IF〜気がついたら絆レベルカンストした狂王と一緒に呪術廻戦の世界にいた話〜   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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07.呪術高専の生徒がやって来ました

 とあるキャンプ場に呼び出された一人の呪術師がいた。

 呪術師の名前は社 弥(やしろ わたる)。呪術高専の一年生でありながら、二級呪術師という階級をもらっている学生だ。

 彼はかなり困惑していた。家族団欒のキャンプ場が、実は呪霊の溜まり場になっていた……ということにもだが、それ以上に、辿り着いた場所にいる一人の少女の側にいる、何やらめちゃくちゃトゲトゲしている怪物のような青年と、その側にいる桃色の髪を持つ女性の姿に固まっている。

 

 ─────……え?ちょっと待って?明らかにあそこにいる奴ら呪霊なんですけど!?

 

 階級で表すなら間違いなく特級。それ程まで強大で凶悪な呪力を宿している。

 だと言うのに、まるで自分たちは呪霊じゃないですよと言わんばかりに佇んでいる上、怪物のような青年に至っては、すぐ側にいる少女に背後から抱きつき、小柄な彼女の頭の上に顎を乗せている。

 側から見たら仲睦まじい恋人のようだが、青年は間違いなく呪霊なわけで……。

 

「……どう言う状況?」

 

 もはや弥は、この言葉以外口にすることしかできなかった。

 

 

 

 

 ……オルタニキに抱きつかれながら、傑が呼んだ呪術師を待っていると、この場にいる誰のものでもない声が聞こえて来た。

 視線を声の方へと向けてみると、明らかにモブじゃないだろって見た目をしている男性が一人いた。

 よく見るとその人は呪術高専の制服を着ている。となると、彼が傑が呼んだ呪術師と言ったところだろうか。

 

「あ、社さん。待ってましたよ。」

 

 冷静に男性を分析していると、傑が手を振りながら男性のことを呼んだ。

 彼に名前を呼ばれた男性は、軽く手を挙げただけでその挨拶に答え、私の方……ではなく、私に抱きついているオルタニキと、私の側に立っているコヤンスカヤに目を向ける。

 

「……その二体、呪霊だよね?君の?」

 

 しばらくオルタニキとコヤンスカヤに目を向けた男性が、警戒するような目つきと声音で話しかけて来た。

 まぁ、やっぱりこんなのいたら警戒するのも仕方ないか。こっちからすると、この二人ほど心強い味方とギブアンドテイクな協力者はいないんだけど。

 でも、やっぱりオルタニキとコヤンスカヤは、この状態だと呪霊認定になるのか。

 正確には呪霊じゃなくサーヴァントで、現界して人に紛れて生活することも可能な能力を持っている存在なんだけど。

 まぁ、予測できた反応だし、特に驚く必要もないな。

 

「どちらかと言うと式神のようなものですかね。自身の呪力により召喚してます。」

 

「呪霊や式神、呪いについて知ってるんだ。」

 

「ええ。彼の次に召喚できた彼女から聞いています。なぜかなんでも知ってる方だったので。」

 

「なんでもではありませんが、呪いに関しては理解しているつもりです。なんせ、(わたくし)のオリジナルが呪術に特化している化生なもので。まぁ、少々こちらの(わたくし)とは姿形が異なるかもしれませんがねぇ。」

 

 とりあえず、目の前の呪術師の男性にオルタニキたちはどちらかと言うと式神に近い存在であると紹介する。

 呪霊……と言えなくもないけど、召喚することを考えると、多分、これが正解なんじゃないかな。

 

「……私の名前は御子神 瑠風。こちらの彼女……コヤンスカヤが仮名として名付けましたが、召来霊術と呼ばれる術式を使います。この能力は、いわゆる式神……私に抱きついている彼や、コヤンスカヤのような存在を5体ほど召喚し、同時使役することが可能になる術式です。まぁ、基本的にはこの青年一人が全部始末してしまうのですが。」

 

「……聞いたことない術式だけど、仕組みはなんとなくわかった。一瞬、どこぞの御三家が使用する十種影法術みたいなもんかって思ったけど、ちょっと違うみたいだな。」

 

 そりゃそうだよ。私は影を媒介にしてない。私が生み出した呪力の塊にさらにサーヴァントを降霊させているんだから……と言えるわけもなく、そうなんですね、とだけ言葉を返しておく。

 ていうか、そろそろオルタニキ、私から離れてくれないかな。

 さっきからずっと抱きついてるんだけど。

 

「なんにせよ、君も夏油君と同じで呪霊を見ることができる上、術式を持ち合わせてるんだよね。だったら、彼と一緒に呪術高専って学校に来てみない?呪術師が集まる特殊な学校で、四年制の場所なんだけど。」

 

「呪術師が集まる特殊な学校……呪術高専……。」

 

「そう。君が使う力は、多くの人を助けるための力になる。知ってる?呪いの影響により変死を起こしている人は、年平均10000人を超えてるんだよ。」

 

「そんなにですか……」

 

「うん。だから、俺たち呪術師が呪いを祓うことで、力を持たない非術師を助けるための鍵になるんだ。まぁ、これは俺が学校で学んだ受け売りなんだけど、俺はそれを信じてるんだ。でも、俺や、他の呪術師だけじゃ助けることができる範囲が限られていてね。そこで、君に……君たちに、一緒に戦ってほしいと思ってるんだけど……どうかな?」

 

 首を傾げながら問いかけて来る呪術師の男性を少しだけ見つめた私は、腕を組んで考え込む。

 いや、まぁ、どうせいずれは関わるつもりだったし、すぐに頷いても構わないんだけどね。

 すでに行く予定になっている学校があるんだよな……。父さんと母さんもそれを知ってるし、どうしたらいいんだろ。

 

「……急な話だったから、やっぱり困らせちゃったかな。だとしたらごめん。謝るよ。」

 

 うーん……と考え込んでいると、呪術師の男性が申し訳なさそうな表情をして謝罪をして来た。

 ……この人……さっきも思ったんだけどさ。無駄にイケメンなんだよね。

 絶対にモブじゃない。原作内にいなかったけど絶対にモブじゃない。

 それだけ彼の見た目は整っている。印象を上げるとしたら、変態じゃないバーソロミュー・ロバーツ……FGOの星1ライダーの彼だ。

 髪型や髪の色はかなり違うけど、顔立ちの造形が彼にそっくりである。

 爽やか好青年と言えばいいのだろうか。傑とはまた違った爽やかさを持ってるイケメンだ。

 流石呪術廻戦の世界。探せばイケメンがゴロゴロといる。

 ちなみに、この男性の髪の色は赤茶色で、光の当たり方によっては赤に見える鮮やかな色をしている。

 染めているのか地毛なのかはわからないけど、イケメンであることには変わらない。

 まぁ、つまり、何が言いたいのかと言うと……だ。

 イケメンのしょんぼり顔は正直言ってかなりブッ刺さるので勘弁してほしい。これに尽きる。

 なんとか流されないように平然を装えたけどね。

 

「そう言うわけじゃないです。ただ、呪術高専に行って力を貸したいのは山々なのですが、すでに決まった高校があるからどうするべきかわからなくて。」

 

「ああ……言われてみれば確かにね……」

 

「それに親にもどうやって説明すればいいかわからないですし……」

 

「なるほどなるほど……。少し待ってね。ちょっと考えてみるから。」

 

 こちらが頷けない理由を素直に教えれば、呪術師の男性はどこかへと連絡をし始めた。

 離れた位置で電話を開始したから、何を話しているかはわからない。

 というか、ここでも繋がる電話ってあるんだ。あれ……でも2005年って、そんないい機種あったかな……?

 私が知らないだけであったのか……それともこの世界は向こうより技術が進歩していて、山の中でも使える機種があるのか……。

 

「はい。はい。わかりました。では、そのように伝えておきます。」

 

 じっと眺めていると、電話を終えたのか呪術師の男性がこちらへと戻って来た。

 進展があったと言うことだろう。

 

「高専側に連絡を入れてみたら、諸々の手続きをしてくれるみたいだよ。だから、安心して呪術高専に来てくれってさ。年中人手不足だから、式神のような存在を使役して戦えるような呪術師は心強いからって。あとは、君の御両親の説得だけど……」

 

「それでしたら、(わたくし)にお任せを。(わたくし)はそこら辺にいる呪霊とは違い、非術師にも姿をお見せすることができます。その上、(わたくし)は彼女の御父様である御子神 天音様の秘書を務めており、確かな信頼と信用を持ち合わせておりますので、ある程度の融通を利かせることができます。もちろん、説得もお手のものなので、お任せください。」

 

「え?あ、うん。……いや、呪霊も式神も普通は非術師に見えないはずなんだけど?」

 

「そこら辺の呪霊や式神と一緒にしないでくださいません?」

 

「あ、ハイ。」

 

 コヤンスカヤからジト目で睨まれ、呪術師の男性が固まる。呪力は漏らしていないはずだけど、美人に睨まれたからビックリしたのだろうか?

 そんなことを思いながら首を傾げていれば、コヤンスカヤが早速行って来ますと口にして立ち去って行った。

 呪術師の男性を引きずりながら。

 ……まぁ、別の学校に来ないかと誘って来た人がいないと、説得も何もないもんな。

 

「くあ……ようやく話が終わったか。」

 

 コヤンスカヤと呪術師の男性を見送っていると、頭上からあくびをするような声が聞こえて来た。

 

「……バーサーカー。途中から寝てたよね君?」

 

「んなだるい話長々と聞いてられっか。で?話は終わったのか?」

 

「……まだ、完全に終わったわけじゃないと思うな。」

 

「チッ……迅速に終わらせられねぇのかよあの人間は。」

 

 どうやら、まだ話が終わってないせいでオルタニキが不機嫌になってしまったようだ。

 背後からたしーんたしーんと尻尾を地面に叩きつけるような音が聴こえてくる。ネコチャンか……。

 

「帰ったらゆっくり相手してあげるからちょっと我慢してよ。」

 

「……ずっと我慢してんだが?」

 

「そうだけどさ。」

 

「怠い。」

 

「はいはい。」

 

「……でっかい子供……と言うか何と言うか……。随分と本能で動いてるね、バーサーカーって。」

 

「まぁ、狂化がある分、多少タガが外れやすいからね。ク……バーサーカーに至っては、小さい時から一緒に過ごしてる分、仲がいいと言うか、まぁ、絆レベルが高いと言うか……とにかく、ずっとくっついて過ごしていた分、なんか独占欲が強くなっちゃって。おかげでよくガジガジ噛まれる。」

 

「え?大丈夫なのかい?」

 

「痛くはないからね。噛み跡はめちゃくちゃできるけど。」

 

「……それ、大丈夫なの、本当に?」

 

「こいつが誰のもんか一目でわかるだろ。」

 

「そうかもしれないけどね……?」

 

 暇だからか、それともマウントか。次々と明かされる私とオルタニキの関係に傑が困惑する。

 ……いきなりカップル並みのいちゃつきを聞かされたら誰でもそうなるか。

 でも、そこは我慢してほしい。こうでもしなくては、オルタニキの機嫌を落ち着かせることができないんだ。

 

「お待たせいたしました、マスター。」

 

「ああ、お帰り。コヤンスカヤ。結果は?」

 

「バッチリと。呪術師の話は完全に伏せ、向こうに向かうまでの間に聞かされた表向きの話を利用しながら説明を行い、許可をいただきました。これでマスターも呪術高専に通えます。」

 

「そうか。ありがとう。」

 

「………………。」

 

「おや、王様が不機嫌に。んふふ。もしかしてお邪魔しましたか?それは失礼。(わたくし)、仕事人間ならぬ仕事獣(しごとけもの)なものでして。任せられた仕事はきっちりとこなす主義ですので、狂王様とマスターがイチャコラ愛の語り合いをしていようが関係ないんです。仕事を後回しになどしては、敏腕秘書の名が廃れますしねぇ。」

 

「あ゛?」

 

「まぁ、怖い。マスター。そちらの狂王様はあなたの旦那様なのですからしっかりと手綱を握っていてくださいませんこと?」

 

「煽るな煽るな。」

 

 はぁ……ようやくオルタニキが落ち着くと思ったのに、なんで茶々入れしちゃうかなこのお獣様は。

 ガルルルとめちゃくちゃ怒ってる獣の如く唸るオルタニキと、そんなオルタニキを煽りながら、怖い怖いと思ってもないことを口にするコヤンスカヤの姿に溜め息を吐く。

 能力値やビジュアルはめちゃくちゃいいのに、一緒にした瞬間こうなるから困ったものだ。

 

「……仲良いね。」

 

「私とサーヴァントはね。サーヴァント同士は仲が悪いよ。」

 

「……サーヴァントって言うんだ、そいつら。」

 

「ええ。私はそう呼んでます。」

 

 いがみ合っているオルタニキとコヤンスカヤに呆れながら、傑と呪術師の男性の質問に答える。

 遠い目をしてるからか、どことなく二人とも苦笑い気味だ。

 

「そう言えば、俺の名前言ってなかったね。俺は社 弥(やしろ わたる)。立場としては、君らの一つ上の先輩になるよ。よろしくね。」

 

「さっきも言いましたが、私は御子神 瑠風です。これからよろしくお願いします。」

 

 だけど自己紹介だけは忘れずに。

 互いに名前を教えあって、一先ずの邂逅は終了かな。

 ……クソガキモードな呪専五条と喧嘩しなけりゃいいけど、ふっかけられたら応じてしまう自信しかないな。

 どうしよ……。

 

 

 




 瑠風
 オルタニキに抱きつかれながら呪術高専の生徒、社 弥と接触したマスター。
 とりあえず呪専行きが決定したが、夏油と同級生=五条とも同級生と言う必然的に出来上がった式に軽く不安になっている。
 だって喧嘩ふっかけられたら買いそうなんだもん。

 オルタニキ
 瑠風にずっとべったりしていた狂王様。
 相手にしてもらえなくて、相変わらず尻尾がビタンビタン。
 噛み跡を残されることに関して嫌がらず受け入れられていることを知り、一時機嫌が治りかけたが、コヤンスカヤのせいで再び機嫌が急降下した。
 空気読めやクソ狐!!

 闇のコヤンスカヤ
 説明説得お手のもの。頼まれた依頼は完璧にこなし、オーダー通りにことを進ませ、依頼者の元へ報告する有能秘書。
 イチャつきを邪魔したことに関してだが、もちろん確信犯。完全なるわざとである。
 パートナーの機嫌が治りかけて安心しつつあったマスターのげっそり顔、しっかりといただきました☆
 今回の説得に関しての報酬ですよ、ほ・う・しゅ・う♡

 夏油
 目の前で急に始まったいちゃつきに内心スペキャになりながら、なんとかそのやり取りをやり過ごすが、軽く引いていたのは言うまでもない。
 あ、社さんに自分の術式のこと話してない……。

 社 弥
 夏油に呪いのことや呪術師のことを教え、規定の条件を満たしていたことにより呪専へとスカウトしていた二級呪術師。
 突然夏油からあるキャンプ場で呪霊が発生していたことや、呪術と思わしき力でその呪霊を一掃した者がいると聞き、急いで向かってみたところ、明らかに特級クラスの呪霊と思わしき存在(瑠風曰く式神みたいなもの)を従えている少女がいてびっくりした。
 しかし、呪詛師の雰囲気はなかったし、呪霊を一掃できる実力を持っているのであれば、呪術師としての素質は十分だと考え、少女・瑠風を呪専にスカウトし、見事に成功した。
 なんか、即行でこの子特級に上がりそうだな……。

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