敵しながらの撤退は予想以上に時間がかかる。大きな音を出せば寄ってくる為に、移動は慎重にならざるを得なかった。そんな時に限って運命は悪い方へと転がり出す。ヒバリからの通信はまさにそうだと言われている様だった。

 

 

「もう時間が無い。全員、一気に突っ切るぞ!」

 

 コウタの声と共に全員が索敵しながらの行動を止め、一気に動き出していた。本人が幾ら音を立てない様に移動しても、時折聞こえる神機の音は思ったよりも大きかった。

 その音を察知したかの様にオウガテイルが2体こちらに向かっていた。得物を見つけたオウガテイルは涎を垂らしながらエリナに向かって襲い掛かる。突然の襲撃に反応が遅れたからなのか、反応する頃にには既に最接近を許していた。

 

 

「エリナ!」

 

 襲いかかろうとしてくるオウガテイルにカノンがいち早く気が付くも、自身の神機では射程外の為に攻撃が届かず、コウタからでは運悪く死角の位置の為に攻撃が出来ない。今のコウタ達に出来る事はエリナが回避できる事を祈るだけだった。

 

 

「騎士道ぉおおおおっ!」

 

 エリナを捕喰する寸前、突如としてオウガテイルが重力に反するかの如く横へと大きく飛ばされる。ブーストハンマーのヘッドがオウガテイルを完全に捉えていたからなのか、何かが粉砕される様な音と同時に視界から一気に消え去っていた。

 エリナの危機を救ったのは、エミールだった。渾身の一撃はオウガテイルを吹っ飛ばしただけではなく、無防備だった頭蓋を直撃したことから、オウガテイルは絶命していた。

 

 

「エリナよ。油断は大敵だ!偶然僕が気が付いたから良い物を、戦場では命取りになるぞ」

 

「あ、ありがと」

 

 いつもは何かにつけて言い争う二人ではあったが、今回の件はエミールに救われた事もあってか、エリナも素直に礼を言う。しかし、この場で留まる事はチームとしての危機を晒す事に変わりは無かった。

 既にここからも大型種特有の音が聞こえる。ヴァジュラだけならまだしも感応種が現れれば、このメンバーではどうしようも無かった。改めて撤退の準備を開始する。

 しかし、荒ぶる神々はここで残酷な選択肢を与える結果となった。

 

 

「コウタさん。感応種です」

 

 シユウ感応種がコウタ達の目の前にゆっくりと降り立っていた。アラガミに表情があるとは思えないが、どこかニヤリと笑みを浮かべている様にも見える。

 既に補足されている以上、このまま撤退したとしても引き連れる事になる。これ以上の逡巡は最早、無意味だった。

 

 

「エリナとエミールはこのまま退避。ここは俺が食い止める。カノンちゃんはこの二人を頼む」

 

「でも、コウタさんだけだと」

 

 カノンが心配するのは無理も無かった。感応種の危険度は他の接触禁忌種をも遥かに凌駕する。いかにコウタと言えどもこの場で残るのはある意味自殺行為と何も変わらなかった。しかし、この場で誰かが残らない限りこのままでは全員が戦死するのも明白だった。

 

 

「エイジがこっちに向かっているから。その間は何とか凌ぐさ。これ以上は時間が勿体ない。早くここから撤退するんだ」

 

 牽制とも言える攻撃が何かを発動させるキッカケとなったのか、シユウ感応種は声なき咆哮と共に周囲に影響を及ぼす。初めて経験した神機が動かない現状に、この場に居た全員が動揺していた。

 

 

「うそ!神機が動かない!」

 

「ぬぉぉぉ~!神機が動かないなどと!」

 

「どうしましょうコウタさん」

 

 突如として稼働しなくなった神機の重量感が全員に襲い掛かる。事前に経験していれば動揺する事無く対処できるが、新兵である2人と、知識としては知っていたが、実際に経験した事が無い2人では機敏な対処が出来なかった。状況を理解したのかシユウ感応種はゆっくりとこちらに向かって歩を進めてくる。このままでは全滅は必至の状況だと思われていた。

 

 

「全員目を瞑れ!」

 

 突如として空から声が振ってくる。声の主が誰なのかは確認しなくても全員が既に理解していた。上空から放たれたスタングレネードは周囲を巻き込むかの様に閃光を広げていく。視界が失われた為に何が起きているのか理解は難しいが、激しい斬撃の音が何度も響いている。

 閃光が止む頃には両方の翼手とその器官が無くなったシユウがその場に立っていた。

 

 

「コウタ、カノンさん!止めを!」

 

 エイジの声にいち早く立ち直ったコウタとカノンが機能が回復した神機の引金を引き、一斉射撃で弾丸を浴びせる。轟音と共にシユウの胸と頭部への一斉射撃は対象アラガミの命を散らすには十分過ぎていた。

 僅かな時間ではあったが、驚愕の体験はあまりにも大きすぎたのか、エリナとエミールは暫く呆然としていた。2人の一斉射撃は反撃の隙すら与える事はなく全弾が命中し、シユウ感応種はそのまま絶命していた。

 

 

「間に合ってよかった。あとはヴァジュラだよね?」

 

「相変わらず美味しい所でやってくるんだな。あとはヴァジュラだけど、このメンバーで行くのか?」

 

 エイジが来た事で、過剰とも取れる戦力に安堵感が広がる。既に感応種の脅威が無くなれば、この後の討伐に関しては何ら問題無いと思われていた。がしかし、エイジから驚愕の発言が飛び出していた。

 

 

「ここの指揮権はコウタだから。任務完了までコウタが判断するんだ」

 

「え?エイジがやるんじゃないのか?」

 

「何言ってるの?今はコウタがミッションリーダーなんだから、それに従うよ。でも、ヴァジュラなら何とか出来るでしょ?」

 

 コウタには知らされて無かったが、今回のミッションに当たって、コウタ自身の今後の事を踏まえたテストが並行していた。指揮権はコウタにある以上、ここからの判断はコウタがする事になる。既にエイジは言葉の通り神機を構えはするも自ら行動を起こす事は無かった。

 

 まさかこんな事態になるとは想定していなかったコウタの背中には冷や汗が滲んでいた。

 

 

「因みに、撤退しても問題ないし、このまま討伐しても何も困らないよ。それをどう判断するのかはコウタが決めると良いよ」

 

 コウタの背に突如として責任と言う名の見えない鎖が身体を雁字搦めにする。当初は簡単な任務だからと引き受けたが、こうまで想定外の内容になるとは想像もしていなかった。

 

 コウタの判断がここに下される事となる。

 

 

 

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