ハーメルンお試し投稿です
「フロムゲー?」
「うん、所謂死にゲーだね。君の愛してやまないクソゲーの類いでは無いけど、それを抜きにしても楽しめるんじゃないかな」
ユニーク秘匿の罪でいつもの如くペンシルゴンに追いかけ回されていた俺は、後ろから羽交い締めにされながらペンシルゴンの誘いを聞く。あと向こうにカッツォと
「最近新作が出たんだよ、知ってる?まあ
「フロムゲーかぁ……名前くらいしか知らないんだよな。調整ミスで敵の火力がおかしくなって実質死にゲーになったゲー厶ならやった事あるんだが」
「それクソゲーって言うんじゃないかなぁ……」
失礼な、敵の攻撃力が軒並み高いせいでめちゃくちゃ死ぬ点では死にゲーと同じだろう。まあ一番強い敵がボスではなく、群れて飛んで速い虫なあたりがクソゲーたるやと言った感じではあったが。
「別にいいけど、お前と俺の他に誰がやるんだ?」
「あら、サンラク君は私と二人きりがご所望なのかな?……いやそんなに嫌そうな顔しなくて良くない?」
何が嫌なら性善説と性悪説の悪い所だけ足したような奴と二人きりでゲームなんかしないといけないんだ。
「君がなかなか捕まらなかっただけで旅狼のみんなは誘ってあるし……君も誰か呼ぶなら呼んでいいよ」
うーんどうするか、せっかくなら鯖癌の奴らでも誘ってみるか……?あ、カッツォが負けた……おいちょっと待てなんでこっち来る『Hello! 今日こそ勝負よ
◆
ペンシルゴンに言われた通り買ってきたが、まだ集合まで時間はあるし、ちょっと触ってみるか……。
ん?素性選択……お、二刀流あるじゃん。ならこの傭兵ってのにするか。副葬品は……黒火炎壺で。
ではLessen1, 傭兵の双刀を、強化せよ。
……うん?
◆
「おいおい、自分から誘っておいて遅刻するたァどういう了見だぁ?……ン?」
「僕達になにか申し開きはないのかい?」
「いやロス騎士が塊落とさねぇから……」
「「周回してるんじゃ
素材集めで遅刻した俺は、サバイバアルとヤシロバードに詰められていた。いやあいつが塊をもっと早く落とせば来れたんだよ。隣にいた支援雑魚もうざったいし。やっぱり乱数はクソだな。
「まあまあ、何とかみんな集まったみたいだし。みんな今日は来てくれてありがとね。ところでサンラクくーん、今回も今回とてほとんど裸なことにはもはや触れないでおくとして、君が持ってる武器はなんだい?」
「ん、これか?鋭利な傭兵の双刀+9。あと半裸なのは装備重量で回避性能が変わる仕様が悪い」
「厨武器じゃねぇか……」
「やっぱそうなのかこれ、道理で強いと思ってたんだよな。っていうかサバイバアルお前もなんか強そうな武器持ってんじゃねぇか」
「これか?これさっきデーモンとかいうやつシバいたら貰えたデーモンナックル、燃えながら回転する」
うわなんか無駄に派手なモーションで回転しだした……燃えるコマみたいだな。
……強いのかそれ?
「この武器まだ使ったことないんだよ。だからサンラク、試し斬り……いや殴りか?まあいいや、
「おっ、いいぜ返り討ちにしてやるよ」
「じゃあ僕観戦しようかな。後で僕ともやろうよ」
いいね、こいつらとやるのも久しぶりだ。だいぶ環境は違うが高ぶってくるものがある。
「あの!私始めたばかりなんですけど、何をすればいいんですか?」
「ん、じゃあ秋津茜ちゃんは私達でストーリー攻略に行こっか。
「あ……えと、そう……ですね……」
ん?レイ氏がちらちらとこっちを見てるな。俺たちは漢の戦いをするから、全然遠慮せずに行ってきてもいいぞ。
「だーッ!クソ、その猟犬のステップとかいうのうぜぇ!!」
「はっはっはァ!当たらんなぁそんな攻撃!!あ、ここ回転斬り置いておきますねー」
「クッソーーーーッ!!」
やはりリーチは正義だ。この双刀もそこまで長い訳じゃないが、ほとんど素手の奴とは雲泥の差がある。しっかしその武器、リーチはないし肝心の回転ゴマも隙が多いし……残念性能な気が……
「サンラク、次は僕とやろうよ。」
「お、いいぜ……って」
うわ、すーごい良い笑顔で連装銃と刀持ってる……なんか装備も毛色が違うし、一式揃えてあるんだろうか。というか俺達は双刀やら拳やらで戦ってるのに銃持ち出すのは……うーん良く考えれば
さて、発砲狂サバガン・ヤシロバードとの戦いが始まった訳だが。
「なんでその威力でばら撒く弾にパリィ判定があるんだよ!!」
このゲームではほとんどの攻撃に対してカウンターする事で相手の体制を崩せるのだが、あいつの銃弾にもその判定があるらしい。なんでそんな仕様にした?先程掠った時にごっそり体力を持っていかれたので恐らく直撃も避けなければいけないだろう。くそ、時々投げてくる回復阻害の霧もうざったい。なんでこのゲームでも回復に制限抱えないといけないんだよ!つーかいい加減右手の刀使え!!
「あははサンラク、意外と楽しいねこのゲーム!せっかくだし昔喉を裂かれた借りでも返そうかなぁ!!」
「いけー、ヤシロバードー、うてー」
「外野がうぜぇ!!」
「あ"ーっ、何とか勝てた……」
「やっぱり銃の威力に全振りしたから近づかれたら弱いねぇ」
「ケッ、なんだよ結局サンラクの一人勝ちじゃねぇか」
だいぶ疲れたがこいつらと久しぶりにやりあえて楽しかった。やっぱり対人でしか得られないものは確かにあるな。だが暫く対人はいいかな……
ん?こっちに来るのは……いや、あの目立つ金髪は!
「
「よく分からんが出荷だぞサンラク」
(´・ω・`)そんなー
1:2で2本連取されて負けた。
◆
「お、やっと来た。どこで道草食ってたんですかねー?」
「
「ああ……」
哀れみの目を向けるなユニークで煽るぞ。
「サ、サンラク……さん、大丈夫でした、か?」
「先程ぶりです!」
俺は大丈夫だよ、っていうか鉛筆どこ行ったんだ?あいつが言い出しっぺだろうに、すぐに姿をくらますような奴はダメだな。……おい信じられない物を見るような顔でこっちを見るなカッツォ。
「この先にボスがいるらしいので!ここからは一緒に行きませんか?」
「ん、いいぞ。なら早速向かうか。皆の装備は……」
少々前衛が偏り気味に見えるが、まあなんとかなるだろう。
さーてどんなボスが出てくるやら。
明らかにこれからボス戦ですよと言わんばかりの威圧感がある巨大な扉を開けると、そこに居たのは金色の鎧に身を包んだ
「うわ、オンスモじゃん」
「カッツォ知ってるのか?」
「竜狩りオーンスタイン&処刑者スモウ、過去作の強ボスで有名な敵だったはず。同じ奴かは分からないけど……リメイクかな?」
「とりあえず強そうなことはわかった。
「はい!あわ、こっちに向かってきます!!」
いきなり中衛から狙うかよ!ステップで距離稼いでからの武器持ち替え、パリィ!!
「うぉらっ!!大丈夫か秋津茜!!」
「あ、ありがとうございます!」
「ナイスパリィだサンラク、そのまま槍のヘイト頼む!!」
任せろ、それはいつもやってる事だ。だがパリィしても攻撃がキャンセルされるだけ、か。明確な隙にはならないな。体勢崩し無効……いや回数か?
「試したいことがある、
「任せてください!いきます、『竜炎』!!」
おお、竜の頭が生えてそこからブレスを吐くのか。いいね、派手だし敵の攻撃を誘えそうだ。よし来た、パリィ!
「よっしゃ、2回だ!2回で怯む!!先に細い方倒すぞ!!」
ここからは俺のターンだ。オーンスタイン、竜狩りだかなんだか知らんがお前に勝利の目は無い!!
「片方倒すと、もう片方が、強くなる……んですね」
「体力も回復してるし、相方の力を吸収した感じか。お、攻撃来るぞ、総員回避……」
「私に、任せてください、『鉄壁の盾』!!」
おお、大槌の振り下ろし受けれるのか。さすがは
「僕も活躍しないとな、『血の斬撃』!!」
何それかっけぇ!手から出血させてる様だがそれ痛くないんだろうか。
そろそろボスの体力も減ってきた、もう一息だ。気を抜かないように畳み掛ける!!
こちらは全員生存、向こうは体力ミリ、行ける!ここは俺が……あ、カッツォお前!
「ラストアタックもーらい、『血の斬撃』!!」
「あー!!俺が狙ってたんだぞ!!」
「油断してる方が悪いんだよーだ」
こいつ……シャンフロ戻ったら覚えてろよ。
「えと、お疲れ、様です」
「お疲れさまですー!!」
お疲れ様。なんだかんだいいボスだった気がするな。2体それぞれの攻撃パターンやエリアの障害物が上手く噛み合っていた。一人でやっていたらもっと苦戦してただろうか。
しかし自由度が高いせいか色んなビルドがあるようだ。これは鉛筆達も探さないといけないな、見つけたら煽ってやろ。
◆
「なんだここ……」
「サンラク、あれどうにかしてきて」
ルスト達から来たメッセージを頼りに、初期スポーンからほど近くのダンジョンに来ていた。そこは石畳の坂を2体の……なんだあれ、車輪の両横に刃物が付いた機械仕掛けの
「初期スポのそばにあっていいダンジョンじゃないだろ……っていうか鉛筆何処に『ギュオンッ』うおっ!?」
びっっっくりしたぁ!!なんだ、でっかい矢が飛んできたのか!?って坂の下にいる銀色の鎧着て大弓持ってるの、もしかして鉛筆か!?敵mobかと思ったわ!!
「やっほーサンラク君!」
「挨拶替わりに弓撃つやつがいるか!クソびびっただろうが!!」
「サンラクさん、これ行けそうですか?この重量感や音といい、さすがに怖くて」
まあそうだよな。ルストとモルドは二人とも魔法職っぽいし……あとルストになんで魔法職にしたのか聞くと『レーザーが撃てるから』と言っていた。さいですか……
とりあえず行ってみたいんだが、何分っ、この何故か俺にだけ飛んでくる、矢がっ、鬱陶しい!!
「行けましたー!」
「おぉー、凄いね秋津茜ちゃん」
「マジか!?どうやって行ったんだ?!」
「攻撃に反応するタイプのスキル使ってたね、そんな使い方もできるんだ」
「私達も行くわよケイッツォ!」
「ちょ、とりあえずその呼び方やめてくれないかなぁ!!」
「さて、ルスモル、お前達は俺に先に行って欲しい。俺はあいつをどうにかして欲しい。これの意味することがわかるな?合言葉は『このゲームにPKペナルティは無い』だ」
「まかせて、とっておきの魔法がある」
「支援するね、『魔術の地』!」
「ん、行くよ、『彗星、アズール』!!」
おお、これがさっき言っていたレーザーか。長めの詠唱時間を経て放たれた魔法は、魔力の奔流となって真っ直ぐに飛んでいって……
「ちょ、PK反対ぃぃぃぃー!!!!」
元PKerが言うと重みが違うな。
◆
「あー疲れた」
あの後もとあるNPCの小さな人形にサバイバアルが反応しかけたり色々あった後、俺はVR機器を外してリラックスしていた。サバイバアルは殴って止めた。
「だが楽しかったな」
名前を聞いたことのあるだけでやったことは無いシリーズだったが、楽しかったな。あいつらが一緒だったのもあるだろうが。
「片付ける棚は……」
最近増えてきたクソゲー以外のゲーム、しゃんふろやネフホロなどを入れている棚に入れようとして……
「やっぱこっちだな」
そこに一番近いクソゲーの棚に入れた。
猛吹雪の中ボスと戦うのはダメだろ。