不器用ハンターの明日はどっちだ
俺は不器用だ
よくある言葉だが不器用とはいろんなパターンがある。
一度に複数の事をやろうとするとパニックになっちまうやつ。
お偉いさんにうまい事、調子合せられなくてボロクソ言われるやつ。
レシピ通りに料理を作ろうとしても何故かポイズンクッキングになるやつ。
そんないろんな不器用があるが最後のやつが比較的近いだろう。
俗にいうと「ぶきっちょさん」
始めて親に作った筆立てを見せた時の言葉は「グレートバグパイプ変異体」
仲間と誰が一番うまくポポの絵を描けるか大会に参加した時、
俺の珠玉の名作は「エヴァン〇リオンで見た」「絵心壊滅隊の画力来い柱」
「小林ゆう」「おバイオですわー」「雷(トニト)8つ相当」との評価だった。それが俺だ
生まれた所は自然豊かな雪山にある小さな村で、
作物や工芸品とか作ったりして細々と生活している村だ。
俺は綺麗なものが好きだった。雄大な大地、満天の星空、
村の人たちが木や鉱石を削り作り出す人形や装飾品。
そして村の奥にひっそりと、それでいて雄々しく、
堂々と突き刺さっているクソデカい剣を眺めるのが特に好きだった。
そんな剣とまだ見た事のない雄大な景色に憧れ、
ハンターを目指して村を飛び出しいろんなすったもんだを経験した結果、
地位や名声や狩猟の高揚感より見たことない景色を求める、
イカれハンター様がいっちょあがりってワケだ。
普段は綺麗て言葉じゃ伝えきれないような景色を見る為に旅をしているが、
今回は以前世話になったヤツに礼を伝えそびれていた事もあり、
そいつに会う為にはるばる山奥までやってきた。
山奥なのに活気があり、独特の雰囲気を持った雅な村…
いやここでは村ではなく「里」と呼ばれている。
【カムラの里】 それが俺が今立っている場所の名だ。
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ハンターってのはいろんなヤツがいる。仲間の為に命を賭けるヤツ、
とにかく強敵との立ち回りを追及するヤツや裸でモンスターと戦う狂人。
フルフルを彼と呼んで食われかけるハンターもいやがった。
ハンターを近くで見ていると薄々気付くというかバカでもわかるというか、
長年ハンターをやっているやつらはみんなマトモじゃない。
命が草食獣の卵よりあっさり砕けちまいそうなところにも突っ込んでいく。
頭のネジがぶっ飛んでるとしか思えない。
「やあ!青年!何かお困り事かな!」
集会所にでも行けば会えるかと安易に考え、ウロウロしてる俺に、
テンションがマトモじゃない男が話しかけてきた。なんだコイツ。
「えー、あー、人を探してまして」
「ほう!どんな人かな!私は教官としてこの辺り一帯を見回っていてね!
おそらくは君の力にもなれると思うよ!」
酒場でこんな事を言ってくる奴は…いないな、うん。
頭のおかしいヤツか、頭のおかしいヤツか実際教官だが頭のおかしいヤツかだろう。
「あのじゃ、これだけじゃわかんないと思うんすけど一応聞きますが、
男か女かわからん上に全く喋らないハンター…心当たりあります?」
「ああ!知っているとも!最近来て修行をしていった愛弟子だね!!」
何 故 通 じ る
というか何やってんだアイツ
「愛弟子…なんすか?」
「うん!この教官の元で翔蟲の修行をした子は愛弟子さ!今あちこち飛び回ってるよ!」
なんだろう、テンション高く喋るのやめてもらっていいすか?
恐ろしく疲れるが折角アタリを引いたんだ。このまま情報を集めた方がいいだろう
「…いつごろ戻るか、わかります?」
「うーん…ちょっとわからないが、君は愛弟子のハンター仲間かい?」
「いや、仲間ってワケじゃないっす」
「なら友達かな!?」
「んー、友ってワケでもないような…知り合い?」
「ならば愛弟子フレンド(仮)だね!!」
急に昔どこかで聞いた不快なワードを出すな。サービス終了するぞ
「まぁ、あいつとの関係とかはどうでもいいんすけど…。」
しかし、アイツが不在となると正直どうしたものか。
新しい景色を探すにしてもここでは翔蟲とやらを手懐けなければ、
高いところへの移動もままならないと聞いている。
ここで適当に時間を潰した後、アイツに会って礼を伝えたとしても、
翔蟲の講師探してたら再びアイツと会う
↓
流れでまた教わる事になる
↓
シン・沈黙の講習マン
↓
「借りができる」私の苦手な言葉です。
となる気がする。よくない。とてもよくない。
あんな地獄は一度で十分だし、これ以上、世話になるものゴメンだな。
折角時間が出来たなら…
「戻ってくるのに時間かかるみたいなんで…翔…蟲?でしたっけ?
うまく扱える人がいたら紹介してもらえませんか?」
どうせ時間を潰すついでだ。この際にフラグも潰しておく事にするのであった。
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気が付けば俺は修練所とやらに連れて来られ、
ずぶ濡れになりながら修行と呼ばれている何かをしている。
何なのだこれは…どうすればいいのだ
思い出してほしい。俺は不器用なんだ。
まずはこの翔蟲なんだが機械じゃなきゃなんとかなると、
思っていた時期が私にもありました。
いざ試してみたら来ない、飛ばない、糸出してくれない、
出してくれたと思ったら花の蜜があるトコまでお散歩させられる。
違う、そうじゃない。
頭の中で「覚悟しろよ、この虫野郎!」と何度叫んだことか。
まだ俺のトレーニングフェイズは終了してないぜ。
村長とかいうデカいおっさんも団子売りの幼女も、
犬やら猫とかと戯れて、心を燃やしてる長男みたいな声の少年も、
翔蟲は当然のように扱えるらしい。全面的に敗北だ。
このカムラの里はとにもかくにも翔蟲、翔蟲で、
フィールド移動にも景色を見るのにも、
キューン、シュピーンをやらないとままならない。
そんなこんなでテンションのイカれたヤツから紹介された翔蟲の達人なんだが
「ならば!!この教官にお任せあれ!!!!!」
とまさかの愛弟子マンご本人だ。こんな暑苦しいのとは、
ちょっと距離を置きたいので近くの爺さんや嬢ちゃんに聞いたが、
身体能力も高く翔蟲を使った技で一度に多くの大型モンスターを拘束したりと、
扱いにも長けている為、何か教わるならコイツが一番らしい。本当かよ。
一目で男と分かるし、顔だけ見りゃ相当整っているんだが
とにかくうるさいヤツだった。今まではクールで、
シノビだか何とかギルドナイトの亜種みたいな、
冷血かつ忠義と任務の為に命を賭ける人生だったらしいが、
説得力皆無だ。くしゃみしたら人格変わるタイプか、
例にももれずイカれたお仲間なんだろう
教官とやらだけども、ちゃんと説明はしてくれた。
いつかのあいつと比べれば全世界の住人は全て移動式速射バリスタトークだ。
謎の変なからくりカエルや永遠と動くマトを通り過ぎ、
綱やら滝やらがある所にたどり着いた。
過去に例を見ない程の整った設備だが、
どうやらこの里は百竜夜行といった大型モンスターが、
度々、それも大量に押し寄せてくる土地柄らしく、
里を守る為にも各々が鍛えねばならなかった為、
ここまでの設備になったようだ。
一体この場でどんな修行が…と身構えたものの、
「ゴール地点まで翔蟲で移動していってもらう!それだけさ!」
どこぞのアレとは違い、ちゃんと言葉で説明してくれはするが、
説明があればいいってもんでもない。
その修行のゴール地点とやらは滝の脇に出てる岩場に、
翔蟲で飛び上がって壁をぐぬぬぬって走って駆け上がり、
乗ってから反対側の岩場翔蟲でバシューンして以下略
って場所で不器用な俺にしてみれば氷海で燃石炭とってこいってくらい無茶な話でありまして
頼みの綱はこちらの教官様なんだが
ここはこう、こっちだよー愛弟子フレンド(仮)!
頑張れ頑張れできるできる絶対できる頑張れもっとやれるって
やれる気持ちの問題だ頑張れ頑張れそこだ!
そこで諦めるな絶対に頑張れ積極的にポジティブに頑張る頑張る
ほらほらがんばれがんばれ!できる!できる!絶対にできる!
う る せ ぇ 。
前は無口なあのボケに激しく殺意が湧いたが、
あの沈黙の作業をこれほど愛しく思う日が来るとは思わなかった。
ただ教官なだけあり、何度でも付き合ってくれた。
言う事聞かない翔蟲がウォークザドッグぐらいしてくれるようになり、
ちょっとずつ呼吸が合ってきた。やかましく感じていた声も、
だんだん慣れてきて、というか余裕がなくなり無心で受け止められるようになってきた。
もちろん何度も何度も失敗し全身ずぶ濡れになり、
何度も何度もこんな修行意味ないんじゃないかと思った。
でも諦めそうな時にはあんだけ喋ってた教官は何も言わないで、
引き起こし肩を叩き、あいつにどこか似た目元で微笑んだ。
本当にすごいヤツはどこか通じるところがあるのかもしれない。
何度も何度も翔蟲を呼んで、走って、飛んで、
何度も何度も岩場や滝から落ちて、立って、飛んで
登った。
登った。
登り切った
修行のゴール地点とされていたその先にあったのは
苔むした石壁、灯篭、木々の隙間から壁面を照らす陽光。
人の気配は無い。しかしここには何かの気配というか、
「壁…画…?」
清流が流れ、苔むした場所かと思ったら崩れた壁、
年月を感じさせる犬の石像。その奥にあったのだ。
壁に描かれている、いや彫り込まれている。
犬に跨る人、戦う人、炎、火竜、角竜…暴食竜のような何か
何かを伝えようとしたのだろう、例の百竜夜行だろうか。
起きた出来事を、これから起こりえる出来事を、
悲哀か、絶望か、警告か、
この場所が多くの人の目に触れなくなった今でも
言葉を放たない壁面が雄弁に語りかけてくる。
生きた証を、伝えたい歴史を、残したい思いを。
里の住人が例えこの場所を訪れなくなっても、
この場所からずっと見守り続けてきたのだろう。
ここには過去の住人が紡ぎたかった言葉が、
胸の内に収めきれなかった命が刻み込まれている。
気が付けば肌に張り付いていた服はすっかり乾いていた。
俺は不器用だ。でも綺麗なモンが好きだ。
この壁画は決して綺麗なモンじゃない。
あの時の景色とどっちが綺麗かなんて比べもんにならないだろう。
でも俺にとっては天を食む大顎も命を刻む大壁も、
今回もズタボロになってくれた俺の手もみんなみんな…
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「行ってしまうのかい?愛弟子フレンド(仮)」
まだ言うかコイツ
「ええ、あいつまたどっか行ったんでしょ?」
「ああ、なんでも里に来ていた交易商の故郷で異常事態だとかでね。
戻った矢先、すぐさま船で王国の方に向かった…と今先程、聞いた所さ」
滝と崖を登り切り、壁画を堪能したのでいざ戻ろうとしたら、
教官が灯篭の影から無言で見ていたのでナズェミテルンディス!!してから、
里に戻り、一晩明けてからの話である。
今ならまだ追いつくかもしれん。
あいつに礼を伝えられないままってのも癪だし、
城やら遺跡やらもあるようだ。ユクモやカムラの風景も落ち着くが、
王国ならではの景色を見に行くのも悪くない。
「しかし…どうするんだい?」
「どうする…とは?」
「実は今、王国までの行き方を把握している者も船も出払っていてね」
「はぁ?」
「まだ時間があるのならどうだろう?今回教えたのはあくまで、
壁登りなど翔蟲入門編みたいなものだ」
「あ、いや、その」
「狩りに役立つ鉄蟲糸技に、最近開発された『疾替え』など、
ただ船を待つくらいなら愛弟子により近付けるよう更なる修行をだね…!
あ、ちょっと待ちたまえ!愛弟子フレンド(仮)!今なら修行登録で、
10連福引き無料券が!!おーい!!待ちたまえー!!」
to be continued ?
ここまで読んで頂きありがとうございました。
何だかんだで概ねの流れは昨年末くらいに出来ていたもののあーでもないこうでもない。この言葉選びは違う、このオチは違う、この口調が違う展開が違うとアレコレ付け足したり削ったり、今の自分では納得できる展開にまとめられない。とかしてたらここまで時間が経過しておりました。
RISEでも好きな景色たくさんありまして、というか全エリア好きなんですけど、手記もコンプしてますし。竜宮城も雰囲気ありすぎて本当にいい。
でもその中でも修練場の滝の上って意外と知られていない穴場でして。フレンドさんと写真撮る時のスポットとして教えてあげると感動されたり…
まだ見たことない人は是非見てみて下さい!
この壁画の事をいろんな人に知って頂きたいなと思って書いた作品です。おふざけしまくらないと真面目な事書けず大分バランスが悪い仕上がりになってしまったかもしれません。
でも一人でも多くの人が修練場の滝を登って、過去のカムラの人々の想いとかドラマを感じ取って頂ければ…
新しい王国に旅立ちますが、これからも素敵な世界、モンスター、そして言葉に言い表せないような感動する景色と出会えるように…
お読み頂きありがとうございました。