IF〜気がついたら絆レベルカンストした狂王と一緒に呪術廻戦の世界にいた話〜   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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09.オルタニキのご褒美タイム part.Ⅱ

 自宅を出た私とオルタニキが向かったのは、多くの人で賑わう都市の中央。

 東京はいろんな店があるからね。ここに出るだけでも時間はかなり潰すことができる。

 だが、適当に街をぶらつくと言っていた割には、オルタニキは何かしらの目的を持っているような印象があった。

 時に足を止めて店を眺め、少し考え込んだあとに再びどこかへと足を運ぶ。

 この間オルタニキと私は会話をしていない。恋人らしく見せる必要はないし、オルタニキ自身、あまり話すようなタイプの男性ではないので、特に気にしてはいないけど。

 それに、オルタニキとの間に流れる沈黙は、別に気分が悪いモノではない。

 むしろその逆と言っても過言ではなく、かなり心地の良い時間だ。

 

「ここがいいか。」

 

 まぁ、顔の良い男性と腕を組んで歩いているにも関わらず、特に何か話すわけでもなく、ただひたすら無言でい続けたせいか、周りからなんだあの二人?と言わんばかりの視線を感じなくもないのだけど、気にする必要はないんだし、無視だ無視……なんてことを考えていると、オルタニキがポツリと言葉を紡いだ。

 どこに来たんだろうとオルタニキと同じ方向に目を向けてみれば、そこにはフレグランスの専門店があった。

 

「え?フレグランスの専門店……?」

 

「……入るぞ。」

 

「ちょ、急に歩かないでよ。」

 

 予想外の店に連れてこられたため、思わずポカンと間抜けヅラを晒していたら、そのままフレグランス専門店に足を運ぶ。

 急に歩き始めたため、わずかに体勢を崩してしまったが、すぐにオルタニキの腕に抱きつく形で一度バランスを取って体勢を直し、フレグランスショップに足を踏み入れた。

 ガラスのドアをくぐり抜ければ、いろんなフレグランスの匂いが鼻腔を抜ける。

 やっぱりこう言う店って、結構匂いがすごいんだな……と少し抱く考えながら、オルタニキに合わせて店内を歩く。

 

「……なぁ、店員さん。ちょいといいか?」

 

「はい!何かお探しですか?(え、すっごいガタイのいいイケメンと綺麗な女性……。)」

 

「女も男も関係なしに使えるような香水は売ってるか?」

 

「はい、ございます!(もしかして恋人と一緒に使うの!?きゃあ!ステキ!!)」

 

「どこの棚にある?」

 

「ご案内いたしますね!」

 

 周りにあるテスターなど目もくれず、オルタニキが真っ直ぐと向かったのは、フレグランスショップの店員のところだった。

 男と女の両方が使える香水を探していることを店員に告げ、すぐにその棚へと案内させる。

 

「こちらが男女兼用の香水が並べられている棚です。テスターもあるので是非、いくつか試してみてください。何かわからないことがありましたら、いつでもお声がけしてください。すぐに対応いたします。当店おすすめのものもありますが……」

 

「いい。俺らの好みを選ぶ。まぁ、決まらなかったらまた話しかけるさ。」

 

「かしこまりました。そうそう!当店ではオリジナルのフレグランスを作ることも可能なので、よろしければご利用ください!あちらにいる調香師に話しかければすぐに調香いたします!」

 

「そうかい。まぁ、興味が湧いたらな。」

 

 店の一角にあった香水の棚に案内されたオルタニキは、案内してくれた店員さんにかなり素っ気ない態度を取りながら、礼の一言も告げることなく男女兼用の香水が並ぶ棚を眺め始める。

 とりあえず、せっかく案内してくれたので、オルタニキが伝えない分、私の方から感謝を告げれば、少しだけしょんぼりしていた店員さんがパッと明るい笑顔を見せたあと、頭を下げて立ち去って行った。

 

「……お礼くらいは言いなよ。」

 

「フン……」

 

 これからのこともあるし、この態度のまま高専五条と接触したら、何が起こるか分かったもんじゃない。

 まぁ、教師五条になら感謝するべきことがたくさんあるけど、高専五条に感謝をする時ってあまりないような気がしなくもないが……。

 

「ところで……なんでフレグランスショップに?」

 

「あん?んなモン、お前が最近興味を示し始めたからに決まってるだろ。」

 

「え?」

 

「香水。欲しがってただろ。だから買いに来たんだよ。」

 

「し、知ってたの!?」

 

「むしろ気づかれてないと思っていたことに驚いてんだが?」

 

「う……で、でも、今日はクーのご褒美タイムなんだよ?それなのに私が使う香水を探すとか……クーが欲しいものを買うのならまだわかるけど、私のものを買おうとしているのは、少し、目的と離れているような……」

 

「何言ってんだ?俺も同じモンつけるつもりなんだし、問題ねぇだろ。」

 

「同じ香水を?」

 

「ああ。そうすりゃ一発でお前が誰のモンか周りに知らしめることができるだろ。」

 

 サラッと口にしてきた爆弾発言に思わず固まる。

 しかし、すぐに込み上げてくる恥ずかしさに飲まれ、顔に熱を集めてしまう。

 

 ─────……同じ香水を……しかも、男性と一緒に使うとかまるで恋人じゃないか……!!

 

「ハッ どうした?顔が赤いが?」

 

「誰のせいで……!!」

 

「俺のせいってか?そいつは重畳。そのままこっちに意識を向けとけ。」

 

「クー!!?」

 

 くつくつと揶揄うように笑いながら、香水を眺めるオルタニキのせいで、どことなく心臓がうるさくなる。

 マジでどうなってるんだこのバーサーカーとの絆レベルは。絆10や夢火絆15どころの話じゃないぞ……。

 

「瑠風。気になる奴はあるか?」

 

 なんなんだこのぐいぐいくる感じはと呆れ半分照れ半分に考えていると、気になる香水はあるかと聞いてきた。

 前の世界では、推しキャラのイメージ香水ばかり使っていたから、どれがいいかとかわからないんだけどな。

 特に空の変態堕天司と堕天司の王……この二人の香水はリピーターにらなるくらいには好きだった。

 推しキャラの香りだから……というのもあるけど、それを抜きにしても気に入っていたんだよね。

 まぁ、最終的に香水は場合によってはスメハラになりかねないからって、この二人の香水と同じ香りが使われているシャンプーとコンディショナーに変えたけど。

 香水よりも安かったし。まぁ、統計からすると何ヶ月かに一回は追加注文していたため、結構な出費だったとは思ってる。

 ……って、今は前の世界でのことを考えている場合じゃなかったな。

 気になる香水はあるか……ね。

 

 少しだけ考え込み、香水の棚に並べてあるテスターを眺める。どんな成分が使われているかも書かれているな。

 香りのイメージとかも記されている……うーん……いくつか興味ある奴があるな……。

 

「いくつかあるから、テスターで匂いを嗅いでみようか。」

 

「好きにしな。」

 

「クーは試さなくていいの?」

 

「お前が気に入った匂いがあれば試す。」

 

 ……どうやらまずは私の好みから調べるらしい。

 責任重大かもしれない……そんなことを思いながら、テスターに鼻を近づける。

 ……マリンノート……は、ちょっと違うかな……フローラル系のオルタニキは想像できないからパス。

 柑橘系……悪くないけどどっちかって言うとプニキとかオルタってないクーのイメージが強い。

 じゃあ、ウッディかムスク?スパイシー系も捨て難い……。

 たまに嗅覚を休めながら、香りの種類の説明を見て気になるものを試して行く。

 しかし、近いようでこれじゃないと言った種類ばかりで、気にいるものが一つもなかった。

 

「どれも惜しいんだけどなぁ……」

 

「……試してみろっつったのは俺だが、鼻が馬鹿にならなかったか?」

 

「大丈夫。たまにクーにくっついてリセットしたから。」

 

「ああ……やけにくっついてきたのはそれが理由か。」

 

 ……あれ?なんかちょっとだけオルタニキ拗ねてる?

 少しだけ様子が違うオルタニキを見ながら首を傾げる。何やらやらかしてしまったような気がしてならないな…………。

 

「で?どれも惜しいってのはどう言うことだ?」

 

「ああ……実はね。香水をつけるなら、クーをイメージした物がいいと思ったんだ。好きだと思うものや存在をイメージしたものなら、ふとした時に思い出せるし、なんだか落ち着くからね。それで、クーをイメージできる香水を探したんだけど、どれも何かが違うんだ。」

 

「そうかい。」

 

 あ、今度は上機嫌になった。さっきの拗ね様はなんだったのか。

 まぁ、高確率で私のせいなんだろうけど、それはそれとして。

 

「調香師さんのところに行ってみる?」

 

「お前が行きたいなら行けばいい。」

 

「……今回のデートはクーの意見が最優先なんだけどな。」

 

「お前と過ごせりゃどうでもいい。」

 

「……そう言うこと軽々しく言わないでくれ。」

 

 本当、このバーサーカーは……と溜め息を吐きたくなる。

 フレグランスショップの店員さんたちからはなんか生温かくて見守るような視線を感じるし、勘弁してくれ。

 私はオルタニキの恋人じゃないんだけど……全く……。

 内心で軽く文句を言いながら、私は調香師がいる場所へと足を運ぶ。

 オルタニキのイメージに合って、私でも使えるような香水……作ってもらえるだろうか?

 

 

 




 瑠風
 オルタニキのご褒美タイムのはずが、なぜか自分の香水を買うことになって軽く混乱していたマスター。
 恋人のような扱いをされ、かなり照れていた。
 なお、無意識のうちにオルタニキのイメージに合った香水を探していると言う発言が、かなりの爆弾発言になっていることには気づいていない。

 オルタニキ
 瑠風を独占し、一緒に過ごせるだけで十分な褒美になっているので、彼女が欲しがっていた香水を求めてフレグランスショップに足を運んでいたバーサーカー。
 やけにくっついてくる理由が、嗅覚をリセットするためだったことを知り、軽く拗ねていたが、その後にされた「どうせなら匂いを嗅げばすぐに好きな存在を思い出せる匂いがいい」と、クー・フーリン・オルタという存在をイメージできる香水を探してる発言に、すぐに気分が良くなった。
 本人がいんのにイメージできる香水なんかいるか?と少し思わなくもないが、はっきりとマーキングするのであれば、やっぱ必要か……と考えた。


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