神を喰らいし者と影   作:無為の極

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第138話 過去との決別

「さてと。ここからが本番なんだが、出る前にも言った通り、リンドウさんは今回の件に関しては参加はしない。それと、副隊長さん。今回の件に関して巻き込んですまなかったな。本当の事を言えば事を大げさにしたくはなかったんだが、そうも言えない事態になってな。あの場では特に何も言わなかったんだが、やっぱりツバキさんが言う様に私怨が一番なんだ。我儘を聞いてもらってすまなかったな」

 

「ハルオミさん。私怨だろうが任務だろうが気にするのは万が一が起きてからであって、討伐が完了すれば問題無いはずです。事実ツバキさんも無明さんもそう言ってた訳ですから、気にする必要は無いですよ」

 

 本来ならば交戦前にこんな事を言うのはお門違いであるのは誰よりもハルオミが一番良く知っている。ハルオミの話を聞こうが聞くまいが、やるべき事はシンプルである事に変わりない。

 事実として、こんな時代である以上、アラガミに対し大なり小なり何かしらの感情はあって当然だと北斗は考えている。負傷者が出なければ咎められる筋合いはどこにも無い。

 今は目の前のアラガミに集中するのが一番であればこれ以上の事は必要なかった。

 

 

「北斗。いや、副隊長。巻き込んですまなかった。俺もハルさんと同じ考えに憑りつかれていたのかもしれない。だが、今はただの一神機使いとして戦うだけだ。その為に力を貸してくれ」

 

「何を今さら。そんな事気する必要はどこにも無いさ。ジュリウスだって今回の件で骨を折っている以上、そっちの方が大変だろ?あの局長にうんと言わせるなんてジュリウスにしか出来ないんだからな。俺だったら絶対に無理」

 

 北斗の言葉は当時の神機兵の無断操縦の事を暗に示していた。

 当時の考え方は反吐が出る様な思いだったが、あれと折衝する位ならまだ目の前のアラガミと戦っていた方が何倍もマシだとも思えていた。

 そんな事を思い出したのか、ギルの顔から緊張感が適度に抜けた様な表情が見て取れていた。

 

 

「フッ違いねぇな」

 

「お前さんたち。くどい様だが今回の件は特例なんだ。少なくとも今回の件に関しては確実に俺だけには懲罰がかかるのは間違いないんだからしっかりやれよ。でないと俺が全部かっさらう事になるからな」

 

 緊張感の中に敢えてユーモアを入れる事で少しでもリラックス出来るようにリンドウは取り計らっていた。私怨と我執に囚われればどんな結果になるのかは考える必要も無い程に分かり易い。

 そんな配慮を感じたのか、ギルとハルオミも何時もの雰囲気へと戻りつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いくぜギル!」

 

「はい!」

 

 赤いカリギュラへと近づく為に一気に距離を詰めるべく全員が全速力で走り出した。

 周りには遮蔽物が何も無い以上、気配を殺した所で直に気取られるのは間違いない。ならば見つかる前提で全員が一気に動いていた。

 

 カリギュラとの距離が徐々に近くなる。それと同時に遠目で見ていた物がハッキリと確認出来ていた。

 背中に突き刺さっているのは当時ケイトが渾身の力で突き刺した神機。

 それが何かの目印でもあるかの様な存在感を放っていると同時に、恐らくは刺さった神機が影響したのか、それとも単純に回復していないからなのか右腕も結合崩壊を起こした当時のままだった。

 

 

「どりゃああああ」

 

 手前5メートルの地点で想像通り赤いカリギュラはハルオミ達の存在に気が付くと同時にこちらへと視線を向ける。元から奇襲出来るとは思っていなかったからなのか、赤いカリギュラの視線がこっちに向こうが、誰一人として怯む事は無かった。迫りくる3人をまるで迎撃するかの様に左腕からは大きなブレード状の物が飛び出ていた。

 

 走る勢いをそのままに、ハルオミは渾身の力でバスターでもあるワックマックを横薙ぎに振りぬく。加速からの一撃は普段以上の速度を持ったからなのか、バスター型とは思えない斬撃は大気を斬り裂き、唸りを挙げていた。それに対し、カリギュラは警戒したからなのか、刃を受ける事無く身を大きく翻しながらに反撃へと移っていた。

 渾身の力で振りぬいた影響で、盾を展開する事が出来ない。このまま直撃を受けるかと思われた瞬間、北斗が素早く盾を展開する事でハルオミへの攻撃を上手く防ぐ事に成功していた。

 手負いとは言え、実質的な接触禁忌種は伊達ではない。北斗は盾越しとは言え、その威力に思わず関心していた。

 

 

「すまねぇ!」

 

「これからだ。ギル援護してくれ!」

 

「おう!」

 

 北斗の指示通りにギルのリボルスターはマズルフラッシュと共にがカリギュラの頭部めがけて3発を連続して発砲する。過去の事から考えれば県政代わりの発砲に結果を求める事は無い。こちらの態勢を整える為であり、決してダメージを与える事が目的ではないからだった。

 

 3点バーストの様に放たれた弾丸は全てが着弾する。通常であればこの程度では接触禁忌種が怯む事はあり得ない。しかし、今までのダメージが蓄積された影響なのか、それとも刺さった神機が影響したからなのか、赤いカリギュラはたたらを踏みながらに後退していた。

 

 

「ハルオミさん。結合崩壊の部位を狙うのが一番早い!」

 

 北斗の叫びをそのままに、改めてハルオミのフルスイングが今度は結合崩壊した部分へと直撃する。先程のよろめきと同時にこのままの勢いで一気に押し切れるかと近づいた瞬間だった。

 よろめいていたはずのカリギュラは突如としてその場から若干浮いた様な様子で静止し始めていた。

 

 

「ギル!副隊長!一旦距離を取れ!広範囲の攻撃が来るぞ!」

 

 本部に居た際に同系統を何度も討伐した結果からなのか、ハルオミは見てから判断するよりも、その雰囲気を察知したかの様に2人に指示を飛ばす。この中で一番討伐しているのはリンドウを除けばハルオミが一番経験しているからこその判断だった。

 

 ハルオミの指摘通り、赤いカリギュラの周囲に冷気が宿る。放出された冷気の影響なのか、地面の一部が凍結してる様にも見えていた。凍てつく大地がどれ程の低温を出しているのかを肌で感じる。

 このまま近接攻撃を続けるのは厳しいと判断していた。

 冷気を放出しているのは僅か数秒ではあったが、それだけの時間がれば次の行動を起こすには十分すぎる程の時間が出来る。

 既にそれが一連の攻撃であるかの様に、カリギュラの背中にあるブースターがゆっくりと広がりを見せると同時に、その巨体を空へと押し上げていた。

 

 

「空中から来るぞ!全員回避だ!」

 

 ハルオミの指示が次々と戦場に飛ぶ。いくら強固な神機を装備した所で百戦錬磨とも取れる経験の前には無力な状態と何ら変わらなかった。伊達に本部で戦ってきた訳では無い。その経験が次の行動を予測する事が出来ていた。

 

 

「視線を切るな。奴は速いぞ!」

 

 ハルオミの予測通り、大きなブレードを鳥の翼の様に大きく広げると、北斗に向けて一気に襲い掛かる。空中からの一撃がそのまま直撃するかと思われた瞬間だった。

 

 

「北斗!」

 

 ギルの叫びも空しく、空襲とも取れる攻撃は回避できたが、問題はそこからだった。

 着地した瞬間になぎ倒すかの様に動いたブレードが北斗へと襲い掛かる。空襲だけの攻撃ではなく、そのまま地上に対しての2段攻撃は今までのカリギュラには無い攻撃方法だった。

 迫りくるブレードと自身の身体の隙間に何とか神機を挟みこむ事で直撃は避けられたが、それでも巨体を生かした攻撃による質量までもは消し去る事は出来ない。自身の神機の強度と整備してくれた極東の技師を信じ、直撃の回避だけは最低限成功していた。

 

 

「大丈夫だギル。少し衝撃が残っただけだ」

 

 北斗はそう言った物の、やはり直撃とも言える攻撃の圧力は想像以上だった。

 戦闘中の為に確認する事は出来ないが、実際には刀身と装甲を繋ぐジョイントが気持ち緩んでいる様にも感じる。この状況の中で集中と視線を切ればどうなるのかは誰にも容易に想像が出来る程だった。

 

 

「ったく手強いね。よくもまぁケイトはこいつと渡り合ったもんだ」

 

 先程の北斗への攻撃を見たハルオミは誰にも聞かれる事なく一人呟いていた。

 赤いカリギュラは背中に神機を刺したままであの強さならば、最初に遭遇した際にはどれ程の圧力だったのだろうか。

 そんな考えがふと脳裏をよぎる。今は出来る限りの事とやるだけだと改めて考え直し、この戦いに再び集中し始めていた。

 

 

「ハルオミさん!援護してくれ」

 

 ハルオミに声をかけると同時に北斗が赤いカリギュラへと攻撃を仕掛けるべく、銃形態へと変形させながら疾駆していた。

 牽制とも取れる射撃をしながら距離を詰めるつもりで行動を起こす。走りながらの銃撃が完全に当たるとは思ってもおらず、あくまでも牽制程度にだけ考え、そこから一気に剣形態でダメージを与えるつもりだった。

 自分の行動を援護するかの様にハルオミもまたスイートシャフトで援護に入る。

 バレットが全部着弾したのか、少しだけ隙が生まれていた。

 千載一遇の好機。北斗はこのまま疾走する勢いを利用して剣形態で攻撃する為に改めて銃形態から変形させようとした時だった。

 

 

「畜生!こんな所で」

 

 北斗が吐き捨てる様に呟いた一言は、今の状況を言い表している様にも思えていた。

 本来であれば変形には時間がかかるとは思えない程の短時間で機構が変化を遂げる事で次の行動へと移行する事が第二、第三世代の神機の大きな特徴でもあった。

 しかし、複雑になればなるほど神機の耐久力は目に見えないレベルで下がっていく。

 幾ら強化した所で表面的なパーツだけが強化され、肝心のジョイントの部分までは対策品が無い為に、そう大幅に変化する事は無い。

 

 先程の攻撃の際に感じた違和感が、肝心の場面でその弱点を露呈させていた。

 変形にもたつく間にカリギュラは迎撃を開始する。北斗の攻撃を嘲笑うかの様に再び大きく跳躍し、今度はお返しとばかりに、口から冷気を吐き出す事で周囲を再び凍結させていく。

 ハンニバルの様な灼熱とは正反対の極寒とも取れる冷気は万物の全てを凍結し粉砕する様な威力を示していた。

 

 

 

 

 

「しかし、あれが赤いカリギュラの力とはね。あの神機が刺さってままであれだと、今度同じ様な個体が出れば大変そうだな」

 

 3人の戦いを少しだけ距離を開けた所からリンドウは見ていた。

 今回のミッションに関しては、ツバキの要請からも念の為に参加しているに過ぎない。

 今回の件が偶然であったとは言え、態々1体のアラガミを討伐する為だけに異動を繰り返したハルオミに敬意を払った結果でもあった。

 もちろん出動前の言葉に偽りは無い。幾ら遠目とは言え、臨戦態勢を崩す事無くリンドウはその戦いぶりを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見た目を大幅に裏切る程に赤いカリギュラは圧倒的な力で3人を退けていた。

 当初は右腕の結合崩壊の部分を集注的に狙う事が出来れば討伐は容易だとも思われていた。しかし、その目測を大幅に超えて今の赤いカリギュラは何も変化が無いと思える程の動きを見せていた。

 そんな中でも一番に目を引いたのは巨体に似合わない程の軽快な動き。通常のアラガミであれば攻撃は回避よりも防ぐ事が多く、実際に結合崩壊を起こすのはアラガミの耐久値を大幅に超えた結果でもあった。

 本当に大型種なのかと疑いたくなる程に軽やかとも取れるその身軽さで回避する。

 ここから先の結合崩壊を望むのは厳しいと誰もが予測していた。

 

 

「いつまでも軽やかに逃げれると思うなよ」

 

 一旦攻撃のリズムを変更しようと、ギルはトラップの設置を慣行していた。既に進路を予測していたのか、北斗の3メートル手前の地点に設置する。後はここに捕まえた所で一気に仕留めるつもりだった。

 

 まるで図ったかの様に北斗めがけてブレードで攻撃を薙ぐ様に赤いカリギュラは一気に距離を詰める。この進路上には既にトラップが設置されている以上、その場に止まるはずだった。

 

 

「北斗!」

 

 3人の予想を大きく裏切り赤いカリギュラはトラップなど最初から無かったかの様にそのまま攻撃を仕掛けた。まさか止まらないとは思ってもなかった事もあってか、ほんの少しだけ北斗も油断をしていた。

 ギリギリの距離を見切って北斗がブレードを避ける。辛うじて避けたまでは良かったが、その衝撃波は勢いそのままに襲い掛かっていた。

 態勢が崩れた所にその衝撃波が北斗を弾き飛ばしていた。

 

 

「大丈夫だ!俺の事は気にするな!」

 

 空中で受け身を取るべく身体を捻りながらに着地はしたものの、神機は大きく弾き飛ばされ丸腰のまま対峙する形となっていた。幾らゴッドイーターと言えど丸腰では何も出来ない。

 このまま万事休すかと思う程に赤いカリギュラはしつこく北斗めがけて攻撃を続けようとしていた。

 

 背中のブースターがこれから繰り出す攻撃を示すかの様に大きく広がると同時に、その熱量を吐き出し始める。ブースターを活かした攻撃は今までと比べれば格段に襲い掛かる速度が段違いだった。

 恐らくは瞬きをした程度であっても赤いカリギュラは北斗へと到達し、待っているのは横に真っ二つにされる未来しかない。その姿を見た2人は最悪の展開を予測する程の桁違いの攻撃だった。

 

 

「ギル!絶望するにはまだ早い。北斗への攻撃を少しでも緩めろ!」

 

 ハルオミの叫びに我を取り戻したのか、ギルとハルオミは一斉に赤いカリギュラへと掃射し始めていた。既にブースターで加速している以上、余程の事が無ければ攻撃は直撃する。

 このまま任務失敗で終わらすだけではなく、最悪は私怨に巻き込んでの北斗の戦死だけは避けたいとの思いがあった。

 一斉掃射が功を奏したのか、僅かながらに赤いカリギュラは攻撃の速度が鈍る。

 当初の速度では回避は不可能とも取れたが、ここにきての失速により、ほんの僅かながらに勝機が生まれていた。

 

 

「ギル!あとは頼んだ!」

 

 北斗は繰り出されるブレードをギリギリの速度で回避すると同時に大きく跳躍した。 先程よりも速度が遅いからなのか、衝撃波は発生していない。狙う先は背中の神機。

 そこを狙いすましかたかの様にさらに追い打ちをかける蹴り入れる事でダメージを与えていた。

 忌々しく刺さっていた神機が再びカリギュラの動きを止める。この千載一遇のチャンスを活かす事が出来なければ、この戦いが終わる可能性は無いと思われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ以上好きにさせるか!今ここで終わらせる!」

 

 ギルは走りながらにチャージグライドを放つべく神機を制御する。このミッションが始まった当初の復讐心に囚われた気持ちは既に存在していなかった。

 今はただ目の前にいる北斗を助ける事だけが今のギルの中を占めていた。

 

 ケイトの二の舞だけは絶対にさせない。その気持ちに答えたのか、神機は機構部分を大きく変化すると同時に解放した部分からオラクルが過剰な程に入り込んでいるのか、周囲に余剰分となったそれをまき散らす。

 自分の気持ちに神機が答えてくれるかの様な錯覚と共にカリギュラへと距離を詰めるべく一気に走り出した。

 

 

「このままくたばれぇええええええ!」

 

 一匹の獣の様な咆哮と共にチャージグライドの体制に入る。先程の怯んだ時間は本当に僅かな物だったが、今のギルには十分すぎた。

 

 身体を起こし態勢を整えようとした赤いカリギュラは今なら完全に反応するこ事は出来ない。ここが最後の勝負だと言わんばかりにヘリテージスがオラクルを纏いながらカリギュラへと襲い掛かった。

 ヘリテージスのオラクルが赤黒く染まると同時に何かが弾けた様にも見える。

 既に突撃の体制に入っている以上、ここからの変更は出来ない。後は己と神機を信じて身を任せる事意外に何も出来なかった。

 

 

「やったか?」

 

 ギルの突進は一筋の光の様に赤いカリギュラを貫く。この一撃が全てを物がっていたのか、起き上る様な気配を感じる事は出来ない。

 慎重に様子を伺うと、そこには最終確認とばかりに今まで見守っていたリンドウがそのカリギュラの確認をしていた。

 

 

「お疲れさん。これで今回の討伐は完了だ」

 

 リンドウの一言で緊張感が途切れたのか、ギルは足元から崩れる様に倒れこみ、北斗もその場でへたる様に座り込んでいた。

 そんな2人を見ながらにリンドウはハルオミの傍へと足を進める。

 今まで心の中に何か大きなわだかまりがあったのが解消されたのか、今のハルオミだけではなく、ギルの表情も晴れやかだった。

 既に呼んであったのか、帰投用のヘリの音が少しづつ近づいていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~よくもまぁこんな神機で戦ってたね。あと少し攻撃を受けてたら全損だよ」

 

「そうだな。これで自分がやってないって言うなら鉄拳制裁は必須だな」

 

 帰投直後のリッカは北斗の神機を見てため息を吐いていた。それはリッカだけではなくナオヤも同意見だった。

 神機の見た目にはそう大きな障害は無い様に見えるが、肝心の機構の部分に関しては実際にオーバーホールすると大破寸前とも言える状態だった。

 ジョイントのフレームは激しく歪み金属疲労が凄まじく、このまま続けていれば金属断裂すら起こりうる様な状態だった。

 

 更には無理やり動かした影響なのか、恐らくはここから銃形態への変更は不可能にも見えた。幾ら部位を強化してもジョイントから破損すれば、それはもはや使い物にならない。

 整備士の誰もがこの神機を見れば確実にため息を吐きたくなる様な状況な事だけは北斗にも理解していた。

 

 

「それでなんですが、直るのにはどれほどかかりますか?」

 

「ここまでだと1週間と言いたい所だけど……まぁ2日だね。それで大丈夫だよ」

 

 あまりの破損から相当な時間がかかるかと思われていたが、まさか2日で直るとは思ってもいなかった。

 北斗は知らなかったが、過去にはエイジも神機を大破させている。あの時と状況は違うが、それでも当時よりはまだマシだと思える程の状況だった事がせめてもの救いだった。

 

 

「そんな短期間で大丈夫なんです?」

 

「私の言葉が信用できない?」

 

「そんな事は無いです…」

 

 大破させた事が負い目となっているのか、今は出来る事ならこの場から逃げ出したい気持ちで一杯だった。肝心の神機が無ければゴッドイーターは単なる穀潰しでしかない。

 だからこそ、ここでの批判は甘んじて受ける事しか出来なかった。

 

 

「北斗。今回の件は貸しだからね。今度、この貸しは返してもらうから」

 

「わかりました。いずれ返させて頂きます」

 

 そう言われると同時に北斗は一路ラウンジへと向かっていた。

 

 

 

 

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