IF〜気がついたら絆レベルカンストした狂王と一緒に呪術廻戦の世界にいた話〜   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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11.ご褒美タイムの終わりには、少女から狂王への……

「クー……!!いくらなんでも高すぎる買い物じゃないかなぁ!?」

 

「あ?これくらいどこぞの金ピカよりかはマシだぞ。」

 

「確かに英雄王はもっととんでもない買い物しそうだけど1日で100万も吹っ飛ばすっておかしくない!?」

 

「うるせぇな。100万くらい大した金額じゃねぇよ。お前がこっちに多すぎるとか言って渡してきた金額、いくらあると思ってんだ。お前が記憶を取り戻したのは最近だが、それ以前からも振り込まれた金があった。それを見て多過ぎるって渡してきたのはお前だろ。」

 

「そうだけど……!!」

 

「俺はサーヴァントだ。だから金なんてあまり使うことがない。だが、渡されたモンを無碍にするわけにもいかねぇから受け取って自由に使ってるに過ぎない。そもそもサーヴァントは、魔力の供給が途絶えない限りはずっと生きながらえるからな。服やメシは必要としない。つまり、俺自身にゃ使い道がねぇのさ。だからお前に使ってんだよ。服も、香水も、アクセサリーも、全部俺が選んだモンを身につけるお前の姿は見ていて気分がいいしな。」

 

「………ハァ……独占欲強過ぎるだろう。」

 

「俺なんかに好かれた結果だ。諦めろ。」

 

 吐き捨てるように告げられた言葉に溜め息を吐く。あれから、数時間くらいずっとオルタニキに街中を連れ回された。

 行く場所は全てブティックやアクセサリーなどの身につけるものを買うための施設ばかりで、あれもこれもと次々彼は服やアクセサリー、靴などを購入し、全て私に与えてきた。

 どこもかしこも個人店ばかりだし、中にはかなりの高級ブランドの店もあった。

 捨て切ることができない庶民感覚のままに、買いすぎだとか高いだろとか言い返しても知らんぷりだし、似合うからと買うものは増えるばかり。

 自分で選ぶ服なんてもういらないんじゃないかなと遠い目になりながら、どれだけ注意しても覆そうとしないバーサーカー相手にはどうしようもなく、最終的には諦めてしまった。

 クー・フーリン・オルタに好かれた結果て……アンタ、王として国を蹂躙し、ひたすら破壊し尽くす感情だけしかなかったはずだろ。

 絆レベルどうなってんのこれ。絶対15で収まらない。

 

 ─────……ああ……周りからめちゃくちゃ視線を感じる……!!あの子めちゃくちゃ服を買ってるって視線が向けられている!!

 

 自分で買ったわけじゃないんだと声を大にして叫びたい。だってこんな……明らかに高級どころの服を!!自分で!!買うわけがないだろう!!

 まあ……でも英雄王からとんでもない贈り物をされるよりかはマシな気もするけどさぁ……。

 無意識のうちに溜め息を吐く。オルタニキからチラッと視線を向けられた気がするけど無視だ無視。

 

「母さんがまた騒ぎそうだなぁ……」

 

 “こんなにいっぱいブランド物を買えるなんて、瑠風の彼氏さんってお金持ちなの!?ねぇねぇ、母さんにも合わせてちょうだい!!どこかの御曹司とかなら、婚約を結びましょうよ!!”とか絶対言われるでしょ。

 違うんです。彼は御曹司じゃなくてサーヴァントです。一度死んでるし、影法師なんです!!とか言えるわけないし、どうしたらいいんだよこんちくしょー……。

 

「おやまぁ……ま〜た身につけるものを狂王様に買われてしまったのですか?相変わらず愛されておりますわねぇ、マスター?」

 

「………ん?」

 

 頭を抱えたくなっていると、聞き覚えのある声が鼓膜を揺らした。

 すぐに声の方へと目を向けてみれば、そこにはタマモヴィッチ・コヤンスカヤ(闇)の姿があった。

 

「あれ?コヤンスカヤ?なんでここに……」

 

「孤児院を経営するにあたり、どのようなことを気をつければいいか既存の孤児院に足を運んで調査しておりまして、ちょうど終わらせたところだったので買い物をばと。そしたらマスターとオルタニキさんがいらっしゃいましたので、お声がけをさせていただきました。マスターがまた、貢がれていたので揶揄いついでです。」

 

「相変わらずだな……」

 

 サラッと自分がここにいる理由と、話しかけてきた理由を告げてきたコヤンスカヤに、軽く苦笑いをこぼす。

 揶揄うことを隠さないスタイルかよ。まぁ、彼女らしいといえばらしいけどね。

 

「孤児院の件。なんとかなりそうかな?」

 

「はい。そこは抜かりなく。現在は、呪霊が視える子供をあらゆる人員を導入して探しているところです。御子神財閥の傘下と言う形で起業させていただきましたNFFサービス呪術廻戦支部には、呪霊が視える人間がそれなりに集まっておりましたので、(わたくし)が呪霊のようなものであり、会長の令嬢である瑠風お嬢様と契約を結んでいると言う最低限の情報を教えたのち、特別ボーナス付きで捜索に充てているので、自然と集まるでしょう。それと、マスターにはちょくちょくこちらの孤児院、九重院に会長代理として顔を出していただきたいのですが、構いませんね?」

 

「もちろん。元から顔は出すつもりだよ。孤児院で引き取ることができた子供たちとは仲良くしたいからね。それに、発案者が様子を見にこないなんて、おかしいじゃないか。」

 

「……責任はちゃんと持つようで安心いたしました。あ、孤児院の教員はどうします?」

 

「とりあえず、教授は配置する。あとはコヤンスカヤに任せるよ。」

 

「では、NFFサービス呪術廻戦支部から何人か派遣いたしますわ。腰痛持ちの教授では、いささか一人で背負い切れないでしょうから。」

 

「あはは……。まあ、確かにね……。」

 

 孤児院の話が出たから、すぐにそれに関する計画をその場で話す。

 隣にいるオルタニキから不機嫌オーラが漏れ始めているが、コヤンスカヤが合流した以上、デートを楽しむだけの私でいるわけにもいかない。

 私にはやることがある。何人もの呪術師の救済と、いずれ来たる渋谷事変での被害を最小限に抑えること。

 多くの虐げられている人を助けることと、呪術師側の戦力の拡充、および育成。

 学生の私ではできなくても、大人になった私ならできるようになるであろう未来改変の計画図。

 やることが多いけど、やり遂げようとしているこの目的は、なんとしても達成したい。

 

「では、(わたくし)はこれにて失礼致します。ああ、そうそう。マスターのオーダーの一つである、伏黒甚爾さんの捜索の進歩ですが、呪術師を殺害する存在として、最近、呪術界で名を連ね始めたみたいですね。場所までは特定できておりませんが、それも時間の問題かと思われます。」

 

「そうか。ありがとう、コヤンスカヤ。」

 

「んふふ……仕事が早いのが(わたくし)の取り柄ですので。見つけ次第、金をちらつかせながらこちら側へと引き込みます。場合によっては、何かしらの勝負を仕掛け、すかんぴんにひん剥いてから我が社へと入社させますが、構いませんね?」

 

「……まあ、ほどほどに……ね。」

 

 少しだけ想像してしまったいざと言う時パターンでNFFサービス呪術廻戦支部に巻き込まれた甚爾さんの姿に引き攣った笑みを浮かべる。

 甚爾さんは自分を認められたい人なんだから、あまり過度な嫌がらせはしないであげてくれ……。

 まぁ、コヤンスカヤなら、強引に甚爾さんを引き込んでも、彼の性格を最終的に把握して、うまい具合に操作しちゃいそうな気もするけど、それでもあまり強引に行くのはよろしくない。

 

「それでは仕事に戻りますわ。まだ定時にはなっておりませんので。」

 

 こちらに頭を下げて立ち去って行くコヤンスカヤの背中を見送ったあと、隣にいたオルタニキに目を向ける。

 どことなく拗ねているような雰囲気を纏っており、つまらんという言葉が聞こえてきそうだった。

 

「……クー。話は終わったし、残りの時間はどっかでお茶でもして、俺家に帰ろうか。」

 

「……チッ……あの狐女……こっちの時間を邪魔しやがって。今すぐぶっ殺してやろうか……。」

 

「待て待て待て待て。彼女にはこれからも力を貸してもらわなきゃいけないんだから早まるな。」

 

 殺気がヤバかったのですぐに止めた。だって本気で霊核砕きに行きそうだったもん。

 流石にコヤンスカヤみたいな援護射撃を得意としているサーヴァントを失ったらかなり痛い。

 ここはなんとか鎮めて……いや、どうやってバーサーカーを止めればいいんだよ。

 意識を別の方に向けたらいいのか?でも意識を別の方に向けるってどうやれば……あ……。

 

「クー。クー。」

 

「あ?……!」

 

 少しだけ考えた結果、私が行ったのはオルタニキの名前を呼び、こちらに顔を向けてきた彼の唇に自身の唇を軽く触れさせるというものだった。

 うん、なんでこんな答えに行きついたのかはわからないけど、殺気は綺麗に霧散したからよし!!

 街のど真ん中で何やってんだって話だけど、バーサーカークラスの鎮め方なんてこれくらいしか思いつかなかった。

 一番意識をこちらに向けやすいと思ったんだよ。

 

「昨日は我慢してくれてありがとう。今日のお出かけも楽しかったよ。まあ、ちょっと高いものを買い過ぎな気もしなくもないけど、香水を買ってくれたことも、すごく嬉しかった。こんなに楽しいデートのあとに、血生臭いのはあまり好ましくないかな。だから、ね。ストップだよ。」

 

 オルタニキの両頬を両手で包み、こちらに目を向けた彼の顔を固定しながら、できるだけ穏やかな声音で言葉を口にする。

 私の言葉を聞いたオルタニキは、無言で私を見つめたのち、何度か瞬きをしたあと、静かに瞼を閉じる。

 程なくして瞼を開けた彼の赤い瞳からは、コヤンスカヤに対する殺意は完全に消えていた。

 よしよし。なんとかオルタニキを止めることができたぞぅ。あとはこのまま帰るだけ……あれ?

 

「……あのー……狂王様?なんで私の後頭部に手を置いてんですかね?」

 

 落ち着かせることに成功したことから安堵していたのに、いつのまにか後頭部の方に手が回されていることに気づいてしまい、嫌な予感をふつふつと芽生えさせる。

 その間もオルタニキの赤い瞳は私のことをじっと見つめており、離れる様子がない。

 と、とりあえず離してもらわなくては……そう思いながら軽く身を引いた瞬間、後頭部に添えられていた手に軽く力が入り、赤と紅の瞳が強制的に重ねられた。

 同時に視界に入り込んだのは、口を開き、顔を近づけてくるオルタニキの姿……でぇ!?

 

「待て待て待て待て!!何しようとしてるんだキミは!?」

 

 慌てて両手を前に出し、オルタニキの口元に手のひらを押し付ける。

 明らかに距離を詰めようとしていたのを止められたからか、彼の唇の感触がダイレクトに手のひらにぶち当たっている……けど、今はそんなことより彼の行動を止める方が先である。

 

「…………」

 

 なんで止めんだおい的な目を向けられた。

 いや、止めるでしょうが!!何をしようとしたんだおたく!!

 

「ほら!!キミのご褒美タイムはここまでだ!!近々新しい生活が始まるんだから帰るよ!!」

 

「……チッ」

 

「舌打ちするな!!」

 

 フシャーッ!!と気持ちは威嚇する猫。気のせいじゃなかったら、殺意と入れ替わるように彼の赤い瞳の中には別の感情が渦巻いていた。

 もし、これが事実だと言うのなら、間違いなくあのまま止めなかったら、色々危なかったような気がする。主に貞操的な意味で。

 全く……これ、どう考えても絆レベルじゃ言い表せないくらい距離がおかしくなってるじゃないか。

 私は、別に鈍感とまではいかないから、ある程度は感情を読み取ることができるんだぞ……。

 あそこまであからさまな熱が宿るのは、そう言う感情が強いってことじゃないか……。

 溜め息を吐きたくなりながら、上がった熱を下げようと近場にあったジュース屋さんでジュースを購入する。

 でも、冷たいジュースを飲んでるはずなのに、しばらくは熱が下がらなかった。

 

 

 




 瑠風
 オルタニキとデート中、仕事でたまたま街中に出ていたコヤンスカヤと合流し、現在の作業の進歩状況を聞いていた転移系マスター。
 そのあと、邪魔をされたことによりブチ切れ寸前だったオルタニキを鎮めるために、街中であるにも関わらず、彼の唇に軽く触れるだけのキスをした。
 が、なんらかのスイッチを押す自爆行為だったことをオルタニキの行動から察してめちゃくちゃ照れた。
 オルタニキから向けられている感情が、ただの好意ではないことを理解しているため割と赤面する。
 なお、100万吹っ飛ばしたことに関しては、かなり怒っている。(アクセサリーがめちゃくちゃ高かったし、高級ブランドの服や靴も大量に買われた結果のオルタニキの出費)

 オルタニキ
 一目で誰のものかわかる上、瑠風にもしっかり似合う服や靴を大量に購入したバーサーカー。
 おまけとばかりにネックレスやピアス、ブレスレットなどもアクセサリーショップで複数購入した結果めちゃくちゃ出費したが、瑠風が親を言い包めて作らせた彼用の口座(名義は御子神家のもの)にはまだまだ預金ありだから大して気にしていない。
 最後の最後で邪魔して来たコヤンスカヤにガチ目の殺意を抱いたが、瑠風からの突然のキスにより落ち着く……のだが、同時に入った雄スイッチにより、自分からキスをしようとしたところ、何かを察した瑠風に止められてしまい、若干機嫌は降下した。(なお、阻止されてなかったら舌を突っ込もうとしていた狂王)
 しかし、そのあとに見えた照れ顔瑠風を見てすぐに機嫌は治ったし、ジュースを飲んでいても全然赤面が落ち着く様子がなかった彼女を見て、意識されてると判断し、上機嫌に。

 コヤンスカヤ(闇)
 瑠風とオルタニキに接触した理由が、(わたくし)が仕事しているにも関わらず目の届く範囲でいちゃついてんじゃねーですよ的な苛立ちの発散のためが主な理由。
 ついでに仕事の進歩情報や、孤児院の状態を報告し、デートはめちゃくちゃになるでしょうねぇとオルタニキの苛立ちを察しながら退散した……のだが、まさかの瑠風からのベーゼイベントが発生し、いちゃつきオーラを取り戻していたので返り討ちにあった。



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