友人に頼まれて作ったFate二次創作(タイトル未定)   作:骨紳士

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見てるか私に書けとかほざいた友人よ
文字数が八千を超えたぞ


いざ、マスター達の戦場に

 

 

 

「やはり見ごたえがあるな、処刑人の参加する聖杯戦争は。生き残れた奴がたったの三人とは!」

 

「感想はいいから、さっき聞いたことを教えてくれ」

 

「そう焦るなよ新人。ここで生き残る方法、って言っても数が多すぎるんだ」

 

「サーヴァント召喚の準備、寝床の確保、QPの獲得、マスター登録。確かに一息に説明するには多すぎるな。とりあえず、大至急しなきゃならねぇのはサーヴァントの召喚じゃねぇか?」

 

「だろうな。そのためにも、まずはマスター登録だ」

 

 

 聖杯戦争とやらの観戦を終え、三人で解除を出て街を歩く。

 そこら中にはホームレスのような恰好をした奴らが蹲り、嗚咽を漏らしている。

 まるでスラムのようだ。

 

 

「初めて聞く用語があまりにも多すぎる」

 

「誰でも最初はそうだろうな。まあ安心しろ!お前には俺という素晴らしく頼りになるゴールドランクの先輩がいる!大船に乗ったつもりでいてくれよ」

 

「……そういや、あんたの名前聞いてなかったな」

 

「ああ、俺かい?シャーロンって言うんだ。イギリス人だぜ、国籍なんぞこの場所じゃ碌に意味を持たないけどな」

 

「ああ、その髪地毛だったんだな」

 

「なんだ、金髪を見るのは初めてだったか?ああ、お前の名前はまだ教えなくていいぜ。覚えるに値するかどうかは、これから決まる」

 

「そうかい」

 

 

 薄々察してはいたが、彼は何も善意で俺を助けたわけでは無いらしい。

 俺の利用価値を図っているのだろう。もしこいつの無駄に丸いお眼鏡にかなわなければ、俺は何の助けも無しに、この地獄のような場所で生き抜かなければならない。

 

 そうなれば、積みだ。

 

 

「着いたぜ。そこの機械に手を当てな」

 

「こうか?」

 

 

 電話ボックスのような設備の中には、手を置くためのスペースと、カードを差し込むための差し込み口のようなものが取り付けられている。

 言われたとおりに手を置くと、機械が緑に光り輝き、その光が俺の腕の表面に、枝分かれする幾本かの緑の線を映し出す。

 

 

「これは……」

 

「へぇ、魔術回路の質も量も大したものじゃないか」

 

「魔術回路……」

 

 

 どこかで聞いたことがある気がするが、思い出せない。

 

 

「サーヴァントを動かすための電池のようなものと思えばいい。それが良い物であるほど、サーヴァントは生前と同じだけの力を発揮できる。そら、出てきたぞ。お前がこの街で行くためのライセンスが」

 

「……」

 

 

 入力したわけでも無いのに、俺の名前や年齢、そして『ブロンズ』と書かれたランク表が載っているカードが吐き出される。

 

 

「それが聖杯戦争に参加するために必要なマスターライセンスだ。今はマスターの情報だけだが、サーヴァントを召喚した場合は裏にそのサーヴァントの各種データ……ステータスとかが表示される。他人に見せるんじゃねぇぞ、それ。相手に殺してくださいって言うようなもんだからな」

 

「分かった。それで、サーヴァントってのを召喚するにはどうすればいい?」

 

「カードの裏に、()()()()って書かれてるだろ?それ触ってみな」

 

 

 見れば、たしかに俺のライセンスと裏には、黒い文字で契約待ちと書かれていた。

 その文字に触ると、『自動召喚を行いますか? はい いいえ』という文字列が空中に現れる。この街で度々見る、ホログラムというやつだ。

 

 

「それに『はい』を押した状態で聖杯戦争に参加すれば、開始前に自動的にサーヴァントが召喚される」

 

「開始前に、なのか?」

 

「ああ。まあ、サーヴァントが欲しいなら聖杯戦争に出る気概くらい見せろ、ってことなんだろうさ。ただ、一度目の召喚は無料だが、サーヴァントが消えたりして二度目の召喚を行う場合ペナルティがある。それと、金はかかるが狙ったサーヴァントを呼ぶ方法とかもあるが、そこらへんはまあ後々説明してやるよ。次の目的地に向かいながら話そうぜ」

 

 

 どこに行くかは聞かず、彼とその従者は歩き始める。

 行く当ても無いのでその後ろについて歩き、ほんのわずかな希望的観測と共に疑問を投げる。

 

 

「……一応聞くが、サーヴァントは絶対召喚すべきものなんだよな?」

 

「サーヴァントがいなければお前は死ぬ」

 

 

 今までと違い、少し真面目な忠告として断言するように言われる。

 薄々分かってはいたが、召喚しないということは自殺行為のようなものらしい。

 

 

「街で安全に暮らそう、なんて馬鹿なことは考えんなよ。今日は比較的安全だが、聖杯戦争に参加しなくともこの街では殺人なんて余裕で起こりうる。警官みたいなのもいるが、まあそれほど頼りにはならん。頼れるのは己とサーヴァントだけだと思え」

 

「まあ、そうだよな。見た感じ治安最悪だし」

 

「サーヴァントがテロを起こしたりするからな」

 

「待て。サーヴァントってのはそんな狂暴なのか?」

 

「サーヴァントによるよ。俺のアーチャーは……ん~、まあ、おとなしい方か?」

 

「舐めたことをほざくバカを殴り殺したくらいだろ?」

 

「そうだな。おとなしい方だ」

 

 

 人を殴り殺すような奴をおとなしいなんぞ言わないんだよ。

 顔をひきつらせる俺を見て、目の前の主従は笑う。

 

 

「すぐに慣れるって!安心しな」

 

「割り切れるようになりゃ、案外と楽しいぜ?それにな。理不尽な神々がいないだけ俺がいた時代のギリシャよりはマシだろうよ!ゼウスとヘラを筆頭にな!」

 

「やめとけやめとけ。面倒なこというと目を付けらるぞ」

 

「俺が現界して一番うれしかったことはあの依怙贔屓な神々共がいなかったことだぜ。あの人が神々を許そうと、俺は絶対に許さねぇ」

 

「……まあ、こういう風にちと個性が強いのがサーヴァントだ。何せこいつらは、遥か昔に偉業を成し遂げ、人理に名を刻んだ英雄達。当然我が強い奴のが多い」

 

「よーく分かったよ。召喚するのが一気に不安になってきた」

 

 

 アーチャーの恰好からして、身の丈以上の大弓を担いだメカメカしい義足の偉丈夫という、個性の塊みたいな見た目をしているのだ。

 

 そりゃあ、人がちょっと言ったくらいでそれを聞くような奴らじゃないだろう。

 むしろ、彼が俺と対等な目線で話をしてくれているという事実に感謝した方がいいかもしれない。それほどまでに彼と俺に、そしてそのマスターと俺には大きな差がある。

 

 

「あんたなら大丈夫さ。何人ものマスターを見てきた俺が保証する」

 

「あー、シャーロン。別にお前を疑うわけじゃないけど、俺がそんなにすごい奴に見えるのか?何も知らないし、特に長所と言えるものも無いぞ」

 

「魔力回路の質と量が多いのはそれだけで優秀だ。そして俺が一番気に入ってるのは、お前の目の光だ」

 

「光?俺の目なんぞ、黒く濁ってると思うんだが」

 

「たしかに、澱んではいるな!」

 

 

 おいコラ。

 

 

「だが、その暗闇から抜け出そうとする意志がある。灯火(ともしび)を求める強さがある」

 

「灯火?」

 

「俺はここに来る前船乗りだったから分かる。お前の目は、絶望的なドス黒い海の真ん中で、それでも灯台の光を求める船乗りと同じ目だ。希望を探す者の目だ」

 

「希望……」

 

「そういう目をした人間は、どんな闇の中でも進んでいける」

 

「ほう、随分と高評価じゃないかマスター。あんたが他人をそこまで買うのは珍しい」

 

「経験則だからな。己の目は何よりも信じられる」

 

 

 むず痒くなる言葉を貰ったが、どうにも実感が湧かなかった。

 そもそも記憶がろくに残っちゃいないから、過去もクソも無いのだから当然だが。

 俺がそれほど強い人間だとは、自分自身が認められない。

 

 

「期待してるぜ、ブロンズ。いつかお前をゴールドって呼べる日が来るのをな」

 

「まあ、善処はする」

 

「それだけ聞ければ十分だ。さあ、着いたぞ。ここがブロンズ達の戦場だ」

 

 

 銅色の杯が大きく描かれた旗を立てている、城砦のような建物の扉を潜る。

 そこには、多種多様な衣装と人種、果ては怪物のような奴など、混沌を煮詰めたようなサーヴァント達と、それを従えるマスター達が集まっている。

 

 

「……ああ、やっぱりブロンズとなると数が多いな」

 

「人のか?」

 

「いや、幻霊の数だよ」

 

「幻霊?」

 

 

 聞いたことも無い単語(ワード)に首を捻る俺に、シャーロンは苦笑を浮かべ説明する。

 

 

「サーヴァントにはある程度の格がある。通常サーヴァントとして召喚されるのは『英霊』、つまり俺のアーチャーや処刑人が従えてたバーサーカーのような奴らなんだが」

 

 

 彼は血のついた包丁を握る、幼げな少女にチラリと視線を向ける。

 あれもサーヴァントのようだが、どうにもアーチャーほどの強大さは感じない。

 アーチャーと俺の差は恐竜と蟻、あの子と俺の差はライオンと猫くらいだろうか?

 己よりも強大な存在なのは間違い無いが、絶望的とは言い難い、そんな感覚。

 

 

「あのサーヴァントの真名は聞いたことがある。グリム童話にある、『ほうちょうをもった手』の主人公だな」

 

「童話の登場人物なんかもサーヴァントとして呼べるんだな」

 

「呼べはするさ。だが、その力は英霊と比べて大きく劣る」

 

「みたい、だな」

 

 

 彼女には失礼だが、あの少女がアーチャーに勝てるビジョンが浮かばない。

 パワーもスピードもタフネスも、あらゆる要素で彼女はシャーロンのアーチャーに何段階も劣る。もし勝てたとすれば、それは奇跡という他無いだろう。

 

 

「英霊に届くほどの力を持たない奴らは、『幻霊』と呼ぶ。まあ、言っちゃなんだがサーヴァントの中では外れ枠だ。幻霊のサーヴァントを従え、ゴールドまで上がった奴を俺は一人しか知らない」

 

「一人いるんだな」

 

「ああ。アーチャーとして呼ばれた幻霊『魔弾の射手マックス』と、それを従えるマスター『ピエル』。単純な戦力じゃあ大きく劣る癖に、宝具の特異性とマスターの実力でゴールドまで這い上がってきた奴らだ。一度戦ったことがあるが……」

 

「ありゃ危なかったな!相手が降参してくれたから助かったが、あのまま続けてりゃ二割程度の確率でこっちが負けてた。久しぶりに本気で弓を引けた、いい戦いだったぜ」

 

「俺は終始ヒヤヒヤしてたがね。ああいう手合いとはもう戦いたくない」

 

 

 すごいマスターもいるものだ。

 同じことをやれと言われても、間違いなく首を横に振る。

 

 

「ゴールドで燻ってる奴らは、大方の場合幻霊サーヴァントか、戦闘力皆無の作家サーヴァント達を引いちまったマスターだな。英霊を引ければとりあえずはシルバーに上がれる。多くのマスターにとっては、そこからが本番だ」

 

 

 シャーロンは愉快そうに笑って、俺の背中を叩く。

 

 

「さあ、行ってこいよブロンズ。戦いが終わったらお前の名前を聞いてやる」

 

「名無しの権兵衛で死なないよう頑張るさ」

 

 

 もっとも、俺の名前にそれほど意味があるわけでもないが。

 一応の約束を交わし、俺はようやく覚悟を決めて、初めての戦場に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 




◆多分もう出ることがないサーヴァント紹介◆

『ほうちょうをもった手(バーサーカー)』
 クラスはバーサーカー。マスターは幼女、サーヴァントも幼女。高ランクの狂化スキルを持ち、宝具もスキルや防具による装甲を無視した攻撃を行える、幻霊にしては優秀な宝具を持ったサーヴァント。

 とは言ってもマスターがよりにもよって戦闘力皆無であり戦闘意欲も低いため、万年最底辺の残念主従。ギリシャのアーチャーとかいう比べるのもおこがましいレベルのサーヴァントと比べられたせいで散々な評価を受けてしまった。

 シルバーに上がっても勝ち残るほどの強さはないので、ほどほどに稼いでほどほどに生きられる今の暮らしに満足しているそうだ。
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