IF〜気がついたら絆レベルカンストした狂王と一緒に呪術廻戦の世界にいた話〜 作:時長凜祢@二次創作主力垢
コヤンスカヤの働きかけもあり、なんとか孤児院を用意することができることを知る。
いやぁ、やっぱりコヤンスカヤは仕事が早い。おかげでなんとかなりそうだ。
自分の企てが上手く行くかどうかは少し様子を見ないといけないけど、まぁなんとかなるだろうとは思う。
なんせ、敏腕美人秘書が味方についているのだから、彼女と上手く連携すれば、被害を最小限に抑えることもできるし、一部の人たちの未来も変えることができるだろう。
ビジネスに関してなら、彼女は誰よりも信頼できるし、信用することもできるからね。
彼女の協力があれば、ある程度のことは上手くいくというものである。少しだけ対価が怖いけど。
それはそれとして……だ。
「うん、やっぱりいたか……。」
呆れの感情とともに、言葉と溜め息を吐く。まさか、こんなところに呪霊が湧いているとは思わなかった。
いや、こんなところだからこそ、呪霊が湧いて出ていたのだろうか?
今日は、父さんがせっかくの休みなんだからと夜は星が綺麗に見えるキャンプ場に連れて来てもらっていた。
でも、ちょっとキャンプ場内に、嫌な空気が流れていることに気がついてしまって、嫌な予感を覚えていたんだ。
なのに、他のキャンプ客たちは気にすることなく過ごしているもんだから、もしかしてと思い、嫌な空気が流れて来ている方向へと足を運んでみた。
そしたら、見つかる呪霊の小規模な群れ。おそらくだけど、キャンプ場の周りにある森に対する恐怖とか、熊なんかの動物に対する恐怖なんかが具現化したんじゃないかなと思ってる。
まぁ、なんにせよ、このまま放置しておくのはあまりよくないと思ったから、こっそりと消しに来たわけだ。
……呪霊たちは何かしらの言葉を発している。『クマが出て来たらどうしよう。頭から食べられる?』、『眠ってる間にテント内に蛇が入って来たら嫌だな。』、『ママー!蚊に刺されちゃったー!!』、『うっわ、蜂に追われたんだけど、最悪。』、『湖に近寄ったらダメだって言ったじゃない!』、『このままいなくなっちゃっても、誰も悲しんだりしないよね……』、『森の中に入ってしまえば、誰も俺を見つけないよな。』。
いろんなところから聞こえてくる声、声、声……不安だったり、恐怖だったり、悲哀だったり、怒りだったり、はたまた諦めだったり……多くの人があらゆるマイナスの感情を吐き出して、それを消すための気分転換として、キャンプ場に来たのだろう。
とは言え、ここまで多いとは思わなかったな。しかも、感じ的に多分、呪術師の方には知られていない。
そう言えば、このキャンプ場って悪い噂は聞いてないな。管理人さんが、疲れたり、ストレスを抱えていたり、暗い表情をしている人たちがよく訪ねてくるけど、ここで一泊して行くと、嘘のようにすっきりした表情でお帰りになられるんですよ……とは言っていたけど。
もしかして、そのせいで呪術高専側の方に連絡が行っていないとか?
まぁ、いいや。とりあえず、キャンプ場にいる人たちに呪いの被害が出ないようにしといた方がよさそうだし、さっさとこの場を終わらせよう。
そう考えながら、呪霊の群れに目を向けてみれば、群れの中でも一際大きい圧迫感のようなものを感じる呪霊がこちらに気がついてしまい、私めがけて攻撃を仕掛けてきた。
すかさず私は、オルタニキに教えてもらったルーン魔術を、魔力ではなく呪力を利用することにより発動させ、自身の肉体強化を行い、その攻撃を躱す。
同時に矢避けの加護を発動させ、一時的な回避能力の向上を図り、覚えておいて損はないと言われた一つのルーン文字をその場に描き、襲って来た呪霊に狙いを定める。
こちらの行動の変化に気づいたそれなりに強そうな呪霊。ある程度知恵が働くのか、すぐに私に攻撃を仕掛けてきたが、必中能力を持ち合わせていないのか、矢避けの加護のおかげで瞬時に避けることができた。
まぁ、回避の先が空中で、天地がひっくり返ってる視界が広がるとは思わなかったけど。
「……アンサズ。」
そんなことを思いながら、私はオルタニキが念のため覚えておけと言われたルーン魔術の一つを、呪力の消費と引き換えに使用する。
ルーンの文字を読み上げた瞬間、私の手元から放たれる炎。それは、狙いを定めていた呪霊に直撃し、襲ってきた呪霊を瞬く間に大炎上させた。
「あれ?ちょっと火力を間違えたかな……」
「呪霊相手にゃそれくらいが十分だ。」
「そう。」
断末魔を挙げながらその場で燃え尽きて行く呪霊を見ながら、綺麗に地面へと着地する。
その隙を狙って別の呪霊が襲って来たけど、矢避けの加護が維持されていたため、私の体はひらりとその攻撃を躱した。
「さて、本腰だ。一度行ってみたかったセリフを使わせてもらおうかな。少しばかり、紡ぐ言葉は改変するけどね。」
そして、その勢いのままオルタニキの後方へと退避した私は、小さく笑みを浮かべながら、ただ一言、私の槍に対する命令をその場で下す。
「呪力を回す。やれ、バーサーカー。全ての呪霊を葬り去れ!」
「了解。殺戮だ。一匹残らずな……!!」
静かに紡いだ命令の言葉。それを聞いた狂気を帯びた私の槍は、口元にニィと笑みを浮かべ、地面を強く蹴り上げては、呪霊の群れめがけて走り出す。
断末魔を挙げながら、その身全てを破壊し尽くされる呪霊の姿が視界いっぱいに広がるのは、それとほぼ同時だった。
1人の少女が落ち着いた声音で指示を出し、狂気の王が呪霊を悉く貫き、薙ぎ払い、破壊し尽くす地獄絵図。
その光景が広がる場所から少し離れている場所に、彼女と同い年くらいの少年はいた。
目の前に広がる呪霊の殺戮。同じく呪力を帯びており、なおかつその場にいる呪霊にくらべて、明らかに強大な力を持ち合わせている破壊の化身が暴れる姿に、ただ食い入るように視線を向けている。
─────……これは……いったい?あの槍を持っている奴は、彼女の呪霊なのか?
その少年は、一般の家庭に生まれながら、少女と同じように呪霊が見える体質だった。
つい最近、それが呪いであることを呪術師を名乗る1人の青年に教えられ、それを祓えるのは同じく呪いを使うものであると知った。
その呪術師を名乗る青年は、呪術高専と言う場所に通っており、日々呪術師としての技術を学びながら、呪霊を祓う生活を送っていると言っていた。
そして、呪霊を祓うために必要な最低限の呪力と素質が君にあるみたいだけど、呪術師になり、呪霊を祓う気持ちがあるなら、呪術高専の方に君のことを伝えるけどと言われ、少年は呪いにより家族にも被害が出るのであれば、自分は家族を守るためにも呪術師の道を歩みたいと返した。
結果、彼は呪術高専への入学資格を獲得し、今年からそこに通うことになっていた。
そんな中、寮暮らしになるならしばらくは話すこともできないからと、家族水入らずでちょっとしたキャンプをとして、星がよく見えるキャンプ場にやって来ていたのだが、足を踏み入れてみれば、すぐにこのキャンプ場は普通じゃないと理解できるほどの重苦しい空気を感じてしまった。
しかし、周りの人間はそのことに全くと言っていいほど反応を示すことなく、ただひたすらに平穏なキャンプを楽しんでいるようだった。
呪霊が視えるのと視えないのとでは、こんなにも反応が違うのか……そう思った少年は、自身を呪術高専にスカウトした青年の携帯番号が記されている紙を取り出し、キャンプ場の電話を借りて連絡するべきかと数字の羅列を眺めていた。
しかし、不意に視界の端で誰かが動くよう様子に気づき、少年は、その気配がした方向に目を向ける。
すると、そこには同い年くらいの少女が、感じたことのないほどに、息が詰まる気配をまとう青年と共に、キャンプ場近くにある森の方へと歩いて行く姿があった。
森の方は嫌な空気が流れてくる方角。少年は、無意識のうちに少女の後を追う。
その結果見えたのがこの惨状。呪霊の中でもかなり強大な力を持ち合わせていると思わしき朱槍を揮う狂戦士の殺戮の場だった。
槍を振り、時には投げ、呪霊の全てを鏖殺して行く狂気の怪物は、次々と呪霊を葬り去りながら、破壊を楽しむかのように、表情に笑みを浮かべており、怪物の背後で待機している怪物の使役者と思わしき少女は、小さく笑みを浮かべながら、目の前に広がる地獄絵図を見つめている。
その姿はあまりにも異質であり、同時に美しさを感じてしまうような姿だった。
なぜ、この現状を眺めながら笑みを浮かべることができるのか……わずかにでかかる疑問の言葉。
だが、少年………夏油傑は、その言葉を飲み込み、凄惨な光景の中でも美しさを損なわない少女の姿を眺めていた。
そうしている間も呪霊は次々と
呪霊の親玉と思わしきモノは、自身の状況の不利さを理解しているのか、この場から撤退しようと逃げ始める。
「逃すな、バーサーカー。そのまま追い討ちをかけ、あの呪霊もやれ。」
「了解。呪力を回せ、マスター。一撃で終わらせる。」
短い会話が行われると同時に、今までとは比べものにならない呪力がその場に満ちる。
夏油は一瞬気を失いかけるが、かろうじて呪力に対する耐性が働き、倒れることは免れた。
呪霊は相変わらず逃げている。あれだけ離れていては、とどめを指すことなどできないのでは……そんな疑問を脳裏に浮かべたが、それはすぐに覆る。
「全呪解放。加減はなしだ……。」
小さく紡がれた言葉と同時に、少女に使役されていると思わしき怪物は、土が抉れるほどに地面を踏み締め、勢いよく蹴り上げることにより瞬間移動をしてしまったのではと錯覚する速さで呪霊との距離を詰める。
「絶望に挑むが良い……!!」
そして、その身に怪物と思わしき生き物の骨からできたような甲冑を纏い、手にある爪を利用して、呪霊の体を刻み、貫き、抉り取る。
「
最後の一言と共に、片腕の爪が呪霊を貫くと、貫かれた体の内側から無数の槍のようなものが四方八方に刃を伸ばした。
その一撃を呪霊が耐え切れるわけもなく、貫かれたそれは、肉片と血溜まりとなって消え失せる。
同時に怪物の甲冑が一瞬にして消え去り、先程までの怪物とはまるで別人のように落ち着いた青年の姿が残された。
「……お疲れ様。」
「……手応えがなかったな。」
「君が強すぎるからだろうに。まぁ、でも、一件落着かな……と。鏖殺された呪霊の呪力はとりあえず吸収しておこうか。」
「そのあと俺の方に回せ。」
「わかってるよ。」
目の前で起こったことは夢だったのではと錯覚するほど穏やかな空気が流れて、その場にあった呪力による澱みが、少女の手によって失われて行く。
わずかな呪力の動きから、この場にあった呪力が次々と少女の中へと吸収され、そのまま消えて行くことがわかった。
呪霊の呪力を回収しても大丈夫なのだろうか……そんな心配を抱きながら、2人の様子を眺める。
だが、不意に少女の赤い瞳が自身の方に向けられたことに気づき、夏油は思わず後退る。
しかし、その際に小枝を踏んでしまったのか、パキリと小さな音が辺りに響き渡り、先程まで少女の指示を聞き、戦っていた男からも赤の瞳を向けられてしまった。
夏油は思わずその場で固まり、石のように動かなくなってしまう。
対する少女、瑠風は、まさかの出会いにより、別の意味で目を見開いて固まってしまうのだった。
瑠風
バーサーカーのマスターになってるせいか、どことなく悪役臭が漂う性格や話し方をしてしまっている異世界からの訪問者。
キャンプ場近くの森に呪霊が溜まってることにすぐ気づき、クー・フーリン・オルタと共に、呪霊の鏖殺に乗り出る。
倒した呪霊の残留した呪力を回収することができるので、回収した後は、自身の中にある力を利用し、自身の呪力へと変化させ、クー・フーリン・オルタに流している。
覚えていて損はないとして、クー・フーリン・オルタから強化のルーン魔術、アンサズのルーン魔術を教えてもらっている。
矢避けの加護は、私もあれが使えたら良いのにな……となんとなく考えていたら、いつの間にか使えるようになっていた。
アンサズの火力は間違えがちで、毎回呪霊を呪力ごと焼却してしまっているのだが、なかなか治すことができない悪癖となっている。
ルーン魔術とは言うが、この世界に魔力はないので呪力で代用して発動しており、これがうまく噛み合ってるのか、呪霊を大炎上させても植物は燃えない。
戦闘終了後、まさかの夏油に気づき固まってしまった。
実は、瞳の色は赤だった。
オルタニキ
瑠風のメインサーヴァント。呪霊全てを滅ぼせと言う命令に嬉々として従い、見事なまでに鏖殺し尽くした。
自分は強化のルーンしか使っていないが、一応はスカサハから学んでいたルーンの知識はあるので、いくつか使い勝手がいいルーンを彼女に教えた。
度々火力を間違って呪霊を大炎上焼却をしてしまうことがある瑠風に対して、特に止めるつもりはないのか、呪霊にはそれくらいがちょうど良いと返している。
瑠風が矢避けの加護を習得していたことには驚いたが、安全面がそれで強化されるならといざと言う時は次々使ってほしいと思っている。
夏油傑
たまたま御子神家がやって来たキャンプ場に家族できていた少年。
すでに呪術高専の誰かからスカウトされたあとで、今年からそこに通うことになっていた。
キャンプ場に広がる嫌な空気に気づき、すぐに自分をスカウトした者に連絡を入れようとしたが、それより先に嫌な空気の大元が存在していると思わしき方角へと瑠風が歩いていくものだから止めようとして追いかけた。
しかし、そこで見たのはまさかのオルタニキによる呪霊の鏖殺だったため、フリーズ。
そのあと、少し動いた拍子に小枝を踏みつけてしまい、小さな音を立てたことにより、瑠風とオルタニキに見つかってしまい固まった。
オチアンケート 主人公の恋愛相手は?
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クー・フーリン・オルタ
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夏油 傑
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五条 悟
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むしろ愛され逆ハーEDでよくね?