世界一の魔法使い系ヒーローを目指すヒーローアカデミア Ⅱ   作:シド・ブランドーMk-Ⅳ(地底の住人)

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屋内対人戦闘後編 そして、忍び寄る影

 

「さてと、そろそろヒーロー達にちょっかいだしとしますか!」

 

そう言いながら僕は特性のオイルパステルを取り出した。

 

「そのクレヨンで何するの?」

 

「それはね…こうするのさ!」

 

そう言いながら僕は床に沢山の文字列を書き始めた。

 

「…え?」

 

まぁ、無理もない。いきなり床に文字を書き始めたら変人以外の何者でもない。

 

「さぁ!泥臭いゴーレムの目玉達!僕のために笑って使い尽くされな!」

 

そう唱えると、その文字達が一斉に巨大な目玉に変化した。

 

「うわ!なにこれ!?凄いけどなんか気持ち悪い!!」

 

「さぁ!爆豪くんと轟君を監視しておいで!」

 

そう唱えると目玉たちは一斉に下の階へと降りていった。

 

──轟side──

 

「天野と葉隠もそうだが、爆豪は何処にいるんだ。さっさと合流して敵チームを捕縛しなきゃいけねぇのに。」

 

そう考えていると、背後から大量に視線を感じた

 

「!…誰もいねぇな。一刻もはやくしねぇと接敵すらせずに負けちまう。」

 

──爆豪side──

 

本日4度目の屈辱を受けていた。

 

「(クソッ!格下だと思ってたクソナードが俺に勝ちやがった!ポニテの言うことが正しいと思っちまった!半分野郎には適わねぇと思っちまった!)…クソがっ!今度は接敵すら出来ずに負けんのかよ!」

 

その直後、轟と同じように背後から大量の視線を感じた。

 

「誰だッ!!…(気の所為か?…いや、大量に感じて気の所為なわけねぇ!あいつだ!あいつがまた何かしてきやがった!)」

 

──No side──

 

『後ろだよ。ヒーロー諸君。君たちの感は間違っちゃあいないさ。』

 

「「は?(アァ?)」」

 

2人が振り向くと、大量の目玉がこちらを覗き込んでいた。

 

「なんだ…これ…」

 

「気持ち悪ぃ趣味してんな!!おい!」

 

『気持ち悪いだなんて失礼だな。』

 

「……?」

 

気持ち悪いとは思ったが口には出ていないはずだ。

 

『それよりも、随分と苦戦してるみたいじゃあないか。あと数分でタイムリミット。この街はドカン!さ。僕達は今屋上にいるからさ。はやくおいでね。それじゃあまた屋上で』

 

その言葉を最後に大量の目玉たちは無くなった。

 

「敵に居場所教えるたァいい度胸じゃねぇか!」

 

爆豪に対し、轟の反応は全く違っていた。

 

「…屋上って選択肢が全く出てこなかったのは何でだ?」

 

──屋上──

 

「そうだ。あの2人が来るまでに結界を貼っとかなくちゃ。」

 

「何で?」

 

「爆豪くんは突っ込んでくるだろうし、轟君は扉開けた瞬間氷をぶっぱなしてくるかもしれない。」

 

「なるほど!例え氷が貼られても結界があればそれ+氷がバリケードになるんだね!」

 

「ほんと、理解するの早すぎね?」

 

──屋上前──

 

残り数分のところでようやく2人は合流できた。

 

「おい半分野郎!!テメェ今まで何処にいやがった!」

 

「それはこっちのセリフだ。…多分お前と同じ状況だったと思う。あいつが仕掛けたトラップを避けるのに必死で探す暇なんてなかった」

 

「…チッ!俺があいつをぶっ潰す!開けた瞬間氷ぶっぱなんかしたらあいつより先にテメェをぶっ飛ばすからな!」

 

「分かった。…開けるぞ」

 

だが、そこにも誰も居なかった。

 

「屋上にも居ねぇじゃねぇか!」

 

すると、どこからともなく翔流が現れた。

 

「いや、居るよ。」

 

「テメェ!やっと出てきたな!散々俺らをおちょくりやがって!」

 

「戦闘員としては2対1だ。諦めろ。」

 

「数で圧倒してみせるって?…ヒーロー、残念だったね。ここに来た瞬間、君たちの負けは決定している。」

 

そう言うと僕は笛を取り出し吹き始めた。

 

「…なんだ…これ…」

 

「…意識が」

 

─数分前─

 

爆豪達が階段と扉の前で言い争っていた時

 

「そうだ葉隠さん。」

 

「どうしたの?またなにか仕掛けるの?」

 

「そのつもりなんだけどね、葉隠さんは『ハーメルンの笛吹き男』って童話知ってるかな?」

 

「う〜ん。…昔読んだことはあるけど名前しか覚えてないよ?確か、ハーメルンっていう街が題材だったよね」

 

「そうそう。ざっくり説明すると、ハーメルンっていう町にネズミが大量に表れて、街の人たちが笛吹の男性に報酬出すから追い払ってくれって依頼したんだ。その男性は快く了承して笛を使って追い払ったんだけど、街の人たちは報酬を払わなかった。それに怒った笛吹男は町の子供たちをネズミと同じようにさ攫ってしまった。…っていう話だよ。」

 

「へぇ〜…でも、その話と今と何の関係があるの?」

 

「今ね、その笛吹男がやった手段を洗脳と解釈して、それを魔術で再現するための術式を構築中なんだ。」

 

「凄いね!!魔術ってそんなこともできるの!?」

 

顔は分からないけど、表裏のないであろう声。嘘偽りがないってはっきり分かる。

 

「ありがとう。…でもね、まだまだ不完全なんだ。吹いている間じゃないと効果がないってことと洗脳対象を細かく設定出来ない。」

 

「…だからこれを僕が笛を取り出したら付けてよ。完全防音の耳栓。それで、2人が洗脳にかかったなって思ったら手錠を付けて欲しい。」

 

「わかったよ!…でも、こんなもので防げるの?」

 

「うん。もう1つの弱点として、音色に術式を組み込んでいるから、耳が聞こえない人には効果がないんだ。」

 

「OK!」

 

─そして現在─

 

「(2人が洗脳にかかりはじめた!手錠をかけるのは今!)」

 

ガチャッ…ガチャッ…

 

『轟少年!爆豪少年!確保! よって敵チームの勝利!』

 

「…ハァ。いや〜、ナイスだったよ葉隠さん!」

 

「いやいや!礼を言うならこっちだよ!私なんて最後手錠をかけただけで何もできてないもん!それに、天野君が分身してたらそれこそ何もすること無かったよ!」

 

「…え?」

 

…あ、完全に忘れてたわ。これってもしかして器用貧乏ってやつじゃね?

 

「…テメェ!何しやがった!」

 

「最後のは洗脳みてぇなもんか…」

 

「うん。そうだよ。とりあえずみんなが待ってるからモニタールームに行こうか。…おっとその前に八百万さんの所に行かなくちゃ」

 

─モニタールーム─

 

「さぁ!今回のMVPは誰か分かるかな?」

 

「先生!天野君だと思います!」

 

「理由は分かるかな?」

 

「はい!5分間という短い間に様々なトラップをしかけ、八百万君を檻に入れ、最後には何をしたのかは分かりませんが2人の気を逸らし、見事2人に手錠をかけることに成功しています!…しかし天野君!何故2人に自分達の居場所を教えたんだ?そのままいけば接敵すらせずに勝てたはずだ。」

 

「確かに飯田君の言う通りだ。でもね、悪役を演じてみたかったんだよ。」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「よくあるじゃん?タイムリミットが迫ってきて調子乗った敵がヒーローを煽って居場所教えちゃうやつ…あれをやりたかったんだよ。」

 

「だ、だが、これは訓練だぞ!」

 

「そう、これは訓練だ。なら、色んな形のヒーローや敵を演じたっていいんじゃあないかな?そうすればヒーローになった時でも、『あの時の訓練の状況に似ているぞ!こういう時はこうすれば良いと先生が言っていた!』って対処することができるでしょ?」

 

「な、なるほど。色んなパターンをつくり、指導してもらうことで将来に役立てるんだな!」

 

「そゆことそゆこと。」

 

「(や、やばい!もう限界)…さぁ2人とも!そこまでだ!授業が終わるぞ!他にも言いたいことはあったが仕方ない。気になることがあれば明日相澤くんに聞いてみてくれ。それじゃ!」

 

行っちゃった。

 

「…じゃあ、着替えに行こか」

 

──???side──

 

「やぁ、ドクター。オールマイト用の脳無はあとどれくらいで完成するんだい?」

 

『もう少しじゃ先生。そんな急かすでないわ。』

 

「そりゃあ急かしたくもなるさ。オールマイトをどれだけ痛めつけれるかが楽しみで仕方ない!」

 

「…この世界の裏社会の覇権を握る者よ。我々が居ればそんなものは必要ない。」

 

『「…!誰だい(じゃ!)?」』

 

「私はアスガルドのロキだ。」


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