『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝(改訂版)   作:ドラゴンネスト

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冒険者ギルドは荒くれ者の巣窟。

そんな(勝手な)イメージがあった為、薄汚れた場所と考えていたが意外と清潔さが保たれた場所だった。

入り口正面にカウンターがあり、左は飲食店になっているようだ。何人か冒険者らしき者たちが食事や雑談をしたりしているが、誰一人酒は注文していない。

 

其処は施設としては冒険者が利用できる食堂という感じなのだろう。恐らくは駆け出しの冒険者の為の支援の為の意味合いも有るかもしれない。

施設全体が清潔に保たれているのも、場合によっては依頼の過程で大怪我を負った冒険者が運び込まれる可能性がある以上は清潔さは大切だ。

 

(そう考えると有ったとしても酒も、どちらかと言えば治療用なのかもな)

 

ギルド内を観察しながら京矢達がギルドに入ると、中にいる冒険者達が当然のように注目してくる。

 

最初こそ見慣れない一団と言うことで注目を集めていたが、彼らの視線が女性陣に向くと途端に途端に瞳の奥の好奇心が増した。

中には「ほぅ」と感心の声を上げる者や、門番同様、ボーと見惚れている者、恋人なのか女冒険者に殴られている者もいる。平手打ちでないところが何とも冒険者らしい。

 

「じゃあ、南雲、そっちは任せたぜ」

 

「ああ。……問題は起こすなよ」

 

「おいおい、オレの方が温和だろ?」

 

肩をすくめながら答える京矢に内心、フェアベルゲンではある意味自分より酷いかもしれない、恐怖を伝える為にわざと一人だけ半殺しで帰すと言う手段を選んだ奴の何処が温和だと思わないこともないが、そこは異世界熟れしている京矢を信頼しておくハジメだった。

…………彼の旅したセフィーロには冒険者ギルドなど無かったが。

 

そんな訳で素材の売買をハジメ達に任せ、京矢はベルファストとエンタープライズを伴って張り出されている依頼を読んでみた。

京矢の四次元ポケットの中に素材を入れるとポケットの中身が汚れる危険も有るし、物理的に手を突っ込む必要があるので、売買用の素材の管理はハジメに一任されている。

 

京矢は手元に下手に売れない素材しかない場合、路銀を稼ぐ為にこうした依頼をこなすしか無いのだから、今のうちに相場を確認しておこうと考えたのだ。

 

変な物を持ち込んで教会の目に止まるのはまだ早い。

そう、キシリュウジンで教会の本山ごと瓦礫の山に変えるのも、城を物理的にひっくり返すのもまだ早いのだ。……既に教会本山や王城を瓦礫の山に変えることは京矢の中での決定事項であったりするが。

光輝と龍太郎をこの世界に捨てていくのと同レベルで。

 

そんなことを考えながらギルドの依頼の相場を確認していく。

 

(やっぱり、確実に売れそうな宝石類は残しておくべきか。長々と狩りをしていられるほど暇じゃ無いしな)

 

報酬の相場を確認している京矢は自身の背後から近づく気配を感じ取り、後ろを振り向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何やってんだよ、お前は」

 

素材の買取を終えたハジメが京矢達と合流すると目の前の光景に頭を抱えたくなった。

 

「おっ、南雲、買取は終わったか?」

 

何故か京矢がモヒカンとスキンヘッドとトゲトゲヘアーな三人組と仲良く談笑していた。

何処かの世紀末な世界のヤラレ役みたいな連中からテンプレ気味に絡まれるかと思いきや、荒事向けには見えない女四人を連れた京矢達を心配して声をかけてくれたらしい、見かけによらず親切な人達の様だ。

 

後に知った事だがこの三人組はこの町の中堅冒険者で中々に町の人達から慕われているそうだ。だが、口癖は『ヒャッハー』らしい。

 

「じゃあな、先輩方」

 

「ヒャッハー、おうまたな兄弟!」

 

楽しげに笑いながら別れのハイタッチを交わす京矢と三人組。僅か数分で、すっかり冒険者達に打ち解けている友人に本気で頭を抱えたくなるハジメだった。

 

「それと、お前も念の為に冒険者登録しておいた方が良さそうだ」

 

「確かに、別行動する場合に備えて登録はしておいた方が良いか」

 

カウンターにいる受付嬢のオバチャンから聞いた説明をハジメに教えてもらうと念の為に京矢も登録はしておいた方が良いだろう。

一行の代表としてステータスを隠蔽していれば目立たない天職のハジメだけに登録して貰おうと思ったが、今後の事を考えると多少目立つことを考えても京矢も冒険者として登録しておいた方が良いだろう。

この先別行動をする必要も出てくるかも知れないのだ。

 

そんな訳で京矢も京矢でハジメから冒険者登録の代金を貰って冒険者登録する事にしたのだった。

 

なんか冒険者に続いてオバチャンとも楽しく談笑している京矢の姿を見ながら今度からこの手の交渉はお前がやってくれ、と思うハジメであった。

 

戻ってきたステータスプレートには、ハジメと同じく新たな情報が表記されていた。

天職欄の横に職業欄が出来ており、そこに〝冒険者〟と表記され、更にその横に青色の点が付いている。

 

青色の点は冒険者ランクで、ランクが上昇するにつれ赤、黄、紫、緑、白、黒、銀、金と変化する。

冒険者ランクは通貨の価値を示す色と同じなので、青色の冒険者とは「お前は一ルタ程度の価値しかねぇんだよ、ぺっ」と言われているのと一緒ということだ。

切ない。

きっと、この制度を作った初代ギルドマスターの性格は捻じ曲がっているに違いない。そうでなければ、分かりやすい様に貨幣の価値にしたのだろう。

 

ちなみに、戦闘系天職を持たない者で上がれる限界は黒だ。

辛うじてではあるが四桁に入れるので、天職なしで黒に上がった者は拍手喝采を受けるらしい。天職ありで金に上がった者より称賛を受けるというのであるから、いかに冒険者達が色を気にしているかがわかるだろう。

 

(その限界を軽々超えられそうな奴がいるけどな)

 

本人にその気は無いだろうが、やろうと思えば今のハジメなら初の非戦闘系の金になれそうだとも思う。

錬成魔法で作り出した現代兵器と、再現を目指して仮面ライダーのDVDを視聴して作られたライダーウェポン(レプリカ)とギャレンとバルカンの力。

ぶっちゃけ、勇者(笑)程度は秒で殺れるだろう。

 

「アンタも男なら頑張って最低でも黒を目指しなよ? お嬢さん達にカッコ悪いところ見せないようにね」

 

「おう、黒の最短記録を目指すぜ」

 

明らかに戦闘系の希少な天職で一気にランクを上げて悪目立ちする事は避けたいが、そこはこう答えておく。

 

「ところで門番の人に、この町の簡易な地図を貰えると聞いたんだけど、オレにも貰えるか……」

 

既にハジメも貰っているだろうが町を歩く際にはあった方が便利だと思ってそう聴いてみる。

 

「ああ、ちょっと待っといで……ほら、これだよ。おすすめの宿や店も書いてあるから参考にしなさいな」

 

「おいおい、いいのかよ? こんな立派な地図が無料で。十分金が取れるレベルだぜ……」

 

「構わないよ、あたしが趣味で書いてるだけだからね。書士の天職を持ってるから、それくらい落書きみたいなもんだよ」

 

この人、何でこんな所でギルドの受付をやっているのかと思うレベルの優秀さだった。

専門分野こそ違えどベルファストに匹敵する万能振りである。

 

「そうか。助かる」

 

「いいってことさ。それより、あの子にも言ったけど金はあるんだから、少しはいいところに泊りなよ。治安が悪いわけじゃあないけど、そんな綺麗所ばかりならそんなの関係なく暴走する男連中が出そうだからね」

 

オバチャンは最後までいい人で気配り上手だった。

京矢は苦笑いしながら「そうさせて貰うよ」と返事をし、入口に待つハジメ達に向かって踵を返した。ベルファストとエンタープライズも一礼してハジメ達と合流する。

食事処の冒険者の何人かがコソコソと話し合いながら、最後まで四人を目で追っていた。

 

「ふむ、いろんな意味で面白そうな連中だね……」

 

後には、そんなオバチャンの楽しげな呟きが残された。

 

 

***

 

 

 

京矢達が、もはや地図というよりガイドブックと称すべきそれを見て決めたのは〝マサカの宿〟という宿屋だ。

紹介文によれば、料理が美味く防犯もしっかりしており、何より風呂に入れるという。最後が決め手だ。

その分少し割高だが、先程素材を売って金はあるので問題ない。若干、何が〝まさか〟なのか気になったというのもあるが……。

 

「良いねぇ……。こんな旅だけど、良い宿に泊まって名物を食べるってのは楽しいもんだぜ」

 

「楽しむ余裕がある時点で、お前、本当に異世界慣れしてるんだな」

 

「セフィーロの旅は基本正体隠してのサポートの旅だったからな。下手したら、余計に神経使うぜ」

 

セフィーロでは常にガイソーグの鎧を纏っての行動だった事を思うと、不思議な開放感を感じて、伸びをしながらそんな会話を交わして地図に有った宿を見つける。

その宿の中は一階が食堂になっているようで複数の人間が食事をとっていた。

京矢達が入ると、お約束のように女性陣に視線が集まる。それらを無視して、カウンターらしき場所に行くと、十五歳くらい女の子が元気よく挨拶しながら現れた。

 

「いらっしゃいませー、ようこそ〝マサカの宿〟へ! 本日はお泊りですか? それともお食事だけですか?」

 

「宿泊だ。このガイドブック見て来たんだが、記載されている通りでいいか?」

 

ハジメが見せたオバチャン特製地図を見て合点がいったように頷く女の子。

 

「ああ、キャサリンさんの紹介ですね。はい、書いてある通りですよ。何泊のご予定ですか?」

 

女の子がテキパキと宿泊手続きを進めようとするが、ハジメは何処か遠い目をしている。

ハジメと京矢は、あのオバチャンの名前がキャサリンだったことが何となくショックだったらしい。

女の子の「あの~お客様?」という呼び掛けにハッと意識を取り戻した。

 

「あ、ああ、済まない。一泊でいい。食事付きで、あと風呂も頼む」

 

「はい。お風呂は十五分百ルタです。今のところ、この時間帯が空いてますが」

 

女の子が時間帯表を見せる。なるべくゆっくり入りたいので、男女で分けるとして四時間は確保したい。

その旨を伝えると「えっ、四時間も!?」と驚かれたが、日本人たるハジメとしては譲れないところだ。

 

「え、え~と、それでお部屋はどうされますか? 二人部屋と三人部屋が空いてますが……」

 

ちょっと好奇心が含まれた目で京矢達を見る女の子。

そういうのが気になるお年頃だ。だが、周囲の食堂にいる客達まで聞き耳を立てるのは勘弁してもらいたいと思うハジメと、仕方ないかと思う京矢。

四人とも美人とは思っていたが、想像以上に彼女達の容姿は目立つようだ。出会い方が出会い方だったので若干京矢達の感覚が麻痺しているのだろう。

 

「ああ、三人部屋二つで頼む。お前もそれで良いよな」

 

「ああ、それで良いぜ」

 

ハジメが京矢に問いかけると京矢は躊躇いなく答える。

周囲がザワッとなった。女の子も少し頬を赤らめている。だが、そんなハジメと京矢の言葉に待ったをかけた人物がいた。

 

「……ダメ。二人部屋三つで」

 

ユエだ。

周囲の客達、特に男連中がハジメに向かって「ざまぁ!」という表情をしている。

ユエの言葉を男女で分けろという意味で解釈したのだろう。だが、そんな表情は、次のユエの言葉で絶望に変わる。

 

「……私とハジメで一部屋。シアは別室」

 

「それでしたら、二人部屋二つと三人部屋一つで宜しいのでは無いでしょうか?」

 

「そうだな、私達は指揮官と同じ部屋でも構わない」

 

「ちょっ、何でですか! エンタープライズさんも、ベルファストさんも酷いですよぉ~! 私だけ仲間はずれとか嫌ですよぉ! 三人部屋でいいじゃないですかっ! せめて二人部屋三つにしてくださいよぉ~!」

 

猛然と抗議するシアに、ユエはさらりと言ってのけた。

 

「……シアがいると気が散る」

 

「気が散るって……何かするつもりなんですか?」

 

「……何って……ナニ?」

 

「ぶっ!? ちょっ、こんなとこで何言ってるんですか! お下品ですよ!」

 

続けてベルファストからも、

 

「私も京矢様とエンタープライズ様に支えねばなりませんので」

 

「支えるってなんですか~!?」

 

「私は京矢様のメイドですので」

 

要するにメイドとして京矢の世話をする為に同じ部屋が良いという事だ。

 

「じゃあエンタープライズさんは~」

 

「エンタープライズは、目を離すとまたちゃんとした食事を取らないだろうからな」

 

「指揮官、それは関係ないと思う」

 

「いや、目を話すとレーションで済ませて要らないって言いそうだからな」

 

「……指揮官は私の事をなんだと思ってるんだ?」

 

「いや、南雲のラボへの缶詰と並んでベルファストを怒らせかけてたと思ったけど」

 

そう言われると言い返せないと思うエンタープライズであった。

 

周囲の男達から「え? 何? こいつ、美人二人から三人部屋認められてんの?」と言う殺気が向けられているが、京矢は一切気に留めていない。

 

 

ゴチンッ! ゴチンッ!

 

 

「ひぅ!?」

 

「はきゅ!?」

 

急に響く鉄拳が叩き込まれる音と二人の少女の悲鳴に其方の方に視線を向けるとユエとシアが頭を抱えて蹲っていた。

ユエもシアも、涙目になって蹲り両手で頭を抱えている。二人にゲンコツを叩き込んだのは、ハジメとベルファストである。

 

 

「ったく、周りに迷惑だろうが、何より俺が恥ずいわ」

 

「全くです。ユエ様、シア様、淑女たるものもう少し慎みを持ってください」

 

「……うぅ、ハジメの愛が痛い……」

 

「ベルファストさん、怖いですぅ……。も、もう少し、もう少しだけ手加減を……身体強化すら貫く痛みが……」

 

「自業自得だバカヤロー」

 

「「何があった?」」

 

そんな四人の姿に疑問を浮かべる京矢とエンタープライズだった。

 

聞けば二人が聞き逃していたシアのトンデモナイ発言にシアとユエの乱闘が起こりそうになりそれを二人が鎮圧したそうだ。

 

「お二人とも、後でお話があります。良いですね?」

 

「「はっ、はい!」」

 

穏やかだが有無を言わさないベルファストの言葉に服従の意を示すユエとシア。

 

ハジメはそんな二人に冷ややかな視線を向けると、クルリと女の子に向き直る。

女の子はハジメの視線を受けてビシィと姿勢を正した。

 

「騒がせて悪いな。三人部屋二つで頼む。良いよな?」

 

「ああ。構わねえ。……暫くは部屋を出てた方が良さそうだけどな」

 

「それが良いだろう」

 

「話が終わるまで頼む」

 

ベルファストのお話が終わるまで京矢達の部屋に居ようと思うハジメであった。

 

「……こ、この状況で三人部屋二つ……つ、つまり三人で? す、すごい……はっ、まさかお風呂を二時間も使うのはそういうこと!? お互いの体で洗い合ったりするんだわ! それから……あ、あんなことやこんなことを……なんてアブノーマルなっ!」

 

女の子はトリップしていた。この子もベルファストのお話に参加した方が良いのではと思う京矢とハジメだったが、見かねた女将さんらしき人がズルズルと女の子を奥に引きずっていく。

代わりに父親らしき男性が手早く宿泊手続きを行った。

部屋の鍵を渡しながら「うちの娘がすみませんね」と謝罪するが、その眼には「男だもんね? わかってるよ?」という嬉しくない理解の色が宿っている。絶対、翌朝になれば「昨晩はお楽しみでしたね?」とか言うタイプだ。

 

何を言っても誤解が深まりそうなので、急な展開に呆然としている客達を尻目に、笑顔のベルファストに引き連れられるユエとシアに同情するような視線を向けながら、京矢とハジメとエンタープライズはそのまま三階の部屋に向かった。

しばらくすると、止まった時が動き出したかのように階下で喧騒が広がっていたが、何だか異様に疲れたので気にしないようにするハジメと京矢。

助けを求めるような目のユエとシアに内心で謝りながら、

 

「トランプでもするか?」

 

「悪くないな」

 

「息抜きくらいはしておこう」

 

隣から響くお説教の声を聞こえないふりをしながらトランプに興じている三人であった。

流石にここでDVDは見れないし。

 

数時間ほど説教が続いたのか、ベルファストに夕食の時間と呼ばれた三人は、ユエとシアを伴って階下の食堂に向かった。

何故か、チェックインの時にいた客が全員まだ其処にいた。

 

「さっさと座ろうぜ、南雲」

 

「お、おう」

 

ハジメは一瞬頬が引き攣りそうになるが、京矢は動じずに席に着く。内心、こいつは何でこんなに落ち着いてるんだよ? と思うが冷静を装って席に着く。

すると、初っ端からめちゃくちゃ顔を赤くした宿の女の子が「先程は失礼しました」と謝罪しながら給仕にやって来た。

謝罪してはいるが瞳の奥の好奇心が隠せていない。

注文した料理は確かに美味かったのだが、せっかくだからもう少し落ち着いて食べたかったと、ハジメは内心溜息を吐くのだった。

 

「ベルファストの料理も美味いけど他の所で食べる料理も悪くないな」

 

「お褒めに預かり光栄です、京矢様」

 

京矢の言葉に微笑みながら感謝の言葉を返すベルファストの姿に男冒険者達が見とれているがそれはそれ、京矢は軽くスルーしていた。

 

自分と異なり普通に落ち着いて食事していた友人に、本当にどんな神経しているのかとと思うハジメだった。

 

普通に別々に入った京矢達と違って、風呂は風呂で男女で時間を分けたのに結局ユエもシアも乱入してきたり(これを見越して京矢はハジメとは別に入った)、風呂場でまた修羅場になった挙句、ハジメのゲンコツ制裁で仲良く涙目になったり、その様子をこっそり風呂場の陰から宿の女の子が覗いていたり、のぞきがばれて女将さんに尻叩きされていたり……

 

「鳳凰寺、分かってたなら教えろよ」

 

「悪い悪い。馬に蹴られたくはないからな。二人の邪魔しないことにしたんだよ」

 

なお、乱入したユエとシアはベルファストによるお説教の第2ラウンドに突入して居た。

 

「まっ、次はシアちゃんはベルファストに監視して貰うから安心してくれ」

 

「本当にそれで頼む」

 

京矢の言葉にハジメは誓った。

シアは不貞腐れるだろうが、次からは問答無用で自分はユエとの二人部屋にしようと。

 

「全く、お前が居なかったらどうなってたんだ、オレ達は?」

 

「間違いなく、バカ二人が原因で悪霊擬きの良い様に使われてだろうな」

 

大して変わらないだろうが、と内心で付け加える。セフィーロの経験で心から助けを求める者の顔は分かって居たというのもある。

 

「大体、似非神官共のツラを見りゃ一目で分かるぜ。アレはオレ達を利用している奴等の顔だってな。クレフさんとは全然違うぜ。大体、態々関係の無い相手を自分達の事情に巻き込んだ事に謝罪もない権力者は信用できねえだろ?」

 

本当にあの人には足を向けて眠れないな、と言いながら感謝の言葉を告げる。

 

「次にセフィーロ行く事があったら菓子折りでも召喚するか。便利な物も手に入ったからな」

 

「そう言うモンなのか?」

 

「ああ。序でにオレ達の指導役がメルドさんってのも助かったな。そう考えると、オレ達の事で責任取らされて指導役から外されてないけど良いんだけどな」

 

京矢は初めて悲痛な表情を見せる。

京矢の目的は地球への帰還だが、帰りたいだろうから、帰りたいと考えるクラスメイトの大半は連れて帰るつもりだ。

神の使徒として呼ばれたクラスメイト達の指導役が人格者であるメルドだから良かったが、教会の神官みたいな連中が後任としてその役目について居たら、加速度的に死人が増えて行くだろう。最悪の想定は既に前線に立たされている危険さえある。

帰還の時にはバカ勇者(光輝)その腰巾着(龍太郎)達と他二人の取り巻きと小悪党の残りは残すつもりだが。

 

(チッ! 死んだ奴は悪くいう気はねえが、あの小悪党、余計な事をしやがって!)

 

内心で、檜山に対して悪態を吐く。目先の宝を餌に全員を巻き込んで罠に掛かった事も、道連れにしたとは言えベヒーモス戦で突き落とした事だ。

結果的に早めに解放者の事を知れたのは助かったが、檜山が原因で全員が危険に晒されているかもしれないと思うと苛立ちが湧く。

 

なお、自分が居なくてもハジメは檜山に突き落とされて居たとは考えている。

 

「んじゃ、話はこの辺にしてさっさと寝ようぜ」

 

「そうだな」

 

「ああ」

 

ベルファストに説教が終わったらそっちで寝てくれと伝え、自分達はさっさと寝る事にした京矢だった。

44話でaiで作った挿絵は如何でしょうか?

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