ガンダムの取り留めのない物語たち   作:kurono20

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3話

…この広大な沼地で防衛線を張ってから8日目…未だにジオンの攻撃は弱まる気配はない。

「ちょっとー!そこのMS!暇なら向こうの資材運ぶの手伝ってー!」

連日の襲撃に施設の損害は絶えず、故に賽の河原の如く設備の修繕を続けている。

「すまない、今は警戒任務中なんだ。」

外部スピーカーで語りかけると、話しかけてきた整備士らしい人物は期待はずれのような顔をして去っていった。手を貸せないのは残念だが、しかし自らの任務の為にここから動く訳にはいかない。拡大モニタで沼地の様子を注視しながら、数日前のブリーフィングを思い出す。

「…つまり、こいつを叩けば。このエリアの攻勢は止む筈だ。」

基地指令がピシと指示棒で叩いた画面には、荒い画像で一機のザクが映されていた。

「沼地の怪物、か。」

手元の資料に目を落とし、首を振る。沼地の怪物…名前は不明。現時点でわかっている情報は、優秀な狙撃手であり、この辺りのジオン軍を指揮するエースだ、ということだけ。…捜査に出た隊に帰還者は居らず、狩りに出る人間を飲み込む、正体不明のパイロット。基地の兵たちもすっかり怯え、遂に沼地の怪物と呼ばれるようになった…。

「ふざけた話だ。」

「ああ、全くだな。」

ひとりごちると、隣に立っていた同僚が反応する。

「ここは霧で年中視界が悪い。こんな中で正確に撃ち抜いてくるんだ。…全く、ふざけた野郎だな、こいつは。」

兵の間のざわつきが収まってくると、基地指令は数枚の画像を流しながら話を続ける。

「…奴は基地襲撃時には必ず現れる。我々はそこを狙う。…」

…やはり、沼地に動きは見られない。モニタにくっつく程に前のめりになっていると、後ろからMSが近づいてくる足音が聞こえてくる。

『おい、あんた。基地指令が呼んでたぜ。ここの警備は俺が変わる。あんたは指令の所に行ってこい。』

「了解、ありがとう。」

一体なんの用かと考えながらジムを格納庫に置いた後、司令部に向かう。ようやく司令室に着いた頃、中には既に数名の同僚が立っていた。

「…お、あんたか。また会ったな。」

数日前の会議で話した奴も立っていて、姿を見るや話しかけてきた。

「ああ。中々見ないから怪物に食われたのかと思ったぞ。」

「ぞっとするね。そうなってなくてよかったよ。」

しばらく二人で喋っていると、基地指令が部屋に入ってきた。

「おはよう諸君。早速だが本題に入ろうか…」

基地指令は部屋に入るなり慣れた手つきで書類を広げ始める。

「諸君らも知っての通り、我が基地は前回の全体ブリーフィング後、数度の襲撃を食らった。」

ポータブル端末を起動し、大型モニタに接続しながら指令は続ける。

「しかし、例の怪物は、跡は残せど影さえ踏めていない状況だ。…そうだな?」

指令の問いに部屋にいる全員が頷く。それを確認した後に、大型モニタに画像を転送する。

「私はその理由をこの基地の保有戦力にあると考えた。この基地のMSは全てジム。武装も標準装備の物を持たせている。…まあ、それ自体はいい。だが…」

カチカチと大型モニタに映るジムのスペック表や武装類の書類を流していく。

「怪物の得意とする距離におけるこちらの攻撃手段は無い。これが問題だ。だから。」

ある画像を映した所で画像を流す手を止める。

「こいつを導入した。」

画面には、RX-77Dの文字と、両肩部にキャノン砲を乗せた機体が映されていた。

「こいつは…」

「新型か…」

「遠距離支援機体?こんなものが…」

しばらくざわつきは収まらず、基地指令の咳払いでようやく静かになると、指令はそのまま説明を続ける。

「こいつは砲撃で前線を援護することを目的として作られた機体だ。…しかし、恐らくキャノン砲では怪物には届かない。そもそもこの機体自体は基地の増強の為に導入しただけだ。…対怪物の真打、それは…これだ。」

画面に大きくスナイパーライフルが映し出される。

「これは開発途中の物だが、ほとんど完成していると言っていいだろう。…しかし、素のジムでは持て余す。拡大モニタの限界が短すぎるんだ。つまり、この武装は、先程紹介した機体に持たせる。…そして諸君らは、もう自分が呼ばれた理由が分かるはずだ。」

「「はっ!」」

皆一斉に姿勢を正し、敬礼をする。

「よろしい。この機体はRX-77D…量産型ガンキャノンと呼ばれている。存分に可愛がってやれよ!」

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