「妖精ちゃん達! いよいよお待ちかねのこのシーズンがやって来ました!!」
「「「「「「はい! ミ・マドモワゼル!!」」」」」」
「張り切って、チップレースの開催よ!!」
「「「「「「わぁァァァアッ!!」」」」」」
「「·······」」
騒いでいるところ悪いが、二人は真顔でそのイベント開催をあまり嬉しく思えなかった。
何故なら、まず商品。
商品は『魅惑の妖精のビスチェ』というもので、丈の短い色っぽい、黒に染められたビスチェはあろうことかスカロンが着込んでおり、上着とズボンを脱ぎ捨てて見せつけてくる。
「今回の商品はこれ! 『魅惑の妖精のビスチェ』! その昔、まだ、この魅惑の妖精亭が建てられてからまだ間もない頃、つまりは四百年前にトリステイン魅了の王子様と呼ばれていたアンリ三世陛下の治安の折。絶世の美男子と呼ばれたアンリ三世陛下は、妖精の生まれ変わりと言われていたわ~」
その話をうっとりしながら、話すスカロンは腰を振って、目を輝かせて語り始める。
「その王様は、お忍びでこの街に出てきたの。そして、恐れ多くも開店間もないこの酒場に足を運んでくださったわ。その頃のお店の名前は『鰻の寝床』亭と呼ばれていたわ。魅力も色気もない店名でした。そんなある日、そこで王様はなんと! そのに雇われていた給仕の娘に恋をしてしまいました!!」
すると今度はスカロンはぐすぐすと何だを流し始め、悲しげな声で言った。
「しかし、王様が酒場の娘、何より平民に恋をしてはならぬこと。結局王様はその恋した人を諦めたんだけど、王様は魔法のビスチェを贈り、せめてもの恋のよすがとしたのよ。私はご先祖様はそれに感激し、そのビスチェにちなんでこのお店の名前を変えたの·······そう、それが『魅惑の妖精』亭の始まりよ」
「「「「「「素敵~~~ー!」」」」」」
「そしてこのビスチェ、これにはある魔法がかけられていてね。着用者の体格に合わせて大きさをフィットさせる魔法、『魅了』がかけられているわ!!」
「「「「「「素敵ね! ミ・マドモワゼル!!」」」」」」
「んん~~トレビア~~~ンッ!!」
そういってポーズを取るスカロンに、ノクトは不思議と気分は悪くならなかった。おそらく、これが『魅了』という魔法だろう、さすがにあんなものを着込んでいるスカロンに魅了されるわけもないが、まあまあ悪くないとは思えてしまった。
着てる相手がスカロンだからこそ、『魅了』の魔法の威力が半減してる。これがもし普通の女の子、特にルイズが着れば男どもは一撃で倒れてしまうだろう。
人を幻覚で操るなんて、やっぱこの世界は怖いなと思うノクトであった。
スカロンはポージングを取ったままみんなに呼び掛ける。
「今週のチップレースに参加して優勝した妖精ちゃんは、特別にこの『魅惑の妖精のビスチェ』を一日着用する権利をプレゼント! もうこれを着た日にゃチップいくら貰えるのかしら! 想像するだけでワクワクドキドキしちゃうわね! そんなわけだからみんな頑張るのよ!!」
「「「「「「はい!!」」」」」」
「よろしい、では妖精ちゃん達、自分達のグラスを持って───────」
女の子がグラスを掴むのを見てルイズとノクトもグラスを手に持って傾ける。
スカロンはまたポージングをとりながら、グラスを持った途端に背筋を正し、こほんと咳をすると真顔になる。いつものオネェ言葉ではなく、そこだけ中年男性の声で、
「女王陛下の健康を祈って、乾杯!!」
「「「「「乾~杯~!!」」」」」
女の子達は唱和し、杯をそれぞれ交わしつつ、そしてノクトとルイズにも杯をあけた。
優しい人達だ。
だからこそ、彼女らはお客からチップを山ほど貰えているのだろう。勝てるはずもない勝負に挑んでしまったことに、今になって後悔しているルイズは、やけ酒を飲むようにグラスの中身を飲み干した。
△▼△▼△▼△
さて、今日からチップレースが開催されるわけだが。
さすがにルイズの性格上、口よりも手が出てしまう体質のため、口を開けばお客様を怒らせてしまうことをわかっていた、ルイズはただ真顔でなるべく口角を上げながら黙っておくことにした。
その作戦で客を接待しつつ、グラスにワインを注ぐルイズはついに声をかけられる。
「なあ、君!」
「·······ッ!!」
ようやく、チップを貰えるチャンスが訪れた。ルイズは黙りながらもにっこり微笑んでお客様の顔を見た。
「僕は占いに凝っていてね、ちょっと君の手を見させて貰っても良いかな?」
そう言われて、少女は渋々右手を差し出した。自称占い師はルイズの手を取り目を瞑り精神を集中させると、とんでもないことを言い出した。
「君は恋をしている」
「ッ!?」
「しかも相手は自分の身近にいる青年だ。見た目は黒く、黒く、黒い印象を持つ青年だね。違うかい?」
そう言われてルイズの頭の中に使い魔の顔が浮かんでしまった。
(·······ノクト·······)
しかしその考えを否定するように黙ったまま首を横に振る。許せない。アイツが自分の頭の中に出てくるなんて許せない。そう思ったルイズは黙っていた口を開き、占いをしてくれたお客様にこう言い放つ。
「私に好きな人はいません。ただの間違いでは?」
その言葉が聞き捨てならなかったお客様は立ち上がりルイズを睥睨する。
「僕の占いに間違いはない。実際にほら、ここにいるじゃないか。ここに、黒髪で黒いスーツを着たこの僕が!!」
「·······」
どうやら、初めからそう言うつもりだったらしい。ルイズはお客様のことを好きだと錯覚させて、ルイズと恋仲になろうと企んでいたのだ。
ルイズはまたこめかみを痛め、占いをしてくれたそのお客様に足で占いのお礼を申し上げてしまった。
「な、何すんだこのガキッ!!」
ガキではない十六だ。
言い返す余裕もなく、必死に言葉を堪えているルイズは一先ず一礼して謝る。
「あ~、こりゃ特別奉仕してもらわねぇとなぁ。まずはそうだな、靴の裏でも舐めろよ」
その言葉にルイズはついにブチンとキレた。ついてでにきちんと自分の年齢を教えるため合計で十六回ほどの蹴りを顔面にお見舞いして、客は目を回して伸びてしまった。
「なにやってるのルイズちゃん!!」
スカロンが、めちゃくちゃ凄い形相で走ってきてお客の安否を確認する。
「ルイズちゃん!! 気持ちはわかるけどここまでしちゃだめよん!!」
スカロンはどこまでも優しい人間だった。暴れまくったルイズを許すかのような口調で宥めるが、ルイズはにっこり笑顔で、しかし目だけは笑ってなかった。
というわけで、一日目はチップが一つも貰えず終わってしまった。もっと効率良く稼ぐ方法はないのかとノクトに質問してみたところ『まず落ち着け、以上』とだけ言って眠りに入ってしまった。
△▼△▼△▼△
二日目、
ルイズは昨日のことを反省し、蹴りでの攻撃を押さえ込めるように笑顔を保ち、もうどんな表情でも崩れないように笑顔が絶えない世界を自分で作り出した。
しかし、チップは残念なことに貰えなかった。
理由は単純、足ではなく手が出たからだ。
ワインを注ぐ最中『オーイ姉ちゃん』と呼ばれ振り替えると、そこにはだらしなく腹が突き出ている中年男性がいた。給仕に向かったルイズは顔が好みだったのか気に入れられたらしい。
「お前さん、近くで見ると本当にかわいいなぁ。もっと近くで酌してくれ」
「は、はい·······」
言われた通り笑顔を保ったまま、中年男性の隣まで近付きグラスにワインを注ぐ。
すると男性はルイズのある欠点を見つけ、それをネタに笑い出す。
「なんだお前、男なんじゃねぇか? ま、顔は好みだが、体つきは女っぽくねぇ。俺はここの常連だからなぁ、良いコツを教えてやるぜ。せめてその小さな胸に布を丸めて放り込んでおきな、そしたらこの店一番の売れっ子になれるぜ! がっはっはっは!!」
「·······」
ルイズはグラスに注ぐ行動から、男性の頭にどぼどぼと注いでしまった。表情筋は上手く働いてくれているようだが、他の筋肉は脳の電気信号を無視し、その場で勢いよくワインを男にかけてしまった。
「な、何しやがるテメェ!」
「ごめんなさ~~~い。この子、入りたてでまだ接客になれてなくってぇ」
「どけオカマ! お前に用はねぇんだよ。そこの貧乳小僧をぶっ飛ばさなきゃ気が済まねぇッ!!」
「·······」
その一言に、スカロンは中年男性の頭を鷲掴みにし、宙に浮かばせてこう言った。
「·······わたくしはね、お客様。この店の店長でもあり、妖精ちゃん達のお世話係でもあるの。そんな妖精ちゃんを貧乳、小僧? 何てこと言うのかしらお客様ったら」
「こ、このオカマ野郎·······ッ!!」
「そうよ。私はオカマ·······だけどこれだけは言わせて貰うわ」
そう言うとスカロンはテーブルに向かって男の頭をめり込ませると、テーブルは見事に真っ二つに割れ、スカロンはこう告げた。
「オカマ舐めんじゃねえッ!!」
スカロンが駆けつけてくれたことによって場はおさまったが、ノクトはそれを見て冷や汗を掻いていた。
あれだけの筋力を持った相手には今後逆らわないようにしようと、ノクトは心の中思いながら皿洗いを続けた。
△▼△▼△▼△
三日目。
もはや声を出さずに笑うことだけに徹しているルイズは、お客の前でハッピースマイルを浮かべている。
「おいアンタ、注げよ」
そう言われるもルイズは手足が動かないように注意をしているため動かせない。ただにっこりと笑って、お客様を見つめている。
「注げよ」
「·······」
「注げったらッ!!」
「·······」
「注げっつってんだろ!!」
尚も笑顔を崩さないルイズに客はむしろ恐怖を抱く。引いたようにルイズから遠さがり、震えた声で訊ねてくる。
「な、なんなんだよお前·······ッ!!」
結局、三日目はほぼなにもせず、ハッピースマイルを浮かべるだけで終わってしまった。
△▼△▼△▼△
四日目。
いよいよ勝負は中盤である。
これまでルイズが集めたチップはゼロ。これにはさすがのゼロのルイズも慌てるざるを得ない。手足は出さずに、ワインを注ぐ位置と言葉を注意し、ルイズは給仕をきちんと務めることにした。
するとついに、その時がやってきた。
「君」
「はい?」
「君は不器用そうだが、物腰は妙に上品だねぇ。これを取っておきなさい」
その階あってか、ルイズは初めて貴族らしき男からチップを貰い、大喜びして跳び跳ねる。
と、
その衝撃で、テーブルに足が当たりチップを上げた貴族の男に酒がシャツに溢れてしまう。
「ご、ごめんなさいッ!!」
ルイズは誠心誠意を持って、普段プライドが高いルイズでさえも腰を九十度に曲げて謝る。
だが、
貴族の男は怒り頂点に達したのか、立ち上がってルイズを見下す。
「君·······このシャツは君の給金なんかではとても賄えない、シルクの一品だよ。どうしてくれるんだね?」
「えっと·······申し訳ありません!」
「謝罪を求めてるわけではないんだ。どうしてくれるんだって聞いているんだ」
低い声で言われてルイズは目蓋から涙が溢れそうになる。それを見たノクトが洗い物の作業を止め、ルイズの前に立ち塞がった。
「何か、問題でもありましたか?」
「君には関係ないことだ、私はこの娘に用があるのだよ」
「お客様、店内で騒ぐのはルール違反です。お詫びのサービスとしてこの店一番のワインを提供致しますから、それでどうでしょう?」
「ふん、たかが酒でこのシャツ代を賄えるとでも?」
すると男はルイズ顔を見てニヤリと不気味な笑みを見せつけ舌で唇全体を舐め回す。
「ふむ、ならこうしよう。君に出来ることで弁償してもらおう」
「な、何をしろと申すのでしょうか?」
ルイズはノクトの背中に隠れながら震えて訊ねる。
「なに、夜中に私の部屋に来てくれればいい」
「い、行って何をするんですか?」
「おやおや、これだけ言われてまだわからないとは·······どうやら君は初めてのようだね。心が躍るよ」
そう言ってルイズの顎に手を振れようとしたその時。
ガシッ! と。
ノクトが貴族の腕をしっかりと掴んでルイズに指一本振れさせないように力を込める。
「き、貴様·······私に、何をしてるのか、わかってるのかっ!?」
「悪いけどなぁ、お客様。うちはそう言うサービスはやってないんだよッ!!」
それは一瞬の出来事だった。
ノクトは貴族の右手を掴むと、そのまま身体を一八◯度回転させられ、右腕を背中で固められた。
「い、痛い痛い痛いッ!? わ、悪かった! 私が悪かったッ!!」
するとノクトは手を離し絞め技をした貴族は腕を掴んで痛みを和らげようと必死になっている間、ノクトはルイズが受け取った金貨を取り上げると、指で弾いて貴族の顔へと叩きつけた。
その一部始終を見ていたスカロンは、ノクトのその主人を守る行動を見てにっこりと笑ったがお客を傷つけたのは事実。
よって、ルイズには罰として明日一日ノクトと一緒に皿洗いをするように命令した。
△▼△▼△▼△
五日目。
ノクトとルイズが皿を洗っているところに、ジェシカがやってきてからかってくる。
「調子はどう? お嬢様~! あたしは今日までで百二十エキューもチップ貯まっちゃった!!」
「そ·······頑張ったのね」
無視しながら皿洗いに集中するルイズは、何も気にしないように無の世界へと逃げ込んでいた。視界は皿だけ。それ以外の情報はいれないようにし、皿洗いに没頭する。
そんなルイズにジェシカは笑って、
「皿洗ってるだけじゃチップは貯まらないわよ?」
「知ってるわよ」
ルイズは慣れない手付きで洗っているためか、一枚の皿が滑り落ち、床へと落としてパリンッ!! と割ってしまった。
「ご、ごめんノクト。私───ッ!!」
「いいよ。誰にでも失敗はある。俺だって掃除するの慣れてなかったんだからさ、徐々に慣らしていけばいいんだよ」
ノクトの優しいフォローにより、ルイズは思わず涙を流してしまう。自分は何も出来ない、何も任せられない。そんな奴に、いったい存在価値はあるのか。そんな負の感情が心を支配し、走って部屋に戻ろうとするところをジェシカが止める。
「何するの!? 離して!!」
「また逃げる気?」
え? 止めを丸くするルイズにジェシカは呆れたような口調で、
「折角ノクトがフォローしたくれたっていうのに、『ありがとう』の一言すら言えないの? そんなんだからアンタはチップも貰えないのよ」
「ッ!!」
確かに、ジェシカの言う通りだ。
ルイズは今まで、ノクトに感謝していない。ノクトが眠っている時に感謝の言葉を述べたが、意識があるときに感謝の言葉を言った覚えはない。
ルイズはそう思うと逃げようとしていた足が立ち止まり、ノクトの方に振り向いて感謝の言葉を述べる。
「ノ、ノクト!」
「ん?」
「えっと、あの·······あ、あり、がとう」
「ああ、どういたしまして」
ノクトはにっこりと笑ってルイズを見つめた。
そんなルイズは、ノクトのその笑顔を見ただけで顔から火が出るくらいに真っ赤になってしまった。
△▼△▼△▼△
その日の朝方、ルイズは乾燥しきった両手を見ながら目を覚ました。今まで洗い物なんてしたことがなかったルイズは何枚も皿を割ってしまったが、それをノクトがフォローし、一日を終えた。
冷たい水と石鹸のおかげで指の間接が切れて痛い。
(なんで私が·······こんなことしなくちゃいけないのよ)
と、今更になって思うルイズは悲しげな目をする。
貴族の自分が皿洗いだけでなく接客もさせられて、看板娘からは嫌味を言われ、もうたくさんだった。
「もうやだ」
と、一筋の涙が頬を伝う。
情報収集だかなんだかしらないけど、こんなの自分のやるべきことではない。もっと大きな、それこそ国を守るような使命を授けてくだされば良かったのに、とルイズはアンリエッタ姫の命令が嫌になり始める。
自分は伝説の。
誰も持っていない『虚無』の担い手だというのに。
こんなちっぽけな仕事をやらされて、不満だったルイズは悲しくて涙が溢れ出そうになった。
すると、
バタン! と、床の板が開いて梯子から登ってくるノクトが、食事を持ってきてルイズに話しかける。
「飯だぞ」
「いらない」
ノクトはシチューが入った皿をテーブルの上に置いてそう呼び掛けるも、ルイズはベッドから一歩も動かず、窓の外を眺めている。
「いやいらないじゃねぇだろ。体壊すぞ」
「食欲ないのよ、今は放っておいて」
「·······」
ノクトは自分の分のシチューを持ち、ルイズの横に座りながら、話しかける。
「あのなルイズ」
「·······何よ」
「お前·······仕事舐めてるだろ?」
「ッ!?」
そんなノクトの言葉にガバッ! と起きたルイズはノクトを睨んでこう言い返す。
「バカ言わないでッ!! 私はちゃんと姫様の任務を─────」
「遂行してない、少なくとも今のところは」
「ッ!!」
ノクトは食べかけていたシチューをテーブルに置くと、ルイズを見つめながらこう話した。
「あのなぁルイズ。みんな嫌ながらも働いてるんだよ。一生懸命、お前が馬鹿にしている仕事をこなして食事を取ってるの。お前ら貴族ぐらいなんだよ、贅沢して食事を摂っているのは」
真面目な声で、ノクトはルイズに言った。
ルイズはそんなノクトの冷えた目を見つめて目を逸らし、俯いてしまった。
「ま、俺も王子だったから食事はほとんど用意されてたもんだけどな。けれど王都が陥落して以降、色んな所を旅してわかったことがあるんだ。生きるって大変なんだなって」
「·······」
「ルイズ、お前が貴族としてプライドが許せないのはわかる。けどな、時には妥協しなきゃいけない時もあるんだよ。生きるために、不必要なプライドは捨てるべきだ」
「·······」
「お前は大きな仕事を任されると思ってたらしいけど、これだって重要な任務だ。そして、お前が持つ変なプライドのせいで、姫に任された任務を全うすることができない。それは姫を失望させることに繋がる。それでもいいのか?」
「ッ!?」
「ま、何にしても仕事を舐めてるようじゃ、姫の任務は遂行できないだろうな」
その言葉にルイズは瞳に炎を灯す。
そして起き上がってテーブルに置いてあったシチューを丸飲みすると、ぷはぁと息を吐き、ノクトを睨んでこう言う。
「上等じゃない!! そこまで言うならやってやろうじゃないのッ!! 皿洗いや接客ぐらい、なんでもないわッ!!」
「·······」
ノクトはシチューが入っていた皿にスプーンを入れると、笑ってこう答えた。
「そっか、聞けてよかった」
「何が?」
「お前が覚悟を決めてくれたおかげで、俺も任務に集中できそうだわ」
二人は視線を交わし合う。
そして。
覚悟を決めたようにルイズが右手を差し出して拳を作ったので、ノクトもそれに合わせるように拳を作り、二つの拳がコツンと重なりあって互いの覚悟が決まったことを確認し終えると、二人は明日に備えてベッドに潜り込んだ。