戦姫絶唱シンフォギア-THE FIRST ULTRAMAN-   作:不死身の機動歩兵隊

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大変お待たせしました。第8話です。


第8話「魔弓の戦姫」

‐西暦2043年 リディアン音楽院近辺・森林‐

 

クリス

「見せてやる・・・イチイバルの力をなッ!!」

 

その宣言と同時に両腕の装甲を変形させたクロスボウ型アームドギアを装備したクリスはエネルギー状の矢を響とウルトラマンへ放つ。

 

「うわっ!?」

 

ウルトラマン

「ッ!」

 

響は間一髪で避ける。ウルトラマンは回避に遅れ、初弾が数発命中する。そして一通りエネルギー状の矢を放ったクリスは両手のクロスボウ型アームドギアを再度変形させ、2連装ガトリングガンが姿を現す。敵を一斉掃射する〈BILLION MAIDEN〉が響とウルトラマンに向けて放たれる。

響とウルトラマンが回避に専念する間にクリスは左右の腰部アーマーを展開し、内蔵の多連装射出器から追尾式小型ミサイルを一斉発射する〈MEGA DETH PARTY〉が響とウルトラマンに迫る。

 

ウルトラマン

「後ろに隠れろ!」

 

「は、はい!!」

 

響が後ろに隠れたのを確認したウルトラマンは腕を交差して強力な念力を放つ〈ウルトラ念力〉で全ての小型ミサイルを粉砕。同時に爆発が起こり、爆煙によって互いに視線が切れた瞬間に再発射された小型ミサイルが爆煙から飛び出す。

 

ウルトラマン

(リバウンド光線でも間に合わない!せめて響だけでもッ!!)

 

小型ミサイルがすぐそこまで迫っている間にウルトラマンは響に蔽い被さり、更に光のシールドを響に張ると同時に小型ミサイルがウルトラマン達に直撃。爆炎に包まれる。

 

クリス

「ハァ、ハァ、ハァ・・・ッ?!」

 

歌い切ると同時に攻撃を止めたクリスは息を切らしながら爆炎を見詰めている。そして爆炎が晴れた時、そこには巨大な盾が存在していた。

 

クリス

「盾?「剣だ!」ッ!!」

 

クリスは声が聞こえた方に顔を向けると、巨剣の上に立つ翼の姿があった。そして彼女の上空から大量の槍が降り注ぐ。それに気付いたクリスはその場から回避する。その間に響とウルトラマンの近くに奏が着地する。

 

「待たせたな!響、ウルトラマン!」

 

「奏さん!」

 

ウルトラマン

「助かった。」

 

体勢を立て直したウルトラマン達。そして巨剣から降りた翼は響の隣に立ち、構えを取る。

 

「翼さん、奏でさん。あの子は・・・」

 

「分かってる。刃を交える敵じゃないと信じたい。それに」

 

「色々と聞きたい事が山ほどあるからな!」

 

最初に奏が仕掛け、クリスはガトリングガンで迎撃を行うが、奏は槍を通常よりも長く延長し、地面に突き刺して棒高跳の要領で、翼は最小限の動きとアクロバティックで回避。そこから流れる様な連携でクリスを徐々に追い詰めていく。

 

クリス

「(この女共、以前と動きが全く違う!けど!)こんな所で捕まってたまるかよッ!!」

 

翼と奏から距離を取り、ガトリングガンで弾幕を張ろうと構え、トリガーを引こうとした瞬間。

 

クリス

「何ッ!?」

 

突如上空から2体の飛行型ノイズが急降下攻撃で両手のガトリングガンを破壊。そしてもう1体のノイズがクリスへ特攻する。

 

「ッ!」

 

それを見た響は走り出し、急降下中のノイズに体当たりしてクリスを守る。そして体力と精神力が尽きた響はクリスの方へ倒れ、クリスは響を抱き止めてその場に腰を下ろす。

 

「立花!」

 

奏・ウルトラマン

「響!」

 

響とクリスの下へ駆け寄ったウルトラマン達は2人を守る様に陣形を組んで周囲を警戒する。

 

クリス

「お前、何やってんだよ!?」

 

「ごめん、クリスちゃんに当たりそうだったから。つい・・・」

 

クリス

「ッ・・・バカにして!余計な「命じた事も出来ないなんて、貴女はどこまで私を失望させるのかしら?」ッ!?」

 

クリスの言葉に割り込む様に第3者の声が現場に響く。ウルトラマン達は周囲を見渡して声の主を探すと、海岸沿いにある休憩所の手摺りに寄り掛かり、ソロモンの杖を持った黒のキャペリンハットとコート、サングラスをした謎の金髪女性がいた。

 

クリス

「フィーネ!?」

 

ウルトラマン

(フィーネだと!?じゃあ、彼女がアイツの・・・)

 

「フィーネ・・・終わりの名を持つ者・・・」

 

「それじゃあこれまでの出来事の黒幕って事か!」

 

それぞれが反応している間に謎の金髪女性、フィーネは右手を掲げると同時に光だす。すると青い光の粒子が集結していき、やがて粒子が消滅するとフィーネの右手には銀の欠片が握られてた。

 

フィーネ

「ネフシュタンの回収は完了。これで全てのピースが揃ったわ。もう貴女は用済みよ。」

 

クリス

「もう用済みって、どういう意味何だよフィーネ!アンタに協力すれば真兄ちゃんの手掛かりを教えてくれるんじゃないのかよッ!!」

 

フィーネ

「さようなら、クリス。」

 

フィーネはただそう言ってその場から離れていく。

 

クリス

「待ってよ!フィーネッ!!」

 

そう叫んだクリスは響はウルトラマンの方へ突き飛ばしてフィーネを追い掛けようとした時、フィーネは指を鳴らすと同時に地面が揺れ始める。

 

「な、何だ!?」

 

「地震・・・いや違う!これは!!」

 

「ギイヤァァァァアアアア!!」

 

「テエェェェン!デエェェェンッ!」

 

咆哮と共に地底から姿を現したのはベムラーとテレスドンであった。しかしどちらも通常とは異なる姿をしていた。青くなった背びれと、頭に2本の角が生えた〔宇宙禍威獣 ベムラー(強化)〕と、突然変異で首周りにジラースの襟巻きが生えた〔強化地底禍威獣 エリマキテレスドン〕がクリス達の目の前に出現した。

 

クリス

「なッ!?」

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァァァァアアアア!!」

 

エリマキテレスドン

「テエェェェン!デエェェェンッ!」

 

ベムラー(強化)は〈ハイパーペイル熱線〉を、エリマキテレスドンは襟巻で威力を増幅した超振動波〈デプス破壊熱線波〉をクリス達に向けて放つ。

 

「ヤバイッ!避けろ!!」

 

奏がそう叫ぶが回避は間に合わない。ハイパーペイル熱線とデプス破壊熱線波が直撃する瞬間、閃光が装者達を包み込む。ベムラー(強化)とエリマキテレスドンの攻撃で爆煙が立ち昇ると同時に爆煙から巨大化したウルトラマンが現れる。

 

ウルトラマン

「シュワッチ!」

 

‐真side‐

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァァァァアアアア!?」

 

エリマキテレスドン

「テエェェェン!デエェェェンッ!?」

 

突然の巨大化して現れた俺に2体の禍威獣が驚いている間に俺は左手に保護した響達を少し離れた場所へ下ろす。手から降りた響達を確認した俺はすぐに強化ベムラーとエリマキテレスドンへ接近戦を仕掛け、響達の逃げる時間を稼ぐ!

 

エリマキテレスドン

「テエェェェン!デエェェェンッ!」

 

エリマキテレスドンは俺を近付けまいと襟巻の縁にある棘から光線状に収束させたデプス熱線波を放つ〈デプス拡散熱線波〉で迎撃する。

 

ウルトラマン

「(最初のデプス破壊熱線波に比べれば威力は低い。強化ベムラーに妨害される前に懐へ潜り込む!)シャアッ!」

 

エリマキテレスドン

「テエェェェン!?」

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァアア!」

 

ウルトラVバリヤーでデプス拡散熱線波を防ぎながら懐へ潜り込んだ俺はそのまま突撃して押し倒す。そしてこちらに向かって来る強化ベムラーにスラッシュ光線を撃つが、頭部の角で吸収されてしまう。

強化ベムラーはお返しとばかりにハイパーペイル熱線は放つ。それを回避した俺は腕を突き出して放つ緑色の渦巻き状の光線〈ウルトラアタック光線〉を放つが

 

エリマキテレスドン

「テエェェェン!デエェェェンッ!」

 

起き上がったエリマキテレスドンは防御技の〈デプス反射砲〉で攻撃を反射されてしまう。そして運が悪い事に俺の背後にはリディアン音楽院(学校)がある為、回避はできず、カウンターを受けてしまう。

 

ウルトラマン

「グッ!」

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァァァァアアアア!」

 

カウンターで怯んだ所に強化ベムラーが追撃で放ったハイパーペイル熱線で吹き飛ばされて倒れてしまう。急いで起き上がった時にはエリマキテレスドンの姿は無く。

嫌な予感を覚え、俺が行動を起こす前に地底から現れたエリマキテレスドンのスクリュードライバーを直撃してしまい、上空へ飛ばされる。

 

ウルトラマン

「このッ!」

 

俺はエリマキテレスドンの口吻を両手で掴み、無理やりスクリュードライバーを止める。これにエリマキテレスドンは止められた事に驚き、逃れようと藻掻く。

そのまま地上へ落下していく中で俺はエリマキテレスドンの身体を反転させて足首を掴み、腋に足をかけて地上へ叩き付けようとするが

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァァァァアアアア!!」

 

ウルトラマン

「ヘア(何)ッ!?」

 

何と強化ベムラーは青い球状となり、体当たりでエリマキテレスドンから俺を引き剥がす。そして受け身が取れなかった俺は地面と激突し、全身にダメージが駆け巡っていく。

 

ウルトラマン

「グゥ・・・ッ!」

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァァァァアアアア!」

 

ダマージが残る身体を起こして構えを取ろうとした時、既に接近していた強化ベムラーに右肩を噛まれると同時にエネルギーを急速に吸われていく。更に強化ベムラーによって助けられたエリマキテレスドンは左側からタコ殴りにされる。

 

ピコンピコンピコンピコン

 

ダメージが残った身体では満足に動く事もできずにダメージの蓄積とエネルギー吸収によってカラータイマーが点滅し始め、力が段々と入らなくなったその時。

 

エリマキテレスドン

「テエェェェン!?」

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァアア!?」

 

突然エリマキテレスドンの動きが止まったと同時に強化ベムラーは降り注ぐ無数の槍と2基の大型ミサイルが直撃。更に頭部の角が1本破壊され、悶える。解放された俺はすぐさま離れて何が起きたのかを確認すると、槍を掲げて腕を振っている奏さんと、ミサイルを撃ったであろうクリスちゃんの姿があった。

そしてエリマキテレスドンの影には巨剣が刺さっていた。恐らく翼さんが何らかの技でエリマキテレスドンの動きを止めてくれたのだろう。するとブースター音が聞こえそちらを見ると、エリマキテレスドンに接近した響が襟巻に憑りつき、それを

 

「オリャアアアーーーッ!」

 

エリマキテレスドン

「テエェェェンッ!?」

 

気合を入れて毟り取る。襟巻を取られたエリマキテレスドンは弱体化。響達の攻撃によって2体の動きが鈍くなっていく。このチャンスを無駄にはしない!俺は即座にスペシウム光線を放つ。

 

ベムラー(強化)

「ギイヤァアア!?」

 

エリマキテレスドン

「テエェェェンッ!?」

 

直撃を受けた2体は断末魔を上げて爆発。戦いが終わった後、俺は響達の方へ顔を向ける。響は疲労で上手く立てないのか翼さんが肩を組んで支えていた。奏はこちらに手を振っていたが、そこにクリスちゃんの姿はなかった。

 

‐真side END‐

 

その後、光の粒子となって消えて変身を解いた真は響達の下へ向かうと、丁度駆け付けたであろう二課のエージェント達に二課の本部まで連行され、合流した未来と一緒に機密に関しての説明を受ける。そして説明を終えて地上へ戻る途中に偶然響達に会う。

 

「み、未来・・・」

 

未来

「・・・・・・」

 

響が声を掛けるが、未来は何も答えずに顔を逸らして俯いたまま走り去っていく。そしてこの場に残った者達に何とも言えない空気が押しかかるのであった。

 

(これは、時間で解決は無理だろうな・・・参ったもんだ・・・)

 

頭を掻きながら遠くなっていく未来の背中を真や響達が見詰めている頃、山奥にある廃屋敷では・・・

 

‐廃屋敷‐

 

ウルトラマン達の前に姿を現したフィーネは電話で協力者と話を行っていた。

 

フィーネ

「確かにこちらからの依頼ではあるけれど、仕事が杜撰すぎると言ってるの。足が付けばこちらの身動きが取れなくなるわ。まさか、それも貴方達の思惑というのなら・・・」

 

協力者

『神ならざる者が全ての干渉するなど不可能。お前自身が一番分かっているのではないか?』

 

協力者との通話中に扉が開き、フィーネは視線を扉の方へ向けるとそこにはクリスの姿があった。

 

クリス

「フィーネ!あたしが用済みって何だよ!アンタはあたしに真兄ちゃんの手掛かりを探してくれるって言ったのは嘘なのかよ!」

 

クリスがそう言った後、フィーネは受話器に電話を置いて通話を切る。

 

フィーネ

「どうして誰も私の思い通りに動いてくれないのかしら・・・」

 

椅子から立ち上がり、よっくりとクリスの方へ向くと同時にフィーネはソロモンの杖でクリスの前方にノイズを召喚する。

 

クリス

「ッ!?」

 

フィーネ

「クリス、この際だから言うわ。戸籍、身分証、経歴。その他全てを調べても神永真という人物は存在しない。」

 

クリス

「それでもフィーネはッ!!」

 

フィーネ

「もう答える事はないわ。そろそろ幕を引きましょうか。」

 

フィーネがそう言った後、青い粒子が身を包む。そして光が弾けると同時に金色に輝くネフシュタンの鎧を纏ったフィーネの姿があった。

 

フィーネ

「カ・ディンギルはもう完成しているのも同然。私の野望が叶う刻は近い・・・」

 

クリス

「カ・ディンギル・・・そいつは・・・?」

 

フィーネ

「・・・喋り過ぎたわね。貴女には消えてもらうわ。」

 

フィーネはそう言うとソロモンの杖でノイズに攻撃命令を出す。それに従ってノイズはクリスに迫る。クリスは初撃を回避してテラスの方から外へ逃げるが、その際に躓いて転んでしまう。クリスは起き上がって後ろを振り向くと、不敵な笑みをしたフィーネはソロモンの杖をクリスへ向ける。

 

クリス

「ちきしょう・・・ちきしょーーーーーーッ!!!」

 

涙目となったクリスは廃屋敷から脱出する。そして彼女の叫び声は夕焼けの空に響き渡る。

 

第8話END




次回「陽だまりに翳りなく」

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