魔王系Vtuberやっていたら本物の魔王にされそうです。   作:ゆゆっけ

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109話 #黒夜のASMR②

【#黒夜のASMR】オフコラボ!魔王様にASMRを伝授しちゃうぞ♥【夜闇リリス・黒惟まお】

 

「黒様ノリノリじゃーん、これはASMRにハマっちゃうかもねぇ」

「実際、ここまで臨場感が出るとは思わなかったからな。反応含めて楽しんでいるよ」

 

 :めっちゃ良かった……

 :定期ASMR配信してもろて

 :ASMR沼にようこそ

 

 一通り囁き合ってリスナーたちの反応を楽しむと、楽しそうに白耳から口元を離したリリスが話しかけてくる。いくつかASMR配信というものを見てどういうものか勉強したつもりではあったのだが、自身で配信する側に回ってみるとこれがなかなか面白い。

 

 普段の配信では基本的に画面に向かって話している事もあって画面の向こう側にいるリスナーたちとコミュニケーションを取っている感覚なのだが、こうやって耳の形をしたマイクに向かって囁いてみるとその対象が目の前にいるような気がしてくるのだ。

 

「はーい、それじゃ白耳くんはこのへんにしてぇ。順当に黒耳くんいってみよーか。切り替えるから無音になるよー」

 

 :黒耳くんきちゃ

 :黒耳くんすこ

 :どんだけ変わるんだろう

 :はーい

 

 次にリリスが手にしたのは先ほどまで使っていたマイクと形はほとんど同じであるが白かった耳の部分が黒いものになっている所謂、黒耳と呼ばれているバイノーラルマイク。そちらへと接続を切り替え慣れた様子で設定なんかを切り替えていく。

 

「はーい、これが黒耳くんでーす。違いがわかるかなー?」

 

 :やっぱ黒耳のほうが音いいよな

 :気持ちクリアになった気がする

 :黒耳くんの音~^

 

 たしかに先ほどまで比べて音に厚みが出ているというか単純に音のクオリティが上がっているように感じる。そのあたりはやはり値段相応ということなのだろう。

 

「特に黒耳くんはこうやってー。……近距離で囁くのに向いてるかなぁ。ふふっ、だぁーいすき♪黒様も試してみてー」

 

 :しゅき……

 :不意打ちやめてもろて

 :ドキッってした……

 

「ん、あぁ……これはたしかに先ほどよりも純粋にクリアに聞こえるな。それにこの耳の部分が少しだけ白いやつと比べて硬い気がするが」

「あー、こっちもかなり使い込んでマシになったんだけどねぇ。その点だと白耳くんのほうが使いやすいかなぁ」

 

 :へぇ

 :そうなんだ

 :そういう違いもあるのか

 :個体差とかもありそう

 

 先ほどと同じ要領で耳の部分を触って音を出してみようとするが、こっちのほうがなんだか少し硬いような……。そのせいか出る音も違うような気がする。

 

「あとはークリアになった分、結構録れる音が強めというか鋭く感じるから耳かきとかする時はそのあたり注意かなぁ。激しめなのがいいって人も多いけどねぇ」

 

 そう言いながら手に持った綿棒を耳に差し向けゴワゴワゴソゴソと色々な音を出して見せてくれるリリス。たしかに言われている通りその音は強めに感じる。

 

 :激しいの好き

 :だんだん物足りなくなってくるんだよなぁ

 :ゴリゴリくるのは黒耳くん

 

「なるほど……、ところでこのスポンジはどうやって使うんだ?」

「これはこのまま耳を擦ってみてもいいしぃ……少しちぎって指先で転がしてみたり。お耳に詰めて耳かきしてみたり……結局気持ちいい音が出せればいいから自由な発想で何でもやってみるといいよ?」

 

 :スポンジぞくぞくする

 :ギュムギュム音すこ

 :耳に詰めてたのw

 :はえ~すっごい

 

 耳かきや綿棒、耳ブラシなんかと一緒に台所で見かけるようなスポンジも置いてあって気になってはいたのだ。実際に色々と使い道を実践してみてもらうと、たしかにリリスの言う通りで耳掃除やマッサージというイメージを持ったままだと使い道はなさそうだが音を出すという面ではそれらとはまた違った音が表現されていて面白い。

 

「だからこういうボールとかもよく使ってるんだな」

「そうだよ~、黒様はそのジェルボールでうまく音出せるかなぁ?」

 

 私が置かれている道具の中でもカラフルなジェルボールを手にするとそれを見たリリスが挑戦的な視線を向けてくる。何度かリリスのASMR配信でその音を聞いたことはあるが実際にどのように使っているかはあまり想像できない。とりあえずは耳元でグニグニと握ってみたり潰してみたりしてみるが……。

 

 :これは……

 :何かを潰されてる

 :ぎゃあああ

 :ぐわあああ

 :これは臓器潰されてますわ

 :ある意味魔王らしい

 

 ぐちゃぐちゅとジェルボールを握りつぶした音がイヤホンからも聞こえてくる。たしかにこれは何か生もの……たとえば臓器を握りつぶしていると言われても仕方ないような音だ。記憶の中にあるリリスが出していたような音が出なくて首を傾げる。

 

「ふふっ……あははっ、まぁ初めてだとそうなるよねぇ。これはねぇ、こうするんだよ~」

 

 :お~

 :これよこれ

 :気持ちいい~

 :癒される

 

 リリスが別のジェルボールを手にして私と同じように耳元で握っているように見えるのだが聞こえてくる音は私とはまったく違う。いったいどうやっているのか気になって手元を覗いてみるとジェルボール自体を耳に当てているようで、私もそれを真似てもう一度チャレンジしてみるが、さっきよりはマシになったがどうしてもリリスのような音を出すことが出来ない。

 

「む……なかなかうまくいかないものだな……」

「ふふーまだまだ修行が足りないねぇ」

 

 :さっきよりはよくなった

 :もう臓器を捧げなくていいんやなって

 :結構違ってくるんだなぁ

 

「それじゃ、そろそろ黒耳くんもこれくらいでいいかなー。ここからはほんとのダミーヘッドマイクいくよー」

 

 ここまでは耳の部分だけを模したマイクであったが次に登場したのはまさに人の頭部を模したダミーヘッドマイク。ASMR配信や音声作品で検索すればかなりの確率でその製品名が宣伝文句として使われているくらいのブランド力を持っているQu100という機種。

 

「まぁこの子は有名だよねぇ、Qu100でーす。この子のすごいところはなんといってもノイズの少なさ!さっきまでは結構ノイズカット入れてたんだけど、この子はノイズカットなしでも全然いけちゃうし録れる音もあたしたち向けの言っちゃえばアニメっぽい音声になるんだよねぇ。ちゃーんと頭の形してるから、こーんな風に左右だけじゃなくて上下もかなりいい感じ~」

 

 :やっぱ明らかに違う感じする

 :百万円の音~

 :おおー

 :やっぱ高いとすごいんやな

 

 さながらモアイ像のような見た目の頭部にマイクが仕込まれていて防音室の中でもなかなか異彩を放っているビジュアル。値段もこれまでとは桁が違う一品でリスナーたちもそのあたりの事情については結構知っているようだ。

 

「これが噂に聞くQu100か、やはり頭の形をしているとなかなかインパクトがあるな」

「最初は結構びっくりするかもだけど、一緒にいると愛着わいてくるんだよねぇ」

 

 :名誉リリスナーの一員だからな

 :Qu先輩!

 :今日もお勤めご苦労様です!!

 

 流石に最高級機と言われているだけあって、聞こえてくる音はとてもクリアでダミーヘッドの頭を撫でているリリスの声もしっかりその位置関係まで把握できるような臨場感がある。コメントを見るにリスナーたちとはなんだか不思議な関係を結んでいるようで面白い。

 

「もちろんお耳マッサージしたり耳かきしたりもいいんだけど、こうやって抱きしめてあげたり一緒にお布団で添い寝してあげたり~あとは生活音ASMRとか、かなり色々な事ができる優秀な子なんだよ~」

 

 :添い寝ASMRいいよね……

 :そういうのもあるのか

 :生活音ASMRすこ

 :おーほんとに抱きしめられてるみたいだ

 

 リリスがダミーヘッドをギューッと抱きしめると衣服が押し当てられるような音と共にほんとに抱きしめられているようなそんな圧を耳から感じることが出来る。先に出てきた二機種でも似たような事は出来るだろうがやはりちゃんと頭の形をしているという利点は大きいのだろう。

 

「リリスはやっぱりこれをメインに使っているのか?」

「普段の配信はこの子中心だねぇ、音声作品作るときとかはモノによっては黒耳も使うかなぁ。でも最近ちょーっと新しい子に浮気しちゃってるんだよねぇ」

 

 :新しい子?

 :誰よその子!

 :あの子ね

 :サブchの子か

 

「あーそっか、たしかにこっちの配信だとちゃんと紹介したことなかったかも。実はオーダーメイドしたダミヘ君がいてさぁ、こっちはあんまり参考にならないかなぁって思って今回は出してないんだよね」

「オーダーメイドのものもあるんだな」

「お耳とマイク部分が自分好みに出来るんだよねぇ、あとちょっと特殊な使い方もできたり」

「……特殊?」

「えーっと、ここの配信サイトだとちょっと怒られちゃうヤツとか、お耳をぺろぺろ~みたいな?」

 

 :そういえばそうか

 :アレね

 :最近また厳しくなってるからなぁ

 :それっぽい音なだけでアウトになるときもあるし

 

 リリスの言い方でなんとなく事情を察する。たしか一時期リリスが配信サイトからペナルティを食らってしまったのも過激すぎる2DモデルかやりすぎてしまったASMRのどちらか……いやその両方だろうと言われていたのだ。

 

「黒様もリスナーからお願いされてもそのあたりは気を付けたほうがいいと思うよー?黒様案外ちょろ……リスナーのお願い聞いちゃう方だし」

 

 :ちょろ……

 :口滑りかけてて草

 :ほとんど言ってるんだよなぁ

 :黒様やさしいから

 :ちょろまお

 

「まぁそのあたりは心得ているさ。身近に実例があるからな。……ちょろ、なんだって?」

「えーっと……、じゃあ!あとやってないオイル使ってみようか!はい黒様手だして~」

 

 誤魔化すように私から目をそらしマッサージ用のオイルが入ったボトルを手にするリリス。わかりやすすぎる反応であるが、まぁこの程度はじゃれあいみたいなものだ素直に手を差し出してオイルを適量手に出してもらう。

 

「じゃあそれを手になじませて、最初のマッサージの要領でやってみてねー中のマイクにつかなければ大丈夫だから」

 

 最初にリリスから教えられた動きを思い出しながらオイルによって滑りが良くなった手でダミーヘッドの耳をマッサージしてあげる。オイルのおかげか耳に返ってくる音は思ったよりも良くて自身でやっているにも関わらず人にやってもらっているような感覚。

 

 :おおう

 :これは気持ちいい

 :やっぱ黒様飲み込み早いわ

 :あ~いい

 

「さっすが黒様、あとはねぇ手のひらで耳を塞ぐようにしながら親指で揉んであげたり耳の裏を指先で弄ってあげるといいよ~」

「手のひらで……、塞いで……お、たしかにこれはなかなか……」

 

 耳を塞いでみると外界の音が聞こえにくくなりくぐもったような不思議な音に包まれる。そのまま指を動かしてみると耳を塞がれている事によって余計な音が聞こえないおかげかよりダイレクトに聞こえてくるような感じだ。

 

「これで黒様に教えることはもうないかな……リリスちゃんのASMR講座卒業だよ!あとは思う存分黒様の思うASMR道を突き進んで!」

「ありがとうリリスにそう言ってもらえるのは心強い。……満面の笑顔でハグ待ちしてるがこの手だとどうしようもないからな?」

 

 わざとらしく感動の涙を拭う仕草をして両手を広げこちらに飛び込んで来いと笑顔を向けてくるがオイルまみれの手でその誘いに乗る訳にもいかない。

 

 :草

 :リリス先生ありがとう、ありがとう

 :黒様卒業おめでとう

 :手拭いてもろて

 

「はい、濡れティッシュ」

「あぁ、ありがとう」

「……。あとは思う存分黒様の思うASMR道を突き進んで!!」

 

 濡れティッシュを渡されそれで手についたオイルを拭き取る。それを見届けたリリスは仕切り直すかのように再び両手を広げて私を待ち構えるが、なんとなく一度落ち着いてしまったせいでそのノリに素直に乗るのも違うような気がしてきてしまう。

 

「これダミーヘッドの方も拭いた方がいいんじゃないか?」

「……うん。Quくんに負けた……」

 

 :スルーされてて草

 :草

 :Qu先輩優先で草

 :手入れは大切だから……

 :拭かれるのも気持ちいいな……

 

「……それじゃあ、みんなあとは何かやってほしい事とかあったりするー?」

 

 :不貞腐れないで

 :心音聞きたいなー

 :草

 :心音忘れてませんか

 :心音サンドイッチおなしゃす!!

 

「あー心音ねー。……心音サンドイッチ!黒様リスナーからのリクエストだからね!ちゃんと応えないと!」

 

 ダミーヘッドの耳についたオイルを拭き取り終わると、よほど私がハグしなかったのが不満なのかテンションを下げていたリリスであったがリスナーたちからのリクエストを目にして再びノリノリになる。

 

「心音サンドイッチってなんだ?」

「つまりねーQuくんを二人の胸に当ててー心音聞かせてあげるの、ほーら黒様おいで?」

 

 そう言いながらすでに膝立ちになってダミーヘッドを挟んで向かい側で再び両手を広げて待ち構えるリリス。互いの胸でダミーヘッドを挟むということは当然正面から向かい合うという事でいくらマイクが間にあるとはいえその距離は近い。つまりはリスナーからのリクエストにかこつけて先ほど出来なかったハグをしてしまおうという魂胆なのだろう。

 

「ほーらーはやくー」

「まったく……仕方ないな、これでうまく聞こえるのか?」

 

 :Qu先輩そこ変わって!!

 :Qu先輩羨ましすぎる……

 :俺生まれ変わったらダミヘになるんだ……

 :あぁ……包まれてるぅ

 :おっ聞こえる?

 

 リスナーたちからの要望ということで私も膝立ちになってリリスと向き合う。このままただ胸にマイク部分を当てればいいのだろうか……胸が邪魔をして少し収まりが悪い気がするが。

 

「うーん、少し聞こえるけどもうちょっと黒様は上かなー?」

「こう……か?」

「そうそう、じゃああとはお互いに押し当てて……って結構近いね」

 

 :聞こえてきた

 :これ右が黒様?

 :左やたら早くね?

 :右は結構おちついてるね

 

 リリスに言われた通り胸に直接当てるというよりかは少しだけ上の部分に当ててみるとトクントクンと自身の鼓動の音が耳に届く。心音なんてこうして聞く機会は今まで無かったのでなんだか新鮮だ。

 

「ええと、この状態だと我が右のはずだな」

「あはは……、じゃあこのトクトク言ってるのがリリスちゃんだねぇ」

「なんだ、リリスお前から誘っておいて緊張してるのか?」

「べっ、べっつにーこの部屋暑いからだし」

 

 :おっ?

 :あら~^

 :これは意外やな

 :リリスかわいいとこあるやん

 :まお様口説いてみて~

 :黒様おなしゃす

 

 私の心音が右耳から聞こえてきて、その反対左耳にはそれよりも随分早く鼓動を刻む音が届いている。目の前にいるリリスと目を合わせようとするがその寸前彼女から逸らされてしまい少しだけ悪戯してやろうという思いが膨れ上がってしまう。

 

「ほら、あれだけ抱いてほしかったんだろう?こっちを見たらどうだ?」

「黒様、こういう時だけノリノリなのズルいよぉ……」

「ふふっ、また早くなったな?」

 

 :きまし!

 :魔王様モードきちゃ!

 :リリスって結構誘い受けだよな

 :これを間で聞いてるっていう謎シチュエーションすぎる

 

 リリスはさっきみたいにどんどん押してきても、いざこちらから仕掛けてみると押しに弱いところがある。恨めし気に上目遣いでこちらを見上げてくる姿はとてもかわいらしく、鼓動も一層早くなったところを見ると効果があったようだ。

 

「はいっ、終わり終わり!ほーんと黒様ってそういうところ意地悪だよね!」

「……好きな子ほどイジメたくなるって言うだろう?」

 

 パっと私から離れて文句を言ってくるリリスだがこちらの手元にはダミーヘッドマイクがあるのだ、少し身を屈めてからかうように耳元に囁きかけてやる。

 

 :今のやばい

 :今日一ゾクゾクした

 :黒様パネェっす

 :悪い魔王様やでほんま

 

「──っ。もうっ!じゃあ、今日のASMR講座は終わり!黒様、告知とかあるんじゃない?」

「今週末に夜闇リリスの三周年記念3Dライブがあるからな、我の大切で尊敬する姉の晴れ舞台だ是非、その目で確かめてやってくれ。まぁここにいる者たちには言うまでもないとは思うがな」

「……。あ~もう、こんなかわいくて憎たらしい妹のクリスマスミニライブがその次の日あるからね!クリスマスボイスももう少しで出るからそっちもよろしく!」

 

 :てぇてぇ

 :ほんと仲良しだよなぁ

 :エモがすぎる

 :この姉妹はほんま

 

「それじゃ、終わりの挨拶は安直なアレでいくよ~」

「「おつまおリリ~」」

 

 :おつまおリリー!

 :おつまおリリでした!

 :リリス先生ありがとー!!

 :黒様また来てねー!

 

夜闇リリス/Yaan Lilith✓:今度はリベンジするからね!!倍返しだ!!

 

黒惟まお【魔王様ch】✓:楽しみにしているよ




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マシュマロ
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