神を喰らいし者と影   作:無為の極

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新年明けましておめでとうございます。
昨年に続き、本年も宜しくお願いします。


まさか、今年の新年のバージョンを書く程に続くとは思いませんでした。
本来であれば番外編は週末でしたが、正月なので、今日の更新は番外編とさせて頂きます。


番外編 19 新春

 静寂を保った舞台にシャンシャンと鳴る鈴の音が、まるで空気を神聖な物へと変化させている。

 既に神の信仰が失われた時代にはおおよそにつかわないそれは、明らかに異質な物だった。時折一定のリズムを奏でるそれを持っているのは一人の少女。普段の天真爛漫さは既に消え去り、口元に引かれた紅が真っ白な肌を際立たせている。

 白装束に緋袴のそれは、その少女を引き立たせる為の物なのか、それともこの場の為に設えた物なのかは分からない。しかし、この場の空気を支配していたのは間違い無かった。

 

 

「私、初めて見ました」

 

「普段は見せないからね。あくまでも新年の舞の一つだから」

 

 二組の若夫婦だけでなく、普段であれば礼儀から程遠いはずの面々もまた、いつもの純白の制服ではなく、男性は黒い極東由来の紋付袴、女性は色とりどりの振袖を着ていた。時間にして僅かではあったが、神聖と言うに相応しい舞に魅了されていたからなのか、神楽が終わってもその空気が壊れる事は一切無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「屋敷でですか?」

 

 クリスマスが終わると同時に、一部の人間が急に慌しく動き回りだしていた。アナグラでも中心にいる人物でもある、如月エイジ、黛ナオヤ、柊弥生はアナグラの業務が終わると同時に、直ぐにその姿が見えなくなる事が多くなっていた。

 

 

「そう。今年は漸く神楽の舞を奉納する事が出来る様になってね。昼からは主要の部隊長やメンバーが来るんだけど、その前に一部の人間に対しての非公開行事があるんだよ。だから年末までは慌しくなるかも」

 

 アリサは以前にそんな話をエイジから聞いていた。既に屋敷の一員となったアリサにとっても行事毎があれば積極的に参加するのは当然となっていた。

 以前にリンドウから言われた旧時代の行事はアリサの好奇心を十分すぎる程に刺激していた。去年もやった餅つきだけでなく、七夕やお盆の行事など以前の様な関係であれば確実に体験しなかった事が一度に来ている。

 そんな中での新年の行事は目新しい物だった。しかし、今回の件まで参加するとなれば確実に時間がかかる。流石にアリサまでが参加するとなればサテライト計画が停滞するからと、エイジに説得されていた。

 

 

「聞いてはいたけど、まさかここまでだとは思わなかったよ」

 

「そうですね。まさかここまで厳しくなったのは想定外でした」

 

 リッカの言葉にヒバリも苦笑せざるを得なかった。ゴッドイーターの業務はアラガミの討伐だけではない。まだ中堅までは日報の提出だけだが、ベテランや部隊長クラスともなればアラガミの情報や負傷者の報告など多岐に渡る。それが一旦秘書でもある弥生の元に来た後に支部長の決裁と共に情報が共有化されるのがここのルールだった。

 本来であれば、2人が知り得る中でこうまで書類が停滞した事が記憶に無いのは、一重に弥生の処理能力の高さが大前提だった。

 

 

「こっちもだよ。ナオヤが居ないだけで現場が回りきらないんだよ。ここ暫くはずっと午前様なんだから。終わったらナオヤに何か奢って貰わないと割に合わないよ」

 

「大変ですね。私は逆に時間内に終わるので残業はありませんよ。その代り普段がかなり忙しいですね」

 

「なるほど。だからタツミさんが最近ウキウキしながら帰投する訳だ」

 

 リッカはここ最近のヒバリではなく、タツミの事を思い出していた。

 ただでさえ忙しいはずのタツミもここ最近のミッションの帰投の早さは群を抜いていた。それは整備をしているリッカも当初は不思議に思っていたが、ヒバリの話で漸くなる程と思うのは無理も無かった。

 ヒバリが定時に上がるのであれば、タツミもまた時間内にミッションが終われば互いに時間が空いてくる。普段は中々一緒になる事が少ないのであれば2人の事を知っている側からすれば、その後の行動は容易に想像出来ていた。

 

 

「そんなんじゃないですよ。でも、時間にゆとりがあるのは事実ですけど、まさかああなるとは思いませんでしたが……」

 

 ヒバリは当時の事を思い出していた。弥生がやらなくても書類は理論上は問題なく回ると当初は思われていた。しかし、いざやってみると段取りが悪く、またチェック機能が働いていないのか、書類上のミスも多発していた。フォローも含めれば結果的には何も変わらない事が発覚し、現在では時間内の提出をする事により今の状況が作り上げられていた。もちろん、そのトバッチリは現場にまで影響をもたらす事になっていたのもまた事実だった。

 

 

「ねえアリサ。そう言えば、屋敷で何をしてるの?」

 

「新年の行事毎の段取りだそうです。今年は何かやるらしいんですが、私はこっちに専念して欲しいって言われたので」

 

 アリサを見つけたからなのか、リッカは目ざとく確認をする。ここ最近の慌しさを知っていたからなのか、アリサも特に隠す様子もなく、屋敷での出来事を話していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 奉納神楽はまさに今となっては失われた文化そのものだった。これ迄にも極東由来の伝統的な物を体験してきたアリサも目の前の少女が舞うそれには感動した以外の言葉が思い浮かばなかった。

 色んな賞賛の言葉はあれど、どれも陳腐だと言わんばかりだった。これ迄に一連の行動を知っていたエイジやナオヤはシオの舞の出来栄えを見ていたが、それ以外のアリサやソーマ、コウタは未だに呆けた様にも見えていた。

 

 

「なんだ?そんなに感動したのか?」

 

「まぁ、そんな所ですけど……まさかシオがあんなに動けるとは思ってなかったんで」

 

 リンドウの言葉にコウタはありきたりな言葉しか出せなかった。神聖な空気を作り出し流麗に舞うそれは、普段のシオを知っている者からすれば驚愕の一言だった。

 事実、隣に居たソーマも珍しくコウタと同じ様な反応を見せていた。

 

 

「シオちゃん、一生懸命練習したからね。色が白いから化粧映えも良いし、私もおかげで良いものが見れたと思うわ」

 

「最初は誰なのか分かりませんでした。でも綺麗な舞でした」

 

 弥生が舞台裏を話すと同時にマルグリットが感嘆の言葉を告げる。その言葉がこの場に居た全員の総意だった。

 普段とは真逆の行為にハラハラする様な場面は何処にもなく、悠久の中に息づく天女の様なそれは、既に神々しさまで存在している。今回は知った人間だけに終わったが、世間が見ればたちまち衆人環視の注目を集める事は間違いなかった。

 

 

「どうだった?良かったか?」

 

 既に着替え終わったのか、新年らしく浴衣ではなく振袖を着たシオは舞の感想を尋ねたかったのか、先程までの神秘的な雰囲気は消え去っていた。ほんの1時間前の天女の姿は存在していない。何時もの光景がそこにはあった。

 

 

「ソーマ。どうだった?」

 

「ああ、良かったぞ」

 

「ちょっとソーマ。もっと他に言い様があるんじゃないですか!」

 

 

 シオの問いかけにソーマはいつもの様にぶっきらぼうに返事をしていた。ソーマの中では賞賛したい気持ちはあったが、今回の舞は自身の想像の遥か上を行っていた。普段の行動を良く知っているからこそ、本当に目の前のシオがつい先ほどまで舞台で舞っていた同一人物なのかと思う程でもあった。

 中々素直になれないそんな雰囲気が漂っているのを周りは知っている。だからこそアリサの言葉を止めようとする者はいなかった。

 

 

「シオお姉ちゃん綺麗だったよ。僕、大人になったらシオお姉ちゃんをお嫁さんにするんだ」

 

 超弩級の爆弾がこの場に炸裂していた。放った無垢な声の主はリンドウとサクヤの息子レン。屈託の無い笑顔に2人は我が子に視線をやり、エイジとアリサはソーマを見、コウタとマルグリットはシオを見ていた。三組の男女がそれぞれを見ている。既に周囲の空気は極寒へと変貌していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな面白い事があったの?」

 

「笑い事じゃ無かったですよ。ナオヤが間に入らなかったら大事でしたよ」

 

 新年の宴は榊の挨拶を合図に開催されていた。既に用意された着物に全員が着替え、リッカは用意された酒を飲んでいる。フルーティーな味わいが良かったのか、ヒバリやカノンもグラスの中身は透明な液体ではあるが、中身は同じ物を手にしていた。

 

 

「でも、その場にはツバキ教官や無明さんも居たんですよね?」

 

「居ましたけど、それどころじゃ無かったですよ」

 

 

 そう言いながらアリサは自分の手にしたグラスの中身を飲み干す。爽やかな味わいのサラトガ・クーガーがこれまでの状況を表していたのか、喉を潤していく。

 ホッとするそんな時だった。舞台と思われし場所に僅かに照明が走る。視線の先には面を付けた男二人とその背後には何か楽器の様な物を持っていた女性が佇んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう始まってるよね」

 

「時間を考えればそうですね」

 

 既に開始の時間を大幅を過ぎた事にナナは焦っていた。当初は『午前のミッションを終えて準備出来る時間を確保する』と言った余裕を持ったスケジュールを組んだつもりだっだが、新年早々の感応種の出現が全ての予定を狂わせていた。

 当初はリンクサポートシステムを発動させる予定ではあったが、アラガミの位置と襲撃された部隊の事を考えればブラッドが現地に行くのが一番効率的だとの判断からすぐさま現地へと急行となった事が全ての原因だった。

 

 

「感応種じゃなくてラウンジに居たのが原因じゃないのか?」

 

「間違いない」

 

 リヴィの言葉が全てを表していた。討伐そのものは問題無かったが、何時もの癖でラウンジに寄ったのが運の尽きだった。

 いつもの様にムツミがいるはずの場所に誰もおらず、カウンターとソファーセットのテーブルには三段のお重が幾つも置いてある。その隣には出汁を入れれば直ぐに食べる事が出来る雑煮が用意されていた。

 何時もとは違うそれにナナがいち早く反応していた事が最大の要因となっていた。

 

 

「え〜あれ見たら誰だって止まるよ。だってあんなの初めて見たんだよ」

 

「確かに華やかでしたね」

 

 リヴィとギルの言葉を軽く流し、当時の状況を思い出していた。

 お重そのものが珍しいだけでなく、他の人間が食べている物がこれまでにラウンジでは見た事が無い料理はナナの目を引くには十分すぎる威力があった。

 既にその後の予定の事は頭から抜けていたのか、ナナは何時もの様にカウンターへと移動し始めている。北斗の忠告が無ければそのまま手を伸ばすのは間違い無かった。

 

 

「あれはアナグラ用だから、俺たちはダメだって言われてただろ?」

 

 既に門構えが見え始めてきたのか、玄関の両隣には大きな門松が出ている。開始時間は既に経過しているからなのか、焦りはピークになりつつあった。

 

 

「あけましておめでとうございます」

 

「あけましておめでとうございます。任務お疲れ様でした。既に皆さんは会場に居ます。まずはこちらに」

 

 玄関に入ると待ち構えたかの様に三つ指をついて出迎えられた事に驚きながらも促された場所へと移動する。既に用意されていたのか、そこには其々に合わせた着物が置かれていた。

 

 

「何だか少し静かだよね?」

 

「ナナさん、きっとあれじゃないですか?」

 

 着物に着替え終え、会場に入ると華やいだ雰囲気はそのままだったが、静寂さの中に唯一とも言える楽器の音が周囲一帯に広がっていた。当初は何が原因なのか判断する事が出来なかった。しかし、その疑問は直ぐに解消されていた。

 入口からはハッキリ見えないが、男二人が白装束に白袴の出で立ちに面を被っている。手には木剣を持っているのか、優雅に剣舞が繰り広げられていた。面を被っている為に誰なのかは判断出来ない。しかし、時間と共にその動きから誰なのかは誰もが分かりだしていた。

 

 

「あれはエイジさんとナオヤさんだよな?」

 

 北斗の言葉にギルも分かったのか、改めて舞台に視線を向けていた。流麗な動きは何処か教導で見た映像を彷彿とさせ、お互いの動きが計算されたかの様に剣戟は幾度なく交わされていた。

 

 

「そうだな。あそこ迄の動きはお互いが知らないと無理だろうな」

 

 会場の視線がそこに釘付けになるのは無理も無かった。ゴッドイーターとしての、また指導教官としての荒々しい動きはそこに無く、演武の一つとしての動きは見るものの目を奪う。いつもであれば自分達の事が優先されるカレルやシュンでさえも、その動きに視線は釘づけとなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これは……」

 

 リヴィは思わず手にした箸が止まっていた。ゆで卵が栄養価の面で効率的だと言う考えの元に卵料理を今まで好んで食べていたが、重箱に入った黄色の食べ物が気になったのか、おもむろに口にした瞬間だった。

 アナグラでの卵料理と言えばオムレツやだし巻き卵が殆どだったが、この変わった形の黄色い食べ物はこれ迄に感じた事の無い食感。ふんわりと柔らかいそれは甘みも強く、見た目も渦が巻いている様にも見える。まるでお菓子の様な食感はリヴィの人生の中で感じた事が一度も無かった料理だった。そんなリヴィを見たのか、これが何なのかは隣に居た女性が代わりに答えていた。

 

 

「それは伊達巻ですよ。卵に出汁やすり身を混ぜた物ですよ」

 

「こんなに美味しい物は初めて食べた。もう少し取っても良いのか?」

 

「お重はまだ有りますから遠慮無く食べて下さいね」

 

「そうか」

 

リヴィに一言だけ告げると既に女性は皿を片付けるべく、次々と下げていた。周囲の様子を見れば、各自が其々に食べている。リヴィもまたそんな一人のうちだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今年は来てないよね?」

 

 去年の事を思い出したのか、リッカは周囲を見渡していた。去年の新年の宴は広報が来ていた事もあってか、色々とやらかした記憶を思い出しながらグラスを片手にヒバリに話しかけていた。

 既にリッカの中では黒歴史になっているのか、それ以上当時の事を口にするつもりはどこにも無い。しかし、今年も来ているとなれば話は別だった。

 

「詳しい事は聞いてませんが、多分来てると思いますよ」

 

 ヒバリの言葉に改めて周囲を見渡すと、何人かがカメラらしき物を持っている。ヒバリも聞いていないが、多分の言葉はそれが原因なのは間違いなかった。

 

 

「多分あれだよね。去年ほ大変だったからね。今年は少し気をつけないと」

 

「新年早々のあれは案外と厄介でしたからね」

 

 

 リッカの言葉にヒバリも思い出したのか、苦笑が漏れていた。

 広報とは言うが、実際には他の支部や外部居住区にも写真や映像として伝わる為に、ここで醜態を晒せば自動的に世界中に晒すのと同じだった。今年はまだブラッドがいる為に、自分達に話は来ない筈だが、やはり気を抜く事は出来ない。そんな心構えが功を奏していた。

 

 

「お二人とも丁度良かったです。今年もよろしくお願いします」

 

 アナグラで聞きなれない声に振り向けば、やはり以前にも見た顔。広報部の面々がカメラ片手に近寄っていた。

 

 

「いえ。こちらこそよろしくお願いします」

 

 既に遠慮が無いからなのか、談笑しながらも撮影は進んでいく。既に慣れたからなのか、二人は余所行きの顔で対応していた。

 

 

「ありがとうございました。今回の件は2週間後には各媒体に掲載されますので」

 

「あの、他の方は撮られたんですか?」

 

「ええ。皆さんの分はしっかりと撮らせて頂きました」

 

 

 笑顔で話される以上、かなりの点数が撮れたのは間違いなかった。リッカとヒバリもそれがどんな結果をもたらすのかを身にしみている為にそれ以上の事は何も言わない。2週間後の楽しみとして待っていれば良いだろうと考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え〜何これ!いつ撮られたのか分からなかったよ。これじゃ私ただの食いしん坊みたいに見えちゃうよ!」

 

 ナナの絶叫は珍しくラウンジに響いていた。突如起きた大声にカルビは驚いたのか、エサでは無くシエルの手を囓る。ムツミは思わず皿を落としそうになっていた。

 

 

「どうしたんだ?」

 

「聞いてよ北斗。これ今回の広報誌なんだけど、この前の新年の宴が写ってるのは良いんだけど、全部何かを食べる直前の写真ばっかりなんだよ」

 

 ナナの言葉が何を指しているのか直ぐに理解出来ていた。毎月の恒例とも言えるフェンリルの広報誌は極東の特集記事だった。

 去年の事は何気なく聞いた記憶があった為に北斗はその状況を何となく理解していた。もちろん、広報誌はどこに配布されるのかは誰もが知っている。だからこそナナの焦りも分からないでもなかった。

 

 良く見ればナナとシエルが澄ました顔で写っている写真は問題なかった。しかし、他の写真を見ればいくつかの背後にナナが箸を持って小皿に何かを取っている場面がいくつも見える。これが1枚だけならばまだしも、主要メンバーの背後に必ずと言って良い程写るそれは紛れも無くイメージ的にそう見えるのは無理もなかった。

 

 

「ナナがあれもこれもって取ってたからだろ?少しは自重すれば良かったんじゃないのか?」

 

「でも、新年にしか出さないなら食べないと損じゃん。私だけじゃなくてリヴィちゃんだって伊達巻を結構食べてたのに……」

 

「ナナ。私の事は関係無いだろう」

 

 まさかのとっばちりにリヴィも反応していた。情報管理局からブラッドに居たからこそ招かれた行事だが、リヴィにとっても初めての体験だった。去年の今は何をしていたのかが僅かに思い出される。当時は何となく広報誌を見た記憶はあったが、まさか自分がこうやって参加しているとは思いもしなかった。

 

 

「それはともかく……」

 

 ナナの言葉を遮るかの様にシエルが珍しくつぶやいていた。あの新年の宴以降、シエルだけでなく、ナナやエリナもなぜか特定のメンバーだけでミッションをこなす事が多くなっていた。一時期は北斗やギルも疑問に思っていたが、それはアリサのとある言葉によって理由が判明していた。

 

 

「うん。漸く元に戻ったからね。あの時は流石に焦ったよ。まさかああなるなんて」

 

「全くです。私も油断してました。知ってたなら一言位言ってくれても良かったんですが」

 

 そう言いながらシエルとナナは北斗を半目で見ていた。一番の要因は雑煮に代表される餅が全ての原因だった。初めて食べた食感に、つい調子に乗って食べたまでは良かったが、その後の体重の増加に人知れず悩む事になっていた。

 冷静に考えればアリサやヒバリ、リッカに関してはあまり口にしていなかった記憶がある。当初は疑問に思ったが、これがずべての原因である事が笑顔で告げられたのはその後の話だった。

 

 

「いや。知ってると思ったから何も言わなかったんだ。アリサさんやリッカさんはそんなに口にしてなかったはずだろ?」

 

「あれはここの女性陣の鬼門みたいな物だから」

 

 シエルとナナのやりとりに休憩がてらリッカが来ていた。既に当時の事を思い出したのか、自分の事を上手く隠しながら色々と話をする。今年の起きた事は来年初めて体験する女性陣には知っていても言わないのがここの暗黙の了解となっていたのか、3人はそれ以上の事は何も言う事は無かった。

 

 

 

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