スーパー英雄大戦   作:ゲーマーN

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共通ルート 第1話「錬成師と盾の勇者」

 この本によれば……普通の高校生、南雲ハジメ。

 彼には魔王にして女神の剣『神殺しの魔王』となる未来が待っていた……。

 

 しかし、現時点の彼は最弱の゛錬成師”でしかない。

 

 元の世界では、彼は同級生の多くからイジメを受けていた。特に、檜山大介という男子生徒は毎日飽きもせずに絡んでくる生徒の筆頭であり、斎藤良樹、近藤礼一、中野信治の三人と共に、ハジメからは小悪党四人組と呼ばれている。

 

「よぉ、キモオタ! また、徹夜でゲームか? どうせエロゲでもしてたんだろ?」

 

「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん」

 

 檜山の言う通り、ハジメはオタクだ。と言ってもキモオタと罵られるほど身嗜みや言動が見苦しい訳ではなく、髪は短めに切り揃えているし寝癖もない。

 コミュ障というわけでもないから積極性こそ無いものの受け答えは明瞭だ。大人しくはあるが陰気さは感じさせない。

 単純に創作物――漫画や小説、ゲームといったものが好きなだけだ。

 

 世間一般ではオタクに対する風当たりは確かに強くはあるが、本来なら嘲笑程度はあれど、ここまで敵愾心を持たれることはない。

 では、なぜ男子生徒全員が敵意や侮蔑を露わにするのか。

 

 その答えが彼女だ。

 

「南雲くん、おはよう! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」

 

 ニコニコと微笑みながら一人の女子生徒がハジメのもとへ歩み寄った。

 このクラス、いや学校でもハジメにフレンドリーに接してくれる数少ない例外であり、この事態の原因でもある彼女の名は白崎香織。

 学校で二大女神と呼ばれ男女問わず絶大な人気を誇る美少女だ。

 腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完全な配置で並んでいる。

 

 微笑の絶えない彼女は、非常に面倒見がよく責任感も強いため学年を問わずよく頼られる。それを嫌な顔一つせず真摯に受け止めるのだから高校生とは思えない懐の広さだ。彼女が多くの生徒から好かれるのも納得というものだろう。

 そんな香織は何故かよくハジメを構うのだ。徹夜のせいで居眠りの多いハジメは不真面目な生徒と思われており(成績は中間を取っている)、生来の面倒みのよさから香織が気にかけていると思われている。

 

 これで、ハジメの授業態度が改善したり、あるいはイケメンなら香織が構うのも許容できるのかもしれないが、生憎、ハジメの容姿は極々平凡であり、”趣味の合間に人生”を座右の銘としていることから態度改善も見られない。

 そんなハジメが香織と親しくできることが、同じく平凡な男子生徒達には我慢ならないのだ。何故、あいつだけ! と。

 

 そんな彼等は創世神エヒトによって異世界トータスに召喚された。

 

 この世界には大きく分けて人間族、魔人族、亜人族の三つの種族が存在しており、この内、人間族と魔人族が何百年も戦争を続けている。

 魔人族は数こそ人間族には及ばないものの個人の持つ力が大きく、その力の差に対して人間族は数で対抗していた。

 戦力は拮抗しており大規模な戦争はここ数十年起きていないらしいが、最近、異常事態が多発していると聖教教会の教皇イシュタル・ランゴバルドは告げる。

 

 その異常事態とは、魔人族による魔物の使役だ。

 

 魔物とは、通常の野生動物が魔力を取り入れ変質した異形のことだ、と言われている。

 この世界の人々も正確な魔物の生体は分かっていないらしい。それぞれ強力な種族固有の魔法が使えるらしく厄介で凶悪な害獣とのことだ。

 今まで本能のままに活動する彼等を使役できる者はほとんど居なかった。使役できたとしても、せいぜい一、二匹程度だという。その常識が覆されたのである。

 

 これの意味するところは、人間族側の”数”というアドバンテージが崩れたということ。つまり、人間族は滅びの危機を迎えているのだ。

 

 イシュタル・ランゴバルドは言う。

 

 生徒達を召喚したのは人間族が崇める守護神。聖教教会の唯一神にして、この世界を創り出した至上の神である創世神エヒトである、と。

 このままでは人間族が滅びると悟った創世神エヒトが、それを回避するために上位世界より勇者とその同胞を召喚した、と。

 地球世界はトータスより上位に位置する世界であり、其処に住まう者は例外なく強大な力を持っている。その強大な力を持つ生徒達を”救い”として送り出す。それが、創世神エヒトによりイシュタル・ランゴバルドに送られた神託であった。

 

 だが……。

 

 この世界にはステータスプレートという魔法の道具が存在してる。自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものであり、この世界において最も信頼のある身分証明書でもある。

 元の世界でも容姿端麗、成績優秀、文武両道の完璧超人であった天之河光輝は勇者の名に恥じない規格外のステータスであり、まさにチートの権化だった。

 

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天之河光輝 17歳 男 レベル:1

天職:勇者

筋力:100

体力:100

耐性:100

敏捷:100

魔力:100

魔耐:100

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

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 この世界のレベル1の平均ステータスは10。技能も普通は二つ三つであり、異世界人にデフォルトの”言語理解”を差し引いても十二。

 レベル62の騎士団長メルド=ロギンスのステータス平均が300であり、この世界でも上位に入る実力者と言えば、如何に規格外のステータスか分かることだろう。

 他の生徒達も光輝にこそ及ばないものの十分にチートなステータスばかりだ。当然、ハジメも規格外のステータスを……

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1

天職:錬成師

筋力:10

体力:10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

技能:錬成・言語理解

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 持っていなかった。

 

 錬成師とは鍛冶職のことであり、鍛冶職の十人に一人は持っている天職だ。

 近接戦闘はステータス的に不可能であり、魔法も適性が無いのでまともに使えない。天職・技能の錬成は鉱物を加工できるだけで役に立たない。

 この世界に召喚されてからの二週間で、クラスメイト達から”無能”のレッテルを貼られることになったのも無理のない話だろう。

 

 ここで問題。

 

 思春期の男子がいきなり大きな力を手に入れた上で、戦闘訓練。躊躇いなく暴力を振るうことができるように箍を外す訓練をしていたとする。

 元の世界でも絡んでいた相手が戦闘能力皆無の無能であると知った小悪党は、その相手に対してどのような行動を取るか。

 

「ほら、さっさと立てよ。楽しい訓練の時間だぞ?」

 

 正解は集団暴行(リンチ)。人気のない場所に連行された南雲ハジメは、檜山大介、中野信治、斎藤良樹、近藤礼一の四人に訓練とは名ばかりのリンチを受けていた。

 

    ☆

 

 

 

                 共通ルート

 

             第1話 錬成師と盾の勇者

 

 

 

    ☆

 

 ハジメが訓練施設を訪れると既に何人もの生徒達が談笑したり自主練したりしていた。時間まで自主練でもしていようと、支給された西洋風の細身の剣を取り出す。

 その時、唐突に後ろから衝撃を受けてハジメはたたらを踏んだ。なんとか転倒は免れたものの抜き身の剣を目の前にして冷や汗が噴き出る。

 顔をしかめながら背後を振り返ったハジメは予想通りの面子に心底うんざりした表情をした。

 其処に居たのは、檜山大介率いる小悪党四人組である。訓練が始まってからというもの、彼等は事あるごとにハジメにちょっかいを出してくるのだ。

 ハジメが訓練を憂鬱の感じる理由の半分である(もう半分は自分の無能っぷり)。

 

「よぉ、南雲。何してんの? お前が剣持っても意味ないだろうが。マジ無能なんだしよ~」

 

「ちょっ、檜山言い過ぎ! いくら本当だからってさ~、ギャハハハ」

 

「なんで毎回訓練に出てくるわけ? 俺なら恥ずかしくて無理だわ!」

 

「なぁ、大介。こいつさぁ、何かもう哀れだから、俺等で稽古つけてやんね?」

 

 一体何がそんなに面白いのかニヤニヤ、ゲラゲラと笑う檜山達。

 

「あぁ? おいおい、信治、お前マジ優しすぎじゃね? まぁ、俺も優しいし? 稽古つけてやってもいいけどさぁ~」

 

「おお、いいじゃん。俺等超優しいじゃん。無能のために時間使ってやるとかさ~。南雲~感謝しろよ?」

 

 そんなことを言いながら馴れ馴れしく肩を組み、ハジメを人目につかない方へ連行していく檜山達。それにクラスメイト達は気がついたようだが見て見ぬふりをする。

 

「いや、一人でするから大丈夫だって。僕のことは放っておいてくれていいからさ」

 

 一応、やんわりと断ってみるが……。

 

「はぁ? 俺等がわざわざ無能のお前を鍛えてやろうってのに何言ってんの? マジあり得ないんだけど。お前はただ、ありがとうございますって言ってればいいんだよ!」

 

 そう言って、脇腹を蹴る檜山。

 

「ぐっ!」

 

 痛みに顔をしかめる。反抗できるほどの力もないハジメには、檜山達の暴力に歯を食いしばるしかない。

 やがて、訓練施設からは死角になっている人気のない場所に来ると、檜山はハジメを突き飛ばした。

 

「ほら、さっさと立てよ。楽しい訓練の時間だぞ?」

 

 檜山、中野、斎藤、近藤の四人がハジメを取り囲む。ハジメは悔しさに唇を噛み締めながら立ち上がった。

 

「ぐぁ!?」

 

 その瞬間、背後から背中を強打された。

 近藤が剣の鞘で殴ったのだ。

 悲鳴を上げ前のめりに倒れるハジメに、更に追撃が加わる。

 

「ほら、なに寝てんだよ? 焦げるぞ~。ここに燃撃(しょうげき)を望む、”火球”」

 

 中野が火属性魔法”火球”を放つ。倒れた直後であることと背中の痛みで直ぐに起き上がることができないハジメは、ゴロゴロと必死に転がり何とか避ける。

 だがそれを見計らったように、今度は斎藤が魔法を放った。

 

「ここに風撃(ふうげき)を望む、”風球”」

 

 魔法自体は一節の下級魔法だ。それでもプロボクサーに殴られるくらいの威力はある。

 それは、彼等の適性の高さと魔法陣が刻まれた媒体が国から支給されたアーティファクトであることが原因だ。

 風の塊が、立ち上がりかけたハジメの腹部に迫り――

 

「エアストシールド!」

 

 突然現れた盾に防がれた。

 

「誰だ!?」

 

 檜山の声。謎の声の聞こえてきた方に目を向ければ、其処には緑の水晶が嵌められた盾を右手に持った青年が立っていた。

 その青年の傍らには一人の女性の姿がある。

 

 犬にしては丸みを帯びた耳を生やし、妙に太い尻尾を生やした亜人の女性。

 外見年齢は齢にして17、8歳くらいだろうか。若干カールした紅茶色の背中まであるロングヘアと澄んだ紅茶色の瞳、芸術的に整った容貌であり、その美しさは二大女神と呼ばれる香織にも劣るものではない。

 腰には一本の剣を携えており、青年の傍に静かに付き従っていた。

 

 青年の傍に立つ亜人の女性に目を引かれる檜山達に、盾の青年はやさぐれたような冷たい眼差しを向け、告げる。

 

「この国の勇者の訓練と聞いて来てみれば、ろくでもない場面に遭遇したもんだな」

 

「ろくでもない? 俺達は、こいつの訓練に付き合ってただけだぜ」

 

「は! これのどこが訓練だ。ただのリンチだろうが」

 

「無能の南雲はこれくらいしないと強くなれないんだよ」

 

 そう言って、檜山は剣の鞘でハジメに殴りかかり――

 

「エアストシールド!」

 

 再び、目の前に現れた盾にそれを阻まれる。檜山達の憎々しげな眼差しを気にすることもなく、盾の青年は苦しげな顔をしたハジメの前に立つ。

 

「……そうか。それなら俺がお前達に訓練をつけてやるよ。ほら、かかってこい。それがお前達の訓練のやり方なんだろう?」

 

「ナオフミ様、私は……?」

 

「下がってろ。こんな奴ら、俺だけでも十分だ」

 

「なんだと!?」

 

 見下すような眼差しを向ける盾の青年に檜山達も我慢の限界が訪れた。

 

「絶対にぶち殺してやる!」

 

 近藤は殺意を隠しもせずに抜き身の剣で盾の青年に斬りかかる。おいおい、と呆れたような顔をしつつも剣撃を盾で受け流す。

 

「本当に殺す気か? 後先考えないのはビッチと同じだな」

 

 受け流し、体勢を崩した近藤の腕を殴りつける。それは見た目からは想像もできないほどに痛苦を感じない一撃であったが、その衝撃で近藤は剣を手放してしまう。

 得物を失った相手にもう用はない。青年は近藤の得物であった剣を蹴り飛ばすと、一瞥もせずに近藤の四方に盾を呼び出した。

 

「シールドプリズン!」

 

 シールドプリズンは盾の檻を出現させる”スキル”だ。対象を檻の中に入れることで守るのが本来の使い方だが、今のように内部に拘束するという使い方もできる。

 その秀でたステータス任せに檻を内側から破壊しようとする近藤であるが、盾の青年の展開したシールドプリズンには傷一つ付く様子はない。

 

「ここに燃撃(しょうげき)を望む、”火球”」

 

「ここに風撃(ふうげき)を望む、”風球”」

 

 直後、”火球”と”風球”が盾の青年に襲いかかる。高速で撃ち出された炎の球と風の塊に盾を構える――こともなく、真っ直ぐに両手を突き出した。

 

「馬鹿じゃねえの! その程度で俺達の魔法が――何!?」

 

「おらよ! っと」

 

 両手に掴んだ”火球”と”風球”を中野と斎藤に投げ返す。

 天職”炎術師”の中野と”風術師”の斎藤にとって魔法攻撃は妥当な選択であったのだが、高位魔法である”ドライファ・ヘルファイア”すら跳ね返すことのできる青年にとっては、この二人の魔法など素手でも掴むことができる程度のものでしかない。

 

「く、くるな――ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 

「オエッ!」

 

 中野は自らの放った魔法を受けて火達磨になって転げ回り、斎藤は腹部に風の塊を受けて仰向けに吹き飛ばされる。そのまま斎藤は胃液を吐きながら蹲る。

 

「おい、お前は来ないのか?」

 

「ひっ!」

 

 自分から攻撃することもなく三人を無力化した青年に檜山は恐怖の声を漏らす。

 檜山は自分より弱い者を痛めつけて優越感に浸る一方で、強い者には媚びへつらうという卑劣な小心者だ。世紀末の雑魚のような格好をしている上に盾しか持っていない青年を舐めていた檜山は、その予想外の強さに怖気付いたのだ。

 終わったな、と青年は盾を下ろす。

 

「あの、あなたは……」

 

「俺は岩谷尚文。盾の勇者だ」

 

「盾の勇者……?」

 

(どういうこと? 勇者って天之河君のことのはずじゃ……それに、どうして僕達以外の日本人がこの世界に? 召喚されたのは僕達だけじゃないのか?)

 

 ハジメが青年の名乗りに困惑していると、突然、怒りに満ちた少年の声が響いた。

 

「何をやってるんだ!?」

 

 その場にいた全員が声の聞こえてきた方に目を向ける。すると、其処には四人の男女の姿があった。その中には勇者である天之河光輝の姿もある。

 

 声を上げた人物が天之河光輝。如何にも勇者っぽいキラキラネームの彼は、この世界に召喚されて本当に”勇者”の天職を得ている。

 サラサラの茶髪。百八十センチほどの高身長に細身ながら引き締まった体。誰にでも優しく、正義感も強い彼は、ハジメとは比較にならないほどのいい男だ。

 そんな彼は、恐怖に体を震わす檜山の前に立つ尚文のことを強く睨みつけている。

 

 次に、その隣に立っている大柄な男子生徒は坂上龍太郎。光輝の親友だ。

 短く刈り上げた髪に鋭さと陽気さを合わせたような瞳、百九十センチの身長に熊の如き大柄な体格、見た目に反さず細かい事を気にしない脳筋タイプである。

 此方も険しい眼差しを浮かべており、明らかに尚文のことを警戒していた。

 

 そして、三人目は八重樫雫。ポニーテールにした長い黒髪がトレードマークの彼女は、前述の二人とは異なり困惑の表情を浮かべていた。

 少なくとも尚文を敵視してるといった様子はない。尚文が後ろに庇っているハジメの様子から何となく状況を察していたので。その代わりに、自分達と同じく日本人である尚文の存在に困惑していた。

 

 それでも、念の為に百七十二センチという女子にしては高い身長からなる体を盾にして、親友である香織をお姫様に仕える侍のように庇っていたのだが。

 

「お前が檜山達を傷つけたのか!」

 

「そうだと言ったら……どうする?」

 

「許さない!」

 

 直後、鞘に入れたままの剣を振りかぶる光輝。後ろから飛び出すように亜人の女性が剣を抜き、ガキンと音を立てて鍔迫り合いになる。

 

「なにを――」

 

「ナオフミ様に何をなさるのですか! 返答次第では許しませんよ!」

 

 殺意を込めて、亜人の女性が言い放つ。

 

「退いてくれ! 俺は仲間を傷付けたその男に罪を償わせないといけない!」

 

「罪を償わないといけないのはそちらの方たちでしょう! 一人に寄って集って暴力を振るうような輩は誰であろうと許しません!」

 

「檜山達はそんなことをしない!」

 

「しました!」

 

 ギリギリと鍔迫り合いを続ける亜人の女性と天之河光輝。光輝の発言に便乗するように、檜山は弁明の言葉を口にする。

 

「そ、そうだ。俺達、南雲の特訓に付き合っていたら、いきなりその男が襲いかかってきて……」

 

「……ち、違うよ! その人は暴力を振るわれる僕のことを助けてくれて……」

 

 二人の言葉は相反するものだ。檜山の言葉を耳にした光輝は目の端を吊り上げ、目の前の女性に退いてもらうために剣を握る手に力を込める。

 一方で、同じように目の端を吊り上げた香織は憤然として動き出した。その視線の先にいるのは尚文――ではなく檜山大介だ。

 

「ねえ? どうして南雲くんに暴力を振るったの?」

 

「ち、違う! 俺はそんなことは……」

 

「だって、南雲くんはあなたに暴力を振るわれたと言っているよ」

 

「それは南雲があの男を庇って……」

 

「どうして南雲くんがあの人を庇う必要があるの? そんな嘘をつく理由は南雲くんにはないよね。ねえ、教えてくれないかな?」

 

 無表情で言い募る香織に檜山は後ずさる。見知らぬ男性を庇う理由はハジメにはなく、自分達を庇う理由は檜山にはある。どちらの言い分が怪しいかは一目瞭然だ。

 しかし……。

 

「香織! 同じクラスの仲間を疑うような真似はしちゃいけない!」

 

「その割には南雲君はボロボロのようだけど……」

 

「雫まで。ボロボロなのは南雲じゃなくて檜山達の方だろう!」

 

 光輝には尚文のことが敵にしか見えない。仲間のことを傷付けた尚文のことなど信用できない。同じクラスの仲間であるはずのハジメの言葉を耳にも入れず、檜山達を傷付けた尚文に敵意の眼差しを向けていた。

 

「アナタのそれは『仲間想い』ではなく『盲信』というものです! 同じ仲間であるはずの者の言葉を聞こうとせずに、自分にとって都合のいい言葉にばかり耳を傾けるアナタは、いずれ仲間の信用を失います!」

 

「なっ!?」

 

「それだけではありません! 周りの忠告を聞かないアナタは、いずれ仲間を殺すことでしょう!」

 

 そう言い放って、亜人の女性は光輝の剣を巻き取るように奪い取った。そして、得物を失った光輝の胸に強烈な蹴りを叩き込む。

 

「ガッ―――――!」

 

「光輝!?」

 

 吹き飛ぶ光輝の体を龍太郎が受け止める。「ゴホッゴホッ」と咳き込む光輝を一瞥した彼女は、彼女の主である尚文の元に歩み寄る。

 

「まったく! ナオフミ様以外の勇者とはこんなのばかりなんですか!」

 

「その男が……勇者?」

 

「ええ。ナオフミ様は四聖武器に選ばれた盾の勇者様です」

 

 光輝の困惑の声に答えた亜人の女性は自慢げに自らの主の正体を告げた。

 四聖勇者――勇者の天職を持つ天之河光輝とはまた別の道筋で勇者として導かれた者達。

 岩谷尚文はその一人であり、盾の聖武器に選ばれた盾の勇者である。

 しかし……。

 

 自分に都合の良い、自分が常に正しいと信じて疑わない光輝はそれを信じない。

 仲間想いと盲信の違いを理解しないまま、正義と独善の違いを理解しないまま進んだ先に待つのは、如何なる運命か。

 今の彼は真なる勇者ではない。勇者の天職を持つただの道化である。

 都合の悪い意見を聞き流し、自分の正義を盲信する彼は大きな障害に突き当たる。

 

 彼の行動によって救われる者達の物語は未だ描かれることはない。

 この物語は一人の錬成師とその仲間達の物語である。

 それすらも大きな波を止めるには足り得ず。

 やがて何もかも滅びの波に掻き消されていく……。

 

 

    ☆

 

 ユニット名:南雲ハジメ

 サイズ  :M

 移動力  :1

 地形適応 :空- 陸C 海-

 タイプ  :陸

 登場作品 :ありふれた職業で世界最強

 モデル  :???

 

 武器

 ・錬成

 

 

 

 ユニット名:岩谷尚文

 サイズ  :M

 移動力  :6

 地形適応 :空B 陸A 海B

 タイプ  :陸

 登場作品 :盾の勇者の成り上がり

 モデル  :ガンダム(機動戦士ガンダム)

 

 武器

 ・エアストシールド

 ・セカンドシールド

 ・ドリットシールド

 ・シールドプリズン

 ・チェンジシールド

 ・流星盾

 

 その他

 ・アラートシールド

 ・ヘイトリアクション

 ・ポータルシールド

 ・バブルシールド

 

 未解放

 ・セルフカースバーニング

 ・チェンジシールド(攻)

 ・アイアンメイデン

 ・ブラッドサクリファイス 

 

 

 

 ユニット名:ラフタリア

 サイズ  :M

 移動力  :8

 地形適応 :空B 陸A 海B

 タイプ  :陸

 登場作品 :盾の勇者の成り上がり

 モデル  :ブラウニー(ガン×ソード)

 

 武器

 ・一閃

 ・八極陣天命剣

 ・ファスト・ミラージュ

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