スーパー英雄大戦   作:ゲーマーN

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ありふれルート 第2話「奈落の底の修羅」

 水の流れる音がする。冷たい微風が頬を撫で、冷え切った体が身震いした。

 頬に当たる硬い感触と下半身の刺すような冷たい感触に「うっ」と呻き声を上げてハジメは目を覚ました。

 ズキズキと痛む全身に眉根を寄せながら両腕に力を入れて上体を起こす。 

 

「痛っ~、ここは……僕は確か……」

 

 ふらつく頭を片手で抑えながら、記憶を辿りつつ辺りを見回す。

 周りは薄暗いが緑光石の発光のおかげで何も見えないほどではない。視線の先には幅後メートル程の川があり、ハジメの下半身が浸かっていた。

 上半身が、突き出た川辺の岩に引っかかり乗り上げたようだ。

 

「そうだ……確か、橋が崩れて落ちたんだ。……それで……」

 

 霧がかかったようだった頭が回転を始める。

 

 岩谷尚文とその奴隷である亜人の女性――ラフタリアに窮地を救われたハジメは、その日の訓練が終了した後、騎士団長メルド・ロギンスより実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ翌日から遠征に行くことを告げられた。

 

 オルクス大迷宮――それは、全百階層からなると言われている大迷宮である。この世界における有数の危険地帯である七大迷宮の一つであり、階層が深くなるにつれて強力な魔物が出現するという性質を持っている。

 にもかかわらず、この迷宮は冒険者や傭兵、新兵の訓練に非常に人気がある。

 それは、階層により魔物の強さを測りやすいからということと、出現する魔物が地上に魔物に比べ遥かに良質の魔石を体内に抱えているからだ。

 

 魔石とは、魔物を魔物たらしめる力の核をいう。強力な魔物ほど良質で大きな魔石を備えており、この魔石は魔法陣を作成する際の原料となる。

 魔石は軍関係だけでなく、日常生活にも必要な大変需要の高い品なのである。

 ちなみに、良質な魔石を持つ魔物ほど強力な固有魔法を使う。

 固有魔法とは、魔力はあっても詠唱や魔法陣を使えない代わりに詠唱や魔法陣もなしに放つことができる。魔物が油断ならない最大の理由だ。

 

 現在の迷宮最高到達階層は六十五層であるのだが、それは百年以上前の冒険者が成した偉業であり、今では二十階層を越えれば一流の冒険者として扱われる。

 光輝を筆頭に生徒達は戦闘経験こそ少ないものの、約一名を除き全員がチート持ちなので割とあっさり降りることができた。

 もっとも、それがイコールで光輝達が一流扱いを受けるというわけではない。

 

 迷宮で最も恐ろしいのはトラップである。多種多様なトラップが迷宮内部に点在しており、場合によっては致死性のトラップも数多く存在している。

 この点、トラップ対策としてフェアスコープというものがある。これは魔力の流れを感知してトラップを発見することができるという優れものだ。迷宮のトラップはほとんどが魔法を用いたものであるから八割以上はフェアスコープで発見できる。

 ただし、索敵範囲がかなり狭いのでスムーズに進もうと思えば使用者の経験による索敵範囲の選別が必要だ。

 

 従って、生徒達が素早く階層を下げられたのは、ひとえに騎士団員達の誘導があったからだと言える。

 騎士団長であるメルドからも、トラップの確認をしていない場所へは絶対に勝手に行ってはいけないと強く念を押されている。

 そして、今回は行っても二十階層までであり、その程度ならば、ハジメのような最弱キャラがいても騎士団の者達で十分にカバーできる。

 

 迷宮の各階層は数キロ四方に及び、未知の階層では全てを探索しマッピングするのに数十人規模で半月から一ヶ月はかかるというのが普通だ。

 もっとも、現在では四十七階層までマッピングがなされているので迷うことはない。トラップに引っかかる心配もない……はずだった。

 

 しかし……。

 

 二十階層の一番奥の部屋はまるで鍾乳洞のように氷柱状の壁が飛び出していたり、溶けたりしたような複雑な地形をしていた。

 この先を進むと二十一階層への階段があり、そこまで行けば今回の実戦訓練は終わり。神代の魔法の一つである転移魔法のような便利なものは現代にはないので、行きと同じように地道に歩いて地上へ帰ることになる予定だった。

 

 一つ。

 

 カメレオンのような擬態能力を持ったゴリラの魔物、ロックマウント。

 香織達がその気持ち悪さで青褪めているのを死の恐怖を感じたせいだと勘違いした光輝は、この階層の魔物を相手するには明らかに過剰威力である光属性魔法”天翔閃”を放ち、その余波で部屋の壁を崩れさせる。

 その壁の奥にはインディコライトが内包された水晶のような青白く発光する鉱物が花咲くように生えており、女子達はその美しさにうっとりとした表情になった。

 

 二つ。

 

 その鉱物の名はグランツ鉱石。特に何か効能があるわけではないが、その涼やかで煌びやかな輝きが貴族の御婦人御令嬢方に大人気であり、加工して指輪・イヤリング・ペンダントなどにして贈ると大変喜ばれる宝石の原石のようなものだ。

 その説明を聞いた香織は頬を染めながら更にうっとりとした。そして、誰にも気づかれない程度にチラリとハジメに視線を向けた。

 

 三つ。

 

 その仕草に気が付いた檜山がグランツ鉱石に向けてひょいひょいと崩れた壁を登っていく。

 メルドの警告に聞こえないふりをして鉱石の場所に辿り着いた檜山は、グランツ鉱石に不用意に触れて迷宮のトラップを作動させてしまう。

 その結果、生徒達は巨大な石造りの橋の上に転移させられた。其処でベヒモスというこれまでの魔物とは明らかに一線を画している体長十メートル級の四足で頭部に兜のような物を取り付けたトリケラトプスのような魔物と対峙することになる。

 

「アラン! 生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ! カイル、イヴァン、ベイルは全力で障壁を張れ! ヤツを食い止めるぞ! 光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」

 

「待って下さい、メルドさん! 俺達もやります! あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう! 俺達も……」

 

「馬鹿野郎! あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ! ヤツは六十五階層の魔物。かつて、”最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ! さっさと行け! 私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」

 

 そして四つ。

 

 鬼気迫る表情に一瞬怯むも、「見捨ててなど行けない!」と踏み止まる光輝。

 もし、この4つのターニング・ポイントの1つでもズレていれば、この結末が訪れることはなかったことだろう。

 

 だが―――既に、賽は投げられた。

 

 光輝の迂闊、香織の恋慕、檜山の欲望、光輝の慢心。この四つの要素が絡み合うことで、事態は、最悪の結末を迎えることになる。

 光輝の切り札である光属性最上級魔法”神威”ですら傷一つつかないベヒモスを相手に、足元を錬成することで他の生徒達が避難するための時間稼ぎに徹したハジメ。

 本来ならば、ハジメも無事に逃げ延びることができるはずだった。

 

 しかし、その逃走を援護するために足止めとして放たれた魔法の一つがハジメに襲いかかる。頭上を駆ける数多の魔法の中で、一つの火球がクイッと軌道を僅かに曲げたのだ。ハジメを狙い誘導されたものであることは明白だった。

 着弾の衝撃波をモロに浴びたハジメは来た道を引き返すように吹き飛び、そこにベヒモスの怒りの全てを集束したような激烈な一撃を受けることになる。

 なけなしの力を振り絞り、必死にその場を飛び退いた。即死は免れることはできたが、抵抗できたのはそこまでだった。度重なる強大な攻撃にさらされた石造りの橋は崩壊を始め、まともに動けないハジメは橋の崩壊に巻き込まれた。

 

 橋の下は川などなく、全く何も見えない深淵の如き闇が広がっていた。まさに落ちれば奈落の底といった様子だ。

 その奈落に落ちていながらハジメが助かったのはまったくの幸運だった。

 落下途中の崖の壁に穴があいており、そこから鉄砲水の如く水が噴き出していた。そのような滝が無数にあり、ハジメは何度もその滝に吹き飛ばされながら次第に壁際に押しやられ、最終的に壁からせり出ていた横穴からウォータースライダーの如く流されたのである。とてつもない奇跡だ。

 もっとも、横穴に吹き飛ばされた時、体を強打し意識を飛ばしていたのでハジメ自身は、その身に起きた奇跡を理解していないが。

 

「よく思い出せないけど、とにかく、助かったんだな。……はっくしゅん! さ、寒い」

 

 地下水という低温の水にずっと浸かっていたために、すっかり体が冷えてしまっている。このままでは低体温症の恐れもあると早々に川から上がるハジメ。ガクガクと震えながら服を脱ぎ、絞っていく。

 そして、パンツ一枚になると錬成の魔法を使った。硬い石の地面に錬成で魔法陣を刻んでいく。

 

「ぐっ、寒くてしゅ、集中しづらい……」

 

 望むのは”火種”の魔法だ。

 その辺の子供でも十センチくらいの魔法陣で出すことができる簡単な魔法。

 しかし、今ここには魔法行使の効率を上げる魔石がない上、ハジメは魔法適性ゼロ。たった一つの火種を起こすのに一メートル以上の大きさの複雑な式を書かなければならない。

 十分近くかけてようやく完成した魔法陣に詠唱で魔力を通し起動させる。

 

「求めるは火、其れは力にして光、顕現せよ、”火種”……う~、何でただの火を起こすのにこんな大仰な詠唱がいるんだよぉ、恥ずかしすぎる。はぁ~」

 

 最近、癖になりつつある溜息を深々と吐き、それでも発動した拳大の炎で暖を取りつつ、傍に服も並べて乾かす。

 

「ここ、どこなんだろう。……だいぶ落ちたんだと思うけど……帰れるかな……」

 

 暖かな火に当たりながら気持ちが落ち着いてくると、次第に不安が胸中を満たしていく。無性に泣きたくなり、少しずつ目の端に涙が溜まりだす。

 しかし、今泣いては心が折れてしまいそうなハジメはグッと涙を堪えた。ゴシゴシと目元に溜まった涙を拭うと、両手でパンッと頬を叩いた。

 

「やるしかない、何とか地上に戻ろう。大丈夫、きっと大丈夫だ」

 

 自分に言い聞かせるように呟き、俯けていた顔を起こし決然とした表情でジッと炎を見つめた。

 

    ☆

 

 

 

                ありふれルート

 

             第2話 奈落の底の修羅

 

 

 

    ☆

 

 二十分ほど暖を取り服もあらかた乾いたので出発することにする。

 どの階層にいるのかはわからないが迷宮の中であるのは間違いない以上、どこに魔物が潜んでいてもおかしくはない。

 慎重に慎重を重ねて奥へと続く巨大な通路に歩みを進めた。

 

 その通路は正しく自然の洞窟といったものであり、低階層の四角い通路ではなく岩や壁があちこちからせり出しており、通路自体も複雑にうねっている。二十階層の最後の部屋を思わせるが、その大きさは比較にならない。

 複雑で障害物だらけでも通路の縦横の幅は優に二十メートルはある。狭い所でも十メートルはあるのだから相当な大きさだ。

 それ故に歩き難くはあるが、隠れる場所も豊富にある。魔物と遭遇することのないよう細心の注意を払いつつ、ハジメは物陰から物陰に隠れながら進んでいった。

 

 それからどれほど歩いたことだろうか。遂に初めての分かれ道に辿り着いた。巨大な四辻である。岩の陰に隠れながら、どの道に進むべきか逡巡した。

 しばらく考え込んでいると、視界の端で何かが動いた気がして慌てて岩陰に身を潜める。

 そっと顔だけ出して様子を伺うと、今いる通路から直進方向の道で白い毛玉がピョンピョンと跳ねているのがわかった。長い耳もある。見た目はまんまウサギだった。

 但し、大きさが中型犬くらいあり、後ろ足がやたらと大きく発達している。そして何より赤黒い線がまるで血管のように幾本も体を走り、ドクンドクンと心臓のように脈打っている。とても不気味な姿をしていたが。

 

 明らかにヤバそうな魔物なので、直進は避けて右か左の道に進もうと決める。ウサギの位置からして右の通路に入るほうが見つかりにくそうだった。

 ハジメは息を潜めてタイミングを見計らう。そして、ウサギが後ろを向き地面に鼻を付けてフンフンと嗅ぎ出したところで、今だ! と飛び出そうとした。

 その瞬間、ウサギがピクッと反応したかと思うとスッと背筋を伸ばし立ち上がった。警戒するように耳が忙しなくあちこちに向いている。

 

(やばい! み、見つかった? だ、大丈夫だよね?)

 

 岩陰に張り付くように身を潜めながらバクバクと脈打つ心臓を必死に抑える。あの鋭敏そうな耳に自分の鼓動が聞かれそうな気がしてダラダラと冷や汗を流す。

 だが、ウサギが警戒したのは別の理由だった。

 

「グルゥア!!」

 

 獣の唸り声と共に、これまた白い毛並みの狼のような魔物がウサギ目掛けて岩陰から飛び出してきた。

 その白い狼は大型犬くらいの大きさで尻尾が二本あり、ウサギと同じように赤黒い線が体に走って脈打っている。一体何処から現れたのか一体目が飛びかかった瞬間、別の岩陰から更に二体の二尾狼が飛び出す。

 再び岩陰から顔を覗かせその様子を観察するハジメ。どう見ても、狼がウサギちゃん(ちゃん付けできるほど可愛くないが)を捕食する瞬間だ。

 ハジメは、このドサクサに紛れて移動しようかと腰を浮かせた。

 

 だがしかし……

 

「キュウ!」

 

 可愛らしい鳴き声を洩らしたかと思った直後、ウサギがその場で跳び上がり、空中でくるりと一回転して、その太く長い足で一体目の二尾狼に回し蹴りを炸裂させた。

 

 ドパンッ!

 

 およそ蹴りが出せるとは思えない音を発生させてウサギの足が二尾狼の頭部にクリーンヒットする。

 すると、

 

 ゴギャ!

 

 という鳴ってはいけない音を響かせながら狼の頸があらぬ方向に捻じ曲がってしまった。それを目にしたハジメは腰を浮かせたまま硬直してしまう。

 そうこうしている間にも、ウサギは回し蹴りの勢いを利用して更にくるりと空中で回転すると、逆さまの状態で空中を踏み締めて地上へ隕石の如く落下し、着地寸前で縦に回転。強烈な踵落としを着地点にいた二日狼に炸裂させた。

 

 ベギャ!

 

 断末魔の悲鳴すら上げられずに頭部を粉砕される二体目の狼。

 その頃には更に二体の二尾狼が現れて、着地した瞬間にウサギに飛びかかった。

 着地狩り。今度こそウサギの負けかと思われた瞬間、何とウサギはウサミミで逆立ちしブレイクダンスのように足を広げたまま高速で回転をした。

 飛びかかっていた二体が竜巻のような回転蹴りに弾き飛ばされ壁に叩きつけられる。グシャという音と共に血が壁に飛び散り、ズルズルと滑り落ち動かなくなった。

 最後の一体が、グルルと唸りながらその尻尾を逆立てる。すると、その尻尾がバチバチと放電を始めた。どうやら二尾狼の固有魔法のようだ。

 

「グルゥア!!」

 

 咆哮と共に電撃がウサギ目掛けて乱れ飛ぶ。しかし、高速で迫る電撃をウサギは華麗なステップで右に左にと躱していく。そして、その電撃が途切れた瞬間……

 

「きゅう!」

 

 一気に踏み込み、二尾狼の顎にサマーソルトキックを叩き込んだ。二尾狼は仰け反りながら吹き飛び、グシャと音を立てて地面に叩きつけられた。

 二尾狼の首は、やはり折れてしまっているようだ。

 

「キュ!」

 

 蹴りウサギは勝利の雄叫び? を上げ、耳をファサッと前足で払った。

 

(……嘘だと言ってよママン……)

 

 乾いた笑みしか浮かばないのはハジメだ。ヤバイなんてものじゃない。もしかしたら単純で単調な攻撃しかしてこなかったベヒモスよりも、余程強いかもしれない。

 ハジメは、気がつかれたら絶対に死ぬと、表情に焦燥を浮かべながら無意識に後ずさり――

 

 カラン

 

 致命的なミスを犯した。下がった拍子に足元の小石を蹴ってしまったのだ。

 その音は洞窟内にやたらと大きく響いた。小石に向けていた顔をギギギと油を差し忘れた機械のように回して蹴りウサギを確認する。

 

 蹴りウサギは、ばっちりハジメを見ていた。

 

 赤黒いルビーのような瞳がハジメを捉え細められている。ブワッと冷や汗が噴き出る。ハジメは蛇に睨まれたカエルの如く硬直した。魂が全力で逃げろと警鐘をガンガン鳴らしているが体は神経が切れたように動かない。

 やがて、首だけで振り返っていた蹴りウサギは体ごとハジメの方を向き、足を弛めグッと力を溜める。

 

(来る!)

 

 ハジメが本能と共に悟った瞬間、蹴りウサギの足元が爆発した。後ろに残像を引き連れて、途轍もない速度で突撃してくる。

 気が付けば、ハジメは無意識の内に全力で横っ飛びをしていた。

 直後、一瞬前までハジメのいた場所に砲弾のような蹴りが突き刺さり、地面が爆発したように削られた。硬い地面をゴロゴロと転がりながら、尻餅をつく形で停止したハジメは、陥没した地面に青褪めながら後ずさる。

 

 蹴りウサギは余裕の態度でゆらりと立ち上がり、再度、地面を爆発させながらハジメに突撃する。

 咄嗟に地面を錬成して石壁を構築するも、その石壁を軽々と貫いて蹴りウサギの蹴りがハジメに炸裂した。

 咄嗟に左腕を掲げられたのは本能のなせる業か。顔面を粉砕されることはなかったが、衝撃で吹き飛び、再び地面を転がった。停止する頃には激烈な痛みが左腕を襲う。

 

「ぐぅっ――」

 

 見れば、左腕がおかしな方へ曲がりプラプラとしている。完全に粉砕されたようだ。もはや左腕を使用することはできないだろう。

 痛みで蹲りながら必死に蹴りウサギの方を見ると、今度はあの猛烈な踏み込みはなく余裕の態度でゆったりと歩いてくる。ハジメの気の所為でなければ、蹴りウサギの目には見下すような、あるいは嘲笑うかのような色が見える。

 ハジメには、尻餅をつきながら後ずさるという無様しか出来ない。それを理解した上で、敢えてゆっくりと歩み寄る蹴りウサギは完全に遊んでいた。

 やがて、蹴りウサギがハジメの目の前で足を止める。地べたを這いずる虫けらを見るように見下ろす蹴りウサギは、見せつけるかのように片足を大きく振りかぶった。

 

(……ここで、終わりなのかな……)

 

 絶望が心の内を支配する。諦めを宿した瞳で呆然と蹴りウサギの足を見やる。その視線の先で、遂に豪風と共に致死級の蹴りが振り下ろされた。

 

「……」

 

 ハジメは恐怖でギュッと目をつぶる。しかし、何時まで経っても予想していた衝撃はやって来ない。

 恐る恐る目を開けると眼前に蹴りウサギの足があった。振り下ろされた体勢のまま寸止めされていた。まさか、まだ遊ぶつもりなのかと更に絶望的な気分に襲われていると、奇妙なことに気が付いた。

 よく見れば、蹴りウサギがふるふると震えているのだ。

 

(な、何? 何を震えて……これじゃまるで怯えているみたいな……)

 

 ”まるで”ではなく、事実、蹴りウサギは怯えていた。ハジメが逃げようとしていた右の通路から現れた新たな魔物の存在に。

 

 その魔物は巨体だった。二メートルはあるだろう巨躯に白い毛皮。例に漏れず赤黒い線が幾本も体を走っている。その姿は例えるなら熊だった。但し、足元まで伸びた太く長い腕に、三十センチはありそうな鋭い爪が三本生えているが。

 その爪熊が、何時の間にか接近しており、一人と一匹を睥睨していた。

 辺りを静寂が包む。ハジメは元より蹴りウサギも硬直したまま動かない……いや、動けない。先程のハジメのように、爪熊を凝視したまま凍りついている。

 

「……グルルル」

 

 と、この状況に飽きたとでも言うように、突然、爪熊が低く唸りだした。

 

「ッ!?」

 

 蹴りウサギは夢から覚めたように一瞬ビクッと震えると、踵を返し脱兎の如く逃走を開始した。今まで敵を殲滅するために使用していた踏み込みを逃走のために全力使用する……が、その試みは成功しなかった。

 爪熊が、その巨体に似合わない素早さで蹴りウサギに迫り、その長い腕を使って鋭い爪を振るったからだ。蹴りウサギは流石の俊敏さでその豪風を伴う強烈な一撃を、体を捻って躱す……躱した、はずだった。

 

 しかし……

 

 着地した蹴りウサギの体はズルリと斜めにずれると、そのまま噴水のように血を噴き出しながら別々の方向へドサリと倒れた。

 愕然とするハジメ。確かに爪熊の爪は掠りもせず、蹴りウサギは躱しきったはずだ。なのに、殺された。あんなに圧倒的な強さを誇っていた蹴りウサギが、まるで為す術もなくあっさりと殺された。

 

(……そうか。蹴りウサギが怯えていたのは……)

 

 蹴りウサギの、まるでカポエイラの達人のような武技を以てしても歯が立たない別格の化け物……それが爪熊という魔物なのだと本能で理解した。

 爪熊は、悠然と蹴りウサギの死骸に歩み寄ると、その鋭い爪で死骸を突き刺しバリッボリッグチャと音を立てながら喰らってゆく。

 

 ハジメは動けなかった。あまりの連続した恐怖に、そして蹴りウサギだったものを咀嚼しながらも鋭い瞳で自分を見ている爪熊の視線に射竦められて。

 爪熊は三口ほどで蹴りウサギを全て腹に収めると、グルッと唸りながらハジメの方へ体を向けた。その視線が雄弁に語る。次の食料はお前だと。

 捕食者の目を向けられたハジメは恐慌に陥り、意味もなく叫び声を上げた。

 

「うわぁああーー!!」

 

 折れた左腕のことも忘れて必死に立ち上がり、爪熊とは反対方向に逃げ出す。しかし、あの蹴りウサギですら逃げることが敵わなかった相手からハジメが逃げられる道理などない。

 ゴウッと風が唸る音が聞こえると同時に強烈な衝撃がハジメを――

 

「”ソーン・フェンス”!」

 

 ――襲うことはなかった。茨と蔦の壁が地面から生えてきて、爪熊の凶刃からハジメを守ったからだ。先日、檜山達から守られたように。

 

「あなた、大丈夫!?」

 

 違うのは、駆けつけたのが盾の勇者ではなく冒険者のような服装をした女性であったこと。愛嬌を感じさせる顔付きをした彼女は、ハジメの折れた左腕にそっと触れる。

 

「痛っ……あの、あなたは」

 

「私はマーチャントのフィーナ。待っていて、直ぐに治療してあげるから」

 

「そ、それよりも……! あの魔物が……!」

 

 ソーン・フェンス。木魔法の壁呪文で作られた防御壁で姿は見えないが、あの蹴りウサギを一蹴するほどの強大な魔物が壁の向こう側にいる。

 そのはずなのに、フィーナと名乗った女性の表情には焦りの色は一切なく、むしろ此方を安心させるように微笑みを浮かべていた。

 

「”アース・ヒール”……大丈夫よ。私の夫があのモンスターの相手をしているから」

 

「あなたの……夫?」

 

「ええ。私の夫……キースはあの程度の魔物には負けないわ」

 

「あの程度……?」

 

 ハジメは、呆然とした表情でソーン・フェンスの方に視線を向ける。すると、茨と蔦で構成された壁が解けていき、その光景が露わになった。

 

「”八部封印”!」

 

 対象1体の武技、全属性、状態異常攻撃を一時的に封印すると同時に、エンチャントを無効化する封印術”八部封印”。

 その効力で爪熊の固有魔法である風の爪を封印したその男は、体格差を物ともせずに爪熊の腕に掴みかかり柔術の動きで地面に叩きつける。

 先程のハジメのように地べたを転がった爪熊に太刀を抜いた男は、

 

「チェァァァァァァァァァァァァァァーーーッ!」

 

 猿声と共に、その刃を振り下ろす。その刃は一切の容赦無く爪熊の首を断ち切り、その命を文字通りの一太刀で奪い取った。

 

「……すごい」

 

 その一撃、風のように疾風《はや》く炎のように苛烈なもの。見果てぬ修羅路の地平の先にいる男の一振りは、もはや芸術的なまでの圧倒的な剣閃であった。

 振り返る。一刀のもとに爪熊を切り捨てた男は悠然とハジメに歩み寄る。その目には蹴りウサギのような見下しの色はなく、此方を気遣うような色があった。それでも警戒してしまうのは、本能が彼の本質を悟っているからか。

 

「助けてくれて、あ、ありがとうございます!」

 

「気にしないでほしい。えっと。とりあえず名前を聞いてもいいかな?」

 

「あっ、はい。僕は南雲ハジメです。……あの、あなたは?」

 

「オレはキース」

 

 それが未来の魔王と、後にその師匠となるキースとの出会いだった。

 

    ☆

 

「こんなものが壁の中にあるなんて……」

 

 一先ず、安全地帯を確保するために錬成で迷宮の壁に洞窟を作り出したハジメは、その奥でバスケットボールくらいの大きさの青白く発光する鉱石を見つけ出した。アクアマリンの青をもっと濃くして発光させたような神秘的で美しい石だ。

 その鉱石は、周りの石壁と同化するように埋まっており下方へ向けて水滴を滴らせている。

 

 その鉱石の名は【神結晶】。歴史上でも最大級の秘宝であり、既に遺失物と認識されている伝説の鉱物だ。神結晶は大地に流れる魔力が千年という長い時をかけて、偶然できた魔力溜まりによりその魔力そのものが結晶化したものだ。

 直径三十センチから四十センチくらいの大きさで、結晶化した後、更に数百年もの時間をかけて内包する魔力が飽和状態になると、液体となって溢れ出す。

 

 その液体を【神水】と呼び、これを飲んだ者はどんな怪我も病も治るという。

 欠損部位を再生するような力はないが、飲み続ける限り寿命が尽きないと言われており、そのため不死の霊薬とも言われている。

 神代の物語に神水を使って人々を癒やすエヒト神の姿が語られており、それは王国の図書館で鉱石の勉強をしていたハジメも知っている。

 

「召魔の森を知っていると感覚が麻痺しそうになるけど……神霊の桃と同等のポーションが取り放題と考えるととんでもない代物ね」

 

 召魔の森とは、キースが元の世界で所有している拠点のことだ。話によると、二人は異世界からこの世界を訪れた異世界人であり、いつも通りに拠点を訪れたはずがこの奈落の底に辿り着いたのだという。

 それが判明したのはハジメとキース達の間に色々と齟齬が生じたからなのだが、それを説明すると長くなるのでここでは割愛する。

 

 召魔の森では神霊の桃という神の祝福が込められた桃の実を栽培しており、この神霊の桃は投げてぶつけた相手の体力を全回復させるという性質を持っている。

 無論、そんなものを容易に栽培できるはずがない。キースの配下達の努力によってようやく栽培に成功したものだ。それと同様の効力を持つ神水を量産することができる神結晶は、キースの妻であるフィーナをして驚嘆に値する代物であった。

 

「それより、熊肉が焼けましたよ」

 

 その声に、視線を向ければ其処には金属板で熊肉を焼いているキースの姿があった。勿論、ここで言う熊肉とは爪熊の肉のことである。

 元の世界から装備以外の持ち物を持ち込むことが出来なかったキースは、武器を作るための素材として爪熊の死骸を回収しており、その爪から爪熊の小剣を作り出した。更に食糧として爪熊の肉を食べることを提案したのだ。

 

 それに反対したのはハジメだ。この世界の魔物の肉は猛毒であり、過去、魔物の肉を口にした者は例外なく体をボロボロに砕けさせて死亡している。

 魔石という特殊な体内器官を持ち、魔力を直接体に巡らせて驚異的な身体能力を発揮する。体内を巡り変質した魔力は肉や骨にも浸透して頑丈にする。

 この変質した魔力が詠唱も魔法陣も必要としない固有魔法を生み出しているとも考えられているが詳しくは分かっていない。とにかく、この変質した魔力が人間にとって致命的なのだ。人間の体内を侵食し、内側から細胞を破壊していくのである。

 

 しかし、この場所には他に食糧が無いことも事実である。そのことに頭を抱えた三人が見つけたのが、不死の霊薬とも言われる神水であった。

 この神水の力で変質した魔力による肉体の崩壊を相殺することが出来るかもしれない。そう考えたキースは狂気の沙汰と理解した上で改めて魔物の肉を食べることを提案した。そして、ほか二人もその可能性に賭けることにしたのである。

 

「見た目だけは美味しそうだけど……」

 

「……このお肉、毒なのよね」

 

「でも、これしか食べられるものはありません」

 

 と、躊躇無く熊肉を口に運んだキースとは違い残りの二人は及び腰だ。致死毒であるのを承知の上で食べられるほどこの二人は図太くはない。

 だが、この毒肉を食べないと近い内に餓死することになるのも事実。南無三! と二人は金属製の箸で毒肉を摘み、口の中に放り込む。

 

「ゥンまああ〜いっ!」

 

 熊肉の美味さに目を見張るハジメ。これほど美味しい肉は元の世界でも食べたことがない。あまりの美味さに毒肉であることも忘れて夢中になって食べ続ける。

 どれくらいそうやって食べていたことだろうか。神水を飲料水代わりにするという聖教教会の関係者が知ったら卒倒するような贅沢をしながら腹が膨れ始めた頃、ハジメの体に異変が起こり始めた。

 

「あ? ――ッ!? アガァ!!!」

 

 突如全身を激しい痛みが襲った。まるで体の内側から何かに侵食されているようなおぞましい感覚。その痛みは、時間が経てば経つほど激しくなる。

 

「「ハジメ君!?」」

 

 キースとフィーナにはそのような兆候は一切無いというのに、ハジメだけが自分を侵食していく何かに耐え難い痛みを感じていた。

 キースが地面をのたうち回るハジメの体を抑えつけ、フィーナが神水をハジメの口の中に注ぎ込む。それを飲み干すと直ちに痛みが引いていくが、しばらくすると再び激しい痛みが体を襲う。

 

「ひぃぐがぁぁ!! 何で……なおらなぁ、あがぁぁ!」

 

 ハジメの体が痛みに合わせて脈動を始めた。ドクンッ、ドクンッと体全体が脈打つ。至る所からミシッ、メキッという音さえ聞こえてきた。

 しかし次の瞬間には、体内の神水が効果をあらわし体の異常を修復していく。修復が終わると再び激痛。そして修復。

 神水の効果で気絶もできない。絶大な治癒能力がアダとなった形だ。

 

 ハジメは絶叫を上げながら終わりの見えない地獄を味わい続けた。いっそ殺してくれと願ったがキース達が叶えることはなくひたすら耐えるしかない。

 

 すると、ハジメの体に変化が現れ始めた。

 

 まず髪から色が抜け落ちていく。許容量を超えた痛みのせいか、それとも別の原因か、日本人特有の黒髪がどんどん白くなってゆく。

 次いで、筋肉や骨格が徐々に太くなり、体の内側に薄らと赤黒い線が幾本も浮き始める。

 

「これは・・・超回復?」

 

「超回復ってあれ? 筋トレとかで断裂した筋肉が修復される時に、少しだけ肥大化して治るっていう……」

 

「ええ、恐らくはハジメ君の身に起きている異常事態はそれです」

 

 キースの予想通り、今、ハジメの身に起きているのは超回復と同等の現象であった。

 ただ魔物の肉を食べただけなら体が崩壊して死ぬだけだっただろう。しかし、それを許さない秘薬があった。神水だ。壊れた端からすぐに修復していく。その結果、肉体が凄まじい速度で強靭になっていく。

 

 壊して、治して、壊して、治して。脈打ちながら肉体が変化していく。その様は、あたかも転生のよう。脆弱な人の身を捨て化生へと生まれ変わる生誕の儀式。ハジメの絶叫は産声だ。

 やがて、脈動が収まりハジメはぐったりと倒れ込んだ。その頭髪は真っ白に染まっており、服の下には今は見えないが赤黒い線が数本ほど走っている。

 

「大丈夫かな?」

 

 ハジメの右腕がピクリと動いた。閉じられていた目がうっすらと開けられる。

 焦点の定まらない瞳がボーッと自分の右手を見る。やがて地面を掻くようにギャリギャリと音を立てながら拳が握られた。

 ハジメは、何度か握ったり開いたりしながら自分が生きていること、きちんと自分の意志で手が動くことを確かめるとゆっくりと起き上がった。

 

「……なんとか」

 

 途方もない痛みに精神は疲れているものの、妙に体が軽く力が全身に漲っている気がする。これはベストコンディションと言ってもいいのではないだろうか。

 腕や腹を見ると明らかに筋肉が発達している。実は身長も伸びている。以前のハジメの身長は百六十五センチだったのだが、現在は更に十センチ以上高くなっている。

 

「一体、僕の体はどうなったの? 何か妙な感覚もあるし……」

 

 体の変化だけでなくハジメは体内にも違和感を覚えていた。温かいような冷たいような、どちらとも言えるような奇妙な感覚。意識を集中してみると腕に薄らと赤黒い線が浮かび上がった。

 

「うわぁ、き、気持ち悪いなぁ。何か魔物にでもなった気分だよ。……洒落にならないや。そうだ、ステータスプレートは……」

 

 ポケットからステータスプレートを取り出す。体の異常について何か分かるかもしれないど、現在のハジメのステータスを確認する。

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:12

天職:錬成師

筋力:200

体力:300

耐性:200

敏捷:400

魔力:350

魔耐:350

技能:錬成・魔力操作・胃酸強化・風爪・言語理解

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「……なんでやねん」

 

 驚愕のあまり思わず関西弁でツッコミを入れるハジメ。ステータスが総じて急増しており、技能も三つ増えている。しかしレベルが未だ8にしかなっていない。

 

 この世界においてレベルとはその個人の到達できる領域の現在値を示している。レベル100とは人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということであり、元々のステータスを考えるとハジメの成長限界も上がったと考えるべきだろう。

 

「凄まじいドーピングね」

 

 ドーピングというフィーナの言葉に思わず納得してしまうハジメ。確かにこれはドーピングとしか言いようがない。但し、文字通り死ぬほど痛い思いをするが。

 

「・・・これは。使えるかもしれない」

 

「え?」

 

「まずは君の力量を上げる、その必要があると思っていたんだ」

 

 この奈落の底の魔物は地上の魔物とは比較にならないほどの力を持っている。キースはそれを一蹴するほどの実力を持っているが、戦闘技能のないハジメはそうはいかない。何らかの罠などで分断された時に備えて、最低限、自衛できる程度の能力を身につけさせるべき、とキースは考えていた。

 

「けど、どんな武術でも一朝一夕には強くなれない。だからどうするべきかと考えていたけど……この方法なら最低限の能力を身に付けることができる」

 

「……そっか。戦うことはできなくても魔物から逃げるだけなら……」

 

「そういうこと。生き延びる。目的はそこだから。すぐに出来ないことに力を注ぐことはないからねえ。一先ずはこの方法でステータスを上げるべきだよ」

 

「はい」

 

「ということで……これ」

 

「え?」

 

「兎肉と狼肉、この二つも食べてステータスを底上げしようか」

 

 そう言って、キースが差し出したのは蹴りウサギと二尾狼の肉である。しっかりと焼き目が付いた美味しそうな匂いのするその肉をハジメは受け取る。

 

 幸いにも”胃酸強化”という技能を獲得している。魔物の肉を食べることでまたあの激痛に襲われるかもしれないが、もしかしたらこの技能が解決してくれるかもしれない。その可能性に一縷の望みをかけて、魔物の肉に意を決して食らいついた。

 十秒……一分……十分……何事も起こらない。次々と肉を食べていくが、特に痛みは襲って来なかった。”胃酸強化”のおかげか、それとも耐性ができたのか。分からないがハジメは喜んだ。これで食事の度に地獄を味わわなくて済む。

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:12

天職:錬成師

筋力:300

体力:400

耐性:300

敏捷:450

魔力:400

魔耐:400

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・言語理解

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 そして、順調にステータスを上げたハジメは錬成師としてもその実力を上げていく。寝食を忘れてひたすら錬成の熟練に時間を費やした上、何千回という失敗の果てに、ハジメは遂にとある物の作成に成功した。

 

 音速を超える速度で最短距離を突き進み、絶大な威力で目標を撃破できる現代兵器。

 

 全長は約三十五センチ、この辺りでは最高の硬度と靭性を持つタウル鉱石を使った六連の回転式弾倉。長方形型のバレル。弾丸もタウル鉱石製で、中には粉末状にした燃焼石(燃焼粉)を圧縮して入れてある。

 

 それ即ち、大型のリボルバー式拳銃だ。

 

 しかも、弾丸は燃焼石の爆発力だけでなく、二尾狼から簒奪した固有魔法”纏雷”により電磁加速されるという小型のレールガン化している。

 その威力は最大で対物ライフルを軽く凌駕するレベル。ドンナー&シュラークと名付けた。何となく相棒には名が必要だと思ったからだ。

 

「……これなら、僕も……脱出だって……やれる!」

 

 ハジメはドンナー&シュラークの他にも現代兵器を参考に作った兵器を眼前に並べて薄らと笑った。

 ただ、剣や防具を上手く作るだけ、そんなありふれた天職”錬成師”の技能”錬成”が、剣と魔法の世界に兵器を産み落とした瞬間だった。

 

 ……なお、キースに電磁加速したドンナー&シュラークの弾丸を避けられたり、斬られたり、掴まれたり(!?)したことで、直ぐに自信はへし折られた。

 

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 燃焼石

 可燃性の鉱石。点火すると構成成分を材料に燃焼する。燃焼を続けると次第に小さくなり、やがて燃え尽きる。密閉した場所で大量の燃焼石を一度に燃やすと爆発する可能性があり、その威力は量と圧縮率次第で上位の火属性魔法に匹敵する。

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 タウル鉱石

 黒色で硬い鉱石。硬度8、靭性8(10段階評価で10が最高)。衝撃や熱に強いが、冷気には弱い。冷やすことで脆くなる。熱を加えると再び結合する。

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    ☆

 

■3ターン目に敵増援として爪熊が登場します。

■4ターン目に味方増援としてキース及びフィーナが登場します。

■南雲ハジメが爪熊の攻撃を受けた上で生存している場合、後に武器「超振動ロケットパンチ」が解放されることになります。今作では解放されません。

 

 

 

■サモナーさんが行くが参戦しました。

 

■南雲ハジメが加入しました。

■キースが加入しました。

■フィーナが加入しました。

 

■爪熊の小剣が開発されました。

■タウルブレードが開発されました。

■ドンナー&シュラークが開発されました。

 

■キースは所持アイテムを喪失しています。

■フィーナは所持アイテムを喪失しています。

 

 

 

 ユニット名:南雲ハジメ

 サイズ  :M

 移動力  :6

 地形適応 :空A 陸A 海B

 タイプ  :空、陸

 登場作品 :ありふれた職業で世界最強

 モデル  :イチナナ式(劇場版 マジンガーZ/INFINITY)

 

 武器

 ・錬成

 ・格闘

 ・タウルブレード

 ・ドンナー&シュラーク

 

 

 

 ユニット名:キース

 サイズ  :M

 移動力  :6

 地形適応 :空A 陸A 海B

 タイプ  :空、陸、海

 登場作品 :サモナーさんが行く

 モデル  :真ゲッタードラゴン(ダイナミック企画オリジナル機体)

 

 武器

 ・一騎当千

 ・呪文融合・封印式

 ・カタストロフィ

 

 未解放

 ・サモン・モンスター

 ・エクストラ・サモニング

 ・マイクロ・ブラックホール

 

 所有

 ・爪熊の小剣

 

 

 

 ユニット名:フィーナ

 サイズ  :M

 移動力  :5

 地形適応 :空A 陸A 海B

 タイプ  :空、陸

 登場作品 :サモナーさんが行く

 モデル  :パープルツー(銀河機攻隊 マジェスティックプリンス)

 

 武器

 ・手斧

 ・英霊召喚:緋炎聖女

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