音程式/no!se hacker   作:RPM

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Noizy Night

 

 

数日後の夜。

 

営業終了後のバブリーランド。

 

キーボードとシンセサイザーで弾くパート以外は、

プログラムの音源を鳴らすように曲を組み、

夜中12時を回るまで演奏の練習をする。

 

遅くまで付き合ってくれた、

バブリーランドの店長と共に、

仕事終わりの一服をする。

 

「遅くまでありがとうございます。」

 

「まぁいいさ、久々にお前の演奏も見れたしな。

腕は衰えていないようだな。」

 

「意外と覚えている物ですね。」

 

「本番を楽しみにしておくよ。」

 

「ええ、頑張ります。」

 

トレセン学園内は感謝祭の時以外は、

一般客の立ち入りには許可が必要である。

 

しかし一部イベントは学園のPRを兼ねて、

公式ウマチューブチャンネルで配信される。

 

今回のDJタイムもその予定である。

 

「また遊びに来い。」

 

「ええ、ではまた。」

 

バブリーランドを後にし、

トレーナー寮の駐車場に戻って来ると、

派手な色使いのジャケットのウマ娘、

エアシャカールが居た。

 

「よう、ただいま。どうしたこんな時間に?」

 

「お疲れの所悪ィが、ちょっと付き合え。」

 

そういって助手席に乗り込んで来る。

 

「首都高にでも乗るか?」

 

「いや、その辺を適当に流してくれ。」

 

「ああ、分かった。」

 

「つーか、アンタは首都高帰りじゃねェのか?」

 

「今日は違う、!monad。」

 

「・・・!、気付いてたのかよ。」

 

「一部じゃ正体は俺じゃないかと言われてるがな。」

 

「アンタはやンのか?DJ。」

 

「ああ。さっき出掛けてたのはその練習だ。」

 

「なぁトレーナー、

アンタにとって音楽って何なんだ?」

 

「俺は読んで字の如く。

音を楽しむ物だと思ってるが、

そっちは違うのか?」

 

「オレは、リセットだ。」

 

「リセット?」

 

「ヘッドホンでガンガン鳴らして、

頭の中をリセットすンだ。

計算で煮詰まった時にな。」

 

「気分転換に音楽を聞くのはよくやるけど、

それだけじゃもったいないんじゃないか?」

 

「もったいねェ・・・か?」

 

「作曲、出来んだろ?」

 

「誰かに聴いて欲しかったワケじゃねェ、

完全に素人の遊び。ただの手慰みだ。」

 

「まぁ、俺の考えを強制はしないけどさ。」

 

コンビニの駐車場に車を止める。

 

「タバコを買うついでに、

コーヒーでも奢る。一緒に来るか?」

 

「いや、待ってる。」

 

「了解。」

 

___

 

 

買い物を終えて袋をシャカールに渡す。

 

コーヒーの他に、

彼女がブドウ糖補給に食べているラムネ、

高カカオのチョコバーも付ける。

 

ガサッ

 

「色々入ってンな?」

 

「ラムネとチョコはオマケだ。」

 

「オマケの方が多いじゃねェか。」

 

「まぁいいじゃないか。一服させて貰うぞ。」

 

「へいへい。」

 

するとそこにチューニングカーが数台入って来る。

 

「あれ?芥瀬さんじゃないっすか?」

 

「よう、首都高帰りか?」

 

「ええ、まあ。」

 

流貴は走り屋からレーサーになり、

世界選手権にまで上り詰めた経歴があるため、

慕っている走り屋も多くいるのだ。

 

タバコを吸いながら走り屋達に聞く。

 

「なぁ、お前達にとっては音楽って何だ?」

 

「ドライブのお供っすかねぇ。」

 

「車弄ったりの作業BGMですね。」

 

「何をするにも無いと寂しい物、ですかね。」

 

接し方は色々あるが、

車好きには音楽を嗜む者も多い。

 

「なるほど、じゃあよく聞くのは?」

 

「V系ロックとかっすね。」

 

「ユーロビートですね。」

 

「最近は!monadにハマってます。」

 

(!)

 

「なるほど、ありがとう。

色々面白い話が聞けたよ。じゃあな。」

 

「もう帰りっすか?」

 

「朝練もあるしな、みんなも気を付けて帰れよ。」

 

「お疲れっしたー。」「ありがとうございます。」

 

帰りの車内。

 

「聞いてたか?」

 

「まァな。モノ好きも居るもんだ。」

 

「素人にだってファンは付くんだぜ。

遊びでもな、ウマチューバーとかもそうだろ?」

 

「・・・。」

 

学園に到着。

 

「さっきも言った通り強制はしないが、

やっぱりもったいないとは思うな。」

 

「アンタも結構、おせっかいだよな。」

 

「まぁ、楽しめると踏んだなら来いよ。

俺に言えるのはここまでだ。おやすみ。」

 

「ああ、おやすみ。」

 

寮に戻るシャカールを見送る。

 

強制するのは、

音を楽しむという自分の主義に反するが、

担当である以上何もしない訳にもいかない。

 

(一応種は撒いておいた。

が、さてどうなる事やら。)

 

 

 

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